北海道2022 2日目  初日  最終日

サイロ展望台から見た洞爺湖 右奥が有珠山 (2022.05.06)
 2日目は倶知安を出発して洞爺湖へ向かいます。前日同様まっすぐ向かえば65qほどなので、余裕があれば洞爺湖を一周する予定としました。
コース  倶知安−京極−喜茂別−国道230号線−洞爺湖
走行距離   100q   積算標高 900m
最高地点   国道230号線 留寿都付近  標高410m
走行日   2022年 5月 6日  天候:晴れ  GIANT TCR
 この季節、北の夜明けは早いです。午前4時過ぎには、もう十分な明るさ。この日も快晴で始まりました。ホテルの窓からは、JR倶知安駅の向こうに、朝日に輝くニセコアンヌプリの姿が拝めます。右手奥はワイスホルンでしょうか(写真:下左)。2006年はあの間を走り、積丹半島を一周しました。倶知安を午前8時前にスタート。当初は国道276号線を外して、ひとつ北側を併走する農道・北二線を走ろうかと思っていました。が、国道276号線の交通量も少なく、羊蹄山の眺めも十分楽しめそうだったので、国道で東へと進んでみることにしました。金曜日だったので、登校中の小中学生の姿が見られます。この時期はともかく、冬場の登下校は大変でしょう。
 倶知安の町を出ると、国道周囲に建物の姿はほとんどなくなって、道両側に広い農地が広がります。朝の斜光線で、羊蹄山は前日に比べてくっきり鮮やか(写真:下左)。振り返ると、ニセコアンヌプリも同様です(写真:下右上)。耕運された広い畑に冠雪の山、如何にも北海道らしい光景。

ニセコアンヌプリ

倶知安神社
 同じような写真ばかりで恐縮ですが、耕運された広い農地の後方に、どっしりと裾野を広げて構える羊蹄山の姿は、まさに蝦夷富士です。見飽きることがありません。何度も立ち止まってしまいます。
 一直線に東進する国道276号線が京極町に向かって東南に進路を変えると、前日も見た尻別岳が前方に現れてきました(写真:下左)。進行方向の右手には、少しずつ角度を変えながらも、ずっと羊蹄山の姿。
 耕運途上で土色の畑が大部分を占める中で、時々見かけた生き生きとした緑色は前日も見た小麦かと思います。羊蹄山の広い裾野の右手奥には、ニセコアンヌプリの姿が見えています(写真:下左)。写真:下右は、羊蹄山の山肌をズームアップ。
 京極町を過ぎると、国道230号線を尻別川に沿って走っていきます。その先で、国道を避けて尻別岳の西側を走る道道257号線へ進むことも考えていたのですが、前日その北隣りを走る道道97号線を走ったので、東側から尻別岳を見る目的で道道696号線へと進みました。この道は交通量がさらに減って、尻別川沿いの快走路でした。そのまま進むと喜茂別の町に入り、10時前に喜茂別の郷の駅ホッときもべつ ORTO に到着。時間が早かったためか開店準備中のようで人影も疎らでした。郷の駅すぐ近く、尻別川支流・喜茂別川を渡る国道230号線喜茂別橋から羊蹄山を見渡すことができることは、2019年に走った時の記憶に刷り込み済みでした。
左  尻別川と尻別岳
上  周辺の農場
右上 植付を待つ農地
右  喜茂別川と羊蹄山
 郷の駅から2019年に走った道を1qほどトレースした後は、国道230号線で留寿都方面へ。2019年に走った時、美笛峠に向かう国道276号線から振り返ってみた羊蹄山と尻別岳の姿が印象的だったので、尻別岳の雄姿を期待していたのです。が、角度の問題でしょうか、東南側から近くで見る尻別岳の姿は、期待していたほどの迫力がありませんでした。尻別岳は北西方面から見たほうがいいように思われました。スキーには疎いのですが、それでも良く名前を耳にするルスツ。国道230号線の峠付近には大きなホテルの姿がいくつか見られました。観光のためか除雪用のためか、国道230号線は広い道でしたが、前日走った道同様路側帯にはやはり多少難あり。
国道230号線、留寿都方面へ 国道230号線、振り返って 南東側からの尻別岳 留寿都村へ
 下った留寿都村の中心部付近で、国道230号線から左手・道道560号線に進んでみました。これが、また私の好みそのものといった道でした。美瑛ほどではありませんが、なだらかな丘陵地を利用した広い畑が続きます。進んでいくと、先程まで羊蹄山の右手に見えていたニセコ連峰が左手に移っていました。放牧された牛の姿も見えます。この畑は既に作物の植付が終わっていましたが、何かはっきりわかりませんでした(写真:下右)。
 適度な多少のアップダウンがある丘陵地を、まっすぐに道が伸びています。時折農作業関係のクルマが通る(写真:下右下)以外は、ほとんど独占状態です。
 振り返ると、羊蹄山。
 そんな道周辺の光景を楽しみながら、さらに進むと、地図で確認していたよりも手前で、「この先行き止まり」の標示がありました。
 そこで、予定していた道の少し手前で右折、道道560号線よりさらに細い道を走って国道230号線に復帰します。道脇には再び残雪(写真:上右下)。下の2枚は、国道に近づいてからのものです。山の裾野には、小麦と思われる鮮やかな緑とその上方には牧草地らしいやや薄い黄緑。
 地図を見ると、もうすぐこの先が洞爺湖で、展望台もあるようです。展望台というからには登りがあるのかと思っていたのですが、国道230号線は丘陵地帯に広がる畑の中を進んでいきます。と、行く手に道の駅とうや湖という施設がありました。少し歩いたところに展望台があるので行ってみると、見えたのが下の写真。洞爺湖湖畔までは少し距離がありますが、西から見た湖のほぼ全体像が見て取れます。中央に見えているのは、対岸ではなく中島という島です。その右奥が有珠山です。宿泊予定地の洞爺湖温泉は、湖岸の一番右端付近でしょうか。
 ざっと目を通していた地形図で、国道230号線はカルデラ湖である洞爺湖の西側外周にあたる縁を走っていると思っていたのですが、改めて地形図を確認すると西側の等高線は極めて疎で、平坦に近い丘陵地であることがわかります。実際に走ってみると、左手(西)には広い畑がずっと遠くまで続いています。振り返ると羊蹄山の姿(写真:下右)。3年前に走った時は、喜茂別から東へ少し進んだところで羊蹄山は見えなくなったので、まさか洞爺湖付近から羊蹄山がこんなにはっきり見えるとは思っていませんでした。
 さらに、畑の向こうにニセコアンヌプリも一緒に見えるところがありました。羊蹄山からはかなり左手に離れて見えています(写真:下右)。前日から2日間、見飽きることのなかった羊蹄山の姿も湖畔に降りると見えないだろうから、これで見納めかと何枚か写真に撮ったのですが・・・。足元に目を落とすと、ツクシの姿(写真:下左下)。ニセコアンヌプリから少し離れた左手にも冠雪の連山が見えました(写真:下左上)。方向から昆布岳付近でしょうか。
 一方、国道230号線の東手は洞爺湖が迫ってきました。道の駅とうや湖展望台から先にも何ヶ所か湖面が見られるポイントがありましたが、しっかりと眺めることができたのはサイロ展望台だけでした。洞爺湖を見渡せる一番いいポイントに商業施設ができたようです。観光用のヘリコプターもお客さんが多いようで、繰り返し発着していました。下の写真は2枚の写真を繋いでします。中島、観音島、弁天島が見えています。右奥には有珠山。その左手の裾野には昭和新山の尖った山頂も確認できます。翌日走る予定のオロフレ峠は、ちょうどこの反対側です。
 まだ13時前だったので、洞爺湖も一周してみることにしました。国道230号線が湖畔まで下り切る手前の月浦というところで右折して湖畔まで下ったところ、これがまた1車線のいい道です。多少は交通量があるのだろうとの予想に反して、クルマはほとんど走っていません。湖岸にも大きな落葉樹が途切れなく生育しています。ガードレールなど余分なものが一切ありません(写真:下右上)。こんな素敵な道だとは予想していませんでした。本来なら湖は半時計回りが湖岸沿いを走れるのですが、この日は下ったところと宿泊地の位置関係で時計回りでした。それでも交通量が少ないので、時々湖岸の右手に寄ってみます。湖水もなかなかの透明度です。

烏帽子岩公園の桜
 そのまま進むと、とうや水の駅手前からは2車線の道となって建物も多めの区間もありましたが、まもなくまた静かな道となりました。時計回りで9時付近から7時付近まで、ほぼ一周したのですが、道の雰囲気は9時付近が一番良かったです。あと12時付近から3時付近も(写真:下3枚)。途中レンタサイクルの人数名とサイクリングの人3、4名と擦れ違いました。湖畔はほとんど高低差もなく、初心者にも絶好のサイクリングコースです。電動アシストはもちろん、変速機なしでも十分走れそうです。が、一周すると38qほどあるので、洞爺湖温泉からと思われるレンタサイクルの方は9時付近で引き返していたようです。
 
 湖畔の東側まで回ってきた時、羊蹄山の姿が先程走ってきた外輪山?の向こうに見えたのには驚きました。まさか洞爺湖畔から羊蹄山が見えるとは思っていませんでした。何処かすっきりと見える場所がないかなと思いながら進んでみますが、大きく繁る木々が邪魔をして見晴らしのいいところがありません。進んでいくと、壮瞥公園と左手に曲がる道があります。上に登っているようなので、見晴らしが望めそうだと登ってみました。10%ほどの坂が続きますが、距離は短い。ところが、湖畔を走っている時とは一転してクルマ多数。観光スポットのようです。到着した山頂は梅が満開で、湖の向こうに羊蹄山の姿(写真:下右)。少し霞んでいますが、朝早い時間なら、もっといい光景が望めたことでしょう。南西方向には、有珠山と昭和新山が見えています(写真:下左)。東側には、翌日向かう予定の壮瞥の町並みも見えました。
 この昭和新山と有珠山を間近に見ることは、今回の楽しみにしていたことのひとつでした。というのは、二つの山には、ちょっとした思い出があったからです。壮瞥公園から下って宿泊地の洞爺湖温泉に向かう途中で、湖畔沿いの道道2号線から昭和新山→の標示で道道703号線に左折。距離はさほどありませんが10%弱の勾配が続き交通量も増えた道で昭和新山方向へ進みます。ほぼ登りきる手前を左手へ進むと、広い駐車場があります。写真:下中は、そこから見た昭和新山。ここで訪れたかったのは、三松正夫記念館。特に地質学に興味があったのではなく、中学生時の国語の教科書に三松氏の昭和新山の記録が取り上げられており、結構強烈な印象を残していたからです。もう50年、半世紀前の話。記念館は広い駐車場の手前奥まったところに、忘れられたかのように佇んでいました。一度見逃して先に進んで戻ってきたくらいです。中に入ると、見学者は私一人。三松氏にも地質学にも詳しいわけでもないのですが、ゆっくりと閲覧。件の教科書と思われる実物も展示されており(残念ながら館内写真撮影不可)、当時その教科書で三松氏を知った全国の中学生から多数届いたという手紙の一部も展示されていました。
 左 洞爺湖湖畔から有珠山
 中 昭和新山、近景
 右 三松正夫記念館
 有珠山には、この駐車場から中腹までロープウェイが通じています。折角なので利用して高所からの眺めを楽しもうと思っていましたが、時間も遅くなって断念。ところで、有珠山の一番最近の噴火は2000年だそうですが、初めて北海道を訪れた1977年にも中規模の噴火がありました。その噴火前日、道北・道央・道東を回ってきた私は、札幌から中山峠に向けて走り始めたところで、噴火した当日は洞爺湖付近を走っていた筈でした。ところが、2週間近くほぼ毎日のように雨に降られ、ようやく憧れの北海道を走ることができたというのに結構疲れ果てていました。で、とうとう中山峠に向かう途中で心が折れてしまい、急遽旅の終わりとなってしまった次第です。そのまま旅を続けていたら、世紀の自然現象を間近に見ることができたか、はたまた強制的にコース変更となったか。そんな苦い思い出の有珠山も45年越しに見ることができました。

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