高知県・本山町界隈を走る
 この年は早春に思わぬ疾患に陥りましたが、少しずつ体調が回復していたので、ゴールデンウィークには一日くらい何処か日帰りツーリングをしようと考えていました。いくつかコースを考えましたが、今年は4月が暑いくらいだったので田植えも例年より早いかなと5年ぶりに高知県・本山町吉延の棚田を訪れてみることにしました。その後は穴内川方面に下って前回に走った時とは反対に川上に向かって走り、これまで走ったことのない道をできるだけ繋いでみることにしました。地図上では山中の道に若干不安が残るところもありましたが、走ってみると、何処も予想していたよりずっと走りやすい道でした。 (2018年05月10日 記)

吉延の棚田 右奥は高角集落
コース  帰全山公園−赤荒峠−穴内川−奈路−南国−県道289号線−土佐山・鏡川沿い−ふるさと林道工石山線−赤良木峠−帰全山公園
走行距離   約95キロ  積算標高 約2100m  所要時間:約8時間
最高地点   林道工石山線最高地点 標高930m
走行日   2018年  5月 5日   天候:晴れ   GINAT TCR
  藍住ICから徳島道に入ったのは、ちょうど午前6時。ゴールデンウィークでしたが、早朝の徳島道は関係なく閑散としており、いいペースで大豊IC下車。デポ地の帰全山公園には7時半前に到着できました。
 川原のキャンプ場では10張りほどのテントと朝の準備を始めた人達の姿が見えます。早速準備をしてスタート。数日前までの暑さが嘘のように、この日スタート時の気温は7℃でした。薄手のウィンドブレーカーと指切り手袋では、寒いくらい。
 少し走ったところで県道267号線に右折、吉延の棚田を目指します。その前に、以前は素通りした高角の集落に立ち寄ってみました。いきなり急な登り坂ですが、つづら折れの道に沿って、民家と水が張られたばかりの水田が現れました。立ち止まっては写真を撮りながら、ゆっくりと進みます。ほぼ集落の一番上近くまで来たところで南へと進み、再び県道267号線に戻ります。

帰全山公園から出発

高角の棚田 手前には苗代
 そこから少し進むと、吉延の棚田です。道沿いに棚田が続きます。多くは水が張られていました。見えるのは斜面途中を走る県道から下方の棚田ばかりですが、上方にも棚田が続いています。県道より上に登るには、あまりしっかりした道がないようなので、自転車を降りて登ってみました。やはり狭いながらも棚田が並んでいます。感心するというか驚くというか、この地区、ほとんど耕作放棄地を見かけません。畳3畳ほどの狭い田もきっちりと整備され水が張られています。少しばかりまだ水が入っていない田も、耕されて水が張られるのを待つばかり、田植えの準備が進んでいました。

高角の棚田  右上はスタートした本山の町

吉延の棚田 
 最近あまり見かけなくなった、苗代の姿も見かけました。少し進んだところには、吉延の展望台がありました。さすがに展望台を設ける場所だけあって、なかなかいい眺めです(写真:トップ)。手前の水を張った棚田に、少し離れた斜面に見える民家は高角集落、遠くに見える山は白髪山でしょうか。谷を挟んで西側の大石展望台が、この吉延の棚田を望むのにはいいらしいです。あれかなと思う東屋が、ちょうど向いの斜面に見えましたが、地図で確認すると、かなり回り道をしないといけないようです。
 ちょうど農作業に来たらしい人に訊ねたところ、田植えは翌週辺りとのことでした。1枚1枚が狭く、また高低差もある田植えは大変でしょう。田植えが終わって苗がしっかりつき、それでいて少し水面が見える時期が一番の見頃かもしれません。
吉延の棚田
 棚田を満喫した後は、赤荒峠に向かって県道267号線を進みます。吉延を過ぎると、ほとんど民家はなく、また杉木立の中を走るところが多く、あまり展望はありません。前回は、それまでに2000m以上登ってきたので結構疲れて大変でしたが、スタート直後の今回はゆっくり走ったこともあって、比較的楽に登れました。赤荒峠には、ちょうど9時に到着。峠の展望はほとんどなし。一気に下って、穴内川へ。この下りも杉林に覆われていて、あまり見所はないように思います。
県道267号線から、対岸の棚田  県道267号線 赤荒峠   穴内川(ダム湖)
 下り切って、県道268号線を上流方向へ向かいます。穴内ダム湖沿いの道は曲がりくねっていますが、ほぼ平坦。ダム湖の水はお世辞にもきれいとは言えませんが、クルマもほとんど通らないので快適です。ダム湖が終わった辺りで、南に走る県道33号線に向けての道へと左折します。この道、地図では少し頼りなさそうだったのですが、曲がり角には道表示もあり、少し進んだところで3台の軽四と擦れ違いました。その後も路面状況も上々、そこそこクルマが通っているようで、落ち葉や枯れ枝た散乱しているかもなんて思っていたのは、杞憂に終わりました。ただ、初めての道で距離間隔がなく、分岐に表示があったものの、峠までが随分長く感じられ、この道で正しいのかと何度か立ち止まってGPSで確認しました。いや、文明の利器に頼ってはいけません。峠となる付近は全く展望がないのですが、少し下ったところで木々の間から、高知平野と太平洋(土佐湾)を見ることができました。
穴内川を渡る ダム湖が終わると、清流 県道33号線へ向かう道の分岐 高知平野と太平洋
 ただし、展望があったのは、この一瞬だけで、杉林の中を下る道が続き展望はなく、新緑が楽しめるということもありません。結構下って、奈路への分岐。ここも距離間隔がなくて、予定の道を走っているのか少し不安でしたが、分岐にはしっかりした表示があって一安心。ほんの少し登りがあって、後はまた奈路まで下りでした。
 奈路小学校の下で県道33号線に合流です。途中、ほとんど民家がなかったのですが、奈路は数十軒規模の集落でした。ここからも、南に走る県道289号線に向けて、山を越えるような道を見つけていましたが、進んでみるとすぐに関門閉鎖。県道289号線の南側には地図の表示がありましたが、四国鉱発という会社の私道なのかもしれません。仕方なく県道33号線を南国方面に下って、県道289号線へ向かうことにしました。
   
杉林が続く 奈路への分岐部  奈路集落手前 通行止め
 県道289号線は細い田舎道だと思っていたのですが、これも最初は広い2車線の道でビックリ。サイクリングには味気ないなあと思っていたら、まもなく細い1車線の旧道になりました。緩やかに登っていきます。交通量もほとんどなし。周囲の光景は可もなく不可もなく、当たり前の四国の田舎。しかし、予想外に登りが続きます。峠までの登り後半は、杉木立と竹林が目立ちました。峠(これまた展望なし、味気なし)には、11時半くらいに到着。南国市と高知市の境ですが、高知市に入った途端、幅広い2車線道になりました。緩やかに下って県道16号線を右折。この道も広く立派な道でした。この県道16号線は、県道289号線合流付近から北は交通量がぐっと減るようです。この道は平坦か登りと思っていたのに、どんどん下っていきます。どうも鏡川の支流に沿って下っているようです。
 県道16号線で赤良木峠(隧道)を越えたのは10年くらい前と思っていたら、なんと16年も前のことでした。今回は平石で再び県道33号線に左折、県道16号線の西側から回る・ふるさと林道工石山線を登ることにしました。県道33号線も2車線の立派な道だなあと思いながら進んでいたら、突然狭くなります。横を流れる鏡川は、結構澄んでいます。夏場には、いい遊び場になりそうです。それにしても道はまだまだ下っていくので、工石山方面への登りがだんだん不安になってきました。

県道289号線 竹林が多い
 
県道33号線から鏡川・大穴峡
 オーベルジュ土佐山の表示を目印に県道33号線を右折し、ふるさと林道工石山線工方面に向かいます。右折してしばらく、勾配は緩やかです。お洒落なオーベルジュ土佐山を越えて、少し走ったところで一服。ちょうど正午過ぎでした。前方上方に、これから向かう稜線が見えてきました。
 その後はだんだんと勾配がきつくなり、最後の東川という集落を抜けると16%の表示。思わず気持ちが切れて、脚着き。その後300mほど14%、16%の表示。道は東川集落手前で随分細いところもありましたが、集落を過ぎるとやや広くなり舗装状態も良くなりました。勾配のきついところは、4m程の道幅を使って蛇行。県道16号線までに擦れ違ったのは、ハイキングなのか下ってくる3台のクルマとバイク1台だけでした。大分登ったなあと思ったところで、南への展望が広がりました(写真:下右)、一服です。ここが最高地点かと思ったら、少し下って、おそらく県道16号線の途中から登って来る道と合流した公園のようなところから、また10%を超えるような坂が続きます。この日は涼しかったので良かったですが、日陰もないので、夏場には登る気がしない道です。2、3か所、南への展望が広がる地点があり、高知平野と土佐湾が見えます。肉眼ではわかりづらいのですが、望遠レンズ越しに見ると、浦戸大橋や高知龍馬空港の滑走路も確認できました。
左上:東川集落 右上:高知龍馬空港 右下:拡大すると浦戸大橋 ふるさと工石山林道から高知方面
 赤良木隧道に到着したのは、14時過ぎでした。麓から約11q、標高差830mほどに2時間もかかりました。大休憩の後、ゆっくりとトンネルを抜けて土佐町へと下ります。この隧道も含めて、今回4つのピークは、いずれも展望がありませんでした。少し下ったところで、西側に視界が広がるポイントがありました。山の中に1本の道が西進しています。何処かなと帰宅後地図を確認したら、どうも国道439号線・郷ノ峰トンネル方面のようでした。谷を走る国道439号線向こうの斜面にも棚田が見えます。
 
赤良木隧道から少し北から西へ、見える道筋は国道439号線 上左:工石山南 上右:赤良木隧道 下:国道439号線対面の棚田
 最初の民家を通り過ぎて少し下った右急カーブの道横に小さな展望台様の処があったので登ってみると、土佐山町の棚田がよく見えました。見渡すと、4、5軒でしたが、鯉のぼりと高知特有のフラフを揚げている民家を見ましたが、うまく写真に撮れませんでした。ちょうど子供の日、天気も良く鯉のぼりが舞うにはいい風でしたが、民家の総数からすると、やはり子供の数が少ないのでしょうか、鯉のぼりの数も寂しいように思われました。

県道16号線から土佐町樫山方面

県道16号線の展望台から、奥中央は白髪山?
 最後は、何度か走ったことのある国道439号線を走ってデポ地に到着したのは、15時過ぎ。大石展望台に向かってみることも考えましたが、時間はともかく脚が残っていなくて断念。その代わりに、デポ地の帰全山公園はシャクナゲが有名とのこと、ちょうど見頃かなと駐車場から公園方面に歩いてみました。が、もう既に少し遅かったようで散っている花が多かったです。
 帰路は、下道、国道32号線から国道192号線を選択。混雑はなかったのですが、高速道路でも下道でも、どちらもほぼ同じ140q。所用時間は1時間半と約3時間、ほぼ倍の差がありました。

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