県南の海沿いを走る  (県道26号線・県道25号線など)
 毎年冬場になると南へ向かうことが多くなります。朝方は徳島市内より冷えることもあるのですが、昼前になるとやはり暖かい。北西の季節風も、地形の関係か、県北部と比較すると、さほど向かい風に悩まされることもありません。2011年に地域高規格道路の一部分である日和佐道路が開通したこともあり、その区間では国道55号線のクルマ通行量が格段に減り、自転車でも随分と走りやすくなりましたが、やはりサイクリングを楽しむには、海岸線に沿う県道を走るのが一番。海岸線に沿うとはいえ、標高150m付近を走る部分もあり、結構アップダウンがあります。道は旧道然としたつくりのままで、周囲には樫や椎をはじめとする常緑照葉樹が繁っています。そのため、海岸線のすぐ近くを走っているのですが、標高のある部分以外でも横手に海を眺めながら走行する区間は極僅か。しかし、時折高所から見える太平洋の広大な姿は、より一層心を温かく広くさせてくれます。今ではすっかり冬の定番となったコースですが、初めて走ったのははっきりした記憶・記録がなくて、おそらく2000年以降だと思います。 (2021年 1月30日 記)

県道25号線 木岐・日和佐間にて (2020.11.28)
 この日は、福井ダム湖畔にデポ。午前8時くらいにスタートしました。最初からできるだけ国道を避けてダム湖畔沿いの道を走り(予想外に登りでした)、小野から県道200号線へと進みました。
コース  福井−伊座利−由岐−日和佐−木岐−由岐−福井
走行距離  75q     積算標高 1300m
最高地点  伊座利峠  標高230m
走行日  2020年11月28日 天候:晴れ GIANT TCR その他・何度も
 県道200号線を初めて走ったのは、2003年。その後、時折思い出したように走っていますが、20年近く経った今も、当時と周囲の光景はほとんど変わらないように思えます。クルマは時に地元の軽トラが走る程度。特別な見所があるわけでもなく当たり前の田舎道ですが、気持ちよく走れます。
福井ダム湖畔の道 手入れの行き届いた竹林 県道200号線 南側の切通 写真:左、下って北東側
 小野側から入ると、まもなく普通車なら道一杯になりそうな細い道になります。地形図で見ると実線の部分です。小さな切通の手前には、この付近でよくみられる手入れの行き届いた竹林(タケノコ採取用)が見られます(写真:上下)。切通から細く曲がりくねった道を下ると、少し開けて左手には牟岐線が走っています。県道200号線を直進すると、もうひとつ小さな切通があって、その後はさらに少し開けて水田の姿も見える中を走ると、県道26号線に合流するので右折。伊座利方面へと向かいます。
 伊座利方面へは、100mほど進んだところを右折するのですが、直進すると椿方面。椿泊や蒲生田岬方面へ向かうには、そちらを進みます。余談ですが、その道に沿った椿川では、季節になると独特な様式のシラウオ漁を見ることができます。県道26号線を進むと最初こそ極緩やかな登りですが、まもなく急勾配となります。そこから標高230mの伊座利峠までは、特に見どころもない登り坂が続きます。勾配もそこそこ。到着した峠も全く見晴らしがありませんが、峠を越えて50mも進まないかの右コーナーからの眺めが秀逸です。冬場だと、陽光に輝く海面が暖かさと開放感を溢れさせています(写真:下右)。何度も走っていますが、必ず立ち止まって写真撮影(なかなか思ったように撮れませんが)。見下ろせば、伊座利地区に下っていく道が見えます(写真:下中)
 写真:上左は2015年に訪れた時のもの。初めてシラウオ漁を見ることができました。堤防の後ろに見える落葉樹はソメイヨシノ。満開のソメイヨシノを背景にするシラウオ漁をいつか見てみたいものです。
 この日は、できるだけ海沿いの集落も立ち寄ろうと考えていたので、伊座利まで下ります(県道26号線は伊座利経由ですが、峠少し下にショートカットできる道があります)。伊座利は小さな漁港の周りにある集落。港のすぐ横には「伊座利カフェ」という地元のご婦人達がここで獲れた魚介類を提供する食事処があります。刺身が美味しくて何度か利用したことがありますが、最近はご無沙汰(2020年12月時点で土日だけ営業らしいです)。
写真:上下左右 伊座利漁港の光景
 漁港の海面まで覗き込んだ後は、県道26号線で再び登りです。確かショートカットの付近に、大きく太い枝振りの照葉樹が繁っていたはずと、ショートカット部分を往復してみました。しかし、今回いつも以上にゆっくり走ったのですが、写真:下のような好みの照葉樹が繁る区間は、思っていたより案外少なく思えました。
 登り返した後は、阿部(あぶ)まで下り。阿部地区は伊座利より民家の数が少し多いように思えます。港も少し大きく、停泊している漁船の数も多い。なにより、何人かの就学前くらいの幼児の姿が見えたことは、ちょっと驚きでした。高齢化が進む集落にも若い人が暮らしているようです。下左の写真は、少し手前・お水大師付近から。以前冬場にやってきた時、ここでウツボを干している光景を目にしたことがあるので、ちょっと探してみましたが、この日は見当たりませんでした。
  
 阿部からは再び登りです。写真:下左は、100mほど登って振り返ってみた鹿ノ首岬。写真:上左の反対側です。この付近から潮吹展望台までは標高150mほどの山肌斜面をトラバースしていく道が続きます。やはり、海は時折見える程度です。大分進んで、潮吹展望台の少し手前から振り返ると、山の中腹をトラバースする道の様子が良くわかるポイントがあったはずなのですが、この日はなぜか確認できず。下右の写真は、潮吹展望台から。何か所かある海の見えるポイントの中でも展望台と名売っているだけあって、ここからの展望が一番と思います。北側の遠望は限られていますが、南は室戸岬まで見ることができます。条件が良ければ、北東方向には南紀の姿を確認することができます。
 もちろん、太平洋の眺めは言わずもがな。下の写真は、10年以上に渡って続けていた新春走り初めの一コマ(2017年)。
 下左の写真は、阿部−潮吹展望台間。落葉しているのは、ソメイヨシノです。県道26号線沿いには、こんな桜並木も何か所かありますが、一度も開花時期に訪れたことがありません。多くの樹は、かなり老木となっており、時々枯れ始めているものもみかけます。そのためか、所々に桜の苗木が植えられている光景を見ます。潮吹展望台からは由岐まで下り。由岐の町に入る手前で、右折して志和岐集落へ立ち寄ってみました。狭い場所に民家の屋根が犇めいています。下っていくと、猫の姿が多数。港は伊座利や阿部とよく似た造りです。突堤や防波堤・灯台も同じように見えます。漁船の姿は少な目でした。
 上・右 志和岐漁港・集落
 左   桜並木
 立派な志和岐トンネルを抜けると、由岐の町外れ。由岐の町中も随分寂れているように見えるのですが、漁港へ出てみると、伊座利、阿部、志和岐の漁港が小さかったためか、随分と大きく活気があるように見えました(写真:下2枚)。
 由岐の狭い路地を抜けて小さな切通を越えると、田井ノ浜です。ここは1990年前半に「由岐ごっついまん」というスイム&ランの大会が行われていて、3、4回参加したことがあります。スイムは写真:下左の奥からスタートして反時計回りに、戻って県道26号線を往復のランでした。写真:下右は、季節になると産卵のため海に向かうアカテガニ横断注意の標識。確か、満月の夜に多いと聞いた覚えがあります。他にも探せば何処かに同じような標識があるでしょうか? 下左下は、田井ノ浜駅のホーム。こちらも海水浴シーズン限定の駅です。
 上 田井ノ浜
 左 田井ノ浜駅(夏季限定開設)
 右 アカテガニ横断注意!
 由岐からは県道25号線となって、田井ノ浜際は広い2車線道なのですが、それをクロスするように旧道が走っています。
 旧道は、木岐トンネルの北側で新道の下をクロスして海沿いを進むのですが、トンネル区間の短い距離ながら、大きな照葉樹が繁っています(写真:左)。これは、立派。すぐに新道に復帰すると、木岐の集落に入ります。漁港、集落とも、伊座利などとよく似た規模です。
 木岐から日和佐までは、標高100mほどの山座峠を越えていきます。今回走ってつくづく感じたことは、この区間の雰囲気が一番自分の好みに合っているということでした。ごくごく緩やかな勾配(3%くらい)、他の区間同様、下左の写真のように海が見えるポイントは2か所ほどしかありませんが、ガードレールや電線・電柱の姿もほとんどなく、道脇にはシダ類が繁り、杉木立もあれば照葉樹もあり。その大きさも大振りなものから小振りなものまでさまざま。これまでの道同様、交通量も少ないのも有難い。
 木岐−日和佐間の道
山座峠まで
 峠を越えても同じような道が続きます。峠の南側になるためか、やや明るく感じますが、下のほうには鬱蒼とした植林杉林もあります。この付近では、2か所で牟岐線とクロスします。ローカル線故、運行本数が少なく、何回となく走っていますが、ここで列車と出会ったことは未だ一度もありません。
 峠から下ってくると恵比寿浜。そこから日和佐・大浜海岸までは、短いですが漸く本当の海岸線沿いの道です。海水の透明度も高く、碧い海という表現がピッタリです。ゆっくりの速度がさらに遅くなって、何度も海面を覗き込みながら進みます。さらには立ち止まって。
 大浜海岸にも久々に立ち寄ってみました。海岸線に沿って日和佐川河口まで。下右の写真は河口左岸からの大浜海岸。ここは普段遊泳禁止だったような記憶ですが、2000年から日和佐うみがめトライアスロン大会が開かれています。第1回から3回出場しましたが、第1回は海が荒れていて日和佐川を利用してのスイムとなりました。泳いだり走ったりする時間もなくなって、1988年から続けてきたトライアスロンも、この第3回の2002年が最後となりました。ランニングが大の苦手だったこともありますが。
 日和佐港にも立ち寄ってみますが、やはり日和佐は漁港というより、薬王寺の門前町のイメージが強いです。写真:下左、右端付近、民家の屋根の上に薬王寺の建物がチラッと写っています。日和佐からは、これもできるだけ国道55号線を避けて、北河内川に沿った道を進みました。下右の写真は途中の土手で。
 一度国道55号線に出た後は、一ノ坂トンネルを出たところで右折、県道289号線で再び木岐へ向かいます。道は北河内川に沿って緩やかに登っていきます。峠まで、前半は雑木林、後半は植林杉林が続き、これといった見映えのするところはありません。峠からの展望もありませんが、少し下ったところに木岐の集落を一望できるところがあります。手前の高架橋が日和佐道路、そのすぐ上に土手状に見えるのが牟岐線です。水平線の上には、ここからも南紀の地が薄っすらと見えていました。
 左  国道55号線から右折
 左上 北河内川に沿って
 上  峠手前
 右  峠の少し東側から木岐遠望
 木岐まで下った後は、先程通った海沿いの旧道を走って由岐へ。由岐からは、県道25号線で国道55号線へ向かいます。この道も、由岐ごっついまんに出場していた1990年前半頃は曲がりくねった旧道だったのですが、今ではトンネルと直線化の幅広い道にすっかり変わってしまいました。ここにも、かなり老体になってきたソメイヨシノが所々に残っています。峠の少し手前からは太平洋が見えるところがあります。
 左 由岐坂の旧道と新道(右)
 中 県道25号線・由岐坂
 右 福井ダム湖畔の道
 国道55号線に出ると、すぐにこの日最初に走った福井ダム湖畔の道へ。スタート後同様、誰も通らないだろうと思ってたら、2台もクルマが通って、ちょっとびっくりでした。
おまけ
 JR牟岐線福井駅から国道55号線を500mほど南へ走ったところから、県道200号線の途中に至る細い道があります。この日は通っていないのですが、国道を進むと交通量が多い狭くカーブした二つ続くトンネルを避けるために、南へ向かう時には、この道を通ることが多くなりました。1車線の旧道です。細く、曲がっていてスピードは出せません。横には福井川の小さな支流が流れていて、周囲には照葉樹などが繁っており、やや暗い感じです。が、牟岐線と何度も(地形図で確認すると2q弱で7回)クロスしながら走る道は、サイクリングとして走るには国道よりも数段の趣があります。
写真:上左右
国道55号線から県道200号線へ
 山座峠南側の道同様、ここでも高架橋でクロスする部分で列車と出会ったことがありませんが、県道200号線に出たところでは出会ったことがあります。登り列車で、時刻は9時18分頃だった記憶。今度は、少しだけ遅い時間に行って、列車を待ってみようとも思いますが、高架橋部分はどれも短く、道路は曲がっているうえに繁った木々が邪魔をして、すっきりと見渡せる場所がありません。高架橋部分をはしる列車と、なかなかいい構図で撮るのは難しそうです。

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