川への想い
    2006 Tour de France 観戦  Etape 10 Cambo-Les-Bains 〜 Pau  (2006.07.12)


Pauの街、ゴール地点数百メートルくらい手前 先頭でやってきた F.MercadeC.Dessel
 
 Etape du Tour 参加ツアーでは、Tour de France を観戦する日も設けられています。 2006年に初めて参加した時の観戦1日目の予定地は、etape10 ピレネー山岳コースのゴールとなるPau(ポー)の街でした。実は、事前にetape以外では自転車で走れる機会がないと聞いていたのですが、うれしいことに宿泊地の Lourdes(ルルド)からPauまで自走可とのことです。ちょっと不安でしたが、幸い自走で行くという人が何人かいたので、なんとかなるだろうと走っていくことにしました。距離は、およそ40q。
 ゴール地点となるPauの街周辺では、交通規制が選手達の到着より5時間くらいから始まるとのことで、朝食後、自走メンバー数名でワイワイと出発します。前日、移動中の高速道路SAで購入したマップ(写真:下)を参照に、ポー川に沿ったD937を走っていくことにしました。Lourdesの街を抜ける付近では、よく手入れされた広い庭を持つ住宅地が続いていましたが、写真なし。10qあまり走ったところのSaint-Pe-de-Bigore(サン=ペ=ド=ビゴール)という街で小休止。広場では市場が開かれていました。

右下・Lourdesから左上のPAUへ 一番左手の赤い道で

 ポー川は、ちょっとした急流区間があるようで(Google地図にも Ohlala whitewater という記載あり)、ラフティングしている姿も見ることができました。道中、ほとんどの
分岐部には標識があるので、迷うことはありません。途中には、古城のような建物。その時は何もわからずに写真だけ撮って通り過ぎていますが、これもGoogle地図で確認すると、Notre-Dame de Betharram 教会でしょうか。

 いくつかの丘陵地も越えていきますが、周囲はほとんどが背丈以上のトウモロコシ畑に小麦畑。フランスが農業国であることがよくわかります。ロータリーも何ヶ所かありました。幸い田舎の道では交通量も少ないので、ロータリーも問題なく通過。入口と出口にはきっちりとした行先表示があるので、迷うことはありません。
 しかし、問題になったのはPau市街に入ってから。ほんの10年前の話ですが、今のようにスマホで地図を自由に拡大してみることはできず。手持ちの地図は上記の縮尺なので、市街の詳細がわかりません。ゴール地点と思われる方向へウロウロしながら走ったいたら、T-Mobileのトラックを見つけました。近づいていってみると、スタッフの方が出てきました。いや女性がいると、もてなしが違います。キャップをいただき、男性陣にもお裾分け。その後、なんとかゴール地点へと辿り着けました。写真:下右端はゴール直前の道。この後、まもなく閉鎖されました。

 既に到着していた後発バス組に合流し、自転車を預けてコース付近を歩いてみます。とにかくバスの場所だけをしっかりと頭に入れ、ひとりでコース周辺をぶらぶらしていたら、いつの間にか時間は過ぎていきました。人も次第と増えてきました。初めての観戦なので、何処で見るのがいいのかよくわかりません。ゴール地点もいいかと思いましたが、ずっと遠くからやって来る選手達が見えると思えるポイントがあったので、そこで観戦することにしました。
 まだ選手達の到来には2時間くらいあったでしょうか。派手な大音響とともに、名物のキャラバン隊がやってきました。噂には聞いていましたが、やはり実物のノリは凄いです。アップテンポの曲を流しながら、キャラバン隊のクルマから途切れなく大音声が続きます。意味は全くわからないのですが、それまでざわめいていた程度の観客達のお祭り気分を一気に盛り上げてくれます。おまけに、クルマ上から投げられるキャラバン隊グッズ。老若男女、我先にと群がって争奪戦。私もいくつかゲットすることができました。なんていうことはないものですが、いい記念品になります。

次々とやってくるキャラバン隊

 キャラバン隊が行き過ぎて、しばらくの静寂が訪れました(写真:上中下)。それから1時間以上経ってでしょうか。遠くからバラバラバラとヘリコプターの爆音が聞こえてきました。少しの間隔を置いて何台もの先導パトカーが過ぎ去った後、いよいよ選手がやってきました。先頭で訪れたのは、二人。この日勝利した F.Mercade と マイヨジョーヌを手に入れることになった C.Dessel。少し遅れて、エウスカルテルの選手がひとり、そして2人組が続きます。観戦していた地点は、ちょうど川沿いからゴールのある小高い丘の上への登り道。驚くような速さはないものの、観戦するには長い時間選手を見ることができていいところでした。

 先頭の2人と後5人程が通り過ぎてからしばらくして、集団がやってきました。これがエース級が揃った集団のようですが、はっきりしません。その後も、小さな集団が続きます。まだ少し時間がありそうだったので、前方に見えていた陸橋の上に移動してみることにしました。メイン集団が通り過ぎてしまったので、陸橋上の観客も少し減っていました。陸橋上からの走っていく選手達を上から見下ろす眺めも、なかなかいい感じでした。

 まだまだ選手達の到来は続きます。後続の選手達は、190q余り、超級に1級の峠を越えてきて、ゴール手前を淡々と走っていきます。いくつかの集団に分かれてのゴールは、山岳コースならではの光景かもしれません。何分初めてなので、ただ走っていく選手達の整然とした姿を眺めるばかり。自転車を満載したチームカーも、恰好いいです。あれよあれよという間に、選手達は通り過ぎて行ってしまいました。観客は、みんな満足しきっているのでしょうが、余韻に浸るようなこともなく、三々五々散っていきます。Pauの街はスタートやゴール地点になることも多いので慣れているのかもしれませんが、一斉に帰路につく観客の交通渋滞があるためかもしれません。

 バスからはさほど離れていなかったので、ほどなく戻ると、みんないろんなところで観戦していたようで、それぞれに楽しめたようです。なんだかとても満足。帰路は自走で帰ると遅くなるので、バスで Lourdes へと戻りました。
 言葉も通じないし、何処に何があるのかも全く事前知識がないまま、選手達がゴールしてくるまで5時間近く。そんなところで、いったいどうやって過ごしたらいいのだろうと思っていたのですが、全くの杞憂に終わりました。この年は、開催直前にドーピング問題で有名選手が次々と出場停止となってしまいました。誰か特定の選手を応援するのも、また楽しく意気が上がるのでしょうが、名前もわからない走る選手達を応援するだけでも、満足感が与えられる。キャラバン隊はもちろん、選手達が到着するまでの時間も楽しみのひとつである、ということが Tour de France というひとつの文化であることの一端を、少しだけ知ることができた貴重な一日となりました。

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