ラピュタの道へ  (エタップ・ド・九州)

コース  道の駅・くす−九重夢大吊橋−長者原、長者原−牧ノ戸峠−城山展望台−ミルクロード−阿蘇・草千里−南阿蘇・白水温泉
走行距離   30キロ + 95キロ
最高地点   牧ノ戸峠(標高1355m)  積算標高差 約 800m + 1600m
走行日・天候   2012年 10月27日・28日  曇り・小雨、のち晴れ  ロード
 2012・Etape du tour からの帰国時に、東京にお住まいのOgwさんが福岡在住のYosさんに、九州合宿を企画してくださいと要望されました。それを受けて今回Yosさん&同じく福岡在住のFkngさんがエタップ・ド・九州を企画していただけ、開催の運びとなりました。私は当初参加予定でなかったのですが、仕事も落ち着いており段取りがついた&Yosさんから送られてきたメールには当方のいつものツーリング(ただ走る&コンビニ食)とは随分と異なる魅力だらけだったので、急遽参加表明させていただきました。
 九州は1976年と1980年に合計で4週間近く自転車で走っているのですが、その後30年以上も自転車では無沙汰。当時も広大な風景がとても気に入った阿蘇を走ること、そしてラピュタの道を訪れることをとても楽しみにしていました。もちろん、実走以外にも魅力満載。唯一の懸念材料は天候。ちょうどその週末に前線通過で天候が荒れそうな・・・。  (2012年11月15日 記)
走ったコース
     
                                         誰が名付けたか、ラピュタの道
 金曜日、無事に仕事終了後、午後19時20分の飛行機(36人乗り・プロペラ機の小ささにビックリ)で福岡までひとっ飛びです。21時過ぎ、既に集合されていたOgwさんHwtさんOtkさんYosさんFkngさんらと合流。中洲の屋台でラーメン(如何にも博多という夜景でしたが、カメラを忘れてしまい写真なし)。
 翌朝、午前7時過ぎに宿泊先のホテル前にYosさんが迎えに来てくれました。その後OtkさんOgwさんが宿泊するホテルで全員合流。2台のクルマに便乗して本日の出発地点、玖珠へと向いました。福岡ではパラッと小雨粒が落ちてきましたが、クルマで南下するにつれて進んで行く先の東方向は明るくなって路面も乾いていました。
 道の駅、童話の里・くすで自転車を組み立て、輪行で到着した地元・BBさんと豊後森駅で合流。いよいよエタップ・ド・九州の始まりです。


スタート地点・豊後森駅にて


色づき始めた県道40号線を走る

 地元の方ならではの案内で国道をはずしてクルマの少ない県道を選んで走りながら、九重町・野上というところから県道40号線へと進みました。ここからは山中の道と聞いていたので、徳島県内なら神山辺りの道を想像していたのですが、意外に交通量が多かったです。それもそのはず、この道は九重夢大吊橋へと続く観光道でした。紅葉には1週間少々早かったのですが、見頃だと遥かに交通量が多いとのことでした。


県道40号線、登ってます


紅葉は、もう1週間ほど後が最盛期?

 その県道40号線は最初こそ九州一の筑後川支流・玖珠川に沿っての緩やかな道でしたが、途中のつづら折れ手前くらいからは、ぐっと勾配がきつくなってきました。道も1.5車線となって、比較的クルマが多く走るため、コーナーでインを走るとかなりの急勾配でした。


九重夢大吊橋、遠景


九重夢大吊橋、近景

 九重夢大吊橋は何処かでチラッと目にしたことがあり、一度は訪れてみたいなあ、と思っていました。ところが、九州在住の方々の話では全くの観光用に設置されたものであって、現地に住む人にとってはほとんど利用価値無しとの話を聞きました。生活のために架けられたとばかり思っていたのですが。
 しかし、到着してみると、一見の価値ありでした。標高777m地点、谷底からは170mあまりあるそうです。現地に到着する少し手前には、橋全容をやや下方から遠望できるところがありました(写真:上左)。到着した橋袂には、広大な駐車場があり、大型バスも何台も停まっていました。
 人の多い観光地は苦手なのですが、仲間もいるし、話のネタにと入場(500円)しました。


夢大吊橋から震動の滝 1


夢大吊橋から震動の滝 2

 高いところからの鳥瞰は大好きなのですが、最近やや苦手意識があるので、狭い吊橋は大丈夫だろうかとちょっと不安もありました。しかし、杞憂に過ぎず。橋自体もなかなか壮観なのですが、それ以上に、写真:上のような、橋上からの大きなふたつの滝(比較するものがないので、大きさが十分伝わらないかと思いますが)と、下手・玖珠川となる九酔渓という渓谷の眺めが素晴らしかったです。事前勉強不足で、この時までそんな滝の存在さえ全く知りませんでした。いずれも、この吊橋があってこそ満喫できる眺めです。まさにこの滝と渓谷を見るための観光用吊橋でしたが、その価値はあると思いました。
 そうそう、橋上を歩いていると結構揺れるのです。下手すると船酔い・酒酔いならぬ橋酔い?しそうなくらいでした。


小雨の長者原


別荘に到着

 ゆっくりと吊橋周辺を観光した後、やまなみハイウェイ向けて再出発。ちょうどその頃から、ポツポツと小雨が落ちてきました。合羽を羽織って再出発したのですが、やまなみハイウェイに入った辺りからはそこそこ降り始め、路面にも水溜りが出来て、跳ね返りも強くなってきました。まだ正午前でしたが、長者原に到着したところで、明日の天候回復に期待ということで撤収となりました(当初は、ここから湯布院まで自走予定だったそうです)。


別荘・玄関


別荘・お風呂、温泉かけ流しです

 クルマで湯布院まで移動。本日の宿泊予定地・Yosさんの別荘に到着です。別荘と聞いて興味津々だったのですが、広い敷地内にいくつかの建物がランダムに建っているという不思議なシチュエーション。この別荘、大家さんは隣の棟に住む100歳の現役宮大工さんとのこと。未だ健在で、Yosさん曰く、訪れる度に新しい家が建っているとか。湯布院のガウディ? 写真:上の門も、玄関付近の造形物も全て制作されたそうです。
 到着後、まずは小雨に濡れた体を、かけ流しの温泉でしっかりと暖まりました。


湯布院宿御三家のひとつ、「玉の湯」外塀


湯布院宿御三家のひとつ、「亀の井」玄関付近

 その後はとりあえず、時折小雨の湯布院の街を歩いて散策。それにしても観光客(国内だけでなく韓国など外国の方も多かったようです)の半端じゃない多さには驚きました。近くのお蕎麦屋さんで軽く昼食。
 観光客の多さにはちょっと閉口しましたが、街自体は雑然としたところもあるものの、モミジ類など明らかに植えられたもの以外にも自然風の落葉樹が街のそこかしこにあって、色づき始めた木々がしっとりと雨に濡れ鮮やかさを増していました。ここは早朝に散策するのがベストと思われました。


別荘・食堂にて、昼間から宴会始まる


肉屋・さめじま、宴会本番

 別荘に帰ってくると、まだ15時くらいでしたが、Otkさんがはるばる藤沢から担いできた日本酒とワインで酒盛り開始です。
 夕方には、Yosさんお勧めの肉屋さん&焼肉屋さん・さめじまに移動。とても美味しい牛肉をはじめとして、地鶏と馬刺しをたっぷりいただきました。上述のように、いつもコンビニ食でお腹を満たしている私にとっては、貴重な体験でした。
 その後、別荘に帰っても有志で、夜遅くまで楽しく宴会続行。


長者原にて、草原を歩く人


長者原にて、紅葉が始まった山肌

 翌朝、期待通りに雨は上がりました。午前7時にクルマに乗り込んで、昨日の終点・長者原へと移動です。長者原付近は、あまり恵まれた天候をはいえない状況でしたが、周囲の山・草原は雄大。早くからハイキングの方の姿も多数見られました。
 自転車では、午前8時過ぎに出発となりましたが、標高1000mを越える長者原では、再び雲が近くなって時折小雨。まあ濡れる、というほどでもないので、みんな気にせずスタートしました。


長者原から牧ノ戸峠への登り


次第に霧の中へ

 まずは、牧ノ戸峠まで標高差で300mほどの登り。登るにしたがって次第に霧が深くなりました(雲の中?)。この道は1976年に逆走しているのですが、記憶には当然ほとんど残っていません。アルバムにある牧ノ戸峠の表示(写真:下左)だけは記憶に残っており、今も全く同じでした。
 峠では、じっとしていると冷えるので早々に下り始めました。視界が20mもなかったくらいで、路面も濡れていたので慎重に。


35年前と変わらぬ、牧ノ戸峠の標示


やまなみハイウェイを走る

 やまなみハイウェイは、晴れていたら最高だったでしょう。秋なので、周囲の草原は既に薄茶色にくすんでいましたが、それでも時折見える広々とした景観は、日本では他に見ることが出来ないものです。ついつい立ち止まって写真を撮る、とみんなからすぐに離れてしまうので、大急ぎで追いかけるの繰り返しでした。


水の口峠への道


水の口峠への道

 Fkngさんが、ここが一番の見晴らしとのお勧めであった城山展望台にも寄り道したのですが、城山ならぬ真っ白。あそこに阿蘇山の連なりが見えるはずなんだけど・・・。こればかりは天候、思うようにはなりません。今年のエタップ・Act2、Aubisque・Tourmalet・Aspin・Peyresourdsと峠毎に霧の中を走ったメンバーは、全くへこたれることなし。まあ、このメンバーだから仕方ないかと、先へと進みました。


大観峰も霧の中


ラピュタへ

 時間と共に、天候も回復するかと思っていましたが、やまなみハイウェイからミルクロードに進んでも、時折薄日が差してくるものの、すっきりとしない天候が続きました。大観峰でも、到着した時こそ見えていた展望台が、その後すぐに霧の中に消えてしまう始末。また小雨も降ってきました。ちょっと小休憩の後、先へと進みました。
  再びミルクロードに戻って、今度は、私のリクエストであった通称・ラピュタの道を目指しました。この道、ほんの少し前までは、ほとんど知られることがない道だったそうですが、オートバイ乗りか誰かがHPかブログでアップして、一躍有名になったそうです。私はsadaさんのブログで初めて目にしたような記憶です。過去2回阿蘇周辺も多少走っていたつもりでしたが、全く記憶にない風景でした。名もない農道程度の道らしく、特に下からの入り口は非常に分かりにくいとのことでした。残念ながら、先の台風で崩落があり、一応全面通行止めでした。


ラピュタの道 1


ラピュタの道 2

 ミルクロードとの分岐部も、知らないと見過ごしてしまいそうなところでした。分岐部に通行止めの表示・柵がありましたが、少し進んでみました。HPなどで目にしていた写真・トップの景観は、ミルクロード分岐部から少し下ったところから見ることができました。
 それはもう、思わず、おおっと唸るほどの迫力でした。瓶ヶ森林道で自念子ノ頭直下の道を初めて出合った時の感動以上。写真では知っていましたが、目の当たりにした切り立った外輪山を曲がりくねって駆け下りる道は、誰が名付けたかラピュタの道、という表現がとても適切。何枚か写真を撮ったのですが、やはりその迫力は全くお伝えすることができません。
 それにしても、城山展望台でも大観峰でも、全く霧の中で何も見えなかったことを思えば、奇跡的?我が思いが天に通じたのでしょうか?


米塚を背景に


草千里はやはりちょっと日本離れした景観

 ラピュタの道に名残惜しく別れを告げ、外輪山をミルクロードで一気に下りきると、熊本へ向う国道57号線を少しばかり走って(ここは交通量が非常に多かった)、今度は阿蘇山へと向いました。
 阿蘇ファームランドで昼食休憩。その後は、撤収時間(私を含め、東京・大阪方面の帰路航空機・新幹線に間に合うために)をにらみながら、先に進みました。この道は1976年に登っているはずです。真夏の炎天下にキャンピング仕様で登れたのは、やはり二十歳前と若かったせいでしょうか。当時も米塚と草千里の雄大な風景だけは、記憶に残っていました。
 今回は、暑くなく寒くなく走りやすい気温でした。残念ながら、終盤に近づいたこの時間でも、まだ十分には晴れません。時間を気にしながら、それでもなんとか草千里まで実走することができました。その後は足早に南阿蘇方面へと下りました。ここは初めての道でした。これまた、阿蘇の大景観を楽しめる道でしたが、残念ながらゆっくり下る時間的余裕がありませんでした。
 最後は、白水温泉・瑠璃で汗を流して、撤収。15時に再びクルマに乗って17時半頃に福岡に。楽しかった時は、あっという間に終わってしまいました。

 謝辞
 Yosさんと部下・Usjm君には、最初から最後までクルマでのサポート、宿から食事までの至れり尽くせり、大変お世話になりました。また地元民のFkngさんBBさんには、コース取りとペースメーカーなどを務めていただき、安心して走ることができました。発案者のOgwさん、美味しいお酒を沢山担いで着てくれたOtkさん、最後の新幹線乗車直前まで美味しいビールを付き合っていただいたHwtさん、みなさん本当にありがとうございました。

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