北海道 2003
約25年振りに北の大地を走ってきました。北海道を自転車でツーリングすることが、自転車ツーリングを始めた当初からの夢でした。が、その夢が実現した25年前はことごとく雨にたたられ、半ば挫折して帰ってきた感もありました。今回は天候にも恵まれ、やや先急ぎではありましたが、大満足の内に終わりました。泊りがけのツーリングも22年振り。ランドナー(キャンピング)で走った往年とは異なり、今回はロードレーサーで荷物を担いでのツーリングでした。
プロローグ
徳島−新千歳、直通(2011年現在廃止)のジェット機で北海道までわずか2時間!25年前は敦賀まで鈍行列車、小樽まで足掛け3日間のフェリーの旅でした。私は高いところから鳥瞰するのが大好きなので、天気の良い日のフライトは最高!です。この日、名古屋上空から新潟上空にかけての日本列島縦断は、まさに最高の条件でした。当初、御岳とばかり思っていた雪を抱いた山は白山でした。御岳・乗鞍から北アルプスの直上を飛びました。直下に、残雪の北アルプスや黒四のダム湖や木崎湖・青木湖もはっきりと見え、早くも一旅行した思いになりました。
1st stage | ||||||
初日は、足慣らし。空港から、小樽まで直通で輪行。当初の予定では小樽から積丹岬をめざすつもりでしたが、小樽に近づくにしたがって車窓から見える海面に次第に風波が立ち始めました。以前に boadsailing にいれ込んでいたので、海面の様子からおよその風速は予想がつきます。穏やかだった札幌までは天候はどこへ行った? | ||||||
朝里ダム手前のループ道 |
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あまりの強風と夕方に札幌で所用が入ったので、急遽予定を変更して道々1号線で札幌へ戻ることとしました。となると、時間に余裕ができたので、とりあえず小樽市街をうろうろ。運河あたりはすっかり小奇麗になり観光化されて、修学旅行を思われる高校生の集団や観光客でごった返していました。25年前に敦賀からフェリーで降り立った時は、随分とうら寂れた倉庫街だったのですが・・・。 小樽の街はずれで朝里から道々1号線に入りました。朝里峠に向かって緩やかな登り坂でしたが、とにかく向かい風が強いのに閉口しました。朝里ダムの手前にはループ状になった高架橋の登りがありました。道の端を走るのは風に吹き飛ばされそうで怖く、センターライン寄りを走りました。峠(トンネルですが)までは、10%弱の坂がわずかにある程度の勾配で、登りやすい道でした。山の中に入ると、向かい風もいつのまにかおさまってしまいました。 |
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小樽運河と倉庫群 |
小樽内川 |
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この道々1号線は、交通量も少ないのでありがたかったです。また峠(トンネル)を越えた定山渓側、豊平川の支流・小樽内川は北海道ならでは川の源流(緩やかに自然林の中を流れ、作られた土手などが一切ない)風景を持っていて、急遽選択した道でしたが大正解でした。札幌に近づくと車道は車が多くて走りづらく、歩道は段差が徳島の3倍くらいあって、ロードレーサーで走るのには往生しました。 |
2nd stage |
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札幌から旭川まで輪行。なかなか快適な特急列車の旅でした。 | ||||||
美瑛の丘 |
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10時過ぎに旭川を出発。まずは美瑛を目指しました。国道237号線を10数キロすすんで、「パッチワークの丘」の標示に沿ってしばらく進むと、あたりは丘状の畑に。まだ少し季節が早く、緑の畝は少なく、花はどこにも咲いていなかったのですが(そのおかげで観光客がほとんどいなかったのは良かった)、それでも日本離れしたこの風景に大満足!気分はツール・ド・フランスで走っている様!遠く東には十勝岳の連峰が望めました(写真:下)。そこかしこで自転車を降りては写真を撮って、なかなか前に進めませんでした(あらかじめこの状態は予想していたので、十分時間を取っていたのですが)。 | ||||||
それに対して、有名な富良野は、花の季節に早かったせいもあるのか、見所を知らなかったためなのか、特に何と言うこともなしに通り過ぎてしまいました。 | ||||||
富良野からは、空知川に沿って南下。この川を中心とする風景がまたよろし。背後の雪を抱いた芦別岳、夕張岳に川辺の雑木林の新緑が映えます。前日の小樽内川といい、北海道の川はまだまだ自然の姿を残しているように思えました。その後は、空知川に沿って金山湖を回りました。ダム湖ですが、周囲の風景はやはり四国のダム湖とは全く異なり、原生林が多いようでした。途中、キタキツネの親子に遭遇しました。 | ||||||
芦別岳を後ろに、空知川 |
金山湖畔 |
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金山湖を過ぎると、この日唯一の峠、狩勝峠へ。勾配はせいぜい数%でそれほどこたえる道ではありません。ここでもキタキツネとエゾシカに遭遇、また、ウソ(鳥)も見かけました。エゾシカは、四国にいるシカより遥かに大きいのに驚きました。 | ||||||
狩勝峠への道 |
狩勝峠にて 遠くに大雪山 |
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狩勝峠からの十勝平野の展望も素晴らしかったです。北海道の広さを堪能できます。北方面には、遠くに大雪山山系の山々も遠望できました。 |
3rd stage | ||||||
この日は一番の長丁場。約200キロは越える予定。8時に新得を出発。まずは、緩やかな下り坂を快走です。 | ||||||
望洋台から黄金道路を振り返る |
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十勝平野は広い。牧草と畑に囲まれた10km程の直線道路が次から次へと続きます。最初は喜んで写真を撮っていたのですが、思うように距離が伸びません。次第に疲れてきて今日の予定(浦河まで)が達成できるか、だんだんと不安になってきました。少しばかりの向かい風も結構こたえます。また前日までは半袖で走れていたのに、十勝は寒く、快晴にもかかわらずウィンドブレーカーを着込みました。 | ||||||
宿泊した新得付近の羊牧場 |
直線道路が続く |
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広尾では突如、眼前に太平洋が出現。そこからは、太平洋に沿って黄金道路を進みました。切り立った海岸に沿うように随道となっているところが多く、また小さなカーブが多いのであまり遠望は出来ませんでした。唯一、望洋台からの振り返った眺めが、黄金道路の片鱗を見渡せる場所でした(トップの写真)。 | ||||||
十勝平野と十勝岳 |
襟裳岬へ向かう黄金道路 |
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襟裳岬はあまりに有名過ぎて、実はさほど期待していませんでした。まあ、室戸岬のようなものだろうと思っていたのですが。海岸に落ちる崖を縫うようにして走る黄金道路を走って、庶野を過ぎ、百人浜というところに出ると、突然視界が広くなりました。岬まで崖が迫っている道がずっと続くと思っていた私には意外でした。苦労して育てられつつある防風林の合間には、何ヶ所か牧場が見られました。 | ||||||
前方に襟裳岬 |
襟裳岬にて |
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襟裳岬についたのは16時過ぎだったためか観光客も少なく、数件ある土産物店とそこから流れる例の歌もさほど気になりませんでした。浦河までまだ40km以上あったのですが、追い風に助けられてなんとか日のあるうちに到着できそうな目安がたったので、休憩をかねてゆっくりしました。岬周辺は、一面のクマザサでのようでしたが、まだ冬枯れの状態でした。ここももう少しすると素晴らしい緑の世界になるでしょう。なにぶん周辺には、まだ八重桜が咲いていたくらいですから。 | ||||||
襟裳岬 |
襟裳岬から西へ |
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そこから50km弱。浦河までなんとか走りきりました。浦河の町はずれからは広大な牧場が続きます。それまでは放牧されているのは牛がほとんどであったのに、この日高地方ではほとんどが馬でした。浦河の町は、駅前の国道が新しく出来たときに街ごと作り変えたのでしょうか、通りに面した家々は全てまだ新しく、とても清潔な感じでした。日焼けのおでこをタオルで冷やしながら早々と就寝。 |
4th stage | ||||||
帰りの飛行機に間に合わなくては大変と、朝6時過ぎに浦河を出発。5kmも走らないうちに、サイクルメーターが標示しなくなってしまいました。どうも水銀電池が切れてしまったようでした。 | ||||||
牧場の馬たち こんな風景が続く |
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浦河から鵡川までは、小さなアップダウンがある国道235号線を進みます。数十kmの間、右も左も牧場、それも馬ばかり。延々と牧場が道の両側に続いていました。これも北海道以外では見られない風景でしょう。牧草の新緑と点在する木立の新緑(ちょっと時期がまだ早かった)の間に、優雅にギャロップする競走馬の姿は誰が見ても絵になる風景です。時間が気になって、静内の二十間桜並木道路(満開の時期は終わっていましたが)に立ち寄らなかったのが今回唯一の思い残しです。早朝出発したおかげで、また追い風であったこともあり、千歳空港近くのウトナイ湖にはちょうどお昼に到着しました。 | ||||||
今回のツーリングで出会った動物 金山湖で親子のキタキツネ。 狩勝峠でエゾシカ。 キタキツネ。 ウソ。 十勝平野で電線に止まってさえずっていたカッコウ。 出会った自転車仲間 富良野南・東大樹木園付近でMTBのフル装備のおじさん。 広尾手前で私より数段大きいリュックを担いだ若いMTBの二人。 広尾で、日本一周のようなフル装備の年配の方。 襟裳から浦河途中、ママチャリで前かごにスポーツバック、リュックを担いだ人。 そして、空港の直前であった、苫小牧に着いたばかりで今から宗谷岬をめざすという年配の方。 シーズンにはちょっと早かったので、自転車乗りはまだ少ないようでした。 |
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ゆっくり走る人から見れば、こんなに急ぎ旅で、と思われるかも知れませんが、私にとっては結構ゆっくり出来た久々の「旅」でした。今度はいつ、こんな旅ができるでしょうか? |