東黒森山・伊吹山  (瓶ヶ森林道 2012 秋)
 瓶ヶ森林道(以下、瓶林と略)は、落合峠四国カルストと並んで個人的に自転車で走る四国の山道ベスト3と思っているところです。2010年に訪れた時は、紅葉も大気の澄み具合も、これまで訪れたうちで最高とも思える条件でした。今回は直前まで予定もしていなかったのですが、いくつかの条件が揃ったので急遽前日に計画実行しました。前回とはちょっとコースを変更、途中で自転車を降りて東黒森山に登ることと、土小屋まで往復の予定としました。(2012年11月10日 記)

東黒森山山頂から、瓶ヶ森林道と自念子ノ頭、奥に石鎚山、左上に切れるのが瓶ヶ森
コース  道の駅・木の香−瓶ヶ森林道−東黒森山−自念子ノ頭−瓶ヶ森林道−土小屋−伊吹山−瓶ヶ森林道−木の香
走行距離   往復 約80キロ       積算標高差 約2100m
最高地点   東黒森山(標高約1755m) 伊吹山(標高1503m)  
走行日・天候   2012年 10月21日    晴れ   FELT F1  
 
 午前4時過ぎに起床、4時50分に徳島ICから高速道路で伊予西条まで。デポ地の道の駅・木の香からは、7時20分に出発しました。気温表示がありませんでしたが(GPS不調)、かなり冷え込んでいました。まずは、国道193号線旧道で旧寒風山トンネルへと向かいました。この道、旧道故、勾配は緩やかで非常に登りやすい道です。今回は随所に「自転車注意」の幟が立っているのを見かけました。自転車乗りの間でも瓶林はメジャーになってきたようです。それにしても、紅葉シーズンの日曜日、しかも天気は上々とあって、次から次へとクルマが山へ向かっていきます。旧道付近では、紅葉はまだまだの状態でした。

平家平方面

本山方面、雲海

伊予富士、南東から

黄葉、伊予富士直下
 午前9時過ぎに到着した旧寒風山トンネル南口の駐車場は、既にほぼ満車でした。これから瓶林を走るらしく、クルマから自転車を降ろしている数人のグループもいました。ま〜し〜さんのブログに書かれていたように、旧道は旧寒風山トンネルより北側は通行止め、トンネル南口はバリケードで封鎖されていました。ちょっと温まってきたので半袖短パン姿になって瓶ヶ森林道へと進みましたが、さすがにちょっと肌寒い。走り始め・左手にはいつものように、笹ヶ峰から平家平方面の大展望が広がります。この付近でも紅葉はチラホラ程度でした。意外と遅いなあと思いましたが、それもこの辺りまで。東南・本山方面は雲海が見られましたが、写真では旨く捉えられていません。。

錦彩る

伊予富士〜東黒森山間の稜線
 この瓶林、例の天空の道(トップの写真:UFOラインとも呼ばれているようですが)に至って、瓶ヶ森林道の素晴らしさを改めて再認識することが毎度のことなのですが、今回は伊予富士手前からの展望にも、すっかり魅了されてしまいました。紅葉の具合は2年前のほうが良かったかと思いますが、やはり瓶林の四国離れした景観には圧倒されます。例によってちょっと走っては立ち止まる、の繰り返しでなかなか前へ進めません。

伊予富士・東南面下を走る

伊予富士・東南面 ズーム、右の峰に人の姿(白い点)
 伊予富士東南斜面が見えてきました。見上げると、山頂近くの稜線に米粒くらいに小さくですが、はっきりと人の姿を確認することができました。昨今の登山・トレッキングブームでしょうか?明らかにこの日以上に好条件だった2年前と比較しても、遥かに山歩きをする人の数が増えていました(自転車乗りもですが)。
 この辺りから、いよいよ紅葉は見頃となってきました。そうそう、相変わらずクルマは多かったのですが、追い抜く&すれ違うクルマに乗った人の80%くらいは、どう見ても還暦を過ぎたと思われる方々。帰路でも同様、またその後のちょっとハイキング時に山道で出合った方々も、同様の傾向でした。
 伊予富士の大きく南側からまわって西側に進むと、切り立った山肌が一転してなだらかなクマザサ斜面となります。伊予富士〜東黒森山間は、その稜線に近い処を縦走路が通っています。これまでほとんど人影を見たことがなかったのですが、この日はそこに点々と歩く人を見ることができました。

伊予富士〜東黒森山、稜線近くの縦走路に人影が

立ち枯れの樹、伊予富士西側直下
 伊予富士西側にも瓶林からの登り口があり、数名のやはり比較的高齢の男女が登り始めているところでした。この辺りは、立ち枯れの樹があって、何人かがカメラを構えていました。東黒森山の南をまわってトンネルを抜けると、いよいよ天空の道です。さすがに何度も訪れたので、最初の頃ほどの感動はありませんが、やはりこの四国の尾根を走る道に言葉がありません。しかし、ほとんど素掘状態だったトンネルも、次第にコンクリートに固められてきているようです。 

伊予富士、南西斜面

東黒森山への登り
 午前9時過ぎ、東黒森山〜自念子ノ頭間で瓶林・天空の道が縦走路に最も近づくポイントに到着。ザックに入れてきた運動靴に履き替えてズボンも着用、東黒森山を目指します。クマザサに覆われた登山道は、勾配もそれほどなく登りやすいのですが、滑落負傷事故以来下り斜面のトラウマに付き纏われている私は、右手の斜面が気になって仕方がありませんでした。幸い、ほぼ同時に、数人とお二人の2つのグループが先行されたので、これ幸いと後をついて行きました。

東黒森山山頂から、右・伊予富士、左・寒風山、稜線右手が伊予富士縦走路

東黒森山山頂から伊予富士
 山頂直下のところで、前の二人組(どうみても還暦過ぎ・女性)に追いついたので予定を伺うと、伊予富士まで縦走往復とのこと。う〜ん、それは魅力的。このペースなら一緒に行くことができるし、写真:上左のように、道はなだらかに見えるけど気になる南斜面も気がまぎれるかもしれない、とちょっとばかり縦走という誘惑が頭を掠めたのですが、事前に土小屋まで往復しようと考えていたので心の準備も十分でなく、あきらめました。次回のお楽しみ?

瓶ヶ森、遠望

東予市方面

天空の道を鳥瞰

太平洋が見える
 山頂手前では、街歩きのような軽装の東南アジア系と思われる若者5人ほどとすれ違い。いやあ、こんな格好で登れるのかと、ちょっと驚きでした。途中で瓶林や石鎚山の写真を撮りながら、45分ほどで山頂に到着。山頂には単独行の老若男子2名。ちょいと挨拶して、360度の展望を楽しみます。瓶林からは僅か標高差で150mほど登っただけですが、見渡せる風景は全く変わって、格段に迫力が増えます。
 東には稜線沿いの道を伝って伊予富士(山頂に人が見えます)、そこから東北東には寒風山から笹ヶ峰方面が連なっていくのが一望できます。北には瀬戸内海、伊予西条から東予市、今治からしまなみ方面までうっすらとですが、見ることができました。西には直下に瓶林、自転車で走っている人が見えました。自念子ノ頭の向こうには、瓶ヶ森、石鎚山。南には、重なる山々の向こうに土佐湾・太平洋が光って見えました。

東黒森山〜自念子ノ頭間を走るサイクリスト、東黒森山山頂から

東森黒山山頂から、寒風山〜笹ヶ峰方面
 見ていて飽きない展望なのですが、その後の予定もあり、午前10時に下山開始。下り始めに、伊予富士方面からは、5名ほどの若い男女が登ってきました。男性はしっかりした登山の格好ですが、女性は私と同じく運動靴でした。衣服も同様。こんな格好でも縦走できるのだと、また少し安心。30分ほどで登り口に下ってきて再び自転車に乗りましたが、少し進んだところで、自念子ノ頭にも登ってみようと再度停車。マイクロバスの団体さんとかち合ってしまいましたが、これまた高齢の方が多い団体さんはすぐに車上の人に。

自念子ノ頭から東へ、寒風山・笹ヶ峰方面

自念子ノ頭から東へ、天空の道・瓶ヶ森林道
 自念子ノ頭山頂を目指して歩き始めましたが、半分ほど登ったところから勾配が急になってきました。登るのには全く問題なしですが、どうも下りに不安が・・・。ほぼ前後して登り始めた、これまたどう見ても還暦どころか70歳も過ぎていそうな3人組が知らぬ顔で登っていきましたが、私は下り斜面で滑りゃしないかと気になって途中で引き返し。この分では、登山はとても無理のようです。

自念子ノ頭から寒風山

自念子ノ頭から東黒森山

自念子ノ頭、東の紅葉

西黒森山近くにて
 再び自転車にまたがりましたが、相変わらずちょっと走っては立ち止まるの繰り返しが続きます。瓶が森の手前で写真を撮っていると、二人組の自転車乗りが追い抜いていったのですが、私と同様、走っては止まるの繰り返し。子持権現山辺りまでは、ほぼ同じ−ペースで立ち止まるところもほぼ同じ。「なかなか進めませんねえ」とお互い思わず苦笑いでした。

瓶ヶ森下を走るサイクリスト

手前右・子持権現山、左中の草原様に見えるのが伊吹山
 瓶ヶ森登山口には11時30分に到着。ここまでも結構人・クルマともに多かったのですが、登山口ではそれまでの10倍以上くらいの人出。広い駐車場にもクルマが溢れていました。自転車乗りの方も何名かいたようですが、あまりの人の多さに先へと進みました。
 石鎚山が正面?から見える定番ポイントで撮影、子持権現山のポイントでも撮影といつも通り。上述の二人組も同じポイントで写真撮影です。今回、以前から気になっていた子持権現山の左手に見える草原様に見えるところが、帰路に立ち寄った伊吹山であることがわかりました。

瓶ヶ森を見上げる

瓶ヶ森方面から石鎚山

土小屋から石鎚山

瓶ヶ森、遠望
 その後、土小屋まで。よさこい峠から土小屋までは、落葉大樹がもっと沢山繁っていた記憶でしたが、思ったより少なく感じました。しかし、瓶林ではこの辺りが大きな木々が揃っているという点では、やはり一番のポイントかと思います。土小屋には12時20分に到着しましたが、これがもう瓶ヶ森登山口など問題じゃない雑踏。缶コーヒーでパンを食べて、足早に帰路へと向かいました。
 しばらく戻って、黄葉が逆光に輝くポイントでイーゼルを立てて絵を描いている人がいました。立ち止まって写真を撮っていると、完璧な土佐弁で、伊吹山はブナ林が素晴らしい、日本百名山の深田久弥氏も絶賛したくらいなので、ぜひ寄るようにと奨めてくれました。よさこい峠を越えてシラザ山荘に到着する手前で、伊吹山の標示を見つけて、三度目の運動靴に。今回は、ちょっと様子うかがい程度に考えていたので、他は自転車の格好のままで歩き始めました。

伊吹山山頂から、瓶ヶ森、手前に子持権現山

伊吹山山頂から東方面、ブナ林、奥は自念子ノ頭
 少し登ると、クマザサ原に群生するブナをはじめとする落葉樹林が出迎えてくれました。東方向に進むとブナ林、その向こうには瓶ヶ森、自念子ノ頭と往復する瓶林方面も見えます。絵描きさんが言われたほど広大な樹林ではありませんが、この付近では一等に間違いありません。
 伊吹山は西手に登っていくようです。登り易そうだったので、進んでみました。数分ほどで広々としたクマザサ原に出ました。ちょっと登るだけで、東黒森山に登った時同様、周りの風景・特に瓶ヶ森方面は随分と違って見えました。北には瀬戸内海・東予市地方面が見えました。北西には石鎚山がどっしりと構えています。山頂では、3組の登山客、合わせても10名足らず。一組・お二人は昼寝をしていました。運動靴で自転車ジャージの私はちょっと浮いた存在。絵描きさんに奨められてちょっと寄っただけの伊吹山でしたが、これまたとてもいい拾い物をした気分でした。

伊吹山山頂から、石鎚山

伊吹山山頂にて
 シラザ山荘から瓶ヶ森登山口までは再び登りです。クルマが多いのと道が狭いので、ところどころで対面通行不能、一台が立ち往生すると、あっという間に後続が詰まって渋滞です。自転車は関係ないものの、自転車さえ横を通る隙間がないくらいのところもあります。

伊吹山山頂から

伊吹山山頂方面、東側から
 再び瓶ヶ森登山口に戻ったのは、13時30分。往路とは日差しが90°くらい変わって、また背後からの日が差します。山に陽が当たる方向も変わって、帰路では往路とはまた異なった風景を楽しむことができました。

伊吹山東斜面に広がるブナ林

瓶ヶ森登り口近く、瓶林最高地点から東へ
 瓶ヶ森登山口を少し進んだところで、同じ徳島から自転車で走りに来ている方々ともお会いしました。ところで、瓶林を往復するのはもちろん、考えてみるといつも東から西へ走っているばかりで、西から東に向けて走るのは初めてでした。お昼過ぎとなって光線の具合は朝とは逆になりましたが、順光で風景はやや平坦に見えてしまいます。が、それでもやはり瓶林は楽しめる道です。紅葉・黄葉も往路とはまた一味違って楽しむことができました。

瓶ヶ森付近にて、blue skyの方

自念子ノ頭

上弦の月、浮かぶ

サクラ咲く
 東黒森山付近では、稜線の向こうの青空に上弦の月も見えました。もう少しいい条件のところで写真をもう一枚と思っていたのですが、なぜかその後確認することができませんでした。旧寒風山トンネル付近では道は山影になり、ちょっと肌寒いくらいでした。道の駅・木の香には15時に到着。旧道から新道に出た付近で、2年前もそうだった寒桜?が花を咲かせていました。

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