林道寒風大座礼西線・東線  瓶ヶ森林道
 旧寒風山トンネル南口から瓶ヶ森林道を走り始めると、左手に笹ヶ峰から冠山〜平家平の雄大な稜線が見えてきます。以前から、その中腹辺りを横走する道が目についていたのですが、途中で行き止まりだとばかり思っていました(写真:ひとつ下右、中央部をほぼ横走するライン)。この年の初夏くらいだったでしょうか、いつも四国の魅力的な道情報を発信してくださるくにさださんから、この道が東へと繋がっていることを情報を得て、機会あれば是非一度走ってみたいと考えていました。10月8日、うまい具合に移動性高気圧に覆われ天気も良さそう。瓶ヶ森林道周辺の紅葉もちょうどいい見頃かもと、シクロクロス車(以下、CX)で決行しました。

林道寒風大座礼西線
 午前5時、自宅出発。出発時は、雨が降るのじゃないかと思うくらい空一面に雲がたち込んでいましたが、新居浜を過ぎた辺りから晴れ間がのぞき始め、デポ地・道の駅・木の香に到着した頃には快晴となりました。
コース  木の香−瓶ヶ森林道−林道寒風大座礼西線・東線−木の香
走行距離   85キロ(未舗装30キロ)  積算標高 2300m
最高地点   瓶ヶ森直下  標高1700m
走行日   2017年10月 8日 天候:晴れ シクロクロス
 午前7時30分、スタート。単独ソロ・ロードバイクのお二人がちょっと先に先行。私はCXなので、ゆるりと。行く手前上方には桑瀬峠付近の稜線がすっきりと見えて、一日に期待が持てそうです。この時点で気分は既に高揚してきて、心ワクワク。
 旧道は何処も緩やかで、気持ち良いことが多いです。気温もちょうど良く(この日は暖かかった)、すぐに短パン・半袖に。途中一ヶ所ある西側の展望が広がる地点と、この後走る予定の林道寒風大座礼西線分岐部を確認して過ぎると、まだもう少し距離があると思っていたのに旧寒風山トンネル南口に到着です。8時15分。山登り姿の人が20人ほど見られましたが、この時点では駐車場にはまだまだ空きがあって余裕でした。ここで、休憩中の先行お二人とさらにもう一人に追いつきました。
 上 平家平方面の稜線
 左 寒風大座礼西線分岐部
 右 山肌を横走する道筋が見える
 どうせすぐに抜かれるだろうと、そのままお先に瓶ヶ森林道へ進みます。林道走り始め(標高1000m)付近の紅葉は、まだまだ。新緑や紅葉最前線の頃なら、この地点からペースダウンするのですが、紅葉手前では葉の緑も元気なく、まだまだ後があるからと先へ。上述のように、左手・東の大展望が広がる地点で、写真撮影(上右)。この後、あの道(横走する一番上のライン)を走るのでしょう。西南西方向には、雲海が見えました(写真:下左上)。
 尾根筋をぐるっと回って前方に伊予富士が見えてくると、いやあ、やっぱり最高です。クマザサの緑が季節柄くすんでいるのは仕方がないとしても、澄み切った青空に朝の斜光線がくっきりした陰影を与える伊予富士の急峻な南斜面が力強い(写真:下中上)。この急斜面の上には脚がすくんで立てないなあ、と見上げながら思いました。さらに進むと、伊予富士から東黒森に至るクマザサで覆われた稜線が一望できる区間。ここも好みのところですが、やはり緑鮮やかな初夏がいいですね。稜線付近には、所々に紅葉した木々が見えました。4つ目だったか最後のトンネルを越えると、みなさん必ず立ち止まって写真を撮るポイントに到着(写真:下中下)。振り返ると、東黒森山南西斜面一面のクマザサが陽光に反射して輝いていました(写真:下右)。そこからすぐの東黒森登山口から石鎚山が自念子ノ頭の右手に姿を現す付近(写真:二つ下右、この日は山頂まで行かず)まで登山道を歩いて登って写真を撮るのも、最近のお決まりです。誰か自転車乗りが走ってこないかなとしばらく待っていましたが、誰も来ず。残念ながら、北・瀬戸内海方向は雲に覆われていました。
 しかし、東には寒風山から笹ヶ峰の連なりが、くっきりした陰影を伴って見えました(写真:下左)。やはり朝早めの光線はいいです。もっと早ければ、さらにいいでしょう。その右手前には伊予富士(写真:下右)。伊予富士の眺めは、やはり東黒森山頂からが断然良いと思います。
 下って少し進んで、今度は自念子ノ頭の麓を少し登って、再度東側の写真を撮ります(写真:下左)。右端の三角山が東黒森山です。ちょうど林道入口でいた自転車乗りの人が(停車している私の自転車を見てか)登ってきたので、「もう少し登ったほうが東の見晴らしがいいですよ」と伝言しました。ちょっと歩いて登るだけで、全く光景が変わることに、いつも新鮮な感動と驚きを与えられます。
 いつもなら、この付近が瓶ヶ森林道一番の見所と思うのですが、この日は、ここから先・瓶ヶ森の南斜面がまた一段と良かったです。紅葉もちょうどいいくらい。青空とちょっとくすんだ緑に、朱色から橙色の紅葉が映えます。光線の具合もまずまず。写真:下右は、瓶ヶ森林道から瓶ヶ森・男山〜女山南壁。振り返ると、自念子ノ頭東南斜面も陰影くっきりの紅葉が映えていたのですが、写真はさっぱり。写真:下左は、下右の少し手前から西へ。左奥に石鎚山が見えます。右手前には子持権現山が頭をのぞかせています。
 いやもう、ここまででも十分。前述のように、何度も訪れているところですが、それでも感動できる光景です。ちょっと走っては立ち止まるの連続で前へ進めません。走りながら、歓声連発です。久々に、心の底から走ること(+こんな光景が見られる幸せ)の喜びが溢れ出る感じでした。標高1200m付近までは紅葉(おそらく大部分は黄葉)には早かったのですが、1500m付近ではちょうどいいくらいでした。赤く染まったのは何の木でしょう? 何度やってきても瓶ヶ森林道は最高です。瓶ヶ森林道だけでも十分だったのですが・・・。
 さらに、瓶ヶ森の東側で石鎚山が正面視できるところから、子持権現山まで見えるポイントまで行って引き返し。よさこい峠から石鎚山小屋までの区間の樹林が大好きなのですが、この条件だと紅葉はまだのように思われましたし、なにより後にメインが控えています。
 10時15分過ぎ、折り返します。その頃から雲が少し出てきたのと、太陽光線の具合もいまひとつだったので、復路ではほとんど写真撮影なし。ちょうど11時に旧寒風山トンネル南口に帰ってきました。途中、数名のグループ(一番長いトンネル内で擦れ違い)や単独の方など、自転車乗り10数名と対向しました。到着した旧寒風トンネル南口駐車場は、満杯でクルマが溢れていました。

奥は筒上山、その手前・伊吹山、右手前、子持権現山

霊峰・石鎚山
 さて、ここからが、本日のメイン・寒風大座礼西線東線です。
林道寒風大座礼西線の分岐部で、この後どんな展開になるかわからないので、まずは補給。11時10分、空気圧を適当に少し下げて再スタートしました。未舗装区間は、およそ30qとのことです。スタート地点のほうが標高が高いので多少アップダウンがあっても下りが多いと考え(大きな間違いでした)、時速10qで3時間(これも随分甘い考えであったことが、その後すぐに判明)。まあ、4時間あれば大丈夫だろうと、当初は考えていました。県道17号線には遅くとも15時過ぎには出ておいたほうが良いと考えていたので、11時過ぎに再スタートできたことで心に少し余裕ができました。走り始めると、真新しいアスファルト舗装は500mも走らないうちに地道になりました。前方には、先ほど瓶ヶ森林道から遠望していた道が続いています。若干登りのように見えましたが、進んでみると、やはり緩やかに登り道です。しかし、途中で10%の表示も。路面状況は、最初こそ比較的フラットで時速10qくらいで走れたのですが・・・。。
 
 瓶ヶ森林道側から見ると、冒頭の写真のようにずっと山肌をトラバースする道が見えるのですが、予想に反して意外と西側・瓶ヶ森林道方面の展望は広がりません。時折、右手頭上に冠山付近の稜線がチラッと見える程度です(写真:上右上)。この辺りから、路面状況の記憶が既にあやふやです。くにさださんからランドナーでは無理っぽく、CXなら走行可能かと教えていただいていましたが、テクニックのない私にとっては、かなり苦労した部分もありました。全行程の半分くらいは、比較的走りやすいフラットダートの部分であったかもしれません。比較的平坦な部分は路面状況が良く、時速15qくらいで走れるところもありました。しかし、勾配のきついところ(10%を越える表示が何ヶ所かあり)は、雨天時に表面の整地された土砂が流れるのか、登りも下りも小石が散乱して凸凹多数、かなり荒れていました。そんな道の記憶が強く残って、実際以上に厳しい印象となっている可能性があります。
 意外と早い地点で、「この先は行き止まり」という立て看板がありましたが(写真:下右)、古そうだったので無視して進みました。しかし、やはりちょっと不安だなあと思いながら走っていたら、前からオフロードバイクの人がやってきたので、この先道が通じているか訊ねてみました。すると、この先に分岐があって封鎖の柵があり、そこから先はかなり荒れているので右手の舗装路に降りたほうがいい、との助言をいただきました。そこまででも結構荒れているところがあったので、その先はどれほど荒れているのか、助言・忠告に従って、分岐部(おそらくまだ全線の半分以下)で下ったほうがいいのか・・・。
 そんなことを考えながら進んでいたら、前方に中型のイノシシが出現。この程度の大きさなら大丈夫かなと思っていたら、すぐに崖のほうに下って行きました(写真は間に合わず)。そのまま進んでいると、漸く、すっきりと西側の展望が広がるところにでました。写真:下右、中央部付近が伊予富士でしょうか? この時点でも、全線のまだ5分の1も走っていません。
 道は相変わらず、大小の石が転がっています。登りはもちろん、下りもそうなので、下りでも速度は登りと同程度かそれ以下のところも多い状況で、平均速度は落ちる一方でした(写真:下左)。山側から水が溢れているところもあり、一部では林道が川と化している部分もありました(トップの写真)。トップの写真の先では、ほとんど道幅全体に水が流れていました。こうやって、前述のように整地された表面の細かい土砂が流され、大小の石が残されて道が荒れていくのでしょうか。写真:下右は、国道194号線(道の駅・木の香の少し上流付近?)がチラリと見えたポイントからの一枚です。
 最初の1時間で8q少々進んだ程度(HPの地図・林道寒風大座礼西線の最南端のカーブ付近)で、こりゃ4時間以上かかりそうだと覚悟しました。走る前に参考にさせていただいたHPでは瓶ヶ森や石鎚山系の遠望が広がるとの記載も確認していたので、西側の展望も期待していたのですが、写真:下のように西側の展望が効く場所は、ほとんどありませんでした。
 まあ、オフロードバイクさん情報で、とりあえず県道17号線の何処かには出られると安心して進みます。その後、少し走りやすい部分もあって(写真:下左)、時間稼ぎ・距離稼ぎ。こんなところばかりだと、未舗装路といっても快適なのですが。と、件の分岐に到着です(写真:下右)。そこには、なんと「この先、災害のため通行止め」との標示。時刻は、既に13時前となっていました。この日唯一の手持ち情報は、くにさださんも紹介されている林道寒風大座礼西線の検索でもトップに出てきたHPからです。プリントした地図一枚が本日の命綱。地図を確認してみると、ちょうど足谷作業道の分岐部のようです。やはりまだ全行程の半分弱。時間的には、まだ余裕があります。ところが、その先の分岐・前後にも×マークがついており、もし手前をクリアできて進んだ場合、奥で引き返しとなると精神的・体力的に厳しいかも。しかし、再度ここにやって来られる保証はありません。ということで、先に進んでみることにしました。
 再び登りになりましたが、路面状況はまずまず。標示には災害場所が1.1q先とあったので、とりあえずそこまでと進んでみると、本当にここが災害地点?と拍子抜けする程度の土砂崩れでした(写真:下左端)。途中、3ヶ所ほど平家平登山口の表示があり、その付近には山登りの人のものと思われるクルマが3台前後停まっていました。右手頭上には、時々写真:下左から2枚目のような感じで平家平付近の稜線を見ることができました。が、この後も総じてあまり展望はありませんでした。木々も紅葉は全くなし。参考にさせていただいたHPには、西・南方向の展望良好と記載されているのですが。
 ほどなく道は下りになりましたが、オフロードバイクの方の話通り、結構な荒れ具合です(写真:下右から2枚目)。とうとう一部では乗車したまま下ることができず、降りて押す始末(100mくらいでしたが)。途中、オフロードバイクの人に追い抜かれ、また対向もひとり。さすがに自転車乗りとは出会いません。走っているクルマとも出合わず。
 
 封鎖地点からは少し登った後、かなり下った感じだったので、道の荒れ具合も考えると、これを引き返すのは結構しんどいなと思いながら進んだところ、これまた拍子抜けするように二つ目の封鎖地点に到達しました。写真:下左、奥から手前に進んできました。時刻は、13時30分。ちょうど小麦畝方面からの分岐部で、ここから先が寒風大座礼東線のようです。ここにも封鎖の柵がありましたが横に除けられており(写真:下右)、路面も比較的良さそうだったのと新しいオートバイの轍が残っていたので、距離もあと数キロくらいだろう、時間的にも問題なしと先へ進みました。
 先へ進むと、左手にぐっと登っていく道(写真なし)があり、袂には三ツ森山登山口の表示。帰宅後確認すると、これも気になっていた銅山川方面に尾根越しで抜けられる寒風大座礼線・支線だったようです。この道を走れば、大田尾越と繋いで周回コースが取れるのですが、支線状況を網羅しているHPを見る限りでは、かなり厳しそうです。
 そこからしばらく先に右手に下る細い道を見つけましたが、道はそのまま東進しているので進んだところ、13%の標示(写真:下中上)。いや、最後まで苦しめさせてくれるぜと荒れた道を進んだところ、突然の行き止まり(写真:下左)。あれっ、そんな表示あったっけ。せっかく参考にさせていただいたHPですが、いい加減にしかチェックしていなかったようです。HPには、ちゃんと記載がありました。時刻は14時。
 県道17号線に下る道を見逃したのかとすぐ手前の分岐まで戻ったところ、ここにも新しいバイクの轍を見つけたので、これだろうと下り始めました。しかし、この道も結構荒れていて(乗車は可能)、しかも急勾配が続きます。こちらから登るとなれば、荒れ具合もあって脚着き必須でしょう。下り道なので、おそらく行き止まりはないだろう、また時々スリップしている新しいオートバイの轍を信じて、なんとか下り切って、14時20分・舗装路へ出ることができました。下るのに精一杯で、写真はありません。この道が、志游美谷に沿った道でした。約2.5qでなんと標高差350m。
 舗装路との分岐には鉄柵(写真:上右上)がありましたが、この日は開門していました。ここでも舗装路の右へ進むのが正しいのか、左が正しいのか迷いましたが、この日初めて文明の利器・GPSを使用。さすが一発で左手と判明。舗装路はなんて快適、と途中そこそこの規模で見栄えのする銚子大滝(恵右中下写真:)を横目に下って、県道17号線へ出たのは、14時半頃でした。それにしても上記の最後の分岐から少し工事区間に入ったところには大型ダンプが2台停まっていたのですが、この急勾配でそれほど広くなく荒れ放題の道を登ったのでしょうか?
 県道17号線は極緩やかな登りですが、舗装路はなんて楽なんだと、道の駅・木の香までの10q少々は余韻を楽しみながら走りました。木の香には、15時半くらいに到着。一風呂浴びて、帰途へ。

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