海洋堂ホビー館・四万十 と 西土佐の道
 狭い四国ですが、東端に位置する徳島市からだと愛媛県や高知県の西南部までは結構距離があり、自転車で走ろうと思ってもアプローチだけでもかなりの時間がかかります。そのため、四国西南部にはまだまだ未訪の走ってみたい道が沢山あります。今回の目的は、そんな走ったことの無い高知西南部の道を訪れてみようということがひとつ。もうひとつは、以前からチラッと気になっていた四万十川上流の辺鄙なところにある海洋堂ホビー館・四万十を訪問してみようということでした。海洋堂ホビー館に行ってみたかったのは、特にフィギアが趣味というのではなく、ちょっと興味があってという軽い気持ちからです。そんな辺鄙なところにあって、訪れる人はいるのだろうかとか、地域においてはどんな存在なんだろう、などという好奇心もありました。  (2012年 6月23日 記)

県道320号線、阿和−土佐久礼間にて
コース  須崎−志和−窪川−海洋堂ホビー館−旧中村北部−土佐佐賀−野地−窪川−吉野−須崎
走行距離   一周 約190キロ   積算標高 約2200m
最高地点   県道55号線・峠付近 (標高360m)
走行日   2012年 6月 3日    天候:曇り    PINARRELO PARIS
 当日、遅くても午前5時には家を出ようと思っていましたが、出遅れ。さらにETCカードを忘れたことに気付き、結局午前6時出発。徳島市内の天候は晴れでしたが、高速道路を西に向うに従って天候は下り坂。高知県に入ると路面も濡れていました。モチベーション急降下。太平洋側に出たら晴れているかも、との期待も虚しく、さらに小雨の追い討ち。まあ、いいか、海洋堂訪問だけでもいいや、と開き直りました。
 デポ予定の須崎郊外・阿和に到着したのは、ほぼ予定通り午前8時半前。ところが、ここで地図を見て確認していた県立公園とやらが見当たりません。公園なら駐車場があるだろう、デポ地はそこと考えていたのですが。結局、県道320号線に入ってすぐの道脇の広場にデポ。すっきりしない天候の中、大降りにはならないだろうと、8時40分にスタートしました。

中岬から志和の海岸

県道326号線から志和の港
 まずは海沿いに沿った県道320号線で土佐久礼まで。この道はほとんどクルマも通らず快適でした。四国ならいくらでもありそうで実はあまり無い、切り立った海岸線沿いにへばりつくような道(写真:トップ)が続きます。余分な建物もなく(1ヵ所ゴミ処理場あり)、曇天だったので海の色もいまひとつでしたが、晴れていれば海の青がとても美しいだろうと思える道でした。初めて走る道はやはり楽しいなあ、と思いながらノンビリ進みました。
 土佐久礼は2011年2月に高速道路開通記念TTで訪れたところ。県道320号線からごちゃごちゃした街中(ああ、ここ記憶にあるなあ)を通過して、TT前にウォームアップに走った県道25線に進み南下。当初は幅広い2車線の道が続いていましたが、志和手前の・中岬前からは細い1車線になりました。岬前後は100mほどの小さな峠。地図上では海岸線に沿った道なのに、どんどん登っていくので、一瞬、道を間違えたかと思いました。

四万十川、沈下橋 1

四万十川、沈下橋 2
 志和は小さな港町。狭い路地に沿った街並み(立派な造りではありませんが)は趣きがありましたが、写真なし。地元の方以外はさほど訪れる人はいないように思えましたが、県道326号線への分岐をはじめ、その後は窪川への距離などが随時表示されていて、随分助かりました。
 志和から窪川に向けては、峠をひとつ越えます。相変わらず1車線の細い道でしたが、勾配はさほどきつくなく登るに従って志和の町が下方へと遠ざかっていきました。標高350mほどの峠の海側は如何にも峠を登るといった曲がりくねった登り坂ですが、峠を越えると意外にも平地が広がっていました。水田も多く、2車線の広くまっすぐな道になりました。この海からすぐ登るものの登った内陸側は平地が広がっているという地形は、以前に訪れた宇和町辺りと似ているように思われました。県道325号線で追い風にも助けられて、窪川へ。

JR予土線・打井川駅

海洋堂ホビー館・四万十、外見
 窪川からは国道318号線(1977年頃に走って以来30数年ぶり)で四万十川に沿って走ります。窪川の街外れで「海洋堂ホビー館まで20km」の大きな道路標識を見つけ、おお結構メジャーなんだと驚きました。国道318号線は、幅広い2車線の非常に立派な道でした(30数年前の記憶は全くなし)。ここでも追い風に助けられ快走でしたが、帰路は一部ここを逆走する予定だったので、ちょっと心配が残りました。
 途中、四万十川の情景として有名な沈下橋を見つけ、写真撮影。旧中村市から大正町付近までが多いのかと思っていた沈下橋ですが、今回のルート上でも、いくつかの沈下橋を見ることができました。

へんぴなミュージアムに、ようこそ!

内部、全容(入りきりません)
 JR予土線・打井川駅で県道55号線に移りましたが、ここにも大きな表示がありました。ここでクルマからMTBを降ろしている親子と遭遇。子供さんは小学校低学年くらいかと思われました。お父さんはクルマの中で準備をしていたようですが、表にいた子供さんとニッコリ挨拶。彼らもホビー館へ向うのでしょうか?しばらく進むと道は1車線の細く曲がりくねった道になりましたが、随所に「ホビー館→」の表示があり、目的地には迷うことなく(表示が無ければおそらくこの先に本当にあるのだろうかと不安になること間違いなし)お昼前に辿り着くことができました。

海洋堂ホビー館・四万十、写真右上の階下

恐竜からウルトラマンまで
 冒頭にも書いたように、フィギア関係に深い造詣があるわけでもなく、ほんのちょっとした興味本位だったので、果たして非常にディープな世界で場違いだったらどうしようかと思ってもいました。が、山奥の変なミュージアムに訪れていたのは、20名弱。20歳代と思われる方から70歳を越えていると思われる方まで、極めて普通っぽい人ばかりで一安心しました。入場券を買って、内部へ。

食玩&ミニチュアフィギアのコーナー

海洋堂ホビー館・四万十、正面玄関
 閉校となった小学校の体育館を利用した内部には、1960年代の私が親しんでいた頃のプラモデルやウルトラマンはもちろん、様々なアニメ関係のフィギアから恐竜まで、興味のある人ならきっと垂涎もののフィギアが多数陳列されていました。訪問前から一番興味があったのは、食玩と呼ばれるミニチュアフィギアでした。日本の昆虫や鳥類、魚類などをはじめ、戦車などミリタリーものなど、ジャンルを問わず、見ているだけで楽しくなる世界でした。そうそう館内では出会いませんでしたが、屋外に出たところで先ほどであった親子のMTBを見つけました。

県道55号線沿い、棚田

国道439号線と県道332号線の分岐手前
 小一時間ほど楽しんだ後、ホビー館を出て県道55号線を進みました。ホビー館は打井川小学校跡を利用しているのですが、ここから奥には峠まで3軒ほどの民家を見たのみ。緩やかに登る川沿いの狭い谷には、峠手前までよく整備された棚田が続いていて、休耕田や放置された田畑がほとんどないのには驚きでした。
 峠を越えて少し下ったところで県道367号線に進み、国道439号線へ出ました。国道439号線も1980年以来、32年ぶり。旧中村まで随分山の中の細い道を走ったような記憶でしたが、現在は国道318号線同様、幅広い2車線の道になっていました。当初の予定では旧中村市街に出る手前で県道332号線へと左折して北上する予定だったのですが、100kmマラソンスタート地点の大きな看板を横目に332号線に入ったところで「この先道路崩壊、全面通行止め、迂回路なし」の表示。

県道337号線、たばこ畑

県道337号線、アジサイが満開
 ちょっと考えた末に予定を変更して、県道337号線で国道56号線へと出ました。上の2枚の写真は、いずれも337号線沿いにて。この道もクルマがほとんど通らず、満開のアジサイも好みの爽やかなブルーで心地よく走れました。
 しかし、国道56号線はクルマが多くとても走りづらい。おまけに東南方面は真っ黒な雨雲に覆われていて、小雨が降ってきました。その後のルートを考えながらも、雨雲から逃げるのが先決と国道56号線を窪川方面へと進みました。途中から県道55号線で再び打井川方面に戻るルートも考えましたが、標高600m近い峠を越えてさらに走る余裕がないと思われたのでパス。土佐佐賀まで走ったところで、そのまま国道56号線を走るのもなんだかなあ、と走ったことのない県道329号線で家地川方面へ向うことにしました。300番台の県道は、いずれも交通量が少なくて快適でした。この道は、土佐くろしお鉄道が併走していました。鉄道が窪川に向ってかなり山を登るようなルートであること、1ヵ所県道329号線とクロスする前後には、トンネル内のループがあることも、帰宅後地図を見て初めて知った次第です。

土佐くろしお鉄道、伊与喜駅

県道19号線沿いの四万十川と水田
 野地で再び国道318号線にでました。前述のように、帰路は予想通り向かい風となりましたが、なんとか窪川手前に到着。時間も押し迫っていましたが、当初予定の県道19号線で大見野まで回り道をしても18時までにはデポ地に到着できそうだと判断して、四万十川沿いに左折。天候も回復して、川沿いではちょうど時期の田植えの風景を楽しみながら北上。
 大見野で県道41号線に乗り換え。久礼に出るまでに小さな峠がひとつあるのですが、ここも大見野側からだと少し登るだけ。峠からは太平洋の展望があるかと期待していましたが、全くなし。おまけに二桁県道でしたが、この下りは鬱蒼と繁った林の中で薄暗く、曲がりくねった上に路面もやや荒れ気味。下りでも全くスピードを出すことはできませんでした。ここで、この日二組目の自転車乗りと遭遇。PINARELLOの新しい自転車に乗った方がゆっくりと登っていかれた後、今度は緑のスチールフレームに乗ったおそらく当方と同年代くらいと思われる方が、かなりいいペースで登っていかれました。もう17時も過ぎていたので、地元の方でしょう。練習コースでしょうか?下りきったら、デポ地と思っていたのですが、勘違い。後10kmほどで、小さな峠がひとつ。国道56号線はあまり走りたくなかったのですが、旧道への分岐部に気付くことがなくそのまま直進。トンネルを抜けると後は下り坂でデポ地に無事到着。

 ところで今回のサイクリング、四万十川の中流域を楽しむ、ことも当然期待していました。四国の清流として全国区になっている四万十川ですが、川周辺の風景はともかく、川の水は少し澱んでいました。吉野川や海部川のほうが水はきれいかなあ、とも思いましたが、5月以降降雨量が少なかったためかもしれません。滅多に訪れることができない地域なので、ついつい欲張ってしまいましたが、今回走れなかった県道322号線を含めて、また走りに行きたいと思っています。数度で細切れに走っているこの地域ですが、今回国道56号線を走りながら、横を走る土佐くろしお鉄道を見て、窪川辺りまでクルマ、その後片道走って、復路は輪行というのもいいかもしれないと思いました。

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