柏島へ  −1日目−
 
 初めて柏島を訪れたのは1980年のことですから、もう40年も前のこととなりました。その時は観音岩を見ることを目的に大堂海岸に立ち寄ったのです。午後遅い時間だったことと、その日のうちに宿毛からフェリーで九州へ渡ったので、柏島の印象は展望台から見た眺めだけが残っていました。15年前に再訪した時もよく似た状況でした。柏島の民宿に宿泊したのですが、到着したのは日も暮れ始めた夕方。翌朝は早々に次の目的地へと向かったので、今回の目的となった柏島の海の美しさについては全くノーマークでした。1か月ほど前にXXさんがブログにアップされていた写真を見て、柏島の海の透明度に驚き、これは是非再訪するしかないと思いました。うまい具合に3月の連休、仕事も余裕があり、天候も良好との予報で出かけてきました。柏島に到着するのは光線の良いお昼頃と万全の体制で向かったのですが・・・。   (2020年04月02日 記)

県道27号線 足摺岬手前にて
コース   平野ビーチ−県道343号線−足摺岬一周−県道21号線−県道348号線−平野ビーチ
走行距離   135キロ   積算標高 約1400m
最高地点   県道348号線峠 標高320m
走行日   2020年 3月20日   天候:快晴   GINAT TCR
 
 午前4時過ぎに自宅出発。時間節約で藍住ICから高速道路を利用します。2回の休憩を含めて、それほど飛ばすこともなく、デポ地予定だった四万十市(旧中村市)の平野ビーチには8時過ぎに到着しました。270qくらい、四国の端から端へ、結構遠いです。
 早速準備をして、8時20分過ぎにスタート。波はないのに、何人ものサーファーが海に入っていました(写真:左)。
 せっかくなので、四万十川河口にある下田の港まで回ってみました。もっと広々としていることを予想して海岸まで出てみたのですが、正面の海以外は東西とも意外と視界が遮られていました。
 河口近くから四万十大橋まで四万十川を遡上します。まず眼に入ったのは左岸に並走する竹島川(これも支流?)に設けられたノリの養殖(写真:下左)。少し走ったところで、四万十川の土手に出ました。自転車道らしい表示もありましたが、はっきりしません。写真:下右、行く先に四万十大橋が見えます。この橋を渡って、足摺岬へと向かいます。
 橋を渡ると国道321号線ですが、今回はできるだけこれまで走っていない道をコースに予定していたので、海沿いの県道343号線へと進みました。ツーリングマップルだったかに記載があった通り、この道、意外と海が見えるところがありません。見えると思った四万十川河口(下田の反対側)も見ることができませんでした。写真:下左から2枚目のような足摺岬方面が見えるところもほとんどありません。しかし、交通量が非常に少なく、ツーリングには快適です。沿道には、菜の花が満開、濃厚な香りを漂わせていました。写真:下右端は今回のツーリングで、道と同様に意識して撮った漁港の光景。おそらく海沿いの県道343号線が再び国道321号線に合流する下ノ加江港だと思います。

四万十川河口は見えず

足摺岬、遠望

菜の花が満開

下ノ加江港
 国道321号線。自転車で初めて訪れた1980年の2、3年前にも、免許を取ったばかりの友人とクルマでやってきたことがあります。香川からぐるっと一周、日帰り。高速道路もない時代でした。それ以来、中村(現四万十市)から足摺岬へ至る道は、細く曲がりくねった道が続いたと記憶していましたが、帰宅後15年前の記録を確認すると、15年前には既に大分道が拡張されていたようです。前2回の印象がよほど強く残っていたのでしょう。写真:下左、このような照葉樹林の植生がトンネルのように覆うところは、随分と少なくなっていました。写真:下右は、大岐の浜。ここも必ず写真を撮るポイントです。平野ビーチ同様、波がないのに何人ものサーファーが海に入っていました。
 上述のように、照葉樹林に覆われた道は少なくなっていて味気ないなあと思いながら広くなった国道321号線を進んでいたところ、以布利の手前で分岐を確認したので、県道27号線へと進んでみました。土佐清水市街からの県道347号線が合流するまでの僅かの区間でしたが、私が足摺岬への道、というイメージ通りの道が残っていました(写真:下右上2枚)。初めて訪れた頃は、中村付近からずっとこんな道だった印象が強いのですが、間違いかもしれません。
 土佐清水市街からの道と合流すると、再び2車線の広い道となりましたが、岬直前で一部の短い区間だけですが、写真:下左2枚のような昔ながらの道が残っていました。写真を撮っていると、道幅いっぱいに路線バスが通っていきました。足摺岬には11時過ぎに到着。ここまで60qほど。四国西南端のイメージが強い四万十市と宿毛市を結ぶラインから南の地域だけでも、随分と広いです。徳島市内から南へ向いて走ったとしたら、日和佐を超えるくらいの距離があります。
 左2枚 岬直前の県道27号線
 上   灯台への遊歩道
 右   足摺岬灯台
 足摺岬では、証拠写真程度の休憩で先へ進みます。写真:下左は、岬を回ってすぐのところ。大きな照葉樹林が道を覆う光景が南国を思わせてくれます。その後、尾根沿いの道もあるのですが、過去2回同様、海沿いの道へと進みました。尾根からの眺めもいいかもしれませんが、最近は登る脚がないのと、せっかくなので西南の海沿いを走ろうと思って。さらに新しい道はできるだけ避けて、海沿いの旧道を進みました。写真:下右を撮影した正確な場所は失念しましたが、荒々しい海岸線の左後方には九州本土が薄っすらと確認できます。この後、九州本土をずっと見続けることができました。高茂岬佐田岬を走った時もそうでしたが、この付近からも九州は随分近くに見えました。
 松尾トンネルもパスして大回り。距離は倍くらい長くなりますが、クルマはほとんど通らないし、なんといっても雰囲気がいいのです。15年前に走ったのがこの旧道だったかは記憶が定かでありませんが、40年前はこちらを走ったのに間違いありません。そういえば、新しい道があるのに。こんな細い旧道を、また路線バスが通っていきました。民家があるためと思われましたが、乗客はほとんどいなかったようです。さらに旧道を進んで中浜集落です。ここはジョン万次郎(足摺岬に銅像がある)の生地だそうです。写真:下右から2枚目は、旧道が終了して再び県道27号線に合流して、少し戻った中浜大橋上から中浜集落を見下ろしたところ。橋の袂には、じょんまんロードとの記載がありました。奥から真ん中に見える道を走ってきました。ジョン万次郎の生家(再現)は、向かって道左手・奥の橙色の屋根付近。土佐清水港には正午過ぎに到着。

旧県道27号線から

県道27号線 旧道

中浜集落

土佐清水港
 さて、デポ地までの帰路。上述のように結構広い四万十〜宿毛より南側には、中央部付近を走る道がいくつかあります。事前に2、3検討したのですが、今回は一番無難そうな東寄りのコースを選択しました。土佐清水市街を抜けたところで、予定していた加久見川沿いに右折。少しばかり交通量の多い国道321号線から一気にクルマの姿は消えて、川沿いの道(写真:下左)を、こりゃ快適だと進んだところ、突然道消失。あらら。確認すると、ひとつ左手(西手)が先に続く道でした。市道らしい道は、クルマの往来は極僅かのようで、細いアスファルト道上には杉などの枯葉も多かったのですが、やはり自転車でのんびり走るには、こんな道がいいですね。
 加久見川は緩やかで、すぐ横手を流れています。5qも走らないうちに、ふるさと林道にぶち当たりました。その手前には数軒の民家が見られましたが、2車線の広いふるさと林道を生活道として利用しているのでしょう。右折してすぐ、大岐トンネル。下って、国道321号線、大岐の浜のところへ再び出てきました。ここから5qほど往路と同じ道を逆走して、下ノ加江で市野瀬川に沿う県道21号線へと左折します。 ここも予想に反して広い2車線道で始まりましたが、まもなく旧道造りの1車線道に。

大岐トンネル

市野瀬川
 川に沿っているから平坦だろうと思っていた県道21号線でしたが、意外と微妙に登っています。ずっと川を眺めながらの道だとの予想は外れ、川面はいつの間にか随分と下方になってしまいました。右側は結構切り立っています。県道から川面まで70mくらいの落差ですが、木々が繁っているので視界は遮られるところがほとんどでした。写真:下左は、珍しく見晴らしが効いたところ。一番落差のあったのは、この少し手前です。
 川面が近くなってきたのは、道は下っていないので川面がだんだんと上がってきたためでしょう。今回、いくつかの川に沿う道を遡りました。ひょっとしたら、好みの川の光景が見られるのじゃないかとも期待していたのですが、この市野瀬川をはじめとして、何処も伏流することなく流れは続いているものの、おおっと唸るほど水質・情景は見られませんでした。降水量は多い地域ですが、山がさほど深くないためでしょうか。県道21号線は、写真:下右のような旧道然とした道がずっと続きます。ガードレールがなく木々もなければ、祖谷ほどではありませんが、右手は結構怖い崖です。中央部は苔むしていて、やっぱりツーリングで走るのは、こんな道が個人的には好みです。
 三原村の中心部に近づいてくると、意外にも周囲が開けてきました。宗賀という集落で県道46号線に右折。この辺りは、結構平地が広がっていて、圃場された水田が広い2車線道に沿って続いていました。何処も水が張られて、代掻きが行われているところも見かけました。カエルも合唱中。走っていると時々道沿いに「どぶろく」の表示を見かけます。確か以前にテレビで特集をやっていたなあと思い出しました。「どぶろく」は、三原村の特産品のひとつらしいです。

県道46号線へ右折

県道46号線沿い 三原村

県道346号線に左折
 2qほど進んだところで、今度は県道346号線に左折です。標高僅か300mあまりですが、本日唯一の峠区間です。今回走るにあたって、四国地方整備局のHPで通行止めなどを確認しようとしたら、3月27日までメンテナンスで見ることができませんでした。分岐部で道を確認していたところ、ちょうど4台のクルマが続けて曲がっていったので、通行止めはないと安心して進み始めました。
 ちょっと登ったところで、先程の4台が道脇に停車していて、乗ってきたと思われる数名の方が道脇でかがんで何やら探しているようです。どうも苔か何かの植物を探しているようでした。通り抜けることが目的ではなかったようです。
 道は、上下の写真のようにずっとこんな感じ。何処にでもある道じゃない、と言われるとその通りなのですが・・・。旧道ならではの緩やかな勾配の道を登りきると、切通は三原村と四万十市の境界。ここから、同じような細い道を森沢集落まで下ります。下の2枚の写真は、その間でのもの。落葉樹林帯もあれば、杉林もあり。
 森沢集落まで出た後は、中筋川の堰堤を走って、再び四万十大橋へ。渡っていると、ちょうど上流から二艇のカヌーが下ってきました。

中筋川

四万十大橋から、カヌーが下ってきた
 橋を渡った後は、往路とは異なる農道のような道を回って、デポ地の平野ビーチへ。到着したのは16時過ぎだったと思いますが、まだ多くのサーファーが屯していました。

柏島へ  −2日目−

大堂山展望台から柏島、沖ノ島
コース   道の駅すくも−県道28号線−下川口−貝ノ川−県道352号線−県道43号線−柏島−県道357号線−道の駅すくも
走行距離   115キロ   積算標高 約1400m
最高地点   大堂山展望台  標高230m
走行日   2020年 3月21日   天候:快晴   GIANT TCR
 2日目。午前7時30分、道の駅・すくもをスタート。まずは国道321号線を南下します。土曜日・朝早めの時間帯でしたが、大型ダンプやトラックも結構多かったです。途中、この年初めてツバメが舞う姿を見ました。
 5qほど走ったところで、県道28号線・下川口方面へ左折します。と同時に、交通量は激減。曲がると福良川に沿った県道は国道かと見間違えるほどの立派な幅広2車線です。もっと細い田舎道を予想していたのですが。
   上 国道321号線から県道28号線へ
   中 鏡のような福良川
   右 最初は新しく広い2車線道の県道28号線
 この福良川も前日の市野瀬川同様、伏流することなく一定の水量が流れているのですが、さほど見映えはしません。川底の石が白っぽいせいでしょうか。わかりにくいですが、写真:下右、奥のほうに桜の花が咲いているのが確認できます。この付近、山肌に点々と満開に近い桜の姿が目につきました。まだ新しそうに見えた(竣工平成7年となっていました)橋を2つ3つ渡り、直線化された2車線道が続きましたが、川沿いには旧道が残っていました。しかし、見ると新道との分岐部から荒れ放題で、とても通れるような感じではありません。橋の竣工年からみて、使われないと20年ほどでこんなに荒れ果てるのだと認識。その2車線の道は、まもなく細い旧道となりましたが、細いままの区間でも真新しいアスファルト舗装の部分が多かったのが、この県道21号線です(写真:下左)。
 民家はほとんど見られないなあと思っていたら、漸くあった1軒の庭先。いろいろな樹が植えられていて、花を咲かせたり新芽が出始めたり。左手のほうに見える10本ほどの落葉樹は落ち葉や枝が薪などに利用されるのでしょうか、隅々まで手入れが行き届いていました。この付近まで極緩やかに登ってきましたが、そろそろ峠に近づいて勾配も増してくるかと思っていたところ、その民家からすぐのところで、あっけなく峠と思われる土佐清水市と宿毛市の市境に到達しました。もう少し登ることを覚悟していたのですが。
 峠というほどでもないピークを越えると数軒の民家が見られましたが、こちらも周囲の手入れが行き届いていました。この県道28号線、民家の数から考えるとクルマの往来が多いように思えました。道は幅広くなったり狭くなったりしますが、比較的直線的で走りやすいことから、地元の人の間では宿毛と土佐清水を結ぶショートカットコースなのかもしれません。分水嶺を越えた南側の川は流れも小さく、民家があるためか少し濁っていました。そう思いながら5qほど下ったところで、分岐に出ました。左手に進むと、前日掠めた三原村へと続くようです。進む先は右手です。峠南側を流れる宗呂川は三原村からの流れが本流で、下ってきた県道21号線沿いはその支流でした。

花咲く民家の庭先
 
峠らしくないピーク
 
宗呂川支流、濁っている

三原村からの合流部
 ここでぐっと川幅が広がり、水量も少し増えます。下っていく(平坦に近い)と、また圃場された水田が広がっていました。水が張られ、カエルの声が響いていたのは、ここまで何か所もあった情景です。写真:下中上、奥の山際に旧道のガードレールが見えます。この左手にも川沿いにガードレールが続いていましたが、民家のある付近を除いて、おそらく通行不能だと思われました。写真:下左下は、大分下ったところにあった堰。対岸・写真の一番奥に魚道・農業用水取水口と思われる水路が確認できました。そこからほどなく海へ、下川口港です(写真:下中下)。ここまで20qほど。朝一番に走るには、緩やかでクルマも少なく、ちょうどいい道でした。
 下川口からは、次の分岐・貝ノ川まで3qほど国道321号線を走ります。その短い間に、片粕トンネルと歯朶ノ浦トンネルという二つのトンネルがあるのですが、地形図を見ると、いずれも旧道があるようなので、片粕の分岐で旧道へ進んでみました。ところが、小さな集落の外れで通行止めの表示。封鎖はされていなかったので進んでみたところ、100mばかり先で、歩いてなら進めそうな程度の状況になってきました。進めそうにも思いましたが、その後の予定も考え引き返しました。仕方なくトンネルを抜けると、西側出口の旧道分岐部はもう少しましだったので、ひょっとしたら抜けられたのかもしれません。歯朶ノ浦トンネルも同様、東側は草ボウボウで、西側はアスファルト舗装が残っていました。
 左   国道321号線
 右3枚 旧道へ進んでみたものの・・・ 
 貝ノ川で県道352号線へと右折します。県道28号線が意外と快適な道だったので、尾根ひとつ隔てたこちら側も似たような道かと思いながら進んだところ・・・。道は最初から細い旧道となって、前日走った県道21号線とよく似た感じで緩やかながらも次第と標高を上げて貝ノ川川が下方に遠ざかっていきます。途中、2か所ほど(おそらく鳥渕と藤ノ川という小集落)で思わず間違ってしまいようなY字分岐がありましたが、いずれも左手に進むのが正解でした。
 左上 国道321号瀬 貝ノ川分岐
 右  県道352号線 手前
 上  県道352号線 中ほど
 左  県道352号線 中ほど
 道脇は、写真:下のような照葉樹林だったり、あまり管理されていない杉・檜林だったりでしたが、路面はずっとこんな感じで交通量が少なく、個人的好みの道が続きました。
 写真:下左は、川面と少し標高差のある地点での一枚。ほぼ全線で木々が繁っているので、このように川がすっきりと見渡せる場所がこの1か所だけだったことも、前日の県道21号線と似ています。さらに進むと大月町の表示があって、土佐清水市との境です。ここからは下りかと思いましたが、その後も極緩やかな登りが続きました。これも意外だったのは、進むとそれまで狭かった谷が広がって、少し平地があって開墾された田畑が広がっていたことです。これまた前日の県道21号線で三原村に入った時に少し似た感じです。

大月町・土佐清水市境界

県道325号線のピーク
 その付近の写真がないのですが、道脇の地名表示は「春遠」。微風で暖かく、桜が咲いてツバメ舞うという春本番といった天候の下だったので、思わず笑ってしまいました。写真:上右の民家のところが、県道352号線のピークでした。
 北側に下り始めたところで西側に海が見えましたが、この一瞬だけ(写真:下左)。大堂海岸は、まだこの写真の右方だと思います。その後の道は、写真:下右のような杉林の中を、5%くらいの勾配で下っていきます。こちら側から登ってきたら、峠を越えたところで開放感がある空間が広がることに驚くのではないかと思うのは私だけでしょうか。中国山地では何度も経験するパターンですが、四国・特に東四国ではほとんど見られない地形だと思います。東側からアプローチした窪川、八幡浜からアプローチした旧宇和町、そして前日の三原村が、規模は違うものの、ちょっと似た感じでしょうか。
 そんな道を下って、県道352号線から再び国道321号線へ。写真:下左は合流部の立体交差部分。下の道が国道321号線です。そこから国道321号線を北上して1qも走らないうちに県道43号線へ右折します。いよいよ今回一番の目的地、柏島へ向かいます。県道43号線で一端海抜ゼロメートル近くまで下って、登り返します。この途中で、二人組の自転車乗りと擦れ違いました。今回、2日間で出会った自転車乗りは、前日の二人組と他に二人だけでした。登り返して、2q近くと長い大堂トンネルは前回同様旧道で回避しようとしたところ、なんと旧道分岐部に全面通行止めの封鎖。トンネル回避ということだけではなく、旧道周囲の植生とその雰囲気が好きなので、そちらを走ろうと思っていただけに、とても残念でした。
 

  
 強行突破も考えないではなかったのですが、まあ一度は走ってみてもいいだろうと大堂トンネルへ。東側からだと80%くらいが緩やかな登りでした。写真:右は、大堂トンネルを出てすぐのところから北西方向を望んだところです。一切の漁港と柏島訪問後に走っていく予定(だった)の道が見えます。海岸線沿いの良さそうな道です。遠くに見えるのは高茂岬付近だと思われました。確か、肉眼ではここからも九州が見えていた記憶です。
 すぐまたある柏島トンネルの手前から、展望台方面へ進みました。こちらは封鎖なし。展望台からの光景も外せないと思っていたので、一安心です。似たような写真が続きますが、照葉樹林に覆われた南国らしい細道。大堂トンネル上を走る旧道沿いの植生は、もっと大きな樹が沢山あった記憶です。展望台手前では、その旧道と合流するのですが、そこは封鎖されていなかったので、果たして通行不可だったのか疑問。
 展望台到着。展望台の建物も、記憶にありません。記憶に残っているのは、見下ろす360°の展望ばかり。まずは西南西・柏島方面。洋上に浮かぶのは沖ノ島(写真:下左)。その背後に、うっすらと九州・宮崎県北部付近。振り返って東北東方面。白い断崖が特徴的な大堂海岸の眺めは、40年前の記憶と何ら変わることがありません(一部土砂崩れらしいところが見えますが、写真:下右)。
 写真:下左は北西方面、鵜来島だと思います。ズームアップすると、後方に九州が見えるのがよくわかるかと。方角から佐伯市の南側辺りでしょう。写真:下右、新柏島大橋付近をズームアップ。この左手にある旧橋の付近が一番の見処のようです。写真を撮っていたら、後から展望台に登ってきたご夫婦が話しかけてきたので、ちょっと歓談。広島市からやってきたという私と同世代らしい上品そうなご夫婦も、友人から柏島の海の美しさを聞かされ是非にと訪問を勧められたとのこと。しかし、先に近くで海を見てきたお二人は、展望台からの眺めのほうがずっと良いと言われていました。
 写真:下左、新柏島大橋付近を一艘の小船が進んでいきます。実際の海の色は、もう少し緑っぽかったです。左手前に目を移すと、断崖のそばに観光船と思われる船が近づいていました。海から見たら、また迫力が一段と増すこと間違いなしでしょうが、展望台からも360°どちらを見ても飽きない光景が広がっています(山を登った山頂からの眺めとはまた一味異なります)。おまけに微風の快晴、暑くなく寒くなく、いつまででも居れそうでしたが、下って海の近くへ向かいます。
 途中、観音岩へ立ち寄ります。40年前は柏島のことはほとんど知らず、観音岩を目的にやってきて、ここで引き返したはずです。樫類に覆われた道を登ると、二手に分かれていました。記憶になかったので、展望台となっていた右手へ進んでみると、観音岩の頭がチラッと見えるだけ。せっかく登ったのに下って左手へ。すると、すぐにいつもの観音岩を見下ろすポイントでした。海面に観光船でもやってきたら、その大きさが良くわかるのですが。
 左上・上 展望台からの眺め
 左    展望台への歩道
 右    観音岩
 さて、いよいよ柏島へ。まず驚いたのは観光客の多さです(これでも少ないくらいだったのかもしれません)。SNSの力は本当に凄いですね。時刻はちょうど正午前、満を持してのつもりでしたが、旧橋のほうへ進んでみると、あれっ?なんだか、海水の透明度がいまひとつです。とてもXXさんがアップされていた限りなく透明に近いブルーには程遠い感じ。緑っぽくて、少し深さがあるところでは濁っています。これなら、徳島県南の海も負けないぞ、という程度。写真を撮る気満々だったのに、いきなり気力消失しました。
 XXさんが行かれていたのが、約1ヶ月前。海水温が上がるとプランクトンが増えるので、冬の海のほうが透明度は高いはずですが、まだ時期はそれほど変わりません。太陽光も風も上々の条件。直前に大雨もなくて、となると海水の差は何によるものでしょうか。少し入り組んだところなので、潮の流れが関係するのかもしれません。どなたか、わかる方いらっしゃったらお教えください。ちょうど、沖ノ島方面から一艘の船が戻ってきましたが・・・。
 
 半分失意で、島の中心部から、ひょっとしたらと北側の防波堤まで回り込んでみましたが、やはり旧橋辺りが一番いい感じでした。狭い路地では、猫が日向ぼっこ。町に関して15年前の記憶はほとんど残っていませんが、以前はなかったと思うダイビング関係の店が目につきました。
 ここまでの道がとても良かっただけに・・・。しかし、これだけはどうにもなりません。絶好の好天だったことだけでも感謝。無念を胸にしまい込んで、柏島を後にしました。写真:下は、新柏島大橋から展望台方面に少し進んだところから、シュノーケリングをしていた二人組。
 名残惜しく、道左側に併設された広い自転車歩道を、ゆっくりと海を眺めながら引き返しました。写真:下左、養殖生簀の向こうには、これから走っていく(はずだった)道、そして高茂岬(奥の半島様の左に切れた辺り)に走っていった時の海岸線が遠くに見えます。柏島トンネル手前で左折して、海岸沿いを走る道へと進みます。写真:下中は、一切の集落上から北へ。狭く曲がりくねった道から写真を撮っていたら、ここでも路線バスが下から登ってきました。見ると乗客は皆無でした。下りきって、さあこれから海岸沿いの道だと進んだところ・・・。なんとまた全面封鎖です。しかも、すぐ向こうで工事の最中。通行可能時間の表示も何もなし。まだ13時になっていなかったはずですが、昼休みも終了していたのでしょうか。バスは何処からやってきたのだろうなどと思いながら引き返していたら、パニヤバック装備のランドナーに乗った年配の方と擦れ違いました。「通行止めですよ」と声をかけましたが、何か言ってそのまま進んでいきます。台湾か韓国の人なのかと再度声を掛けたら、地元の方のようで、少し先の散髪屋さんに行くところだとのこと。ピカピカのブルーのランドナーでしたが、詳細は確認していません。
 左  県道43号線から北へ
 上  一切集落から対岸
 右上 一切集落から北へ
 右下 工事中で通行止め
 下った道を登り返して(標高差100mくらい)、もう通らない予定だった大堂トンネルを抜けて(西側からはほとんど下り)、すぐに左折。平安トンネルを越えて、安満地集落まで下りです(写真:下左上2枚)。海(港)出たあと、集落の外れからは、また登りです。そこからは、また少し海岸から100mばかり登ったところを走る道が続きます。再び海岸線に降りてきた橘浦の集落。写真:下中下は、集落の屋根上に海が見える写真をと撮った一枚。海の向こうに移っているは、高茂岬に行くときに宿毛から走った海岸線の道、その奥に見える山は篠山付近だと思います。写真:下右は、橘浦の漁港。この付近の集落は、形は多少異なっても、規模や雰囲気は何処も良く似ています。集落間は海沿いから少し離れた、もしくは高所(100mくらい)を走ることが多く、走ることができなかった一切付近のような海岸に沿った道はほとんどありません。
 
 写真:下左は、弦場の鼻付近から西南方向を振り返ったところ。奥に見えるのは、柏島ではなくて沖ノ島のようです。この海沿いの県道357号線だけでなく、この日いろいろなところから見えていた風力発電の風車ですが、なかなか自転車と一緒に撮れる場面がありませんでした。写真:下右は、泊浦集落の南側からだと思います。
 海岸線に沿った泊浦集落の道を進んでいくと、前方に道がなく行き止まりのように見えます。と思ったら、集落の外れから山に向かって短いながらもつづら折れの激坂(300mくらいで60mアップ)がありました(写真:下左上2枚)。その後は、また海岸線から標高100m弱付近を走行する道が続きます。この県道357号線は、こんな感じの道が多く、クルマもほとんど通りません。自転車でのんびり走るには、いい道です。
 上 泊浦からのつづら折れ
 右 県道357号線
 左 県道357号線
 宿毛市に近づいてくると、少し道が開けた明るい感じになってきました。なんとなく荘内半島を思わせる光景です(写真:下左3枚)。さらに進むと、前方に透明度が少し高そうな浜が見えてきました(写真:下右)。白浜という海岸のようです。
 上 竜ヶ迫付近
 左 竜ヶ迫の北外れ
 右 白浜遠望
 白浜へ向かう道は行き止まりとなっていたので、左手に進みました。ひとつ峠様の切通を越えて下ると、そこにも圃場された水田が広がっていました。このまま国道321号線に合流してしまうのかと思ったら、県道357号線は再び左折しています。進んでみると再び海岸線を走り、最後は朝県道28号線に左折したすぐ南で国道321号線に出て、道の駅すくもには16時前に到着しました。一服して、帰路へ。宿毛からは自宅までちょうど300q。経費節約で大豊ICで高速道路を降りましたが、国道32号線・国道192号線と快適に走ることができ、21時には帰宅することができました。期待していた柏島の海の透明感はもう一つでしたが、天候にも恵まれ、四国西南の鄙びたいい道を走れた2日間となりました。

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