下北紀行 2013

 2009年以来 、旧友・North mountain氏(以下、Nm氏)と再会することと、氏のブログで知った下北270kmロングライドというイベントに参加することを目的として、青森・下北地方を4年ぶりに再訪してきました。時は、9月半ばの三連休。中日の日曜日がイベント当日。三連休だけでもなんとか参加可能だったのですが、せっかくだからと前後に未消化の夏休みをとって、ゆっくりと青森を楽しむことにしました。ロングライド好きのYos氏(福岡在住・某グランフォンドで出会)に話を持ちかけたところ、二つ返事で賛同をいただき、現地集合で前後を含めての旅を一緒に楽しめることとなりました。
 愛車は、輪行・ツーリングの定番・20年もの LOOK KG 96 です。       (2013年10月20日 記)

   Prologue & 1st stage

コース    徳島=羽田=青森(航空機輪行) 青森空港−八甲田−七戸−三沢市                     
走行距離    80キロ              積算標高差   1200m
最高地点    八甲田山中(標高720m)   2013年9月13日    ロード  天候:曇り、時々小雨     
Ptologue
 下北に向うと決めたものの、前回同様・一番の問題は、下北・むつ市までの交通手段と走行ルートでした。Yos氏との相談の上、イベント後は私の希望を考慮していただいて、十和田周辺を走って青森空港から羽田経由で徳島に戻ることになっていました。
 で、イベントまでどうするか? 4年前に楽しんだ寝台特急・日本海は既に廃止。時間的にも金銭的にも青森よりも近い千歳空港に飛んで函館まで走ってくることも考えましたが、ちょっと距離が長く時間的に間に合いそうにありません。結局、いろいろ考えた末、前々日に復路と逆の徳島=羽田=青森と飛んで、青森空港から八甲田経由で三沢へ。三沢で一泊して、イベント前日にむつ市まで自走の予定としました。

走ったコース
     
                                   八甲田山から青森市街・津軽半島方面、一番奥は北海道 2013.09.18
 午前7時過ぎの便で徳島空港を発つと、羽田空港で2時間近くの乗り換え待ち時間を含めても、正午前には青森空港に到着しました。やはり空の旅は速い。青森空港は予想していたより随分小さかったです。空港ターミナルを出たところで自転車を組み立て、意気揚々と出発。ところが、空港を出た途端、なんといきなり小雨。出発直前には南の海上に台風も発生して天候が懸念されましたが、この初日だけは大丈夫と予想していたのですが・・・。10mも走らずに、すぐに空港へ引き返しました。再び輪行で三沢へ向かうことも頭を掠めたのですが、まあ大降りにはならないだろうと、合羽を羽織って再出発。
 空港は青森郊外の丘陵地帯にあり、走り始めて暫くは緩やかな下りでしたが、路面もウェットだったのでゆっくりと走りました。途中、青森新幹線を横切りました。晴れていれば、列車が通過するまで暫く待っていたかったのですが、小雨が続いていたので先へと進みました。

八甲田への登り途中から青森方面

広葉樹林が繁る国道103号線

 それをあざ笑うかのように、県道44号線に右折してちょっと走ったところで、エメラルドグリーンの車体が青森新幹線路を突っ切って走り去りました。コンビニで補給の後、国道103号線へと右折し八甲田方面への登りになりました。この道、35年ほど前に走っているのですが、途中までは新道バイパスとなっていました。旧道に入っても、当時の記憶は全く残っていません。路面は濡れていたものの、幸いこの辺りから雨は上がりました。八甲田山方面も少し青空が垣間見えてきました。

萱野高原手前から八甲田山

萱野高原にて

 八甲田山への登りは、交通量も少なく勾配もそれほど急ではなく、道の両側には広葉樹林が広がっていて、サイクリングにはとても魅力的な道でした。萱野高原手前では八甲田山全景が見えるポイントがあり、そこから少し下ったところは、明るく整備された草原が広がっていました。ここも35年前の記憶には全くない光景でした。
 萱野高原から少し走ったところで、県道40号線へと左折。交通量はさらに少なくなりました。雪中行軍像のあるところで、今度は右折。この辺りから再び霧雨となり、標高も上がっていたので肌寒く、おそらく晴天なら草原の眺めが広がっていたと思われる田代平付近も、写真と撮ることはもちろん、立ち止まることもなく通り過ぎました。小さな峠を越えると、七戸まで下り。小雨が続き路面は濡れているので、ゆっくりと慎重に下りました。

萱野高原から八甲田山

七戸郊外にて

 七戸まで下ると、漸く雨は上がってきました。七戸の町中は、道が入り組んでいて、わかりにくかったです。七戸からは小川原湖方面へ向かうことも考えていましたが、結局まっすぐ三沢へと向かう県道22号線を選択しました。ところがこの県道22号線、平坦だとばかり思っていたのに結構小さなアップダウンが続きました。さらに辿り着いた三沢の街も、海岸と湖の間なので平地だとばかり思っていたのに、坂の多い街でした。
 三沢での宿泊は、侘しそうな飲み屋街にあった地元資本と思われる小さなビジネスホテル。しかし、フロントの方の対応はとてもよく、5000円でバイキング形式の朝食も付いていて、部屋も広くて上等でした。「自転車は何処へ」と尋ねたところ「先ほど少し年配の方(後述)が同じように自転車に乗ってきて、袋に入れて部屋に持って行きました」とのことでしたので、当方も同様に。
 寂れた飲み屋街には夕食に適当な店を見つけることができなかったので、途中で確認していたスーパーまで戻って夕食の買出し。お惣菜とお決まりのビールで一日目、なんとか無事終了。

   2nd stage

コース    三沢市−六ヶ所村−むつ市   
走行距離    100キロ            積算標高差 600m
最高地点    横流峠 (標高 100m)  2013年9月14日   ロード  天候:晴れ        
 一夜明けて。一番の好天が期待された昨日で小雨。この日はどうなることかと懸念されたのですが、ホテルの東向きの窓には朝日が燦燦と照りつけていました。結局、むつ市に着くまで、ほぼ快晴。しかも気温は31℃まで上昇して、9月半ばの下北とは思えない暑さの一日でした。

走ったコース
     
                               八甲田山から下北半島方面(最奥、右手にうっすらと釜臥山 2013.09.18)

 上述のように、しっかりと朝食を摂って、午前8時前にホテルを出発。随時、Nm氏とメールで連絡を取りながら、下北半島・太平洋側を北上しました。まずは三沢空港を掠めて県道170号線を走りました。前日の三沢市内でも生家とやらを見かけた寺山修二(超有名人ですが、当方ほとんど知識なし)関係の標識多数。三沢航空科学館もまだ開館しておらず素通り。しばらく進んだところで、何人かが釣をしていたのは、小川原湖ではなく墓地公園脇の池だったようです。

三沢墓地公園の池

小川原湖畔にて

 道の駅・みさわでは、なぜか「八重の桜」の幟が多数旗めいていました。歴史に疎くテレビもほとんど見ないので、なぜ下北の地に八重の桜?福島の話ではないの?と訝りましたが、その後Nm氏の話などで理由が判明しました。
 そこから少し走ったところで、小川原湖沿いへの道へと向かいました。湖畔を少し走って、再び国道338号線に復帰して北上です。この付近は、ほぼ平坦でした。周囲には遠目に草原と見えるところが続いたので、写真に撮ろうと近寄ったところ、なんと水田でした。収穫までにまだ少し間があったのか、それとも品質の違いか、草地かと見間違うほど、穂先の重量感が四国とは異なっていました。

草原かと見間違った水田

直線道路もあり

 予定では国道338号線を海岸線沿いに北上でしたが、ふと気がつくと、いつの間にやら鷹架沼を横断するバイパス(通常バイパスはショートカットコースなのに、ここはなぜか遠回り)に間違って進んでいました。まあ、いいか。おかげで写真:上のような、北海道を思わせる直線道路もあったし、原発だけではありませんよ、とあまりに露骨にアピールする風力発電風車(写真:下)も見ながら、再び太平洋側の国道338号線に戻って北上しました。

鷹架沼の風力発電

泊付近にて

 しかし、この道、意外と太平洋そのものを望めるポイントがありません。泊集落付近では、国道を避けて街中を走る旧道へと進路をとりました。ちょうど婚礼があったようで、式服の方多数参列。それにしても、海岸にへばりついたような街は津波があったら大変だろうなと思いましたが、先の震災ではあまり被害が無かったようで幸い。
 それにしても暑い。途中で見た電光掲示の気温は31℃。予想通りコンビニはほとんどなく、時折目に入った自販機も、なぜか空き缶回収箱がほとんど併設されておらず、自転車乗りとしては利用しにくい状況でした。

白糠付近にて

むつ市郊外にて

 物見崎でもトンネルを避けて旧道を回りました。白糠の外れでコンビニを見つけた時は、ちょうどお昼。補給休憩です。その後は時間的に余裕があったので、東通方面にさらに北上するコースにも少しばかり誘惑されましたが、如何せん、暑過ぎました。翌日のイベント完走を考えると無理は禁物と、翌日のルート・国道338号線を辿ってむつ市内入り。田名部川を渡ったところで、Nm氏に市内入りしたと連絡。無事合流後、Nm氏の自宅へ。よもやま話をしながら、前日の雨で汚れたままの自転車を整備させていただきました。列車で到着予定のYos氏の到着を待って、ホテルへ。ホテルには、明日のイベントに参加するらしい輪行の自転車が数台見られました。
 夕方、翌日の受付を済ませて、Nm氏Nm氏奥様Yos氏と4人で、プチ前夜祭。翌日を考慮して軽く1杯(私だけ、2杯、3杯だったっけ)。午前4時前起床の予定で、早々に就寝。2日目終了。
 ところで、この受付時に、前日の宿で一緒だった自転車乗りが、かの有名自転車店の会長さんであることが判明。なんと齢78歳。私と同じコースを辿ってむつ市入りで、翌日は270kmに参加とのこと・・・。


   3rd stage 下北半島270kmロングライド

コース    むつ市−東通−むつ市−脇野沢−大間−大畑−尻屋崎−むつ市  
走行距離    270キロ                 積算標高差 2700m
最高地点    国道338号線の峠(標高 500m)  2013年9月15日  ロード  天候:くもり、のち雨        
 午前3時半、起床。台風接近で天候がとても気になるところでした。外はまだ暗いのですが、雨は降っていないようです。風もあまり吹いてないようです。最悪の中止は免れそうということで、準備をしてスタート地点のむつ市市役所に向かいました。

走ったコース
     
                                     今回の旅で一番楽しみにしていた、仏ヶ浦
 

 午前5時、夜明け前、ライト点灯、1分間隔で20名ずつスタートです。270kmの参加者は総勢101名、とやや少なめ。私はNm氏を同じ3番目のグループでスタートでした。Yos氏は、その2つ後の組でスタートです。人数がそれほど多くないので、賑わしい出発光景というほどではなく、各グループ、淡々とスタートしていきました。
 信号厳守なので、スタートしてまもなく前後のグループと一緒になったり離れたりしながら走りました。やや高台にある市役所からは少し下り気味であったので、みなさん結構なスピードで走って行きます。むつ市内を出ると、まずは国道279号線で南下です。陸奥湾に沿った道だったのですが、予想に反してほとんど海を見ることはありませんでした。おまけに緩やかでしたが、小さな丘状のアップダウンが続きました。夜も明けてきて、まだ交通量は多くない道を、前述の会長と同じチームジャージを着た3人組が、32km/h前後の非常に心地いい絶妙のペースで先導してくれました。これ幸いと無賃乗車。Nm氏も私の後ろに続いています。
 この大会、ベルも必需とのことで、直前に娘の使用していない通学自転車から拝借してきたのですが、路面の震動で勝手にベルが鳴ってしまい、同走のみなさんには気に障ったかもしれません。

むつ市役所前、第1組スタート

県道7号線、冷水峠への登り

 スタートから15kmほど走ったところで、県道7号線に左折、この日最初の峠(冷水峠・標高250mほど)の登りとなりました。ここで、後スタート(それも、2つ、3つ後)のメンバーが追いついてきて、追い越して行きました。それほど速いペースではなかったので、とりあえず便乗しました。距離4kmほどで標高差250m弱なので、平均6%くらい。乗鞍などのヒルクライム大会ほど速いペースではありませんが、なんとか上の写真を走りながら撮れる程度のスピードでした。集団は10数名ほど。Nm氏のブログ仲間のイチローさん(スタート前に顔合わせ挨拶)が、クルクル軽々のペダリングで前を走っていきます。私は、だんだん疲れてきて最後尾で付いて行くのがやっとの状態になってきましたが、なんとか峠を通過。
 下りに入っても、みなさんどんどん飛ばしていきます。ここでも追従するのが精一杯でした。下りきって前日も走った国道338号線に左折、北上します。微妙なアップダウンはあるものの、ほぼ平坦なこの区間を、なぜか先頭の方が48km/h、とんでもないスピードで牽いていきます。まだ250km近くあるのですが・・・。ちょっと気を抜くと離れるので、オキナワにでも出場しているかのような緊張で進みました。
 東通への分岐を過ぎて緩い登り坂(横流峠)になって、漸くペースが緩み少し落ち着きました。が、横流峠を越えて下り区間に入ると、小さなアップダウンを10数人のグループでまたまた快走。結局、2時間半くらいの予定を見込んでいた、むつ市市役所(スタート地点に一度戻る、約54km地点)まで1時間40分で到着。主催者の予想よりもかなり早かったため、補給のおにぎりが間に合わなかったそうです。3名くらいは休憩なしにそのまま先に進んだようでしたが、私はとりあえずみんなと一緒に補給休憩。

むつ市市役所で補給休憩

むつ市〜川内間、リカンベント氏先頭固定

 休憩後、三々五々再出発していく参加者を見て、私も数名の集団に便乗しました。ここから川内の補給ポイントまで、写真右上のように、リカンベント氏を先頭固定でこれまた36km/h前後の快走ペース。このリカンベント氏(参加者名簿がなかったのでお名前不明:本日名簿・記録と後述の写真が届きました)、むつ市内に入って前方に現れたのですが(一番手スタート組)、とにかく平地はやたら速い、まるでエンジンが付いているかのようでした。リカンベントが速いのか、乗り手の能力なのか、その両方なのか? 登りになるとスピードが鈍りますが、平地は先頭固定でものともせず走り続けました。川内手前では私も一度先頭に出て牽きましたが、その途端に32km/hくらいにペースダウンです。
 川内補給地点で小休憩後、同じようなペースで走っていたところ、後方からイチローさんを含む数名がまた35km/hを越えるスピードを追い抜いていきました。なんとか列車連結、10名ほどの集団で進みました。脇野沢手前で、それまでなんとか曇天でもってくれていた空から雨が落ちてきました。ほどなく本降りに。どこかで合羽を着たかったのですが、せっかくの集団なので脇野沢の補給地点まで、と走り続けました。この付近で最終スタートの特別参加・三船雅彦元プロが追い付いてきて、いいペースで先頭を牽いてくれました。後方から見ていると、やはりスムースなペダリングに安定したコーナリングでした。

脇野沢からの登り

登り途中での、補給ポイント

 予想していたより内陸にあった脇野沢の補給地点に到着した時は濡れ鼠状態でした。補給を取りながら、まずは合羽を着ました。スタートからここまで95kmほど、約3時間。10数ヶ所ある中で、何ヶ所かある大きな補給地点のひとつであったここでは「ここだけしかないよ」というボランティアのおばちゃんの呼び声に反応して、お汁をいただきました。イノブタ?だったらしい肉は、とても柔らかくておいしかったのですが、如何せん、やたら塩辛い。これが普段の味付けだとすれば、冷えた運動中はともかく、健康にはちょっとよろしくないかと、仕事柄地元民の健康を危惧してしまいます。
 お汁をいただいたりトイレに行ったりしている間に、集団で走ってきた参加者のほとんどが再出発していったようで、私の前後には誰もいなくなってしましました。少し小振りになった雨の中を、再出発。ここからの国道338号線は、今回一番の楽しみとしていた仏ヶ浦を含む海岸線の山岳コースです。今回の270kmのうち大部分は4年前と昨日に走っているので、この区間が唯一の未走区間。道はいきなり登り、しかも8%前後のややきつい坂が続きました。最も高い地点でも標高500mほどなので本格的な山岳コースというほどではないのですが、結構堪えました。先を走っているとばかり思っていたイチローさんが、またまた軽々と追い抜いていきました。

国道338号線を登る

木々の合間から見えた海岸崖

 脇野沢から大間までの間はほぼ一人旅でしたが、イチローさんと同じチームジャージを着た方とゼッケン29番の方が、この先ずっと相前後して走ることになりました。登りでは、ほとんどサイクリング状態。おまけに数ヶ所あった工事・片側通行区間では、1ケ所を除いて悉く信号待ち。雨はやや小降りになりましたが路面は濡れているので、下りもゆっくりと慎重に。山は霧に煙っていて、それなりにいい雰囲気ですが、やはりいい天気の時に走りたいものですね。仏ヶ浦も果たして見ることができるかどうか、あまり期待はできません。登り途中の補給地点(何ヶ所かありましたが、バン1台と3名ほどのスタッフで、いずれもとても良く対応していただきました)で、小休憩。
 最高地点と思われるところから一度海岸線近くまで下って、その後もアップダウンの繰り返しが続きました。この付近から道は海岸に沿って走っているはずですが、結構高所を走っており、道両脇は海側でも広葉樹林がしっかりと茂っていて、海岸線はもちろん、海さえ見ることがほとんどできませんでした。で、写真上のように海が見えた時は、引き返して撮影。天候と時期にもよるのでしょうが、交通量はほとんどなく、ツーリングには最適と思われました。紅葉の頃も美しいだろうなあ。
 ほとんど諦めていたのですが、仏ヶ浦展望台の補給地点から、念願の光景(この日の冒頭の写真)を目に焼き付けることができました。嬉しさも一入。この付近で、ちょうど全コースの半ばくらいでした。

小さな漁港 1

願掛岩付近にて

 仏ヶ浦を過ぎた後も小雨は続き、海沿いのアップダウンも続きました。時折、写真のように小さな漁港もありました。一度など道が内陸部に向かっていったので、前後に誰もいなかったこともありコースアウトしたのかと心配になったところもありました。その後も願掛岩などの見所多数。意外だったのは、翌日青森まで船で渡る予定だった出発港・佐井の街の小さかったこと。定期航路なので、そこそこの規模の街と想像していたのですが、自転車でもあっという間に通り過ぎてしまうくらいの街並みでした。まあ考えてみると、4年前にフェリーで渡った際の蟹田や脇野沢もそんなに大きな街ではありませんでした。佐井には恐山方面からの道もあり、下北内陸部にはまだまだ楽しめそうな未踏の道があるようです。
 大間手前では、それまでの小振りから雨が一段と激しくなり、ほとんど土砂降りとなりました。おまけに冷蔵庫を開けたくらい一気に気温が下がったのを体感。合羽を着ていても寒いくらいでした(後で確認すると早朝出発時よりも気温が下がっていました)。この辺りから、寒さと雨のために写真がほとんどありません。
 震えながら辿り着いた大間では、ノースリーブ&ミニスカのキャンギャル(死語?)風のお姉さんが、傘もささずに到着するひとりひとりと肩を並べて、にこやかに記念撮影してくれました(Nm氏の話では昨年も同様で後日郵送してくれるとのこと:本日届きました)。大変だねえ「風邪引かないように」と労って、建物の下で補給休憩。バナナやおにぎりを沢山いただきました。時間は正午前、残すところは後100kmばかり。制限時間にはまだ6時間もあるので、トラブルの無い限り完走は大丈夫だろうと確信しました。しかし、激しい雨は一向に止みません。仕方なく降りしきる雨の中を、声をかけ合わせたわけではありませんが、前述の3人ほどで出発。

小さな漁港 2

大畑桜ロードにて

 幸い、ここからはしばらくほぼ平坦、おまけに追い風です。3人の少し前を走っていた人を含めた4人で、前走者の水しぶきを受けながらも35km/h前後で快走。しかし、何時の間にやらグループは崩壊して、また一人旅になっていました。大畑手前の小峠・木野部峠も降りしきる雨の中の走行でした。下りも登りと同じくらいゆっくりしたスピードでした。
 大畑は、4年前に訪れた時に、その桜並木にちょっとばかり感動したところです。例年なら満開の時期だったのですが、その年は暖冬で既に葉桜となっていましたが、それでも道の両脇からとトンネルのように繁る桜並木の素晴らしさの記憶は薄れることがありませんでした。今回も同様。前回は一枚の写真もなかったので、今回は雨中にも関わらず、とりあえず3枚ほど写真を撮りました。その桜並木の手前で、雨をものともせず補給のボランティアをしていただいていたおばさま&おねえさん達(みなさん、本当にお世話になりました)。先行舎者が素通りしてので、なんとなく申し訳なく思い立ち寄りました。これまたここだけの羊羹もいただき、先へと進みました。
 大畑の街を過ぎると、県道266号線で尻屋崎方面へと向かいます。この266号線、最初こそ広域農道のような幅広い2車線の道でしたが、大雨のため随所で冠水状態でした。さらに進むと、またまた迷ったかなと思うような細い道になりました。当然前後には誰もいません。まあ、一本道なので間違いないだろうと先へ進みました。

尻屋崎灯台

打ち上げ!

 県道60号線に出ると、今回のコースで唯一の往復区間(片道15kmほど)。もう210kmを越えており、残すところ60kmばかりです。さあ、どこで先頭?の方とすれ違うだろうと走っていたところ、尻屋崎まで11kmほどの地点で初めて参加者とすれ違いました。この人が先頭?ほぼ1時間くらいの差と思われました(本日届いた記録を見るとほぼその通りでした)。その後、数人とすれ違い、イチローさんも3人ほどのグループで岬手前数km地点ですれ違いました。随分と差が開いたなあ。
 尻屋崎に到着したのは、14時半くらいの記憶です。相変わらず、雨は降り続いていました。大間崎に続く第2チェックポイントは、岬手前の広場でした。ここでも大間同様キャンギャル風のお姉さん(クルマ内で待機中)と一緒に写真撮影。コース予定では岬から太平洋側へ回るようになっていましたが、そのまま折り返しとのこと。雨のためか、寒立馬の姿も全く目にしないままでした。
 その後は、ただひたすら雨の中をゴール目指して走るだけ、30q余。4年前にも走った道は、緩やかな小さなアップダウンが続きます。雨は相変わらずで、小降りにもなりません。そんな中をゴール地点のむつ市市役所に到着したのは、スタート10時間30分を過ぎた頃。実走時間はちょうど10時間。「やったあ、完走だ」とゴールゲートを潜ったのですが、ゴール地点にはチップ回収役のお二人のみ、とちょっと寂しかったですね。まあ、本降りの雨の中だし、ゴールする人は疎らだし、途中の補給地点の接待人員などを考えると上等でした。市庁舎の雨が凌げるところで、下北名物?のせんべい汁が振舞われていました。冷えた体に暖かいお汁は有難かったのですが、脇野沢のイノブタ汁同様とても塩辛く感じました。やはり当地の味付けは塩辛いのかなあ。
 それにしても手落ちだったのは、スタート前にゴール後の相談をしておかなかったことです。雨の凌げるところでNm氏Yos氏の到着を1時間ほど待っていたのですが、濡れ鼠のままで着替えもないのでどうしようかと思っていたところにYos氏発見。ゴール後かと思っていたら、寒さと補給がうまく摂れず大畑過ぎでショートカット・DNFとのことでした。Nm氏は奥様のサポートがあるだろうから大丈夫だろう、ととりあえず震えながらホテルに戻りました。自転車の整備も後回しで風呂に直行です。暑いお湯で一息ついていたところに、Nm氏奥様から無事完走したとの連絡。
 さて、一段落して落ち着いた後は、前夜に引き続きNm氏の歓待を受け、下北の幸をたらふくいただき、前夜と異なり翌日の懸念もなく、しっかり飲んで、長い一日が終了しました。

   4th stage & Epilogue

コース   焼山−奥入瀬渓流−十和田湖一周−奥入瀬渓流−焼山  
走行距離        75キロ
最高地点     御鼻部峠 (標高 1011m)  積算標高 1200m   ロード  天候:晴れ        
 いつもならイベント後、その日のうちに撤収・帰路に向かうことがほとんどですが、今回はなかなかやって来れない青森・下北ということで、事前からYos氏と連絡を取り合い、イベント後に奥入瀬・十和田方面をもうひと走りすることにしていました。
走ったコース
     
                                         前日の雨で濁流だった奥入瀬渓流

 台風一過、風はまだ強かったものの雨の心配は全くなくなりました。午前9時前に焼山を出発。奥入瀬渓流に沿って、国道102号線をノンビリと十和田湖に向かって遡り始めました。この道は、30数年前に青森から東北縦断〜北関東〜信州横断と走った時以来でした。

国道102号線・奥入瀬沿い

濁流ですが、奥入瀬

 前日の雨で、道路はいたるところで冠水していました(前日、ホテル裏の川は濁流で増水して決壊しないかと思うくらいでした)。奥入瀬渓流の水もまだまだ濁ったままでしたが、それでもやはり奥入瀬は奥入瀬です。濁っていても清らかな流れに、随所で立ち止まっては遊歩道に降りてみることの繰り返し。なかなか先へ進めません。

奥入瀬

森林浴も楽しめる、国道102号線

 渓流はもちろんのこと、併走する国道102号線は大小様々な種類の広葉樹林に覆われています。晩夏というか初秋のこの季節、大きな木々に覆われているのに、新緑の季節のような明るさでした。平日で紅葉の季節でもなかったためか交通量も少なくて、森林浴も楽しめました。

屏風岩

雲井の滝

 渓流や広葉樹林だけでなく、道の両側には時折切り立った岩壁(屏風岩・馬門岩など)や滝(雲井の滝、白布の滝など)が見られます。これらもなかなか見応えがあったのですが、30数年前の記憶には銚子大滝しか残っていませんでした。

遊歩道の橋

奥入瀬
 
 結局、十和田湖までの11kmほどの距離に約2時間要しました。平均6km/hというスピードが物語るように、半分近くは遊歩道に降りて歩いている状況でした。奥入瀬探訪には自転車でも速すぎて、やはり歩くのが一番のようです。十和田湖一周の帰路も同じ道を下ったのですが、下るのが勿体無いくらい。濁流時でこれですから、清流、そして新緑や紅葉の頃は、どれほどの見事さでしょうか。

 奥入瀬渓流を堪能した後は、十和田湖一周です。子ノ口で早めの昼食を軽くとって、半時計方向に回りました。

湖畔の道を走る

十和田湖・御鼻部山(右手後方)

 湖畔沿いの国道102号線は、2km程走ると御鼻部山方面への登り道となりました。勾配はそこそこ。つづら折れの区間では、眼下に十和田湖が一望できるようになってきました。交通量はほとんどなく、登りにもかかわらず快適でした。
 ほどなく国道102号線・奥入瀬バイパスへの分岐に到着。ここは想像していたより随分北に向かって視界が広がり、下北半島方面もうっすらと見えるようでした。標高1000m近くになって、北にはさほど高い山がないので、何処か開けたところがあれば陸奥湾方面の展望が広がることが期待されました。しかし、残念ながら森林限界も超えないようで道周囲には落葉樹が背高く繁ったままで、見晴らしのあるポイントは最後まで見つけることができませんでした。

御鼻部山展望台から十和田湖全貌

御鼻部山展望台から中山半島、最後方は八幡平方面

 辿り着いた最高地点・御鼻部山展望台(標高1011m)でも同様でした。十和田湖方面へは一望で、遠くには八幡平方面まで見渡すことができましたが、北・青森方面への展望は全くありませんでした。それだけが、ちょっと残念でした。

岩木山が見える

湖畔へ

 御鼻部山展望台からは、湖畔まで一気に下ります。途中、唯一岩木山が見えるポイントがありました。手前に広い樹海が広がっているのは、狭い四国とは違う本州ならではの光景でしょうか。
 湖畔まで下ってきても、夏の間は賑わっていたのかもしれませんが人影さえ見られませんでした。湖畔を一周する国道454号線は相変わらず広葉樹林に覆われているのですが、大きな樹が沢山繁っているところと、比較的小振りな樹が多いところと場所によって少しずつ異なっていました。発荷峠への分岐部で休憩していたところ、なにやら沢山の木の実が落ちていました。Yos氏の話では、トチの実とのことでした。

トチの実 (発荷峠分岐部付近にて)

休屋付近の湖畔公園

 さらに進んで、十和田湖周辺では中心地と思われる休屋付近。30数年前に走った時は、もっと賑わっていたような記憶なのですが、季節の違いによるのでしょうか?それとも記憶の風化? 芝生が整備され、ちょっとヨーロッパを思わせるような公園があったのも、当時の記憶には全くない光景でした。
 休屋からはトンネルで抜けるバイパスを避けて、御倉半島を回る道に進みました。おそらく30数年前はこちらの道だけだったと思うのですが、瞰湖台を含めて全く記憶に残っていません。

瞰湖台から西・中山半島方面への眺め

瞰湖台から北への眺め、右手最奥が御鼻部山

 瞰湖台からは下り坂と、その後の湖沿いの平坦な道も追い風のおかげで、子ノ口まで快走でした。台風一過のこの日は終日風が強かったのですが、反時計回りのコース取りが良かったのか、ほとんど向かい風にはあわず、後半は強い追い風で、随分得をした気分でした。
 子ノ口からは、前述のようにさっさと下ってしまうのが勿体無いくらいの奥入瀬沿いを、未練がましく立ち止まり振り返りながら出発地点の焼山へと戻りました。


epilogue
 楽しかった下北・青森の旅も最終日。この日は、お昼過ぎの青森空港発で帰途に着く予定でした。それまでの半日をどうするか。奥入瀬を再訪することも考えましたが、Yos氏の提案で、まずは八甲田ロープウェイで八甲田山中腹へ、その後時間があれば青森三内丸山遺跡を訪れるということになりました。私はどちらも事前知識が全く無かったので、正直言って、いずれにもあまり期待はしていませんでした。ところが、行ってみると・・・。山登りにも精通しているYos氏の選択はさすがでした。

山頂駅から、下北方面

山頂駅から、岩木山

 紅葉にはまだ少し早い9月の平日でしたが、数人の観光客と一緒に乗ったロープウェイからは、高度を上げるにしたがってどんどん展望が広がっていきました。鳥瞰眺望好きの私にとっては、もうこれだけで大満足。まずは西側に岩木山が姿を現しました。続いて青森市街が北すぐ近くに。台風一過のためか、津軽半島、下北半島ともに肉眼ではしっかりと見えました。今回もついに登れず終いだった釜臥山のシルエットも確認できました(2日目冒頭の写真)。そして津軽半島の向こうには、海峡を隔てて北海道の姿が(1日目冒頭の写真)。
 山頂駅からは、田茂萢湿原を巡る小一時間ほどの散策コースを回りました。ちょうど前方にボランティアでガイドをしている方がいたので、お話を聞きながらとなりました。ただ漠然と見てもアオモリトドマツの深い針葉樹とクマザサの淡い緑が織り成す山肌には、やってきて良かったなあと思うのに十分でしたが、植物や山や気候、歴史などの話を聞くことによって、それらをより深く味わうことができました。下る途中で出会ったこれまたボランティアと思われる初老の女性から「次は是非山にも登りに来て下さいね、素晴らしいですよ」と声をかけられるまでもなく、再訪したみたいと思わずにはいられないところでした。

赤倉岳方面

毛無岱方面

 八甲田から下って少し時間的余裕があったので、三内丸山遺跡に向かいました。三内丸山遺跡に限らずおよそその手の遺跡や歴史について全く知識も興味もなかったのですが、まず訪れたさんまるミュージアムという資料展示館だけでも圧倒されました。これが無料で見られる(駐車場も含めて全て無料)のですが、1000円くらい払っても十分と思われる内容で、しっかりと見るなら、丸一日必要と思われました。
 続いて遺跡を見学したのですが、ここでもYos氏がボランティアの方を見つけてくれて、お話を聞きながらの散策となりました。帰りの時間までの制限があるので、30分ばかりでしたが、これも八甲田以上に聞くと聞かないでは雲泥の差。全く知識のなかった私にもわかりやすく、短時間でしたが要領を得た話で、とても参考になりました。
 ボランティアの方にお礼を言って別れた後は、青森空港へ。羽田空港でYos氏と再会を誓って、旅は終わりました。
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