林道海川野久保線
 林道海川野久保線は、旧上那賀町海川の奥から神戸丸山頂直下を経由して旧木頭村南川方面に抜ける林道です。那賀川上流で勤務していた1993年か1994年に一度走っています。記録がなくて正確な走行日も何処からスタートしたかも記憶が定かでありません。ただ木頭側からアプローチだったこと、木頭側の登り始めとピーク付近は木々が疎らで山肌が見える区間が多かった印象とピーク付近は工事中でドロドロの未舗装路だったこと、何処が何処かわからなかってけれど見晴らしは広がっていた記憶だけは残っています。以前から是非一度再訪をと思っていたのですが、長らく通行止めが続いていました。とくしま林道ナビで、通行可能な緑線になっているのを確認したのは、1年くらい前だったでしょうか。ならばと昨年(2020年5月)出向いてみたのですが、国道193号線が林道分岐直前で通行止めのため断念。今回は四国カルスト以来、1年3か月ぶりに自転車仲間のすーさんを誘い、満を持して向かったのですが、出迎えてくれたのは分岐部の橋を渡ったところに全面通行止めの標示・・・。 (2021年 2月28日 記)

林道海川野久保線 (海川側・前半の未舗装部分)

とくしま林道ナビ から借用
コース  長安−平谷−海川−海川野久保線−木頭−長安
   (海川野久保線 左図 CB-1〜CB-6)
走行距離  70q    積算標高 1000m
最高地点  林道海川野久保線最高地点  標高1000m
走行日  2021年 2月21日  天候:快晴  シクロクロス
 午前8時30分、長安口ダムからスタートです。この日は3月下旬並みまで気温が上がる予報でしたが、スタート時の気温は2℃と寒く、冬装備での出発となりました。まずは国道195号線から国道193号線で、長安口ダム湖畔を進み、平谷・海川と経由していきます。
出合大戸トンネルを避けて旧道へ 平谷の少し手前にて 国道193号線 成瀬付近
 海川からは海川谷川に沿って国道193号線を遡ります。相変わらず流れる川水の透明度は高いのですが、陽光が差し込んでないので見た目はもうひとつ(写真:下左)。海川谷川が東俣と西俣に別れる林道海川野久保線の起点には10時前に到着(写真:下右)。落合橋というらしいですが、すぐ手前に古い橋があります。以前に走った時は当然下ってきて旧の橋を渡ったはずです。国道193号線を走る時、いつもこの旧の橋上が荒れ放題で橋の向こう側はとても走れそうにない姿と見て、もう廃道になるだけなのかと思っていました。新しい橋はいつ出来たのでしょう。さほど新しくもないようですが、これまで気が付きませんでした。袂には記載があったかもしれませんが確認できていません。この左手はキャンプ場なのか、トイレや水場らしき建物がありました。下右の写真、右手からやってきて、国道193号線は左手に進みます。振り返ってみると、国道193号線・この区間も数年以上走っていない記憶です。
 軽く補給休憩下後、いよいよ海川野久保線に。ところが、なんと橋を渡ったところに全面通行止めの標示です(写真:下右上)。横に小さく「峠の手前500m付近で崩落のため」と記載されています。前日に確認したとくしま林道ナビでは緑線だったのですが・・・。崩落が軽度なら自転車を担いででも、それも無理なら最悪そこから引き返すつもりで先へ進みます。道はもちろん周囲の状況も、前回から20年近く経過しているので全く記憶がなく、初めての道と言ってもいいくらいです。未舗装路で始まりましたが、勾配は緩く、林業関係のクルマがそこそこ入っているようで、路面状況は思った以上に良好でした。
 海川野久保線はピーク付近(標高ほぼ1000m)でトゴエ久多利線と合流します。登り始めの標高がさほど変わらないトゴエ久多利線はかなりの急勾配が続いたので、こんなに緩やかでいいのかな、途中から急勾配になるのかな、などと危惧しながらも、快晴の下、海川谷西俣のせせらぎを耳にしながら気持ち良く走っていきます。季節が早いためか、野鳥の囀りは少な目。
 アップしているのは周囲に雑木があるところの写真ばかりですが、この地域全体がそうであるように、道沿いには植林された杉林が、特に前半は多く見られました。左手には海川谷西俣が流れていますが、谷が狭く川面は道から少し距離があって低く、トップの写真や下の2枚のような川面を眺めることのできる場所は極限られていました。
 走っていくと、途中からアスファルト舗装になりました。舗装状態は良好です。この付近よりずっと先の道脇にあった石標には平成27年と記されていたので、舗装されたのは比較的最近のようです。路面上には落ち葉や小枝、時に拳大くらいまでの落石も当たり前のようにあちこちに見られますが、走行に問題があるようなところは全くありません。勾配は少しきつくなりましたが、舗装のおかげで、それまでの未舗装部分と同じ程度の負荷で走ることができました。
 同じような写真が続きます。写真:上左、行く先に進んでいく道のガードレールが見えます。右手頭上のかなり稜線に近い位置にも、この後進んでいくだろうと思われる道のガードレールが見えていました。上述のように川が見えるポイントは少ないのですが、写真:下左はそのひとつ。落葉樹の葉が繁る夏場には、川面はほとんど見えないかもしれません。
 標高が上がってくると、山影になったところではシャーベット状の雪が残っていました。こんなところは走っても問題なく楽しいくらいですが、完全に凍結していたところが1か所ありました。残雪の上には、2、3の大小異なった動物の足跡がありました。少し大きめの歩幅が短いものはタヌキでしょうか。白いお尻の子鹿が急峻な斜面を飛び跳ねながら駆け上がっていったのは、ここよりまだ手前だったと思います。
  
 下左の写真は、海川谷西俣に沿って東から東南方向に進んでいた道が大きくカーブして北へ向かうポイント(地形図を見るとよくわかります)。手前には海川谷西俣に流れ込む小さな谷。流れる清らかな水を見て、夏場だったら間違いなく頭から浴びたこと間違いなし。昨今は野生動物の寄生虫や病原菌などの話も耳にしますが、冷たい水を飲むことも間違いないでしょう。ところで、ちょっと雑学です。小さな谷と記載しましたが、沢と記載するほうが適当なのかと迷ったので調べてみると、文学的表現はともかく、地理学的には明確な基準はないようです。東日本では沢の標示が多く、西日本では谷の標示が多いそうです。その由来など詳細はこちら
 そこからは、北から北西方向に進むようになります。陽当たりのいいところ(写真:上右)もあれば、日陰の部分では所々にシャーベット状の雪が残っていました。残雪には必ず2、3種類の動物の足跡が付いています。標高800mを過ぎると、東方面の展望が広がるところもありました(写真:下左)。下から見えていたところです。中央の谷筋が海川谷西俣で、この谷に沿って進んできました。奥に見えている山は何処でしょう。そこからまもなく、林道星越神戸丸線の分岐部(写真:下右下)に到着したのは、ちょうど正午頃でした。とくしま林道ナビを再確認すると、分岐からここまで12.2q。標高差600mなので、平均勾配は5%。所要2時間だったので、時速6q、歩くよりほんの少し速い程度でした。ちなみに、星越神戸丸線は行き止まりですが、工事をしているので近い将来、上海川と木頭・助を結ぶ星越トンネル方面に繋がるのかもしれません。
 ここからは昨年5月に走っているので、記憶はまだ新しいです。トゴエ久多利線の分岐部では、北に冠雪の山が見えました。てっきり剣山だと思っていたのですが、帰宅後ズームアップした写真を見たら、特徴的な雨雲レーダーが写っており高城山でした(写真:下左)。そこから100mばかり下った180°コーナーの手前から、再び北に雪の稜線が連なる大展望が広がっていました。帰宅後確認すると、昨年5月に走行時もほぼ同じ場所から写真を撮っています。その時は、一番西に聳える峰が気になっていて、剣山が見えていることに気付きませんでした。稜線が冠雪となっていたことと、靄はあるものの昨年5月より多少は条件が良かったためでしょう、随分と印象が異なって見えました。
 すーさんも思わず歓声。トゴエ久多利線の分岐部で小休憩したばかりでしたが、ここでも大休憩。「ビールとおでんがあれば、一日眺めて過ごせそう」とは二人の一致した感想です(写真:上右)。下の写真は、同じ部位を少しズームアップ。右端の一番雪の多いところが剣山。その左の三角錐がジロウギュウだと思います。あと、西(左)に向かって、以前に歩いた縦走路三嶺付近まで見えていると思いますが、どれが何処だかはっきりしません。一番左手の山は?
 
 下の2枚は、上の右部分をズームアップ。下左はジロウギュウ、下右はジロウギュウから剣山。心洗われる光景に、しばしまったりとした後は、南川方面に下ります。下りは特に見どころもなく、写真もありません。登り時に下りでは凍結に気を付けようと言っていたのですが、こちらも一ヶ所だけ凍結がありました。気付くのが一瞬遅れて突っ込んでしまいましたが、なんとか難を免れました。良かった・・・。「こんなところで転倒して鎖骨でも折ったら笑いものや」と登り時に一ヶ所あった凍結部位で話していたことが現実になってしまうところでした。
 下り途中でも駆け去っていくシカと出会ったのですが、逃げ足が速くて写真は撮れず。下り切って南川林道に突き当たり、その後は昨年5月同様、林道南川線から林道平野畔ヶ野線で国道195号線へ。南川線、山側から谷川が流れてくるところでは、ぐっと気温が低下しました。途中、前回私の気を引いた大きな樹(名前わからず)で、すーさんも立ち止まって見上げます。畔ヶ野の小さな集落(2、3軒)でも人が暮らしていることに感嘆したのも同じ。上の冠雪の稜線光景はもちろん、同じ場面で心惹かれる感性が私と一緒のすーさん、誘った私の喜びも倍増です。
  
 思いの外、気持ちよく登れた道に、峠近くからの冠雪の大展望も拝めたこともあって二人とも大満足。その後は国道195号線で長安口ダムまで。日曜日だったので大型トラックやダンプが皆無の上、一般車両の数も非常に少なく、追い抜かれたクルマと擦れ違ったクルマ合わせても25qほどの間に20台前後だったように思います。メインの林道を走り終えて、後はデポ地まで消化試合のようなつもりでしたが、ここも思いの外、快適に走れました。この日一日に心を満たしながら、次の計画も描きつつ・・・。 写真:上左は、助付近。この辺りの那賀川の水質は非常にいいですが、川原はかなり人工的に均されているようです。上中は一宇集落をバックに、上右は出合ゆず大橋手前です。

 ご意見・ご感想・新しい情報はこちらへ

ツーリング徳島へ戻る  TOPに戻る

inserted by FC2 system