北海道 2015


 いろいろなところで何度も書いてきましたが、私がサイクリングを始めた最大の目標は北海道を走ることでした。1977年に初めて憧れの大地を走って以来、長いブランクの後2000年に再訪した後は、短期間ながらも再訪を繰り返し、いつの間にか7回目の北海道ツーリングとなりました。今回はずっと以前から一度は行ってみたくて、なかなか実現できなかった利尻・礼文の島を含めたコースを走ってきました。
                                                                        (2016年 4月10日記)

  1日目  利尻島一周

コース    徳島=関西空港・・・・・新千歳空港・・・利尻空港−利尻島一周 
走行距離    一周 約60キロ    積算標高差 約400m
最高地点    ほぼフラット           
走行日など    2015年 7月20日    天候:晴れ    ロード(GIANT TCR)

 オロロンラインからも見える端正な容姿の利尻富士。本当の素晴らしさは、この山に登って初めてわかるものかもしれません。今回は時計回りに海岸線に沿って一周。

走ったコース
     
                                        利尻〜礼文 フェリーから見た利尻島

 午前5時半に自宅を出発、路線バスで関西空港へ。今回、利尻・礼文を含むコースを考えた時に苦労したのが、島前後をどう繋いで走るかということでした。できるだけ走ったことのない道を、限られた時間で効率よく繋ぐルートを描くにはどうしたらよいか。2年前と比較して、関西から北海道・千歳以外に飛ぶ航空路線が随分減っているように思われました。いろいろ考えた挙句、まずは千歳経由でいきなり利尻島まで飛ぶこととしました。ANAとJALを乗り継いだため、千歳で一度荷物の再チェックが必要となったのですが、チェックインカウンターが凄い混みようでした。

 利尻島には14時過ぎに到着。いい天気ですが、西風が強く吹いていました。自転車を組み立てて、走り始めたのは約40分後。この日の予定は、島を時計回りに一周。距離は60qほどなので、夕方までの3時間あれば、ゆっくり回れるだろうとの計算でした。
 追い風に乗って空港から少し走ったところで、ブログで激賞されていた自転車道に入ってみました。確かに、道幅は広く舗装状態も非常に良好。草原の中を快適に走ると、左手には宇井を隔てて礼文島が見え、楽しく快適に走れました。ところが、国土地理院の地形図を要所要所で拡大してコピーを持っていた(相変わらずのアナログ親父)のに、道道105号線を横断する富士野園地で自転車道を見失ってしまいました(一周最後に、道道の下をくぐっているのを確認)。まあ、後は明日の早朝にでもと、島を一周する道道105号線から108号線を進むことにしました。


天日干しした昆布を収集中

沼浦から利尻富士

 鴛泊の町を過ぎたところで、今夜の宿の場所を確認して、そのまま通過。右手に利尻富士、左手には海を見ながら、海岸線の緩やかなアップダウンをサイクリング。この付近で大学生か高校生くらいの数名のグループにすれ違いましたが、利尻島で自転車乗りと出会ったのは、このグループのみでした。海岸では、乾燥を終えた昆布の収集作業をしているところ多数。いずれも幅10cm、長さ1mくらいで肉厚、非常に立派です。一日干すだけで、あれだけ乾燥するのでしょうか。2年前に走った道東・浜中付近でも沢山昆布を干していましたが、彼の地のものは1本が数mと長かった記憶です。
 
自転車道 空港から少し東へ走った付近で
 ところで、一周して意外に思ったのは、田畑の姿がほぼ皆無だったこと。気候的に適さないのか、土壌的に適さないのか。稲作は無理としても、この季節、少しくらい農作物の姿が見られてもと思ったのですが・・・。
 島を回るにしたがって、利尻富士のスカイラインは、険しい様相を呈してきました。観光写真などよく目にするのは、礼文島など北側から見た比較的なだらかなすそ野が広がる眺め。それに対して島の南東から南側から見ると、ノコギリ歯のような稜線が連なっていました。
 沼浦展望台と沼では、いずれも観光客が多数であったため、ちょっと見学しただけで長居はせず。島の南端付近では旧道?が海岸線沿いを走っているようでしたが、はっきり確認していなかったので、山側の新しい道を進みました。ここからも草原状と森林の向こうに見える利尻富士は、端麗。午後遅い光線の関係で、陰影がなく、写真は平面上でもうひとつ。


島の南端付近から

自転車道・島の北部、海の向こうに礼文島

 島も4分の3周近く走った沓形手前の運動公園から、再び自転車道に入りました。ここも入り口が少しわかりにくかったです。ここでも、道は非常によく整備されていましたが、周囲の木々が繁っていて展望はあまりありませんでした。所々に「カラスの襲撃に注意」の看板。道は小さなアップダウンとコーナーの繰り返し、交差する道(手前に交差点の表示)が結構あるものの、サイクリング道としては上等でした。
 一度道道105号線に出たところで、再度の入り口を見失ってしまいました。せっかくの素晴らしい自転車道であっただけに、もう少し入り口の表示がわかりやすければと思います。が、道道105線・108号線自体も交通量は少なく、展望もよく、サイクリングにとって何の問題もないというか、十分楽しめる道でした。空港手前から再び自転車道に入り、上述の見落としていた自転車道入り口を確認。宿には予定通り18時過ぎに到着。今回の旅で唯一夕食付の民宿で、ウニをはじめ、いくらでもアルコールが進みそうな夕食で初日終了。

  2日目  利尻島から礼文島へ

コース    利尻自転車道〜礼文・香深−桃岩−スコトン岬−金田ノ岬−香深〜稚内
走行距離    約90キロ   積算標高差 約800m
最高地点    桃岩付近 (標高150mほど)  
走行日など    2015年 7月21日    天候:晴れ    ロード(GIANT TCR)
 礼文島は、その昔(1970年過ぎ)西海岸の遊歩道を縦走したという姉が訪れた時の写真を見て以来、一度は行ってみたかったところ。当時は北海道(礼文や利尻も)には、リュックを背負ったカニ族と呼ばれた若者が大挙して訪れていたものでした。今回、両島はもちろん道北でも出会った若い旅人はほとんどおらず、観光客は、以前の若者(私も含めて)ばかりでした。

走ったコース
     
                                        礼文島西海岸北方面を望む

 午前4時前、もう東の空は明るくなっていました。前夜、山登りの人が午前5時出発と聞いていたので、朝食までに昨日走れなかった島北東部の自転車道を訪ねることにしました。まずは空港方面に走って、夕日ヶ丘展望台に登ってみました。海の向こうに、うっすらと礼文島が見えます。その後、昨日確認していた富士園地から自転車道へと向かいました。
 緩やかに広がった裾野を走る島西部から北部にかけての自転車道と異なり、こちらは標高100mほどの台地状の部分を主として走っています。途中、何ヶ所か立派な橋がありました。

海の向こうに、うっすら礼文島(夕日ヶ丘から))

自転車道の陸橋、右手に小さく鴛泊港

 湾内大橋から鴛泊港ズームアップすると、稚内に向かうフェリーと海の向こうに礼文島(写真:右下)。自転車道は路面に異物もなく舗装も非常に良好で、とてもよく整備されていました。ただし、道両脇には樹木がよく繁っていて、橋以外ではあまり展望はありません。写真:左下、利尻富士が写っていますが、広角だと高低感が全くありません。ここでも「カラスに注意」の看板がいくつもありました。事実、道沿いには随所で、我が物顔のカラスが屯していました。


陸橋が続く自転車道、右上は利尻岳

湾内大橋から鴛泊港ズームアップ、奥は礼文島

 途中で、姫沼に寄ってみました。早朝でしたが、すでに観光バス2台にクルマ数台。案内の人に導かれたグループが3組ほど散策されていました。沼を一周する時間はなく、逆さ利尻富士を写す湖沼と森林・山の雰囲気を楽しんで、先へ進みました。
 自転車道を下って、道道108号線へ。海岸近くの海では、何やら海中を覗き込んでいる小舟が多数。ウニ漁のようです。海岸には、この朝干し始めたと思われる昆布。艶やかな輝きを放っていました(ふたつ下の写真)。宿に帰って、朝食です。


姫沼・逆さ利尻富士

高丸山への登山道

 朝食後、午前9時25分発のフェリーで礼文島へ向かいます。自転車代もバカにならないので、輪行して経費節約。鴛泊港から少し進んだところから振り返ってみると、利尻富士と自転車道が一望できました。こうしてみると自転車道は一見高速道路かと見紛うほどです。宿泊したのは、ちょうとその下付近、海岸沿いの集落でした。

利尻〜礼文フェリーから、横走する陸橋が自転車道
 朝日に照らされてくっきりと浮かび上がる利尻島を眺めながら、しばしの船旅で礼文島へ。到着すると、まずは一番のお目当て・桃岩を目指しました。港からすぐに登りとなりました。距離は短いものの、勾配はまあまあ。地図を見るとトンネル手前からは歩きと思っていましたが、右側から車道が続いており通行止めの表示はなかったので、そのまま進みました。自転車でかなり上まで行くことができ、上にあった駐車場から展望台まで歩いたのは5分ばかりでした。この道でも、3組・それぞれ20人ほどの団体が歩いていました。いずれも大多数が、当方より年長と思われる高齢の方でした。


一面、天日干しの昆布(利尻島)

桃岩へ登る人々(右手中央、縦につながる白い線状)

 桃岩周辺の展望は、あふれる期待を裏切らない光景でした。今回の旅で最も印象に残ったところのひとつです。草原状のなだらかな丘と急峻な崖。写真:下左、小さくてわかりにくいですが、海岸近くの駐車場に止まっている観光バスが点くらいなので、周囲の大きさがわかるかと。北方向には、平坦な礼文島のほぼ全容を見渡すことができました。元地灯台方面への遊歩道も魅力がありそうでしたが、時間がないと思わたので、そのまま引き返しました。やはりこの島の魅力は、遊歩道を歩いて縦断するのが一番なのでしょう。


桃岩展望台から猫岩方面

桃岩展望台から北へ

 唯一残念だったのが、この時間前後のみ利尻富士が雲に隠れていたことです。礼文島の草原から海の向こうにそびえる利尻富士の光景を一番の楽しみにしていたのですが、仕方ありません。
 トンネルまで引き返して、西海岸へ降りてみました。先ほど登った展望台付近からの眺めも素晴らしかったのですが、下から見上げる断崖の迫力も凄い。崖の上にいる人は、点にしか見えません。写真では毎度のことながら、うまく伝えられません。いつまでノンビリゆっくりしていても見飽きない光景でしたが、フェリーの時間もあり、元地漁港の行き止まりまで走って折り返し。海の色は、どこまでも碧く深く澄んでいました。


残念ながら、利尻富士は雲の中

猫台桃台から、桃岩右手を見上げて

 香深に戻ると、もうお昼。コンビニで補給食調達と思い港辺りをウロウロして見つけた食料品店のようなところに寄ってみましたが、パンもありません。店の人に尋ねると隣の漁協マーケットにあるとのこと。しかし、そこもあまり品揃いなく、少し補給食を購入して道道40号線を北上しました。町はずれで、この後よくお世話になったセイコーマートを発見(帰路に立ち寄り、品揃え多数)。東海岸で一服。この頃には利尻富士も全容を現してきました。


東海岸で一服、利尻富士が姿を現した

スコトン岬、霧で海鱸島見えず

 道道40号線を追い風に乗って北へ。この道も交通量は少なく快適。小高い丘(ここで二人の外国人自転車乗りとすれ違い)を超えると船泊。ここからさらにスコトン岬を目指しましたが、行く手の稜線は雲の中。たどり着いた岬も、観光客が多く、霧のため極近くしか展望がなかったので、小休憩のみで引き返しました。途中、桃岩方面への遊歩道に続く道と思われる分岐を確認しました。


久種湖の向こうに利尻富士が

金田ノ岬手前から船泊方面

 引き返して、今度は船泊を経由して、金田ノ岬へ。途中、久種湖の向こうに、桃岩では隠れていた利尻富士が姿を現していました。道と手前の山の関係で、利尻富士が見えるのはピンポイントだったようです。金田ノ岬手前からスコトン岬方面を見ると、こちらもいつの間にか晴れあがっていて、先程は見えなかった海鱸島がくっきりを姿を現していました。ありゃ、あんなに大きな島だったのかと思ったくらい(写真なし、実は今回のツーリングの写真、手違いで抹消してしまい、今回掲載の写真は、いずれもブログにアップしたものです)。


金田ノ岬を回って東海岸、丘の上の礼文空港は閉鎖中

ノシャップ岬を回って、稚内港手前

 金田ノ岬を回ると、それなりの向い風でした。東海岸で、これまた当方より年長と思われるランドナー乗りとすれ違いました。時間的余裕ができたので、のんびりと香深へ向かいました。町手前で、先ほどのセイコーマートに立ち寄り。この後、毎日のように利用しましたが、スーパーのような生鮮食料品もたくさん扱っていたのが印象的でした。
 フェリーは、翌日に備えて予定よりひとつ前の利尻周りに乗りました。稚内到着は19時前。西の空は、まだまだいい天気を思わせましたが、翌日の天気予報は雨。

  3日目  稚内から紋別まで

コース    稚内−豊富−浜頓別−枝幸−紋別
走行距離    約230キロ   積算標高差 1000m
最高地点    ほぼフラット
走行日など    2015年 7月22日    天候:雨のち曇り   ロード(GIANT TCR)
 利尻・礼文を走った後は、どうするか。上述のように、できるだけ走ったことのない道を走りたい。で、オホーツク沿いを走ることを考えたのですが、今度はちょうどいい地点に適当な宿泊地が見当たりません。結局、この日の予定は稚内から内陸(宗谷岬は30数年前に走っているので)を走って浜頓別に出て、後はひたすら海岸線を紋別まで230q。鎖骨骨折以来、100q走るのもやっとやっとの状態だったので、一抹の不安がありました。荒天の場合は輪行もありですが、廃線が多くなり、継続している路線も便数がとても少なく、利用は無理っぽい。まあ大きな峠はないので、早朝に出発して平均時速20qで暗くなる前に到着できればいいや、と考えていました。

走ったコース
     
                                       道道121号線沿いに広がる農耕地

 しかし、早朝起きてみると予報通りの雨。長距離なので、せめて午前6時には出発と考えていましたが、その時間は雨脚が結構強く、結局小康状態になった時を見計らって午前8時前に出発となりました。まずは近くのセイコーマートで、この日一日分の補給食を購入。店を出たところ、私の自転車をしげしげ見ている雨具にリュック姿の方。昨日利尻富士に登ってきたとのことでした。今日は帰路、というその方と少しばかり立ち話。そんなことでも雨で落ち込んでいた気分も少し晴れるので、不思議なものです。
 2008年に稚内空港へ向かった国道238号線を7年ぶりに少し走って、道道121号線へ。ここで驚いたのは、4車線の国道からのT字交差点に信号がなかったこと。道道121号線の交通量が少ないので、これでも大丈夫なのでしょうか。


道道121号線沿い、刈り取られた牧草

道道121号線沿い、波打つ畝

 道道121号線は予想通りの、ゆるやかなアップダウン、周囲には広々とした牧草地帯が広がっていました。時折ダンプも通りましたが、交通量は少なく道幅広く路面状況も良好でした。これで天候さえ良ければ最高だったのですが。時折やや強くなるものの、雨は霧雨程度。これ以上日焼けしなくていいや、と前向きに考えながら走行です。
 立ち止まって撮りたい風景もあちこちにありましたが、雨のために通り過ぎてしまうことが多くなりました。丘陵に波打つ牧草地や畑は、前年エタップで走ったPau郊外の雰囲気にも似るところがありましたが、異なるのは、向こうの風景はおそらく100年単位で作られてきたもので、周囲に残る森にもなんらかの人の手が加わっているように見えたのに対して、こちらは高々100年程度。周囲には手つかずの原生林の間に開墾された地が広がっていること。


道道121号線

クッチャロ湖、南端付近

 豊幌で左折・道道84号線へ。T字交差点にあった廃屋の軒下で雨宿り・補給休憩。立ち止まってみると、そこそこの雨量でした。道道84号線も幅広い2車線の道で、舗装状態も121号線同様極上です。しかもほとんど交通量なし。サイクリングには最高の道ですが、雨が・・・。
 浜頓別手前まで民家はおろか何らの建物さえなく、雨を凌ぐ場所は皆無でした。当然、自販機もなし。冬場を考えれば当然でしょうか。多少のアップダウンはあるものの、勾配は緩やか、周囲は深くはないものの原生林が続きます。好天なら気持ちのいい道なのでしょうが、小雨では立ち止まって写真を撮る気にもならず、この区間は一枚の写真も撮りませんでした。


国道238号線、浜頓別の少し南

旧道で神威岬へ

 クッチャロ湖の南端をかすめて、浜頓別には正午過ぎに到着。ほぼ40年ぶり(1977年、中頓別から宗谷岬へ)なので、町の記憶は全くなし。まだ90qで、1日の行程の半分にも届きません。ここからは国道238号線、オホーツク沿いに南下です。少し雨が小康状態となり、路面も乾いてきました。しかし、このまま最後まで雨が降らないということはないだろうと予想。
 国道238号線はあまり迂回する道がないので、神威岬の旧道を走った以外は、ほぼ国道で南下しました。意外だったのは、海岸際を走るとばかり思っていたのに、少し山手側の丘陵地を走ることが多かったことです。南に行くしたがって、道沿いには牧草地や畑も目立つようになってきました。何処だったか、再び降り始めた小雨の中、牧草地に親子と思われる3匹のシカ。


神威岬

シカ(エゾシカではないようです)が、こちらを

 その後、再び1時間余りしっかり雨に降られましたが、最後の2時間ほどは雨も上がって、路面も完全に乾いてきました。18時半前に紋別到着。乾いてはいたものの、衣服も自転車もかなり汚れていたのでちょっと躊躇われたが、ホテルの対応は素晴らしく、自転車も建物内に置かせてくれました。見ると、もう一台ツーリングらしき自転車がありましたが、持ち主とは出発まで出会えませんでした。とりあえず一日の後片付けを手早く終えて、ビールを飲んだら撃沈。

  4日目  紋別〜網走〜北見

コース    紋別−サロマ湖−能取湖−自転車道−能取岬−網走−北見
走行距離    約170キロ   積算標高差 1000m
最高地点    道道104号線の峠 (標高200m)
走行日など    2015年 7月23日    天候:晴れ・曇り   ロード(GIANT TCR)
 この日は、前日より60q近く走行予定距離が短いので、ちょっと余裕がありました。それでも170qですが、北海道の道は、峠があっても勾配が緩やかなのと、信号が少ないので、普段より2割くらい多く走れる感覚です。

走ったコース
     
                                    サロマ湖湖畔にて 自転車の上付近が海との開口部

 夕食だとしても十分と思われるくらい地元食材をふんだんに使った朝食をたっぷりいただいて、前日とほぼ同じ午前8時前、霧中の紋別を出発しました。この日の天気予報も芳しくなく、到着予定地の北見地方だけが午後から雨。
 街郊外で、オホーツク流氷センターを左手に見ながら国道238号線を南下。赤い船腹が見えるのは、砕氷船でしょうか。道は昨日同様、地図で見る印象より少し海から離れたところを走っており、周囲には畑が広がっています。向こうに見える黄色い花が何だろうと寄り道してみましたが、結局その花の傍まで辿り着けず。翌日に走った遠軽〜白滝付近でも同じような畑を見たところ、どうも菜の花系統の残り花のようでした。ラベンダーもちょうど満開。


紋別郊外で、流氷センターと砕氷船

ラベンダーが満開

 40q弱走って、サロマ湖の西端に到着。前日からのオホーツク海に沿って走る国道238号線には何ヶ所か道の駅がありましたが、夏というのにいずれも閑散としていたのが意外でした。サロマ湖の道の駅も同様でした。今回驚いたのは、札幌の宿泊がとても予約しにくかったことです。海外からの観光客増加もあるそうですが、私が走ったコースは主な観光コースから外れていて、人が少ないのでしょうか?
 計呂地では、廃線跡の計呂地駅公園にC58が。宿泊設備もあるようです。小休憩。ありがたいことに水道を見つけて、水補給。北海道に限らず、昨今、公園などでもなかなか水道の蛇口が見つからない、と思うのは私だけでしょうか?


サロマ湖にて、右手に海と繋がる部分が見える

計呂地駅公園

 進むにしたがって、予報に反して青空さえ見えるようになってきました。サロマ湖は地図の通り砂嘴が東西から伸びているのが、対岸からも肉眼でも確認できました。この日のトップの写真、自転車のちょうど上辺りが海とつながっているところ。湖畔沿いの道でしたが、道央や道東ほどの広大さはないものの、北海道以外では見られない丘状農地を見ながら東進しました。


国道沿いに広がる麦畑

サロマ湖、東側から

 サロマ湖の東側では、湖に沿って国道238号線から道道442号線へ左折しました。この分岐は迷いませんでしたが、交通量が減ったので気分良く走っていたら、砂嘴への分岐は見逃してしまいました。まあ、原生花園の花も最盛期は過ぎているだろうと、そのまま常呂方面へと進みました。すると道道442号線に並走して、立派な自転車道が出現しました。道道442号線自体も交通量は少ないので、自転車道が荒れたところでは本道に入ったりしながら、常呂手前で再び国道238号線へ。ちょうどお昼だったので、またまたセイコーマートのお世話になりました。小高い丘から振り返ると、常呂の町の向こうに走ってきた海岸線。


道道442号線に並走する自転車道

常呂の街、北へ海岸線が続く

 常呂を過ぎて能取湖に至る手前から自転車道があることは、事前に把握していました。国道を走るよりはいいだろう、入り口がわかるかな、と思いながら進んでみると、立派な看板があり迷うことなし。
 そこから進んでみたオホーツクサイクリングロードは、写真のようにいきなり素晴らしい展開でした。廃線跡利用らしいです。左手にはオホーツク海、右手には小麦や牧草の農地が丘状に広がっていて周囲の景観は極上、路面状況も非常に良好です。クルマが通る心配は全くないので、キョロキョロしながらでも安心して走れる。もう言うことなし。


オホーツクサイクリングロード、国道入り口

オホーツクサイクリングロード

 能取湖に沿う辺りになってもその状況は変わりません。国道238号線がすぐ右手を走っているのですが、クルマの気配もほとんど感じられません。写真:下左のように、左右から繁った木々がなす木洩れ日の部分も多数あり。快適!少し進むと、左手には能取湖一望。写真:下右のように、アヤメ?ショウブ?の大群落も。後方に見えるのは、この後訪れた能取岬方面です。残念ながら自転車乗りは非常に少なく、出会ったのは休憩中の西洋人女性一人と、どう見てもレンタル自転車と思われる人の二人のみでした。


木々のトンネルとなったサイクリングロード

アヤメ?の大群落、後方は能取岬

 卯原内では9600が展示されていました。四国では真っ先に、全国でもその姿が次々と消えていた1970年代始め、九州と北海道には、まだまだ多くのSL機関区が残されていました。当時中学生だった私は、SL撮影のために北海道は高校生のうちにぜひ行きたいと思っていたのですが、実現できませんでした。その時期に北海道を訪れていたら、今の人生変わってたかも。
 それほど期待もしていなかったのですが、この自転車道には利尻島の自転車道以上にちょっと感激。前年 Col D'Aubisqueへ向けて走ったルルド郊外の廃線跡を利用した自転車道にも、道も周囲の景観も決して負けていないと思ったほどです。


サイクリングロード卯原内 9600

白樺のトンネルも

 オホーツクサイクリングロードを20qほど存分に楽しんで、名残惜しくも能取岬へ向かうために道道76号線へ左折。ところが、この道も、そこまでの自転車道に勝ると劣らない走る楽しさを感じさせてくれる道でした。まずは、満開のソバ畑。まるで自転車道がそのまま続いているかと思うほど交通量はありません。道は幅広い2車線。道も景観も、独占しているかのような状態が続きます。天候も予想外に良くなって、鼻歌交りで快走(速くではなく快適に)。行く手には、目指す能取岬が近づいてきました。


満開のソバ

能取岬へ

 道周囲は、2013年に走った知床ほどの原生林ではないものの、今回ここまで走ってきた道の中では、両側に繁る木々が大きく深い。おっ、何かが道を横切りました。見慣れない形状だなと思ったところ、すぐその先の道脇にもう一匹いました。リス、エゾリスではなくシマリスでした。しっぽを立てて走っていった姿が、小さなダチョウが後ろ向きに走っているかのように見えたのでした。
 海岸線に出るところで振り返ってみると、サロマ湖同様、ピンポイントでオホーツク海と繋がる能取湖の東側砂嘴。写真:下右、右手がオホーツク海、左手にチラッと見える水面が能取湖、横走するのが東側から伸びる砂嘴です。


自然林の中を走る道道76号線

振り返ると能取湖の砂嘴

 さあ、能取岬まで、あと一息です。
 岬への道に左折すると、10年程前に子供たちを連れてやってきた時は、まだ未舗装だった道も舗装されていました。振り返ると能取湖から走ってきた海岸線の道が一望できました。14時、能取岬到着。草原上の高台に立つ白黒の灯台を、さらにやや高めの位置から見下ろすことのできるアプローチの眺めは、静かな広がりを持って、とてもいい雰囲気でしたが、うまく捉えられません。


能取岬まで、もう少し

能取岬灯台

 ふと右手を見ると、海の向こうに知床連山。 予想もしていなかったこの光景に、一人、満悦。しかし、いつまでも留まっているわけにもいかず、午後から北見方面は雨との予報もあり、再び道道76号線に戻って網走方面へ向かいました。
 網走の街中で、前方にMTBなどに乗った10名ほどの若者グループを見つけたので、追いついて声をかけたところ、英語で話しかけて、とのこと。てっきり日本人・大学生と思っていたら、香港から来たとのこと。これからホテルに帰るという彼らと別れ、刑務所前も素通りして、町外れの大曲橋で、能取湖沿いで走った自転車道に今度は逆向きに入りました。

海の向こうには知床連山

大曲橋からサイクリングロードへ

 国道238号線と交差しながら網走湖畔を5qほど走ったところで、北見へ向けて道道104号線へと左折。
 しばらくは思ったより多かった交通量も次第に減り、周囲には畑が広がってきました。やはり北海道の風景はこれだよなあ。さらに進むと畑もなくなり、緩やかながらも標高200mほど登って下ると(非常に広い道でした)、緋牛内で国道334号線に右折。国道を外すため、すぐ左折して道道556号線で北見市街を目指します。


サイクリングロード、網走湖畔

道道104号線沿いの畑

 この道(手持ちの地図では道道1024号線と表示されていたが現地では556号線となっていた)が、また私にとっての北海道を感じさせられる農地風景が広がっていて、進んで大正解でした。西側に主要国道が並走するため交通量は予想通り少なく、アップダウンがありますが、それゆえに周囲の光景は変化にとんで、また遠方まで見渡すことができました。


道道556号線沿いの麦畑

道道556号線 北見市街手前で

 少し雲が広がってきたものの、結局雨には全く降られず、17時過ぎに北見に到着できました。
 この日は少し余裕があったので、一日の後片付けの後、街をちょっと散策。いくつか美味しそうなお店もありましたが、結局宿すぐ横の居酒屋で一杯。帰路の航空機内の雑誌で、近くに老舗の模型店があったり、焼肉屋が人口比で非常に多いことを地元放送で知ったのも後日談。

  5日目  北見から上川へ

コース    北見−武士−遠軽−北見峠−上川
走行距離    約135キロ   積算標高差 1400m
最高地点    北見峠(標高850m)
走行日など    2015年 7月1日    天候:曇り/晴れ   ロード(GIANT TCR)
 この日の予定は、北見から遠軽方面に向かい北見峠を越えて上川まで。宿泊は札幌。時間の都合で、上川以降はどうするか未定でした。列車の便数がとても少ないため、上川発旭川行きは正午過ぎと14時過ぎ、最後は16時過ぎと3本のみ。北海道地方空港便もそうですが、JRも札幌―旭川(小樽・千歳)以外は便数が極めて少なく、思い立って輪行というわけにはいきません。なによりも、廃線になってしまったところも多数ですから。

走ったコース
     
                                       国道333号線、北見峠への登り

 早く出発すれば、ひょっとしたら正午過ぎの便に間に合うかもしれない。そうすると、その後の余裕ができ、ちょっと寄り道もできるかもと思っていましたが、結局出発は午前6時になってしまいました。この日も北見・上川地方は午後から不安定な天気という予報でした。朝霧の道道7号線で北見郊外に向かいましたが、郊外に出る前の市街地から多少のアップダウンありました。
 郊外へ出ると、緩やかな登り道になりましたが快適。ところが国道333号線に入った途端、交通量がグンと増えました。まだ午前7時でしたが、大型ダンプやトラックが次から次へと脇を走っていきます。これは予想外。3桁国道だったので、交通量は少ないとばかり思っていたのに。道周囲には、昨日も北見郊外で見たのですがが、タマネギ畑だらけ。タマネギというとゴンさんらが住む淡路の印象が強いのですが、どうも生産量ではこちらが日本一らしいです。


タマネギ畑が広がる

新佐呂間トンネル

 途中、仁頃・佐呂間と2か所のトンネルがあります。地図上で旧道と思われる迂回路を確認していたので、そちらへ進む予定でしたが、いざ到着してみるといずれも閉鎖されて通行止め。旧道は分岐部から雑草に覆われていて、そのまま新道へ進んで上方から見下ろすと、途中は崩れて消滅していました。新佐呂間トンネルは4q近くあります。幸い進行方向は緩い下りでしたが、とにかく交通量・大型車も多く、生きた心地がしませんでした。今回のツーリングで唯一ストレスの多かったところ。なんとか無事脱出して一安心。ところが、若佐の交差点を右折した途端、交通量は激減しました。国道333号線のままなのに、先ほどまでのクルマはみんなどこへ消えたのでしょうか。
 若佐・遠軽間にも長いトンネルがあり、ここも旧道は通行止めかと思っていましたが、幸いこちらは新道が自動車専用となっており、自転車は旧道を走行可能でした。かなり荒れているのではないかとか、クマが出てきても助けの呼びようがないなあとか、ちょっと心配でした。しかし、交通量は皆無だったものの、路面状況は上等、クマにも遭遇しないまま無事通過できました。


小麦畑が広がる

若佐・遠軽間の旧道・旭トンネル

 下って新道に合流して、まるで高速道路のような広い立派な道を下りきると遠軽郊外です。市内に入る手前で左折して、北見峠方面へと向かいます。
 丸瀬布の駅で一休み。地元の方が掃除をされていました。時刻表があれば再確認と思いましたが、見当たりませんでした。ちょうど遠軽方面行の列車が入ってきたので一枚撮影。白滝を過ぎると、今回のツーリングで唯一の峠らしい峠・北見峠への登りです。この道は並行する自動車道があるので、きっとクルマは少ないだろうと思っていましたが、その通りでした。気温が上昇して、逃げ水も。勾配はきつくて6%程度。元気な頃なら楽々コースですが、それでさえも一桁走行。雲が多くなってきて時にチラッと雨がぱらつきましたが、本降りにはならずにすみました。


丸瀬布駅

国道333号線 逃げ水

 勾配はそのままで、まだしばらく登りが続くかと思っていたら、全く峠らしくないところに大きな看板があり、そこが峠でした。展望も全くありませんでした。少し下ったところに、自動車道ができる前は賑わっていたのかもしれないドライブイン様の建物がありましたが、当然閉鎖されていました。
 そこからは上川まで下りのみ。途中、森林の中から、列車の通過する音が聞こえました。最速なら間に合ったかもしれない、正午過ぎの特急だったようです。峠を越えてからは、天候回復、気温上昇。下りなのにスピードは上がらず、暑いのみ。 横を流れる石狩川の支流を、時折覗き込みながらゆっくりと下りました。上川から旭川までは50q弱あり、これまでに3度走っていることとあまりの暑さに、旭川まで走ることは断念。さらに深川辺りから下車して、雨竜のひまわり畑に向かってみることも断念。これだけが、今回のツーリングで思い残すところです。

 上川では14時過ぎの列車まで1時間以上あるなあ、ちょっと食事もできるかなんて考えていましたが、スピードがどんどん遅くなって、結局1330分前に上川駅到着。ゆっくり輪行仕様として、切符を購入。旭川からやってきたのは、一両編成のワンマンカー。ミニベロを持ったひとりと、輪行袋を抱えた中国人らしい親子3人連れが最後に降りてきたのと入れ替えに、大勢の通学の高校生と一緒に乗り込みました。


北見峠

上川駅構内

 デッキでいると賑やかな高校生の一人がやってきて、「座るとこありませんか、相席でよければどうぞ」と声をかけてくれました。4人掛けのボックスに3人の女子高生に囲まれて、ちょっと落ち着かないオヤジ。いろいろ話かけてくるのかと思ったら、彼女らはそれぞれの話に夢中。あんな時代もあったなあ、あっという間に40年だと思いながら、ソバ畑や水田の広がる車窓も楽しんでいると旭川に到着です。
 旭川で乗り換え。駅舎が新しくなっていて、ちょっと驚きました。乗る度に快適と思う特急で、札幌には17時前に到着。上川では暑かったですが、札幌駅を出ると思いの外、涼しかったです。一服後、20時過ぎから今回の旅の一番の目的だった息子と沢山飲んで話して、一日終了。

  6日目  最終日

 翌最終日。当初は帰路の航空機の時間まで、午前中だけでもどこか走ろうと2、3コースを考えてもいましたが、予報通り朝から曇天で、小雨がパラつく次第。早々に走ることはあきらめて、札幌駅周辺を散策して、輪行のまま帰路へとつきました。


北海道大学 ポプラ並木

 さて、今回のツーリングで一番印象に残ったのは、旅する若者の少なさ(私の設定コースが若者受けしないだけかもしれませんが)。昨今、若い人たちはみんな目の前のことに忙しすぎて、余裕がないのでしょうか?それに反して、数少ない出会った自転車乗りは、私より高齢と思われる方と海外からやって来られた方ばかり。札幌では朝1時間ほどの散歩でしたが、有名どころは日本人より海外から来た人のほうが多いようでした(ホテルも同様)。それと、札幌―旭川間を除く地方の鉄道衰退でしょうか。なんだか日本の現状・これからを垣間見たように思えました。

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