林道男山滝久保線 と 尾瀬山
 生まれ育ったのは香川県の西ですが、尾瀬山(おのせやま)の存在は当時はもちろん、極最近まで全く知りませんでした。とあるブログで初めてその存在を教えていただき、地形図を見てみると確かに山頂近くまで道が続いています。手頃な周回コースがとれそうです。それだけでは少し物足りないかと、訪れる時は近くの何処かと一緒にと思っていたところ、先に旧猪ノ鼻峠を走った前後に地形図を眺めていて、県道4号線・東山峠の南側に阿讃サーキット方面を経由する道を確認しました。そこで、その道を走って東山峠を越え尾瀬山へ向かい、旧猪ノ鼻トンネルで戻って来るコースを考えてみました。 (2021年 3月 5日 記)

雪の林道男山滝久保線 (2021.02.21)
 その道・林道男山滝久保線は、下の地形図を参照。県道4号線・旧東山小学校跡の三叉路を、阿讃サーキット方面に向かって左手へ進みます。阿讃サーキットの手前から東山峠の少し手前で県道4号線に合流する7qほどが林道男山滝久保線です。Google ストリートビューでは県道4号線(起点)と阿讃サーキット手前(終点)ともに未舗装のように見えたことと、尾瀬山から西側は未舗装との情報だったのでシクロクロス車で向かいました。

林道男山滝久保線(

滝久保集落
コース  美濃田−県道12号線−県道4号線−林道男山滝久保線−東山峠・県道4号線−まんのう町−尾瀬山−財田−旧国道32号線−美濃田
走行距離   65q  積算標高 1500m
最高地点   林道男山滝久保線・最高地点  標高700m
走行日   2021年 2月21日  天候:晴れ/曇り  シクロクロス
 先日に続いて吉野川オアシス付近からスタート予定で県西部へクルマを西へ走らせたところ、脇町手前から阿讃山脈も剣山山系も標高400m辺りから上は雪景色(写真:下左上)。市内では前日遅くまで雨だったのですが、それほど冷え込んではいなかったので油断していました。ありゃ、こりゃ認識が少し甘かったかと思いましたが、まあなんとかなるだろうと、そのまま予定デポ地へ。午前8時半スタートで県道4号線に向かいます。いつものように小川谷川左岸の旧道から進んでいきます。いつも撮り損ねていた県道4号線に入ってすぐのところから見下ろす小川谷川(写真:下右)。吉野川本流に合流する手前とは思えない雰囲気だと思いませんか? 県道4号線の前半は小川谷川に沿っているのですが、意外と川面を見下ろせるところがありません。先日、小川谷川と分かれる増川谷川沿いを走りましたが、こちらはすぐ横手に川が流れるところが続き、この下流の雰囲気も納得でした。
 左上 冠雪の阿讃山脈
 左  JR土讃線・小川谷川鉄橋
 上  二千年橋
 右  小川谷川
 東山小学校跡の三叉路からは、阿讃サーキット方面の左手に進みます。阿讃サーキットには、1997年と1999年に当時開催されていた三好町自転車耐久選手権に参加のため向かったことがあります。初めてだった1997年時は、分岐部毎にある「阿讃サーキットこちら」の案内が無ければ、とてもその先にサーキット場があるとは思えない山道が続いて、不安ながらに進んだものです。小川谷川から分岐する滝久保谷川に沿って進んでいくと何ヶ所か枝道があるのですが、分岐部には必ず「阿讃サーキットこちら」の案内表示が設けられているので迷うことはありません。増川谷川沿いと同じように、ここの分岐部でも氏名入り民家の案内図をいくつか見かけました。
旧東山小学校跡 分岐毎にある阿讃サーキット 名前入り民家の案内図 標高400m、田畑は積雪
 標高300mも越えると、道端にチラホラ残雪。さらに標高400m・滝久保集落に入ってくると、田畑は一面真っ白。家の屋根も雪で覆われていましたが、陽当たりのいい道路は雪が解け、もう乾いている部分も見られました。下の写真は、滝久保集落の一部。左下の道を登ってきました。阿讃サーキットはこの左手少し上です。奥に見えているのは、形から中央が烏帽子山だと思います。左手は矢筈山だと思うのですが、雲の中でした。右手には腕山スキー場の雪原が確認できます。腕山周辺を走った時の記録を確認すると、向こう側からも県道4号線付近と思われるところが見えると記載していますが、この辺りだったのでしょう。
 滝久保集落を抜けたところに、本日のメインのひとつ・林道男山滝久保線の標示を見つけました(写真:下左上)。阿讃サーキットは、このすぐ手前で分岐する急坂を登ったところにあります。東側に見える山は、ほぼ同じ等高線付近から上は雪化粧です。山肌の木々に雪が残っていなくても道路には積雪があることを、これまで何回か経験しているので、この先は多少の積雪があることも予想されました。スタート時からその予想はしていたので、最悪、撤退も覚悟の上で、林道男山滝久保線へと足を踏み入れました。
 ところが、上述のように未舗装を予想していたのですが、路面は林道増川線のような比較的新しく良好なアスファルト舗装で始まりました。勾配も緩やかです。しかし、残雪が次第に増えてきました。落ち葉は当然、拳くらいまでの落石も多数。雪に隠れていることがあるので注意しながら進みます。道両側は落葉樹や杉、檜などが雑多に生えていますが、植林されたところはあまりないように思われました。路面には松葉が一番多いように思えたので、松の木も多かったようです。上左や下左のように、山側からの倒木が道を横断しているところも3ヶ所ほどありました。ここ最近はクルマが通っていないようです。この先どうなるのかなあ、最後まで舗装なのかなあなどと思いながら進んだところ、3〜4q進んだ辺りだったでしょうか、未舗装となりました。トップの写真のように路面の雪も増えてきましたが、走行に困るようなことはない程度。時折頭上から、半ば凍結した樹の枝についた雪が、パラパラ、サラサラと音をたてて落ちてきます。陽光にキラキラと輝くように見えることも。
とおせんぼ 雪道に 中津峰(左)と国見山(右)
 林道際はずっと雑木が繁っていて、南側への展望が広がるところはほとんど無かったのですが、1ヶ所だけ木枝の合間から中津峰国見山が見えるポイントがありました。このポイント付近が林道男山滝久保線の最高地点(標高700m弱)だったように思います。再び舗装路となり少し下りになったところで、右手から合流する道がありました。県道4号線に出たのかなと思いましたが、どうも雰囲気が違います。後で地形図を確認すると男山集落方面に向かう道があったので、その分岐だったようです。そこから1qも走らないところで、今度は間違いなく県道4号線の合流地点に(写真:下左端)。県道4号線も雪道かと思っていましたが、陽当たりがいいのと多少はクルマが通っているようで、峠の南側では路面上の雪はありませんでした。結局、林道中程の2q程度が未舗装で、後は比較的新しいアスファルト舗装でした。ここまでスタートから20qに、ちょうど2時間要しました。
県道4号線への合流部 東山峠 東山峠から南へ 東山峠、東側の山
 東山峠からの県道4号線は阿讃山脈の北側斜面になるので残雪や凍結も多くなるかと、注意しながら下り始めました。写真:下左は、2020年8月に走った時にも同じ場所で撮っています。峠から最初のコーナーですが、この付近まではさすがに多少の雪と解け始めた氷がありました。が、下右の写真はかなり下ってきた日陰の部分で、その間に雪はほとんど残っていませんでした。写真からもわかるように、クルマの轍が何台分か残っています。下左の部分も、バリバリと音を立てて走っていける状態でした。
 さらに下ってくると、路面もすっかり乾いて、気温も少し上がってきました。道脇は尾根の南側と異なり落葉樹が多くなって、冬場のこの時期は陽当たり良好(写真:下左)。写真:下右は、これも2020年8月に写真を撮っている塩入集落。ちょうどこの付近で、谷のほうから勢いよく水が放出されるような音が響いていました。ダムでもあるのかなと思われましたが、覗き込んでも確認できず。つづら折れのところだったので、何処から谷に下るところはないかと目を凝らしたのですが、それも確認できませんでした。しかし、地形図を確認すると、ちょうどその付近にダムのマークがありました。
 下り切って、この日もうひとつの目的地・こちらも初めての尾瀬山へ向かいます。県道4号線と国道438号線方面からの広域農道との交差点を左折し、県道202号線へ。中山のひまわり畑へ右折する少し手前で、尾瀬山左折の標示がありました。ちょっと切れていますが、左上の黄線が県道202号線です。まんのう町の「の」の字の上付近に、尾瀬山への分岐があります。下ってきた県道4号線は、右手に切れています。尾瀬山と神社の標示、その東西のジグザグ道を走りました。
 登り始めに林道辷り尾多治川線の標示がありました。道両側は竹林。写真を撮っていたところ、前方から一台の自転車が下ってきます(写真:下右上・ほぼ中央部)。尾瀬山は香川では定番なのかなあと近づいてくる自転車乗りに挨拶しようとしたら、なんと知人のま〜し〜さんでした。まさかこんなところで遭遇するとは!もう驚きのレベルを越えていました。財田の枝垂れ梅を訪ねたついでというま〜し〜さんと立ち話の後、尾瀬山展望台を目指して登り始めます。登り始めは緩やかで快適。さすがに東山とは異なり残雪もなく、気温も上がって南斜面だったこともあり陽射しを暖かく感じながら登りました。下左の写真、自転車を立てかけてある樹、枝振りが少し異なりますが、木肌はサクラと思われました。その向こうも同じようにサクラと思えました。この後、所々で植樹されたらしいサクラの樹を見かけましたが、いずれも樹勢がだいぶん衰えているように見えました。
 写真:上右下、右手から登ってきて、林道辷り尾多治川線は手前に続くのですが、ここからは右手・林道尾の瀬線へ進みます。勾配は少しきつくなって、まもなく駐車場みたいなところに到着。道は二手にあって、まっすぐ進む幅は広いものの未舗装の道、左手に進む道は急勾配のコンクリート舗装。案内図もあったのですが、どちらが神社・展望台に向かう道かはっきりしませんでした。とりあえず、まっすぐ進むと行き止まり。右手に歩いて登れるところがあり、10m程度だったので登ってみました。木々の間から讃岐富士・飯野山や瀬戸大橋を眺めることができましたが、展望台ではないようです。大きな石碑があったのですが、墓の丸との案内板がありました。引き返してコンクリート舗装の道を進みます。勾配はさらに急になって、落ち葉も多いので押し。途中で尾根に伸びる細い歩道を見かけ、そちらが展望台かなと思われましたが、何の表示もなかったので、そのまま先へ進みます。すると、鳥居が見えてきました。尾瀬神社です。境内に進んでみました。南側には大きなヤマザクラが1本。尾背寺跡の案内板はありましたが、展望台の案内は何処にもありません。鳥居の手前を左手に登っていく歩道が見えましたが、尾瀬山山頂に向かう道かと思われたので、登って来る時に見た尾根沿いの歩道へ進んでみました。
 左2枚 尾瀬神社
 右   尾瀬神社のヤマザクラ
 人ひとりの幅の歩道を進むと、探していた展望台がありました。ちょっと迷って辿り着いた展望台、そこからの眺めは予想を遥かに越えた素晴らしいものでした。鳥瞰好きにはたまらない光景が広がっています。讃岐平野のほぼ全体が見渡せます。下の写真は、ほぼ北からほんの少し東寄りに向いて。右手前に満濃池が見えています。右手奥は五色台、重なるように左手に城山、ほぼ真北に讃岐富士・飯野山、その左手に瀬戸大橋が見えます。
 上の写真には写っていない西側の眺めが下の写真です。写真:下左は三豊平野です。左手の落葉樹に引っかかっていますが、琴弾山と燧灘に伊吹島。高屋神社は、ちょうど写真の右手に切れているのですが、登っていく道は奥中央に見える山の麓から右手に登っていきます。写真でははっきりしませんが、肉眼では瀬戸内海の島々から本州までボンヤリと確認できました。写真:下右は下左と少し重なりますが、奥に見えるのが、志保山・七宝山全体。手元・眼下に見えるのは財田川。
 写真:下左、手前と奥の稜線境はともかく、右手上に飛び出したところは奥の稜線よりもうひとつ奥で紫雲出山です。ズームアップすると山頂の展望台も見えています。写真ではわかりませんが、この方向でも瀬戸内海の島と本州が確認できました。下中は大麻山。山頂のテレビ塔が見えます。金毘羅さんは、この裏手です。下右は大麻山の麓から東手。善通寺の町から多度津・丸亀方面です。沖に浮かぶのは、1990年代にトライアスロン参加のため毎年訪れていた、さぬき広島。
  
 写真:下左は、讃岐富士・飯野山と瀬戸大橋を少し拡大。児島半島の奥には、岡山市の北にある丘陵地も確認できます。写真:下右上は、高松空港をズームアップ。写真ではわかりませんが、この後方には小豆島も見えていました。左手には五剣山と屋島も見えると思うのですが、確認できていません。空気の澄み具合は、それほどいい条件とは思えませんでしたが、この眺め。讃岐平野の眺め、南側からなら矢筈山や高仙山大滝山、竜王山大川山などから、北側からだと城山や大麻山などから何度も見てきているのですが、標高がさほどなく、西端近くに位置する尾瀬山から、これほど香川県全体の展望があるとは予想していませんでした。大気の条件がいい時を狙って再訪する価値があり。
 時刻はちょうど正午過ぎ。冷たい風もなく暖かな日差しの元、持っていた食べ物を摂りながら、眼前に広がる展望を眺めていたら、下方から列車の通過音。土讃線を走る列車です。ズームアップしてみると、アンパンマン列車のようでした。黄色い背景の車両は、初めて見たように思います。再訪を誓いつつ、帰路へ。下りは西側へ降ります。林道辷り尾多治川線まで戻って、少し登り返すと後は下りです。途中から情報通り未舗装となりましたが、路面は結構踏み込まれていて、ロードバイクでも走行可能かなと思われるところが大部分でした。こちらも、衰えたサクラの樹(写真:下右)。南側には先程越えてきた讃岐山脈(写真:下左上)。写真:下左下、珍しく植林されたような檜林もありました。
 
 下っていくと、一部にはロードバイクではリスクが多いと思われる箇所もありました。さらに下って、写真:下左、180°コーナーが2回続くところでは、また滝のような水音が聞こえてきました。一瞬チラリとダム状の構造物が見えたのですが、上述の塩入集落付近のところ同様、近くで確認することはできませんでした。さらに進むと、左手に結構な水量を保った渓流が現れました。帰来川です。財田川の支流。前日の雨・雪の影響でしょうか。水量の少ない財田川の下流で育った者としては、上流でいつもこれだけの水量が保たれているとは思われません。そんな帰来川に沿って下り、予定ではJR土讃線・財田駅横から、もうひとつ小さい山を走るかと思っていたのですが、財田駅分岐を見逃し。
 
 時間的余裕もさほどなかったことと、尾瀬山の眺めで十二分に満足できたので、そのまま国道32号線へ出ました。ここでもうひとつチェックしていた処へ。旧猪ノ鼻峠の記録を書いていた時に知った大久保じん(漢字が出てきません)之丞の碑が近くにあると確認していたのです。それは、猪ノ鼻峠方面に進んだ国道32号線沿いにありました。石碑は驚くほど大きく、由来などを書いた説明板がありました。写真:下左、この道が四国新道だったのでしょうか。
 さすがに国道32号線は交通量がそこそこあって、日曜日に関係なく大型トラックも行き来します。新猪ノ鼻トンネルは自転車が通れません。まあ長く交通量の多いトンネルは、よほど時間稼ぎの必要がない限り、通過可能でも通らないと思いますが。写真:下左の先で旧道へと左折します。こちらの標示には一度消されたあと、また国道マークの32が記載されていました。徳島側は県道5号線に記載変更されているのですが、この違いは? 旧道に入ると同時に、クルマはほとんどいなくなりました。下中の写真からわかるかと思いますが、徳島側から登った時同様、こちらも再舗装されたばかりのようで、とても走りやすい。センターラインもまだ入っていませんでした。先に徳島側を走った時同様、ゆっくりのためか勾配も記憶の印象より緩やかに感じます。なにより、落葉樹と常緑樹が混じった山肌を新鮮な目で見ることができました。交通量が少ないという恩恵は、いろんなところに現れるようです。ちなみに、地形図では旧国道32号線の東手に並行して道の記載があるので、予定ではそちらへと思っていたのですが、工事中で通行止めでした。
 写真は財田第一トンネル。この後第二、第三とあるトンネルの間に180°コーナーが2か所あるのですが、上右の写真は第三トンネルも越えた少し先から振り返ったところ。旧国道32号線をよく利用していた時に、トンネルから出て下ってくると一ヶ所だけ讃岐平野の一部と瀬戸内海が見えるポイントがあったことを覚えていました。ここがそうです。尾瀬山でも書きましたが、それほどいい条件ではなかったので、くっきりではありませんが、手前右は山頂直下の崖を見ると地形図から傾山のようです。山頂左手に薄く見えるのは、既に瀬戸内海の島で亀笠島、その奥は高見島かと思います。その付近では以前からある砕石場で仕事をするダンプカーが何台か行き来していましたが、それ以外はほとんどクルマは走ったおらず。前回同様旧猪ノ鼻トンネルも徳島県側も快適に下ることが出来ました。

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