阿讃中央広域農道  大滝山・竜王山・大川山 およびその周辺の道
 美馬地区辺りの中流域は、吉野川の中でも私の最も好きな風景です。そんな中流域の川沿いを走る道筋から、阿讃山脈の稜線近くを走る道が見えるのには随分以前から気がついていました。地図で確かめて、初めて走ったのは2001年12月26日。大滝山付近は雪が残っていましたが、初冬の大気はとても澄んでいて剣山までくっきりと見渡せたのが強烈な印象でした(トップの写真)。また吉野川中流域を高所から鳥瞰するのも初めての経験で、この道が一度で大好きになりました。もう10年前になりますが、それから機会ある度に訪れています。2011年5月8日は、以前から考えていた大滝山・竜王山・大川山の讃岐山脈三山を巡る山三昧コースを走ってきました。下記の地図はその時のものです。

阿讃中央広域農道から吉野川・剣山山系を望む
コース  穴吹-夏子-大滝山-六甲天満ヶ原林道-相栗峠-阿讃中央広域農道-真鈴峠-大川山-琴南-竜王山-相栗峠-穴吹
走行距離   135km   積算標高 3600m
最高地点   大滝山(946m)、大川山(1042m)、竜王山(1059m)、阿讃中央広域農道(800m前後) 
走行日   2011年5月8日  天候:晴れ  GIANT TCR 他  (2001年 2002年 2003年 2007年 2009年 2010年 他)
 中央広域農道は、脇町・夏子から三野町まで、おそらく20km近くの距離があると思うのですが、いつも周囲の山や峠と引っ掛けて走っていて、これまで(2011年5月現在)全線を通して走ったことはありません。写真:下左は夏子から大滝山への分岐部までになる広棚という地区にある民家で栽培されているシバザクラ。ここ数年、その時期になると地元紙などで紹介され、自転車乗りの間でも訪問されている方は多いようです。
 
広棚のシバザクラ
 
広域農道 三頭山トンネル直上・野田野井北付近
 道は、標高600〜800m前後を山肌に沿って走ります。主として稜線の南斜面を走っているので香川県側の眺望はほとんどありませんが、上述のように吉野川を眼下に見下ろし、その南に重なる剣山山系の山々の重厚さがたまりません。東には遠く眉山まで望めます。大滝山や竜王山へもここからアプローチでき、香川県側とも何本かの道があるので、いろいろなコース取りが楽しめます。

野田野井付近にて

山肌斜面の農家と畑
 また、山肌に散在する斜面を有効利用した畑と農家の佇まいが、とても落ち着いた風景を醸し出しています。新緑の季節は、落葉樹の明るく鮮やかで柔らかな緑が、さらに目を楽しませてくれます。特に三頭山トンネル上方となる野田野井地区付近は、幾分傾斜が緩やかで、畑が広がっています。

滝の奥付近から、東三好橋

広域農道西端、健康jとふれあいの森展望台付近から
 吉野川の鳥瞰が最も優れていると思うのは、上記・野田野井地区から少し西側へ進んだあたりでしょうか?しかし、それ以外でも上述のように、東は眉山から西・滝の奥付近では池田近辺までが眺望できます。もちろん信号は皆無。クルマもほとんど通らないので至極快適な道です。ただ、冬場には吉野川付近とは異なり随分冷え込み、積雪や凍結もよくあるので注意が必要です。

大滝山
 大滝山は、竜王山、大川山に次ぐ阿讃山脈第三峰です。これに加えて雲辺寺が阿讃山脈では900〜1000m級の名のある山かと思います。いずれもほぼ頂上近くまで自動車道があり、自転車(ロードでも)で登っていくことができます。
 大滝山山頂直下には大滝寺と西照神社があります。徳島側からは阿讃中央広域農道を経由して、香川側からは塩江・国道193号線方面から県道106号線経由、内場ダム方面から林道六甲天満ヶ原線(舗装路)経由、県道153線経由の3ルートがあります。徳島県側・夏子から広域農道までは比較的登り良いですが、広域農道分岐分から大滝山へは急坂になります。香川側県道106号線は急で路面もかなり荒れています。六甲天満ヶ原線は、ずっと急な勾配が続きます。多分4つのコースの中で一番きついですが、一番展望が良いと思うのは個人的感想です。県道153号線は後半が急&少々路面が荒れていますが、広葉樹林が楽しめます。地図は2010年5月2日に走ったコースです。

大滝山・西照神社から高松方面、備讃瀬戸と女木島がうっすらと見える
コース  脇町−夏子−大滝山−塩江−内場ダム−林道・六甲天満ヶ原線−大滝山−脇町 (2010年5月2日)
走行距離  約100キロ   積算標高 1800m
最高地点  大滝山(標高 946m)直下、大滝寺  
走行日  2001年12月26日 2002年12月 1日 2007年 5月12日 2009年 4月29日 2010年 5月 2日 5月30日 他
 大滝山を初めて訪れたのは、2001年12月。約10年ぶりに新調したMTBで初のツーリングに白羽の矢が立った次第でした。それ以前から、いつも吉野川中流の川沿いから見える讃岐山脈の随分高い所の道(阿讃中央広域農道というのが正式名称)が、ずっと気になっていました。その道を走ってみたかったことの、ついでに訪れたのが大滝山、と言うのが正直なところ。
 脇町から塩江街道を北上し、夏子で折り返すように左折。ここから大滝山の登り口までの阿讃中央広域農道は、案外緩やかで走りやすい道でした。しかし、大滝山への分岐部からは勾配がきつくなり、この時は標高が上がるに従って次第に雪が残るようになり、大滝寺の手前からは乗車不能で、ほとんど押し状態となりました。香川側へ抜ける切り通しからは、高松市街から瀬戸内海の島々までが見渡せました。

六甲天満ヶ原線から内場ダム湖

六甲天満ヶ原線から剣山方面
 二度目に訪れたのは、初めて(今のところ一度のみ)参加した綾山湖ロードレースの当日。レース後、MTBで向かいました。これまた12月。その時は田万湖から南下して、林道城原炭谷線などを経由して内場ダム湖畔へ。そこから相栗峠へ向かって走り、東山橋で左折、県道153号線を進みました。
 ここから静かな道となります。県民いこいの森キャンプ場までは緩やかで走り易いのですが、そこからは一気に勾配がきつくなります。しかし周りの樹木は徳島側より広葉樹が多く、新緑や紅葉が楽しめます。12月、しかも雨がなんとか降らずにすんだという状況の日だったので、周囲の木はもちろん、峠付近では見渡せるはずの瀬戸内海も、すべて霧の中でした。

大滝寺から吉野川・高越山方面

県道153号線、新緑
 そんなわけで、三度目は新緑を楽しもうと5月に訪れました。コースは再度県道153号線を登って、夏子方面に下りました。
 県道153号線沿いの新緑は予想通り、期待を裏切らない瑞々しさと柔らかさ。程よい明るさの樹林が続き、登り勾配の苦しさを少しばかり和らげてくれました。途中、何度か立ち止まって写真を撮ったのですが、なかなかこの雰囲気をお伝えできるものなし。
 ウインデーさんのブログで、林道六甲天満ヶ原線と言う道があるのを知って走ったのが、2009年 4月。お馴染みK氏と竜王山を登った後、相栗峠を下って再び登ったのですが、これがまた強烈。内場ダムから別れて登り始めた途端、10%を越えるような坂がこれでもかと続きます。内場ダムはあっという間に眼下に。しかし、意外とダム湖が見えるポイントはありません。またこの日はかなり霞んでいて、高松方面はボンヤリとしか見えませんでした。澄んだ日には、備讃瀬戸を越えて山陽路まで見えることは間違いありません。この道は、大滝山に向って尾根筋で県道106号線と合流し、さらに少し大滝山に近づいたところで県道153号線が右手から合流します。

大滝山・西照神社にて

大滝山・西照神社の石楠花
 そして2010年5月2日、いつの間にやら9年ぶりの徳島側からの登り。夏子からの道を、ゆっくりと登りました。記憶に間違いはなく、大滝山まへの分岐部までは、さほどの急勾配もなく気持ちよく走れました。途中、シバザクラが満開(写真:広域農道)。2年くらい前からみなさんのブログでお目にかかっていたポイントはここでしょうか?
 大滝山への分岐部からは、10%前後の坂が続きます。この時も少し霞んでいましたが、それまで訪れた中では最も条件が良く、途中東側には眉山まで確認することができました。穴吹方面には、吉野川と背後の高越山や剣山山系もうっすらと見えました。大滝山からは県道106号線を下りましたが、これが記憶と異なって随分荒れていました。前回はMTBだったので、あまりストレスが無かったのかもしれません。
 県道106号線で塩江方面に出た後は、内場ダム湖畔から六甲天満ヶ原線を登って再び大滝山へ。前回同様、いやそれ以上にきつかったです。しかし、上述のようにこれまで訪れたうちでは最も大気が澄んでおり、高松市街はもちろん、備讃瀬戸の島々もうっすらと見ることができました。途中、前回にはなかった木々が打ち払われたところがあり、阿讃山脈の向こうに剣山山系も見えたのですが、写真ではちょっとわかりにくいようです。

相栗峠
 
滝の奥から、三加茂方面
 さらに、2010年5月30日、2日におさらいできなかった県道153号線を走ってきました。2002年はMTBでゆっくりと、2007年は良く走れていたのでさほど苦痛ではなかった記憶でしたが、不調の今回はキャンプ場までも四苦八苦でした。路面も記憶よりずっと荒れていました。ただ新緑の美しさは変わらず、途中の山肌にある民家・茶畑も風情がありました。また今まで訪れたうちでは最も条件が良くて、大滝寺直下から北には備讃瀬戸の島々、北東には小豆島、南は高越山から剣山方面まで比較的よく見ることができました。

竜王山
 竜王山は大川山と並んで、阿讃山脈で数少ない標高1000mを越える山です。いずれもほぼ山頂まで自転車で登れます。2002年1月に登った時は、標高900mを越えると道路は雪と氷の世界となってしまい、凍結で走れませんでした。2003年も、下界では新緑の季節でしたが、新芽のほころび具合が標高が高くなるにつれて遅れてくるのがよくわかり、たかだか標高1000mといえどもやはり山であることを再認させられました。
コース  貞光−大川山−大川真鈴林道−阿讃中央広域農道−竜王山−貞光
走行距離  約30キロ
最高地点  竜王山 (標高 1060m) 
走行日  2002年1月5日 2003年4月29日 2007年11月11日 2009年 4月29日 2011年5月8日 他
 竜王山に至るコースは、徳島側からだと、貞光から国道438号線を北上、三頭山トンネルを目指し、その直前で左斜めにコースを取ります。その後は、阿讃中央広域農道を少し西へ走って右折。竜王山・青少年野外活動センター(現在廃止)の標示に沿って進みます。三頭山トンネル手前までも10%の標示が何度かある、結構きつい坂が続きます。

野田野井付近、向こうに見える山の手前が吉野川
 
野田野井付近から、竜王山
 左折して、しばらく広域農道は比較的勾配の緩やかな道が続きますが、広域農道から北へ竜王山への道に入るとまた10%近い坂が続きます。広域農道周辺には、段々畑を持つ農家が点在します。畑にはまだ緑がありませんでしたが、もう一ヶ月もすれば、一段と美しい農村風景となるでしょう。
 標高600m付近は、藤や桐の花がちょうど見頃でした。また、所々に欅の大木があり、街中で見かける欅並木もどっしりとしていいのですが、こうした山中の農家の庭先にある欅も周りと調和して、とても落ち着いた雰囲気を醸し出していました。また、落葉広葉樹による雑木林の柔らかい新緑が陽光に映えて、登りの疲れをわずかばかり癒してくれました(2003年4月29日)。

野田野井付近、葉タバコ

四国ハンググライディングサイト付近にて
 標高を稼ぐと眼下に吉野川と貞光周辺の町並、さらに目を遠方に転じると、剣山山系の山々が一望できます。こちらはやはり、少し雪を抱いた冬が魅力的です。山頂からの眺めは、もっといいかと思うのですが、訪れた時はいずれもちょっとモヤがかかったような状態で、瀬戸内一望が出来ませんでした。もし、雨上がりの澄んだ大気であったとしても、山頂の真北に、頂上付近まで植林された山が目前にあるので、あまり趣がありません(個人的な好みかもしれませんが)。

香川側からの登り途中から川奥集落

竜王峠
 一方、香川側からだと三頭山トンネル直前を左折。県道154・久保谷塩江線をしばらく走り川奥集会所手前の三叉路を右折すると、後は登りの一本道です。2002年に一度、香川県琴南町側から登っています。ほぼ9年ぶりに2011年に走ってきました。前回は川奥集会所から右折した後も分岐部があって少し迷ったような記憶でしたが、今回走ってみるとそのようなところは全くなし。対岸の川奥集落や、道に沿った数件の民家もまだまだ現役で、畑は5月だというのにキャベツの苗が植えられていました。
 徳島県側の道とは、標高900m付近で合流します。その少し手前に竜王峠という峠がありますが、道の最高地点と言うだけで、特に見晴らしが良いわけでもありません。

大川山
 大川山を初めて訪れたのは、2002年1月。MTBで登ったのですが、とにかく勾配がきつい。コンクリート舗装も結構荒れていて、おまけに山頂手前からは積雪・凍結で、山頂には登れないまま、途中まで押して香川側へ下った思い出が残っています。2007年11月11日には、みんなで走りました。この時、5-ちゃん(当時65歳くらい)だけがロードバイク・38X25で登りきったのも強烈な印象でした。2011年5月に、初めてロードで登りましたが、予想通り難渋。後半は時速5kmを下回って徒歩以下だったところも。

コンクリート舗装の県道108号線

県道108号線沿いの孟宗竹
 徳島側は、三野町から県道108号線を北上します。民家がなくなる辺りから、道幅は狭く、コンクリート舗装となり、勾配は一気にきつくなります。しかも登るにしたがって勾配は増す一方。稜線に出る手前には、ところどころで20%。15%程度はざらで、時速は7〜8km程度。ただ、5月の季節は新緑が美しいのがせめてもの気休め。眺望は稜線に辿り着いたところで、南側に烏帽子山や国見山などが見えるポイントがある意外ほとんどありません。もっと下だと思っていた、孟宗竹林も稜線の少し手前に2ヶ所。

標高950m付近、稜線近く

大川神社裏手から香川・琴平善通寺方面、左は大麻山
香川側からは下ったことしかありませんが、こちらはきれいなアスファルト舗装です。ただこちらも眺望は全くなし。落葉樹も徳島側のほうが多いような印象です。下るのはもちろん登るのも香川側のほうが楽と思われますが、徳島側に降りるのは登り以上に疲れると思うので、周回にするなら徳島側から登って香川側に下るのがベターかと思います。ちなみに、MTBで登った時も、ロードでも8kmほどの登りに1時間半かかりました。

大川山山頂近くの稜線から、南へ 最奥は国見山

大川真鈴林道から県道108号線の集落
 2007年は、山頂から真鈴峠へと抜ける林道を地図で確認していたので、こちらへ抜けました。ただ、大川山直下で少し道に迷ってウロウロ。真鈴峠までの道は稜線を走る大川真鈴林道でほぼダートですが、程よい締まり具合。途中からは、東に竜王山に繋がる阿讃山脈、南には、剣山山系、西側眼下には、登ってきた県道108号線沿いの集落をみることができました。

大川真鈴林道から剣山方面
 
山頂にある大川神社
 大滝山や竜王山同様、見晴らしは空気の澄んだ冬がベストを思いますが、南国四国といえども標高1000m付近は結構な頻度で積雪と凍結があるので、冬場は要注意です。
 余談ですが、山頂にある神社には、とても人馴れしたヤマガラがいるそうだ、という話を鳥好きの方のブログで知りました。手乗りになるくらいだそう(実際その写真も載っていました)。2011年に、初めてそれらしい2羽のヤマガラと遭遇。パンくずをベンチ脇に置いていたら、サッとついばんでいきました。また、自転車のスポークにもちょこっと止まったり。残念ながらタイミングが合わず写真なし。 

真鈴峠
 大川山へ向う県道108号線を明神橋で右手へと進むと、真鈴峠へと向う道です。ただ今回(2011年5月)走ってみると、新しく完成された道がさらに右手の山を回るように続いており、表示は滝の奥となっていました。真鈴峠は、そちらではなく狭い道・左手に進みます。この道を走った回数も5回未満と思いますが、コンクリート舗装で勾配もかなりきついところがあります。交通量がほとんど無いのですが、そのためか夏は苔むして滑りやすく、冬場は枯葉で滑りやすく、小石も沢山浮いています。

真鈴峠にて

大川真鈴林道から竜王山方面
 大川山もそうですが、この真鈴峠も香川側ではアスファルト舗装で、徳島側より数段快適です。ほぼ峠近くには上述のように、北へはダートで大川山山頂直下へ、南へはコンクリート舗装で滝の奥方面に繋がる道が交差しています。

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