吾橋後山農免道路と谷間豊永林道
 瓶ヶ森に源を発し紀淡海峡へと四国を西から東に流れる吉野川ですが、大豊から池田付近までは南北に流れます。その南北の流れに沿って走る国道32号線を見下ろすような位置に併走する谷間豊永林道の存在は知ったのは、どなたかのブログかHPだったと思います。高所から吉野川を見下ろせる眺めや、山の中腹にある道に沿って点在する集落は四国ならでは光景で、お気に入りコースのひとつです。もう随分前から何回か走っていると思っていたのですが、確認してみると初めて走ったのは2006年11月。ちゃんとした記録をと思いながら、その後も思っていたほど訪れていませんでした。今回は、しっかり要所を抑えようと向かったのですが・・・。(2019年5月10日記)
  
                                  吾橋後山農免道路から吉野川と大歩危橋
コース   池田−林道池田漆川線−県道32号線−県道45号線−吾橋後山農免道路−谷間豊永林道−国道32号線−池田
走行距離   90キロ   積算標高 約1900m
最高地点   後山峠・旧道 標高770m
走行日   2019年 4月21日   天候:晴れ   GIANT TCR
 午前6時前、徳島出発。7時にデポ地・池田総合体育館に到着してスタート。
 まずは、15年振り林道池田漆川線です。いきなりの登り坂は承知済み。振り返って池田の町と吉野川を眺めたり、予想より伸び始めていた新緑を楽しみながら、ゆっくりと登坂開始です(写真:下)。久しぶりなので詳細な記憶な記憶は残っていませんが、高知のMさんに連れられて初めて走った時に、吉野川を見下ろせるこんな道があるんだと驚いた光景の印象は、ほとんど変わっていないように思われました。途中、結構登っているよな、とGPSで確認すると、既に400m以上登っています。考えてみると、前2回は、もう手放してしまったMTBでの走行でした。
 少し下りになった黒沢湿原手前で、松尾川温泉に下る道表示を確認しました。ここに限らず、この道沿いには沢山の道案内表示があります。それなのに、けんさんと一緒にやってきた時は、この道を見落とし、黒沢湿原から山道を押して下ったことも懐かしい思い出です。なぜか国土地理院地形図には、ちゃんとした記載されていないこの道、植林された杉が繁る林の中を、ほぼ7q下っていきます(写真:下左)。後半は、松尾川に沿う県道149号線を見下ろすような崖の上を走っています。ほとんどの道筋では木々が繁っていますが、時に川が見える部分では、かなり高所感あります。出てきたのは、県道32号線・出合分岐からすぐのところでした。写真:下右下、手前から走ってきて右手へ。左手へ進むと、竜ヶ岳から松尾ダムを経て水の口峠方面です。
 出合から県道32号線で祖谷方面へ進みます。降雨のない日が続いていたので、水量が少なかったです。道は緩やかに登っていき、同時に川面は下方に遠ざかっていきます。それでもこの付近は、まだ道路から谷までの高度差は、小便小僧付近では200m近くある落差が50mくらいしかありません(写真:下左)。まだ早いだろうと思っていた新緑は、結構伸び始めていました(写真:下右)。途中の展望台で一服していると、ひとりの自転車乗りがやってきたので立ち話。5月の西阿波に初めて参加されるとのこと。以前に参加した時に、新緑の一番美しい時期は少し過ぎていたなあと感じたことを思い出しました。その年の天候にもよりますが、連休後半くらいが一番緑の美しい時期かもしれません。
 
 道路から川までの落差が一番大きい小便小僧付近を過ぎると、道は県道45号線分岐部まで緩やかに下っていきます。途中にある、ひの字渓谷付近(写真:下2枚)は、背後にある国見山周辺の山々の高さと谷の深さがスケールの大きな光景を展開しているのですが、毎度のことながら写真に収めきることができません。この道を初めて走ったのは46年も前のことですが、急な山肌に設けられていることもあるのか、極一部を除いて道はほとんど当時のままです。県道45号線の開通で交通量は減っているようですが、適度な交通量がいいのか路面状況は良好。災害の多い近年ですが、あまり崩落通行止めの話も耳にしたことがないことも、ちょっと不思議です。
 一宇から県道45号線へ右折。こちらから登るのは初めてでした。距離は短いのですが、勾配は急です。途中にあった蕎麦屋さんの店先では、八重桜が満開でした。
 祖谷トンネル手前で右折して旧道へ進みます。結構遠回りですが、緩やかでクルマも通らないので、のんびりと走れます。ただ、これと言った見晴らしはありません。ピークは国見山登山口のところ(写真:下中)。実は、この旧道、自転車で走るのは初めてでした。写真:下左は、さらに上にある国見山登山口への分岐部です。
 
 すーさん国見山に登った時、素晴らしい雲海が見えた・峠からすぐ西側にある民家手前からは、散り始めた枝垂れ桜を手前に、吉野川と遠方に梶ヶ森が眺められました(写真:右、奥の山が梶ヶ森)。
 峠までの旧道は登りで暑いくらいでしたが、下り始めると鬱蒼と繁る杉林の中は肌寒いくらいでした。
 事前に県道45号線に出る少し手前に谷間豊永林道に繋がる道を確認していたので、左折して進んでみました。吾橋後山農免道路との記載があります(写真:下左)。ここも初めての道でした。谷間豊永林道に交わる吾橋集落まで距離にして3qほどでしたが、途中までは登りです。そして、登りのピーク付近から見下ろす吉野川の鳥瞰は、高度感が半端ないです。写真:下右、わかりにくいですが、ガードレールの向こうは、かなり切り立っています。確認すると、落差は450mくらい。
 トップの写真、上右、下左は、ほぼ同じ位置からです。吉野川に架かるのは、大歩危橋です。左岸が国道32号線。下右の写真は、そこから少し進んだところから、南・吉野川上流へ向けての一枚。民家がこんな高所にあるのは、川筋よりも日照時間が長くて暖かいのかもしれません。
 吾橋の集落内では結構道が交錯していました。谷間豊永林道に入ってを少し進んだところで、この先9qで通行止めの表示がありました。略図(写真:下中)が書かれていましたが、現在地との関係がもうひとつすっきりしません。まあ9qも先だし、土佐岩原駅方面には下れそうだし、いざという時は引き返せばいいと先へ進みました。
 結果的には、その後同じ表示を、数キロ以上進んだ有瀬集落でも確認。現在地の表示は、そこで一致して納得です。
 写真:右は、谷間豊永林道に入って、谷を大きく回り込んだ対岸から吾橋の集落遠景。写真では高度感があまり感じられませんが、吉野川川面からだと標高差で300m以上あります。
 で、今回、一番の目的だった、谷間豊永林道沿いの集落です。これまで何回か走った道ですが、いつも高知県側から進んできたので、徳島県側から走るのは初めてでした。これまで、毎回ただぼんやりといい光景だなあと思うばかりで、そこが何処付近だったか意識したことがありませんでした。改めて確認してみると、どうも高知県側から入った近くの方が、お気に入りのポイントだったようです。写真:下左は、2016年の夏フジワラさん御一行を案内した時、下右は、すーさん林道西峰三谷線を走った時、いずれもよく似た位置で写真を撮っています。今回走ったのは、祖谷側から谷間豊永林道の半分少々までだったので、この写真の部分まで到達していません。
 写真:下右のような茶畑が斜面に広がる有瀬地区は、ちょうど徳島高知県境の徳島側です。通行止めはその先で、高知県側の岩原地区(写真:下右、奥対岸に見える民家付近)から有瀬地区を見たのが、印象に残っていたもうひとつのポイントであることを、今回初めて認識しました。写真:下左は、有瀬地区から南へ向いて。右奥に薄っすら見えるのが梶ヶ森です。写真には写っていませんが、吉野川を挟んで対岸の山肌、ほぼ同じ高さに林道下名大田口線の道筋が時に確認できます。
 高低差のある集落内を、折れながら下っていく道沿いには、ずっと茶畑が広がっていて、新芽が出始めたばかりのようでした。布施ヶ坂付近の茶畑同様、手入れが行き届いていて、木々の隅々まで活力が漲っています。
 通行止め区間をパスして一度下り、岩原地区に登り返せば遠景の山村風景が見られたのでしょうが、脚力不足で省略。そのまま土佐岩原駅(写真:下左から2枚目)へと下りました。土佐岩原駅は、2度ほど国道32号線から水分補給に立ち寄ったことがあるのですが、駅前で道は終わりだとばかり思っていました。その奥に、こんな道が続いていたとは、全く気付きませんでした。その後は国道32号線を北上し、祖谷口で右岸に渡ったところ、また通行止めの表示のため、結局最後まで国道32号線を走ってデポ地へ戻りました。写真:右から2枚目は土讃線の鉄橋を渡る特急。右端は、JR池田駅。
 ということで、今回一番の目的だった谷間豊永林道は、全線走破することができないままになってしまいました。近いうちに、また今度こそは通行止めがあっても登り返して、全線の魅力を満喫したいと思います。下の写真は、すーさん林道西峰三谷線を走った時のもの。奥の堂々とした山は国見山。ちょうど雲に重なった付近が、吾橋の集落。冷え込んだ朝には、一面の雲海となりますが、多少なりとも吉野川の谷が見える方が、高度感があります。
 

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