奥大野林道本線・支線 安居渓谷
 林道程野黒丸線を走った時に遭遇した・にこ淵の美しさに、仁淀ブルーという呼び名が誇張でないことを思い知らされました。そこで、その西にある、こちらも仁淀ブルーとして売り出している安居渓谷に向かってみようと計画しました。往復路に選択したのは、ついでと言うにはメインになりそうな奥大野林道と吉ヶ成林道。ずっと以前にこの東にある林道を走った時から、気になっていた大森川ダム湖周辺の道です。いつものすーさんが同行です。 (2019年03月28日 記)

積雪の奥大野林道支線
 この日は午後の方が天気が良くなるとの予報もあって、当初の午前5時から30分遅らせた出発時は、まさかの本降りです。すーさんと相談の上、下道で状況を見ながら向かう算段になりました。明るくなり始めると、讃岐山脈も標高400mくらいから上は雪景色。しかし、高知県に入る頃には青空も見えてきました。デポ地・いの町(旧吾北村)広瀬橋まで175q。3時間半余で到着し、9時過ぎにスタートとなりました。念のため、雨具随行。写真:下左は、出発してすぐ、横を流れる仁淀川支流・小川川です。コンデジでも、この透明度。その後が期待できそうです。
コース いの町-奥大野林道本線/支線-弘沢林道-安居渓谷-吉ヶ成林道-いの町
走行距離  65キロ   積算標高 約1900m
最高地点  奥大野林道支線  標高1100m
走行日  2019年 3月16日 天候:晴れ シクロクロス
小川川支流・高樽川 川又集落
 国道439号線を1qあまり走ったところで、県道293号線に右折。しばらくは平坦だろうとの予想に反して直ぐに登りとなりました。横を流れる小川川の支流・高樽川も水量があって透明度も高く、もうこの川の様相だけでも十分満足できるくらいです。
 川又の分岐を過ぎると、さらに勾配はきつくなってきました。クルマなんて通らない道だろうと思っていましたが、意外とクルマの通行があります。道脇に何ヶ所か表示があったのですが、大型ダンプも何台か下ってきました。道幅は、ダンプが下って来ると、自転車でも少し広めの場所で止まって待つくらいの狭さです。
 写真:上左は、林道奥大野線本線起点の標示です。舗装路が続きます。上右は、仏堂という集落の手前にあるZ字のヘアピン。
 奥大野林道の起点を過ぎても、まだまだアスファルト舗装が続きます。ただ、あまり見晴らしの利くところはありません。写真:下2枚は数少ない見通しがあったところ。左、谷筋の対面に見えるのは、堂ヶ内という集落のようです。右、振り返ると、先程通過した仏堂の集落。
 最終の集落、奥大野は標高600m少々ですが、珍しく少し緩やかな傾斜地に広がった地形に存在しています(写真:下2枚)。郷ノ峰トンネルを越えてから、あちこちで見かけた早咲きの桜ですが、ここではもう散り始めでした。住居の半分くらいは、まだ人が住んでいるように見えます。田畑を耕している人の姿も。写真:下右、左手奥に見えるのは、小式ヶ台という山(標高949m)のようです。あちらにも、山肌に小さな集落が点在しているのが見えます。
 道周囲は、写真:下2枚のような杉林が大部分。そこそこの手入れはされているように見え、比較的整然と明るく、鬱蒼とした感じはありません。写真:下左の少し先・奥大野集落上方の日当たりのいいところで、一休みです。今回は忘れずにちゃんとコピーしてきた地形図を見ると、峠まではぐるっと迂回して、まだ3qくらいありそうです。
 奥大野の集落までだろうと思われたアスファルト舗装は、集落を越えても続きました。東方面への分岐部を過ぎると、工事中の表示。11時過ぎでしたが、作業の方は昼休みなのか、みんなクルマの中で休憩中。その先でついに未舗装になったかと思ったら、また100mほどで真新しいアスファルト舗装となりました。明け方に降った雪が解けたのか、新しい路面の油に水が弾かれています(写真:下右)。
 その舗装路も、峠まで500mくらい手前で終了。これが、予想していたように、もっと手前からだったら、この日は予定ルート未完走になったに違いありません。スタート地点から僅か13qばかり。標高930mほどの奥大野越に到着したのは、11時40分過ぎでした。峠・奥大野越では、北西からの強風が吹き荒れていました。この後、稜線北側を西へ向いて走るので向い風が懸念されましたが、木々が遮ってくれるのか、意外にも風に悩まされることは少なくて住みました。
   左  未舗装となった林道
   上  峠にて
   右上 小式ヶ台方面
   右  峠の北側で、フキノトウ
 峠手前では、南側にこの日一番の展望が広がっていました。遠く山々の向こうに土佐湾が光っています(写真:下左、山々の向こうにうっすらと)。左手前の小式ヶ台(写真:上右上)の斜面には、点々と小さな集落が見えます。下右の写真、ズームアップして地形図と照らし合わせるてみると一番高いところが花ノ木(標高620mくらい)、次が後生楽(標高540mくらい)、下は堂ヶ内(標高490mくらい)でしょうか。前2つの集落は、東側の枝川川の支流沿いの長い道が主要道のようです。
 峠を越えて、稜線の北側へ出ると、予想通り一部では残雪。ただ、比較的新しい雪は、その積雪量が未舗装の小石などを覆うのにちょうど良いくらいで、裸の地道を走るより快適でした(写真:下左)。
 写真:下左は、奥大野林道本線から支線に左折したところ。本線を進むと大森川ダム湖へ下っていき、以前に走った奥南川林道や長沢林道に繋がっています。支線は、標高1000m前後付近を西へ向いて走っていきます。この後、すーさんのチェーンがフリーロー側に落ちて抜けなくなって、二人して悪戦苦闘。30分ほどかかって、なんとかリカバリー。雪のないところの路面は、写真:下右のような感じです。
 写真:下右は、途中、北東方向に向け見晴らしが広がったところ。この支線も結構登っており(実際は標高差で100m程度ですが、未舗装路は長く、きつく感じます)、先程通ってきた道が随分と下に見えます(手前の山肌を横走する道)。ただ、こんな風に展望があったところは僅かでした。
 山影となるところや吹き溜まりになりやすいところでは、写真:上2枚のような状況でした。ですが、上述のように、意外と上右のような全面積雪状態の方が走りやすいです。そんなところは、全体の5分の1もあったかなかったか程度でした。
 奥大野林道支線からは北下方に大森川ダム湖が見える、との情報を得ていましたが、なかなかダム湖がすっきりと見えるところはありません。写真:左下、葉を落とした枝の向こうにダム湖面が見えるのがわかるでしょうか。またひょっとしたら石鎚山が見えないかなと期待もしていましたが、手前の山が邪魔をしているらしく、石鎚山は見えません。代わりに、一番奥手の稜線はその形からあそこだと思われる地点。左下の写真、中央部の稜線をズームアップすると山頂付近が雲で隠れていますが、瓶ヶ森林道東黒森山〜自念子ノ頭の区間に間違いないと思います(写真:下右)。
 写真:右は、右手奥から奥大野林道支線。弘沢林道に合流し手前へ進みます。左手奥へ下っていくと、大森川ダム湖。大森川ダム湖周辺には、いくつかの未舗装路林道が交錯しています。
 道は、まだまだ登っていきます。上述のように、写真:下左のような適度な積雪は快適です。北国の人には申し訳ありませんが、雪の厳しさを知らない南国人にとっては物珍しく、この程度なら楽しめるくらいです。陽当たり良好なところでは、写真:下右のように、じゃり道が露出しています。
 やっと下り始める地点に到着です。トラブルも含めて、僅か7qばかりに約2時間。標高1090mの古い標示杭がありました(写真:下左)。そこからは、安居川に向かって弘沢林道の下りです。南斜面に入ると、北西風は遮られ陽当たりも良好です。暖かいところで、一息ついて休憩。クルマは全く通らないので、道の真ん中で座り込んでいました。その後の下り道は、フルサスのすーさんを追うのに精一杯。あっという間に離れていくので、時々先で立ち止まって待っていてくれる状況が続きました。
 写真:上は、ひとつだけあったトンネル。素掘りです。トンネルの中の路面も荒れた未舗装のままでした。
 大分下ってきましたが、安居渓谷・宮ヶ平付近と思われる集落は、まだまだ遠く下方(写真:右)です。その後、漸くアスファルト舗装となって、県道362号線の合流部に到着したのは、15時も過ぎた頃でした。
 仁淀川支流・安居川に沿った県道362号線を遡っていきます。この道も、走り始めの県道293号線同様、比較的平坦な道だろうとの予想に反して結構な登り勾配が続きます。しかし、横を流れる安居川は期待以上の色合いを見せてくれました。川がほぼ北から南へ向かって流れているので、時間的に正午前後が陽の当たりが良いのではと思っていましたが、蛇行しているので、15時過ぎでも多少陽が川面まで差し込んでいるところが何ヶ所かありました(写真:下)。
 にこ淵ほどの圧倒的なポイントはありませんが、見飽きることのない川の光景が続きます。所々に地図標示がありますが、これが宿泊施設の場所を表示しているだけのもので、見所を示した観光案内図ではありません。気になったのは、行先に石鎚山との表示があったことと、狭い道なので混雑時は一方通行になるのか、先(奥)に向かって「帰路→」の標示があったことです。この先は何処にも抜けられないという認識だったのですが、道が繋がっているのでしょうか?
 ひとつだけあった観光案内図で確認して、とりあえず水晶淵まで行って行ってみようということにしました(その先にも見所があるらしいことは知っていましたが)。辿り着いた水晶淵(写真:下)。折角なので歩いて近くまで行ってみましたが、にこ淵に軍配ありとはすーさんと一致した感想です。というか、その後下りながらも水晶淵に匹敵する以上くらいに見映えのする淵が沢山ありました。こりゃ、再訪して、ゆっくり見て回る必要がありそうです。
 時間が押し詰まってきましたが、予定通り、安居簡易郵便局のところを左折して吉ヶ成林道で川又へ向かうことにしました。この吉ヶ成林道の情報が事前に全く掴めなかったので、多少の不安がありました。うろ覚えのルートラボで引いた高低差は、奥大野林道の半分以下くらいだった記憶です。林道の名がつくので、未舗装かもしれません。ただ、なんとなく舗装路であることが予感されました。道は、比較的緩やかな勾配で始まりました。横を流れる安居川の支流も、小さいのに水量は十分。東から西へ流れているので、16時も過ぎた時間でも、陽が十分に差し込んでいます(写真:下2枚)。いい流れだなあ。
 しかし、時折立ち止まって地形図を確認しますが、登りはまだまだ続き、しかも次第に勾配がきつくなってきました(疲れのせいもあるのでしょうが)。いつの間にか川の姿は消えてしまい、峠の手前2qくらいは結構きつい。すーさんはとうとう押しの一手となりました。峠手前では、西側の展望が広がっていました(写真:下右)。
 特別な見晴らしもない峠に到着したのは、17時過ぎでした。下中の写真、峠で写真を撮ろうとしていると、自転車の後輪のところに、ひょっこりとキジが現れましたが、写真に撮る前に逃げてしまいました。
 左  まだまだ続く坂道
 左下 吉ヶ成線の表示
 下  峠直前 
 峠を越えて少し下ったところ、前方の高樽集落のまだ高所に道が見えて、まだ登るのかよと愕然としましたが、これは別の行き止まりの道でした。その後は、陽が陰り始めた高樽川に沿って快調に下ります。もう薄暗くなりつつあった谷沿いでしたが、この高樽川、登り道沿いの安居川支流より水量が遥かに多く、また淵も多数。チラッと覗き込んだだけですが、これは逆走してゆっくり眺める価値がありそうです。結局、吉ヶ成林道は、全線舗装でした。川又からは往路と同じ道を逆走して、なんとか明るいうちにデポ地に戻ることができました。

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