中国山地・吾妻山   おろちループ
 11月初旬、突如思い立って、広島・島根県境付近を走ってきました。いつものように、道路地図を眺めて、この道がなんとなく楽しそうだな、というあたりをつけてコース設定。ちょうど紅葉も見頃で、中国地方の良さを堪能することができました。

国道314号線・奥出雲おろちループ橋
コース  東城−備後落合−出雲坂根−吾妻山−東城 
走行距離  130キロ   積算標高2400m
最高地点  吾妻池ノ原林道(標高約1000m)
走行日  2009年11月 8日 天候:晴れ PINARELLO PARIS
 午前5時、自宅を出発。霧の瀬戸大橋経由を渡り、山陽道〜岡山道〜中国道を経て、東郷ICで高速道路を下車。岡山道はいつものように高梁付近で視界100m以下くらいの濃霧でしたが、中国道に入ると次第に霧は晴れてきました。そこに広がってきたのは、紅黄葉した落葉樹に埋まる山肌でした。これはちょうどいい時期に来れた、とその後の展開に期待が高まりました。デポ地予定の東城IC近くの道の駅・東城にはほぼ予定通り午前8時前に到着(片道約280km)。
 準備をして間もなく出発です。出発時には周囲の山々はまだ霧に覆われていましたが、走り始めて30分もしないうちに陽も差し始めてきました。まずは国道314号線を北へと向います。道は緩やかに登っていきますが、交通量も少なくて快適でした。周囲には、この付近独特というか、黒や茶橙の塗瓦の民家が農地と雑木林の間に点在しています。私の大好きな風景です。

国道314号線沿いの民家

国道314号線、この日最初の分水嶺表示
 まずは何処かのHPで見た芸備線の高架橋を目指しました。国道314号線と一度離れた芸備線が小奴可(おぬか)から再び併走するようになり、その少し先に小さな峠(日本海・瀬戸内海の分水嶺)。地図ではそのすぐ北側に高架橋へと向う県道444号線を確認していましたが、それらしい道は非常に狭く鬱蒼とした林に覆われ「大型車通行不可」の標示だったので、パス。結局国道183号線の分岐まで走り、183号線を少し北上すると、件の高架橋に出くわしました。しかし、どうもいい写真のポイントなし。また、運よく通過する列車とも出会いませんでした。

国道183号線から県道444号線に入ってすぐの民家

落ち葉の道、県道444号線
 その後、再び314号線に戻るため、県道444号線へと左折しました。道はすぐにぐっと狭くなり、少しずつ登りになります。交通量はほどんどないらしく、道には落ち葉が厚く積もっていました。小さく細いながらも道の両側は雑木林賀続き、とても味のある道でしたが、やや荒れており、パンクを心配しながらの走行となりました。幸い下りは短くて、再び国道314号線に合流できました。国道314号線を再び北上すると、まもなく緩やかな峠が島根・広島県境。

国道318号線、島根・広島県境

島根・広島県境付近の紅葉
 その峠を越えると、この日の目的のひとつ、奥出雲おろちループ橋です。これまた事前勉強不足で、道がどちらからが登りか現地に到着するまで知りませんでした。結局は島根県側からが登りです。二重になったループ橋もさることながら、一番高いところに架かっている三井野大橋(トラストアーチ橋とやらでは日本一とか)からの眺めが圧巻でした。ちょうど周囲の紅葉も見頃でした。

この日二つ目の分水嶺

左下、赤い三井野大橋から見た、おろちループ橋
 もうひとつ、ここで見たかったのが、スイッチバックの線路。道路は2重のループで勾配が比較的緩やかですが、通常なら道路より傾斜がずっと緩い鉄道線路が、このループを少し大回りするもののかなりの勾配で山肌にへばりついています。ループ橋から麓の坂根駅でもしばらくゆっくりしていたのですが、ローカル線故列車本数は少なく、ここでも走行する列車を見ることは出来ませんでした。

おろちループ橋の途中から、三井野大橋

スイッチバックのある、JR出雲坂根駅
 坂根駅からは、314号線を一気に下って(この区間、この日唯一の自転車乗り3人とすれ違い)、八川で県道49号線に左折しました。この道は、田舎道だろうとの予想を裏切って、新しい広域農道のような2車線の道でした。叶谷峠という小さな峠を越えてしばらく走ると、直角に左折して県道25号線を南方面へと向いました。この25号線も当初はとても立派な道でした。両側に広がる水田地帯の中をまっすぐに中国山地へと緩やかに登っていきます。その道がちょうど細くなる辺りで、左手に大きな銀杏の木が目に入ってきました。黄葉の最良期は少し過ぎていましたが、遠目に見てもかなり大きいです。後で調べたところ、金言寺という島根では有名な銀杏の木のようでした。

金言寺の大銀杏

県道25号線と吾妻池ノ原林道の分岐部
 金言寺を過ぎると県道25号線と吾妻池ノ原林道との分岐部です。左手・県道が行き止まりで、右手・林道で山越えです。この池ノ原吾妻林道、島根県側は、やや勾配のある雑木林の繁った細い道でした。ひょっとしたら日本海が見えるかもと期待しましたが、展望は全くなしでした。ギアは39X25、ゆっくりと走りますが、北側斜面で道は暗めで湿っているところもあり、登りにもかかわらずひんやりとしていました。すれ違ったクルマは2台のみ。12時15分に峠到着。

吾妻池ノ原林道、登り始め、ポプラと柳

吾妻池ノ原林道、峠にて
 峠からは少し下って分岐を左折、林道を休暇村方面へと進みました。当初は南側へ下ることも考えていたのですが、山腹をトラバースするこの道沿いは、ちょうど見頃の紅葉で、結果的にはこの日のハイライトとなりました。瓶ヶ森林道のような展望はありませんが、クヌギなど落葉高中木が繁り、走っているだけで楽しくなる道でした。道より上方は、すでに落葉している木々も多数でした。南側斜面のためか、既に落葉している木々も多かったためか、峠の北側と比べて随分と明るい印象でした。

吾妻池ノ原林道、吾妻山南側

休暇村・吾妻山付近にて
 吾妻山山頂が見渡せるところもありました。なだらかな山頂付近は森林限界を超えているのかクマザサの草原のようで、登山している人の姿も確認できました。道からの標高差はさほどないようです。山頂に上れば、日本海も望めるのでしょうか?そうと知っていれば、最初からプチハイキング予定も考慮していたのですが。休暇村はなんとなく寂れた感じで、こんなに美しいところなのに人が少ないのが意外でした。まあ、自転車乗りの私にとっては好都合でしたが。

林道から吾妻山山頂、小さな人影も確認できた

吾妻池ノ原林道から東方面
 休暇村から少しの間は緩やかな下り傾向ですが、その後は一気に下りとなりました。その手前で、東側に展望が広がるポイントがありました。写真:上右、やや霞んでいますが、山肌は紅葉真っ盛りでした。スキー場と思われるところも見られました。

県道254号線から南方面

県道254号線、竹林もあり
 ドルフィンバレーとの名はあるものの閉鎖しているらしいスキー場まで一気に下ると、左折して県道254号線に進みました。すると、またまた登りです。しかし、最初の県道444号線などと同様、1車線の細い道は、クルマもほとんど通らず、紅葉した雑木林が両側を覆って、サイクリングには最適でした。この辺り、東西に走る三桁県道は、どこもこんな感じでした。254号線の峠から少し東側に下ったところで、「比婆山7km」の標示を見ました。後で確認すると、竜王山というところへと続く道のようです。山頂からは360度の大展望とのこと。予め知っていたら、向っていたかも。

県道254号線沿いの紅黄葉

県道254号線の峠から、東方面
 さらに下って行くと、道に沿って小さな渓流が現れました。紅葉した雑木林と渓流の調和が見事でした。熊野川という川ですが、瀬戸内海ではなく、日本海に流れる江の川の支流であることを知ったのも、後日のことです。比婆山が日本海・瀬戸内海の分水嶺だとばかり思っていたのですが、走り始めの分水嶺でもあったように、江の川はかなり蛇行して広い流域を持っているようです。進むにしたがって、谷は緩やかさを持って、急峻な四国の山肌では見られない、穏やかな表情を呈していました。

江の川支流、熊野川

穏やかな山村風景
 県道254号線から国道183号線に出て少し南下すると、備後西城駅のすぐ近くから県道57号線へと進みました。これまた354号線などと良く似た雑木林に囲まれた細い落ち葉の積もった道でした。もう大分疲れていましたが、クルマもほとんど通らないので、マイペースでノンビリと走りました。備後西城の街を見下ろす地点を過ぎると、山の中に入りました。まだまだ登りが続いて、もう脚がいっぱいでしたが、本当に走っていて楽しい道でした。思い切ってやってきて良かった、とつくづく思わせてくれる道が続いた一日でした。

県道57号線、落ち葉と雑木林の道

県道57号線から備後西城方面
 峠を越えると、残りも後僅かです。最後に超有名な帝釈峡に寄ろうと考えていました。ところが、この手前で、この日唯一の迷走。なにやら新しい農道に迷い込んでしまい、東城手前で中国道にぶち当たってしまいました。県道23号線で帝釈峡へと向う道は、これもまた紅葉が始まっており、主要道としてはとてもいい雰囲気だったのですが、辿り着いた帝釈峡は、夕方なので多少は観光客も少なくなっているかとの期待もむなしく、人波でごった返していました。で、人混みが苦手は私は、見るものも見ずに退散。
 県道23号線を引き返し、デポ地の道の駅・東城へ到着したのは、ちょうど17時。後始末をして、帰路は北房JCTから5kmほど渋滞、岡山道も随所で低速走行で、往路より40分以上余分にかかりましたが、予想を遥かに上回る楽しく快適な道と風景に大満足の一日でした

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