中津山  (徳島県、池田町・西祖谷村)
 以前から地図を眺める度に山頂近くまで道路があると気になっていた中津山。鳴門岳友会編纂「徳島145山」(2008年「徳島の山250」にバージョンアップ)で、車道がほぼ山頂まで通じているとの記載を確認してアタックしてきました。しかし、車道とはいえ光明寺までのアスファルト舗装を除けば、後はコンクリート舗装が少しある以外は相当に荒れたダート。しかも、平均勾配が10%を超えるくらい。自動車でも軽の四駆でなければちょっと厳しいかと思われました(それ以降2010年までで一番ハードだったと思われます)。前座として池田漆川林道を走り黒沢湿原を回ったのですが、黒沢湿原から出合への道を、これまたとんでもないルートを選択してしまい、メインディッシュまでに随分といらぬ足を使ってしまいました(それはそれでいい思い出となりましたが・・・)。 (2010年11月 6日更新)

中津山・山頂  一面、樹氷の別世界

※注  中津山へのルートはおおまかです。
コース  池田−黒沢湿原−出合−中津山−出合−池田
走行距離   約65キロ  積算標高 約2200m
最高地点   中津山(標高1446m)
走行日   2004年12月26日 MTB 天候:曇り
       池田−黒沢湿原−出合−中津山−出合−池田
時間     9:50--11:10---12:10--14:50-16:00-16:45
距離(km)   0------16-------20----32------44----65
標高(m)   120----550-----170---1446---170---120
     (途中からサイクルCPが作動せず、距離は大雑把です)
 この日は、数日前までの暖冬がウソのように冷え込みました。池田までの車中、同行のけんさんと相談の上、往きは池田漆川林道を走って黒沢湿原に寄り、メインの中津山を上り、帰りはその時の状況で考える、というプランに決定。
 高知のM氏と夏に走って、気に入った池田漆川林道を今回は逆周りに走りはじめました。小雨だった前回と異なり、今回走行中は晴れており、北から西方にかけて雲辺寺〜塩塚峰〜野鹿池山〜国見山、そして本日のメイン・中津山を、午前の斜光に照らされ立体感を持って一望に見ることができました(写真下)。相変わらずほとんどクルマが通らず、標高550m前後を快適に走ることができました。黒沢湿原には、予定通り約1時間で到着。

池田漆川林道から池田町白地 手前吉野川

池田漆川林道から吉野川 横に沿う道は国道32号線
 この季節、湿原は予想通り一面の冬枯れ状態でしたが、それはそれでまた趣のある情景でした(写真下左)。黒沢湿原からは、中津山登り口の出合への道を走るつもりでした。頭の中では湿原を縦走した南端から道があると思っていたのに、進んでみると人が一人通れる程度の山道しかありません。一度湿原の中央部に戻って、イラストマップで確かめると、どうやらその道は出合方面に続いているようです。もうひとつ西側から道が続いているよう(こちらが正解)でしたが、二人で協議?の上、南端からの道を行くこととしました。ところが、この道がとんでもない道でした。

池田漆川林道から国見山(左後方)方面

冬枯れの黒沢湿原
 湿原の標高が約500m、出合は200m弱。道はコンクリート舗装はしているものの、全くの登山道?幅は1m弱あるものの、山側は落石と落ち葉で蔽われており、左手は木々が繁っているものの、まっさかさまの崖。とても乗車して下れません。おまけに先の台風のためか、根こそぎの倒木が行く手を阻む所が何ヶ所がありました。下の写真では十分伝わらないかと思います。多分、二度と通ることがないと思うし、自転車を道連れにした人もいないのでは・・・?途中、けんさん異様大きい糞塊に気付きました。ひょっとして熊?(その数日前に、出合で熊が出没した情報がありました)。標高差300mの下りに予定外の足を使って、漸く県道32号線に辿りついた時は既に12時を廻っていました。

黒沢湿原から出合への山道、左手は崖

倒木を乗り越えて
 出合で、軽く休息兼補給。まずは光明寺までの登りです。道は良好なアスファルト舗装ですが、のっけから10%を超えるような登り。しばらく走った所で、後ろから来たクルマに乗ったおばさんが、「中津山へ登るの?池田から見たら山頂は白かったから、雪が降ってるかも。がんばってね。」と声をかけてくれました。自転車で登っているのを特に奇異にも思わないようだったのは、自転車で登る人に会ったことがあるからでしょうか?

標高700m付近から、国見山を望む

杉木立のダートを登る(標高800m付近)
 光明寺を過ぎると民家も途絶えて、道はコンクリート舗装となります。さらに進むと、NHKの電波塔との分岐部に出ました。標高はたしか400mを越えたくらいでした。ここからはダート。尾根道ですが、杉を中心とした木が両側に繁っているので、見晴らしはほとんど無し。

荒れたつづら折れが続く

右下、登り始め出合付近
 道は荒れている上に容赦ない勾配(荒れ具合も勾配も半端じゃありません)。いつもは5m単位でアップする高度計(カシオ・プロトレック)が、25mずつアップしていきます。あまりの道の荒れ様に下りも心配になってくる始末。
 標高700mを過ぎたところで一休み。杉木立の中で風が当たらず、しばらくは暖かかったものの次第に冷えてきました。冷え切らぬ前に再スタート。相変わらず激坂が続きますが、標高900mを超えたところで山肌をトラバースするように緩やかになり、一部少し下る部分もありました。道を間違っていないか、とちょっと不安になり地図を確かめると、間違いなく標高900m超でトラバースする区間を認めました。しばらく走ると、3差路が。中央に山頂までの標示がありましたが、それが本当に正しいのか?迷いながら、真中のコンクリート舗装を進みました。

20%を越える激坂に押し(写真では平坦に見えますが)

標高1200m付近、コンクリート舗装
 たまたま見つけた表示には、頂上まで3.7km。まだ標高差約500m(平均勾配は・・・)。時間はすでに13時30分をまわっており時間的余裕もなくなってきていました。コンクリート舗装になったことで(勾配はおそらくゆうに10%を越えていると思えましたが)なんとか乗車可能。再び高度計がどんどんアップします。ついには20%を越えるかという激坂登場。お手上げとなり押す羽目に。
 標高は、1100、1200、1300mとどんどん上がって行きます。高度が上がるとともに次第に空は雲一面となってきて、天候の心配と時間(日の入り)も気になり始めました。道は雑木林に囲まれており(森林限界に達しないのか、ほぼ山頂まで)、独立峰でありながら道中あまり展望はありません。1300m前後からは所々路面に雪が残り、さら進むと一部で全面凍結の箇所も出始めました。良く見ると、路面の雪(氷?)は結晶を保ったままの姿。

凍結した道、標高1300m

山頂直下にて
 1300mを少し越えたところで、左手北斜面にちらりと樹氷らしきものを見かけました。が、さらに進むとまた見えなくなりました。ちょっと離れていたのでいい写真が撮れないなあと思いながら、1400mを越えて、とある(最終)カーブを廻ると、なんとそこは一面の銀世界!しかも樹氷(トップの写真)!
 時間を気にしながら、ひょっとしたら途中挫折か、という不安も心の片隅に持ちながらも、なんとか登り通したこの日。一日の全ての苦労と疲れが、一気に吹き飛ばされたと言っても過言ではありません。貧しい語彙と拙い写真で、その感激と素晴らしさが十分にお伝えできないのが残念です。我も、と思われる方は是非一度登ってみてください。ただし装備と時間は十分余裕を持って!気合はそれ以上に必要かと思います。

地面には雪が結晶のままで

山頂にある黄金の池(全面結氷)
 山頂には社務所がありましたが、安っぽくであまり歴史を感じさせないものでした。これもまた多少なりとも期待していた黄金の池は、全面結氷。周囲にはゴミが多く、これもちょっと興醒めでした。それ以上に一番期待していた360°の展望も、樹木と雲のためにほとんど望めませんでした。しかし、上述のように、頂上直下の樹氷は、それらを補ってもまだ余りある素晴らしいものでした。
 山頂での気温は計測していませんが、持ってきた衣類を全部着込んで下り始めました。とにかく指先の感覚がなくなってブレ−キングが不安でしたが、しばらく下ると気温も上がってきてしのげるようになりました。心配していた荒れたダートもそれほど苦にもならずに走破(ただし、二人とも1回ずつ転倒・落車)、なんとか日の暮れる前に池田に到着できました。

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