三江線 と 江の川  −1日目−
 三江線は、広島県三次市と島根県江津市を結ぶ、そのほとんどを江の川に沿って走る全長108qのローカル線です。前年末すーさんと一緒にその界隈を走った際、川とクロスしながら走る線路と周囲の光景に、すっかり魅せられてしまいました。2018年3月いっぱいで廃線になるとのこともあって、是非その前に再訪し、可能なら片道輪行できればと思っていました。
 今回は直前に再訪を決めたので、慌てて準備、調査不足ままの出発となってしまいました。連休中は全国から鉄道マニア(鉄ちゃん)が集まってきて混雑するのではないかとの情報も見かけたことや、時間的なことなどもあり、片道全線輪行は準備の段階で諦めました。で、一日目は、三次から前回走った宇都井まで線路沿いを辿り、そこから西側の山手を回って帰ってくる。二日目は、浜原から江津まで輪行。江津から江の川を遡って川戸駅へ。一度三江線を離れて山をぐるっと回り、再び川戸駅から川本駅手前まで三江線並走。そこから浜原方面へは前回走っているので、今回はそこからも山に入って、石見松原駅近くから浜原駅に戻るコースとしました。いずれも、できるだけ走っていない道、クルマの少なそうな道を選んで繋いだコース設定としました。  (2017年06月24日 記)

 江の川 と 三江線を走る列車(長谷駅近くで))
コース 三次−宇都井−阿須那−川根−美土里−甲立−三次
走行距離  130キロ   積算標高 約1300m
最高地点  美土里町付近 標高390m
走行日  2017年 5月 4日   天候:晴れ  GIANT TCR
 午前4時半、自宅出発。5時過ぎには、東の空が薄っすらと明るくなってきました。瀬戸大橋を通って、尾道JCTから尾道自動車道を北上して、デポ地の県立みよし公園まで260qほど、7時半過ぎに到着。準備をして、8時にスタート。まずは、三次駅へ立ち寄り、そこから巴橋を渡って、前回帰路クルマで偶然迷い込んだ少し古い建物も残る・みよし本通りという道へ向かいました。
 前回はクルマで通り過ぎたので気づかなかった辻村寿三郎人形館が、この通りにあるのに気づきました(写真:ひとつ下中)。が、開館時間を見ると、どうも入館は難しそうです。残念、事前調査不足は勿体ない思いをすることが多いですね。

JR三次駅

巴橋
 三次の街を少しうろついて、街外れにある尾関山駅を確認した後、三江線のすぐ横を並走するためと、右岸の国道375号線より交通量が少ないこと間違いなしと、祝橋を渡って江の川の左岸へ。鉄橋もそうですが、江の川に架かる沢山の道路橋も、それぞれ構造や色も多彩で、見るだけでも楽しめました。
   
みよし本通り   と   辻村寿三郎人形館                        祝橋を渡って、江の川・左岸へ
 ところで、三江線は便数が極めて少ないので(1日に数本)、並走していてもなかなか列車に出会えることがありません。事実、前回は2日間で延べ3時間くらい線路と並走しましたが、列車の姿は皆無でした。おまけに全長108qに3時間半強も要します。走力のある人なら、自転車のほうが速いくらいです(翌日、輪行・乗車してそのスピードを体験しました)。私はというと、列車同様、各駅に立ち寄りながら、のんびりと進みました。まずは、粟屋駅へ。三江線、108qの間に34もの駅があるので、平均で3km毎くらいに駅がある勘定になります。
 事前にざっとだけ目を通していた時刻表(コピーも持参)から、今回も走っている途中に列車に出会えることは、ほとんどないだろうと思っていました。が、最初に立ち寄った粟屋駅で時刻表を見ると、意外にも、もうすぐ下り(江津から三次方面)列車がやってくるようです。前方に見えてきた長谷駅には、撮り鉄らしき方が2名待機中。長谷駅を川越しに見えるところで待つこと10分ほど、下流から列車がやってきました(トップの写真)。
    
   粟屋駅              下り列車(長谷駅近く)          狭い川沿いの斜面を道路と線路が共有
  列車が横を行き過ぎてから、ゆっくりと走行再開です。線路と道路は高低差が10m前後あるところが多いのですが、所々で交差しながら並走しています。川に沿う道は極めて緩やかな下りですが、弱いながら追い風とあって快適。1車線の細い道ですが、交通量はほとんどなく、気楽に気持ち良く走れました。
 山陰地方なので四国と比較して新緑には少し早いかなとも思っていましたが、四万十川流域にも似た雰囲気の山肌は、もう明るい新緑に覆われていました。川の流れは、中国地方ならでは。河口から100q近く上流でも、緩やかで瀬をみるところは僅かです。この付近では、道路のすぐ左上方を線路が並走。
 
江の川に沿って 三江線は左上手を並走

式敷駅
 相変わらず、できるだけ駅に寄り道しながら、のんびりと進みます。駅舎もなく単線の横に申し訳程度のプラットホームがあるのが大部分で、写真:右上・式敷駅のような対向できる複線区間のある駅は、ほとんどありません。本数が少ないためか、もう既に廃線の如く、駅構内でも線路際にも雑草が伸び放題(写真:右下、香淀駅)。

道路が上で交差 
 
香淀駅近くの線路にも雑草が
 しばらく線路に沿った左岸を走った後、式敷駅からは蛇行した川をショートカットするように線路は一度右岸に移るので、同じように右岸へ渡りました。ここもトンネルで抜ける国道を避けて、線路に沿った川沿いの旧道を走りました。

道路が下で交差
 
香淀橋               三国橋
 半島状の蛇行部をぐるっと回ると、再び線路と共に左岸へ移動します。香淀橋で渡りました。その後も狭い河岸を走るので、随所で線路と道路が交差します。道路が上になったり、線路の下をくぐったり。おそらく、勾配の少ない線路に合わせて道路が上下していると思われます。写真:左上、線路をくぐって。道路はS字を描いて回り込みます。列車が来る予定があれば少し待つのですが、この後、夕方まで列車の通過はありません。当然、踏切もありますが、河岸が狭いので、写真:左下・右下のように踏切前後でクランク状になっている個所が大部分です。
 
作木口駅〜江平駅間

江平駅手前から
 左岸に移って前回走った口羽駅までも、交通量の少ない道のサイクリングを満喫しました。写真:右上、陸橋を渡って、また踏切で交差する向こうに見えるのは、江平駅。
 三江線が廃線となっても、民家は存在するので道路は残るでしょう。川を渡る道路橋は、鉄橋より遥かに本数が多いです。口羽駅近くにある道路橋は、広島島根県境が川の中心を通るためか、両国橋との名が記されていました。
  
  江平駅前 丹渡橋           口羽駅近く 両国橋
 
口羽〜伊賀和志間の鉄橋 
 口羽駅から宇都井駅までの区間は、蛇行する川を直線状に走るため三江線は対岸を走ることになりますが、前回も魅せられた2本の鉄橋がその間を繋いでいます。そこまでにも、ぽつぽつ撮り鉄と思われる方の姿を見かけましたが、思ったより随分少なかったです。宇都井駅直前の鉄橋を見渡せるポイント(写真:下)で、大型カメラを数台、三脚にセットした方がいたのが、この日見かけた唯一・一番の装備の方でした。
 宇都井駅には昼前に列車が通過することを記憶していましたが、当初は距離から宇都井駅到着はもっと早い時間になると思っていました。ところが寄り道も多くてちょうど通過時間になりそうです。鉄橋からはトンネルを抜けて宇都井駅に至るのですが、道路はぐるっと川沿いを周ります。鉄橋の川下には道路橋があり、ここにもカップルがカメラを準備していました。到着した宇都井駅には、さすがに(それでも)十数名の鉄ちゃん達の姿。
  
伊賀和志〜宇都井駅間の鉄橋 
 ここで一案。列車のスピードから考えると、道路橋から鉄橋上を走る列車の写真を撮って、速攻で宇都井駅に走れば、2ヶ所で列車を見ることができるかも。二兎を追う者は一兎をも得ずになるかもしれませんが、それを実行してみることにしました。橋まで一度引き返して、10分ほど待ってみました。静かなので列車の近づく音が早くから聞こえるだろうと思っていたのに、前触れなく、いきなり鉄橋に列車登場。で、撮影タイミングが少し遅れてしまいました。慌てて2枚撮って、急いで宇都井駅へダッシュ。なんとか宇都井駅・停車中の列車も見ることができました。

宇都井駅、停車中
 
県道292号線から宇都井駅を振り返る
 宇都井駅からは三江線と翌日までおさらばで、県道292号線をゆるりと登ります。下って出てきたところは、半年前に走ったばかりの県道7号線です。そこを前回とは少し逆走して、阿須那を過ぎてすぐのところで右折。この分岐もわかりにくいかなと思っていました。紙地図も持参していましたが、スマホでの地図で現在地の確認ができ、漸く少しばかりスマホが活用できたようです。お気に入りの石州瓦屋根民家の風景を眺めながら、つづら折れの道をだらだらと登って下り、県道4号線へ。
  
阿須那付近、石州瓦の民家 
 県道4号線は新しく改良されていたようで、旧道らしい、その手前で分岐の表示も見つけて右折。すると、島根広島県境の表示。この旧道区間は、すぐに終了して、幅広い2車線道となりました。

      
県道4号線・旧道の分岐、右は旧道の県境 
 少し進んだ川根というところから、地図で県境を縫うように走る道(県道169号線)を見つけていて、そこを走るつもりだったのに、手持ちの地図には、なぜか間違って、そのまま南へ下る県道323号線をトレースしていました。それに気づかず進んだ県道323号線は旧態然とした、狭くて味のある道でした。
 そこから、また幅広い国道433号線に右折して、中国道をクロス。甲立駅で芸備線もクロスして、県道52号線へと進みましたが、この道は予想よりやや交通量が多かったので、より少なそうな県道440号線へと左折(デポ地まで少しショートカット)。
 
県道323号線
  
県道433号線〜県道52号線〜県道440号線
 県道440号線を下ると、相変わらず赤茶色の石州瓦民家が点在する農村光景が広がっていました。が、少し進むと、なぜか民家の屋根瓦は、すべて黒塗りに変わりました。この違いは、なんでしょう。
  
県道440号線沿いの民家 赤褐色の石州瓦から黒色の瓦に 
 最後は県道375号線。手持ちの道路地図では交通量が少ないとあったのに、広い2車線の立派な道は、この日走った中で一番交通量が多かったです。おまけにデポ地直前で、この日初めて道筋がはっきりしなくなってしまいました。よく見ると、手持ちの地図は、なんと2000年版。尾道道が載っていないのはもちろん、高速道路にアクセスするため改良された道が全く載っていません(翌日もそれを痛感)。まあ17年も前のものだからなあ。スマホ持っても相変わらずのアナログ親父なので、そろそろ新しい版の地図購入が必要ですね。

三江線 と 江の川  −2日目−
 2日目は輪行で始まりです。  (2017年06月24日 記)

三江線・田津駅近くにて
 二日目も午前4時起きで、4時半過ぎに出発。まずは、クルマで浜原駅近く・前回もデポした美郷町防災公園へ移動します。途中、浜原駅前を通過したので、チラッと様子を見てみると、乗車予定の始発と思われる車両が見られましたが、人の姿はほとんどないようでした。5時40分くらいにデポ地到着。江津行は6時20分発だったので、ゆっくりと準備して向かったら、ちょうど5時56分三次行の列車が発車していくところでした。これもちょっとした事前確認不足。出発時間を把握していたら、後分早くやってきていたのに。また勿体ないことをしてしまいました。
   浜原駅は始発駅ですが、無人駅。この時間に浜原駅から乗り込むには鉄道移動単独では難しいので鉄ちゃんも少ないかと思っていましたが、ゴールデンウィークだったので予想できません。しかし、駅舎内を見ると、どうも乗客は当方と、もうおひとりのみのようです。ゴールデンウィークの2両編成列車に乗客二人。やはり廃線になるわけか・・・。
コース 浜原(輪行)江津−川戸−邑南町−日和―川戸−浜原
走行距離 130キロ   積算標高 約1900m
最高地点 大利峠 標高500m
走行日 2017年 5月 5日   天候:晴れ   ロード
 考えてみると、ワンマンカーの乗車は何回か経験があるのですが、切符を持たずに(駅に切符販売機なし)乗るのは初めての経験でした。運転士さんに、料金後払いであることを確認して乗り込みます。
  
浜原駅から輪行   江津まで乗車した列車
 車両内は、下の写真のように、1両に横座りの席とボックス席が4つ。線路は江の川左岸を走行する部分が多いので、右のボックス席へ座りました。
 定刻通り、6時20分に発車。108qの距離に3時間半かかるというのに間違いなく、スピードは路面電車くらいの感じ。まるで、工事などのために徐行運転をしているようです。すぐ横に道路が並走しているのですが、確かに自転車で十分併走できそうなくらい。スピードが出たのは、極一部の直線部分とトンネル内のみ。時折、山側から伸びた木々の枝が車両にあたる音が車内に響きます。写真:下中は、粕淵駅を過ぎてすぐにある鉄橋(前回自転車で線路脇を走った)を通過中。 
  
列車内の様子            粕淵駅を越えてすぐの鉄橋を通過中         石見梁瀬駅に停車中
 しかし、そのゆったり感がいいですね。同じローカル線の高徳線でも、列車のスピード結構速いです。ましてや新幹線に象徴されるように、より速く一辺倒の時代に、こんなのもいいなあと思いながらでしたが、それもたまに利用する旅人故の感想かもしれません。各駅に停車する毎に、車窓から写真を撮っていましたが、途中でそれも止めて、ただ乗っていることを楽しみました。写真:下中は、途中唯一対向列車とすれ違う川本駅に入っていくところ。対向待ちで停車していると、前方から列車がやってきました(写真:右下)。
  
        前年、道側から立ち寄った竹駅                   唯一対向列車とすれ違う 川本駅にて
 乗車2時間近くもどうしようかなあ、本でも持ち込むかな、いや満席で立ちっぱなしとなったら疲れてその後走れないなあなんて思っていたのは、全くの杞憂に終わりました。川本駅付近からは定期のお客さんも若干名乗車してきましたが、江津までボックス席を一人で独占。ゆっくりと流れる車窓からの眺めを、存分に楽しむことができました。
 8時12分、江津駅到着。運転士さんに挨拶して、下車。ちなみに江津駅降車時のみ駅で運賃を支払うシステムになっていました(事前に車内放送あり、他はワンマンバスと同じく降車時車内で支払い)。

車窓から、もうすぐ江津
 
江津駅 改札口と外観
 駅前で自転車を組み立て(ホイールを装着しただけ)、まずは海岸まで走ってみました。が、辿り着いた日本海は、味もそっけもない浜でした。一枚だけ写真を撮って、非常用食料調達のためコンビニを探して江津の街をウロウロ(駅前には、店が全くありません)。無事調達後、のんびりと三江線に沿って江の川を遡り始めます。山陰道から連続する国道9号線が、二階建て構造の上を走る江津大橋を横目に、まずは江津本町駅へ向かいます。
 
期待外れの海岸と、江の川に最初に架かる鉄橋と道路橋
 
二階建ての江津大橋         三江線陸橋
 江津本町駅というので、江津の中心部かと思っていたら、下の写真の通り町外れ川沿いの小さな駅でした。名前負け?していますが、川沿いの情緒ある駅でした。ここで、また駅の時刻表を確認してみたら、しばらく走った辺りで上り列車を見ることができそうです。そこから川平駅までは、三江線に沿って左岸(下流に向かって左側)を走ります。この付近、江の川は、まるで風のない湖面のような平水面でした。写真:右下、右手の川沿いに続く木立のすぐ横を、線路と道が並走しています。

江の川沿い、江津本町駅

鏡のような水面
 少し先へ進んで、千金駅で上り列車と出会えるかとスピードをちょっと上げましたが、ちょうどその手前で近づいてくる列車の音。慌ててカメラを取り出して、一枚。川平駅には、こじんまりした駅舎もあります。前述のように、三江線には駅舎のある駅はあまりないので立ち寄ってみました。駅舎内は、こんな感じ。窓口の跡があるので、駅員さんが常在していた頃もあったのでしょうか。が、漂う空気は、既に廃線後を思わせます。

数少ない列車と
 
川平駅 駅舎とその内部
 川平駅からは左岸に道がないようなので、松川橋を渡って右岸へ渡ります。右岸の国道261号線は、やはり少ないとはいえクルマも多め。2ヶ所ほど新しいトンネルでショートカットのところは、当然川沿いの旧道に迂回しました(自転車・人は旧道へ、という表示があったことには関係なく)。川戸駅のところで、再び左岸へ。前述のように、鉄橋以上に道路橋は数も多く、構造・色ともに多彩でしたが、この桜江大橋のような三色に塗り分けられた橋は、他になかったような記憶です。川戸駅で小休止。ここでも時刻表を再確認しましたが、近い時間に列車が通過することはなさそうでした。
 
松川橋            川戸手前の鉄橋
 
桜江大橋            川戸駅
 予定通り、川戸駅からは山側へ寄り道・迂回して、県道41号線を進みます。地図上この付近には何本も道が交錯してあり、どの道を走ることにするかは現地で決めることにしていました。八戸ダムへ向かう道を走ることも考えていましたが、県道329号線を進むことにしました。 この県道329号線が、手持ちの地図では細い曲がりくねった道だったのですが、標識に従って進んだ道は真新しい幅広い2車線道でした。どうも、その先にある浜田道ICへのアクセス道路として改良されたようです。やはり17年も前の地図では、だめですね。トンネルで直線化された道は、味気ないものです。まあショートカットした新道の陸橋から、下方に旧道に沿う集落が見えたことくらいが良かったことでしょうか。
  
    蛇行する江の川支流を遡る           八戸ダムへの分岐        新しい県道329号線から旧道に沿う集落を見下ろす
 途中から右折して県道50号線へ進みましたが、ここも幅広い2車線道。ありゃあ、と思っていたら、県道7号線に合流する少し手前から細い旧道となりました。広葉樹林の新緑が美しく道を囲み、やはりサイクリングにはこんな旧道がいいなあと思いながら進みました。
 ところで、今回走っていて何度か感じたのは、道幅が広く交通量も少ないこともあるのでしょうが、運転者マナーがとてもいいことです。ほとんどのドライバーが自転車を無理に追い越しません。2車線で対向車がないとウインカーを出して大回りで抜いていく人も多かったです。ツール観戦時に走ったフランスの田舎道で経験したことと同じようで、ちょっと感激。
 しばらく県道7号線を進みましたが、ここも幅広い道。時折、凍結滑り予防のためか路面につけられた細い筋が、細い自転車のタイヤにはちょっと走りにくかったです。 ぽつりぽつりとある民家は、どれも1軒1軒が大きく立派です。庭先をはじめとして、家屋周囲も丁寧に手入れが行き届いています。これは、前回口羽駅から県道7号線を今回とは逆走していた時にも感じたことです。
   
県道329号線から県道50号線へ そして県道7号線へ
  県道7号線を進み邑南町の役場を通り過ぎたところで、予定の県道112号線を見逃しかけて、後戻りして左折。この付近も、相変わらず赤茶色の石州瓦民家集落が、田植えが終わったばかりの水田に映える光景が続きました。この辺りで、ふと気が付いたのがマンホールの形。まん丸じゃない。このメリットはなんでしょう?
 県道112号線に入ると、冬季は雪のため通行不能の表示を横目に、いきなりの登り坂。峠までは、結構急な勾配が続きました。線路・駅がなくても、相変わらず、ゆるゆるペースです。出会うクルマは、ほとんどなく、新緑はきれいでしたが、展望はありませんでした。
  
正円形ではないマンホールの蓋         邑南町付近の田園風景              県道112号線へ
 到着したピーク・大利峠は、洞門となっていました。 洞門を抜けると、見晴らしがいいかなと思っていたら、そのとおり。遠くに見える山は三瓶山でしょうか。写真ではわかりませんが、肉眼ではうっすらと日本海の水平線も見えていました。

大利峠の洞門

大利峠北側の展望
 下り切って、県道295号線と交差する日和で水分補充休憩。そのまま県道112号線を川戸方面に進みます。そこから、もうひとつ同じような峠の登りを覚悟していたのですが、意外にも少し登っただけで下りになりました。ところが、この下り道が曲者。今回のツーリングで、最も荒れた路面でした。小石、小枝、枯葉が散乱。おまけに雨も降っていないのに出水が多く、下り坂にも関わらず、登りよりほんの少し速い程度のスピードしか出せません。写真は、まだまだ路面状況が良かったところ。道周囲の新緑は見頃でしたが、楽しむ余裕もありませんでした。かなり下って民家が見えてきたら、漸く路面状況は良くなってきました。江津側へ戻るように線路とクロスしながら、再び川戸駅へ。
  
県道112号線、日和から峠を越えると、路面は荒れていた
 ここでもひとつ思い違い。川戸駅を14時前後に上下便が出ると思っていたら、川本駅の間違い。で、そのまま左岸を線路沿いに遡ります。13時過ぎだったので、30分ほど走った辺りで景色の良さそうなところで上り列車を待つつもりで先へ進みました。
 田津駅のところで、そろそろ上り列車が来る時間となったので、線路脇で休憩を兼ねて列車を待ちます。ほどなくやってきたのは、ラッピングされた1両を含む2両編成。通り過ぎる車窓には、家族連れなど結構多くの乗客の姿が見られました。周囲に何もない駅で降りた人々は、地元の方でしょうか。
   
再び、三江線沿いに                 田津駅で列車を             トンネルが連続する区間もあり
 そこからは、乗車時にも確認していた、トンネルが続く区間があります。短いものあり、長いものもあり。長いものは道路と少し離れていますが、短いものは道路脇。列車が来ないのがわかっているので、近づいて一枚。鹿賀駅でも、ちょっと立ち寄って一枚。駅舎の窓上に青いラインがあります。小さくてわかりませんが、洪水時、ここまで水位が上がったとの記録が書かれていました。トンネルといい、駅といい、廃線となれば、あっという間に閉鎖されたり、姿を消してしまうのでしょうか。
 因原は川本かと間違ったほど少しばかり大きな町でした。遠目から見ると、民家はやはり赤茶色の石州瓦で統一されています。因原駅は駅舎もあって、駅前は多少街らしく人影もありましたが、三次側からホームを覗いてみると、やはりさびれた感じです。 
 
 鹿賀駅付近
  
 因原駅付近            因原駅三次側から
 因原を過ぎて川本手前で、右折。三江線を離れて、県道31号線で山方面へ向かいます。緩やな勾配を走り、峠道にかかる手前で県道296号線に左折。ここにも、冬季通行止めの表示。勾配は、またきつくなってきました。また県道112号線のような荒れた道になるのでは、と地図上の記載からは予想もしましたが、意外と路面は良好な状態が保たれていました。植林された杉木立の中を、まっすぐな勾配のきつい道を登ると・・・。 その先は短いつづら折れが続き、勾配は少し緩やかになりましたが、一気に高度を稼いでいきます。眼下に今走ってきたばかりの道がどんどん下方に遠ざかっていきますが、杉木立が邪魔をして、見通せる場所はありません。
  
県央31号線から県道296号線へ
  
県道296号線のつとづら折れ     ピーク近くにある民家
 路面がきれいに保たれているなあと思っていたら、一つ目のピークと思われたところに少し平坦地が広がっていて、民家が数軒。田植えも終わったばかりの様子。もう下りかと思いましたが、まだ少し登り返しがありました。が、依然として路面状況は保たれたままです。その先にも民家がありました。やはり路面状況がいいということは、人の出入りがあるということですね。
 結局江の川に出るまで路面は比較的良好に保たれていて、下りも快適に走れました。写真:左下は、二つ目のピーク。桐と藤の薄紫色の花が満開。県道296号線の最高地点、標高350mほど。ちなみに、この日の最高地点は大利峠で標高510mほど。やはり中国地方は山が低いです。峠から下り切ると、石見松原駅の少し北に出て、国道375号線を走ります。

県道296号線、最高地点

江の川へ
 国道375号線を少し走ったところにある潮駅はホームが河岸に沿っていて、ちょっと絵になるところです。駅・道に沿って数十mほどの桜並木があり、桜の季節には絶好の写真ポイントかと思われますが、来年の桜の時期に走る列車の姿はありません。
    
潮駅にて 国道から桜並木            江津方面                  三好方面
 そこから少し進むと、国道のトンネルを避けて浜原ダム湖に沿って旧道を進みました。ここもクルマがほとんど通らないようで、落ち葉・小枝が結構多かったのですが、県道112号線ほどではありません。辿り着いた浜原ダム。四国のイメージでは、ダム湖の大きさからダムはかなり高さがあるのではと思っていたら、意外にも低かったです。これも、やはりなだらかな中国山地ならではの光景なのでしょう。
    
 浜原ダムとダム湖
 ダムから浜原駅は、もう目と鼻の先です。浜原駅に到着して時刻表を確認してみると、また少し後に下り列車が到着、上り列車が発車とのこと。発車を待つ列車が見えました。
 高台にあるデポ地・美郷町防災公園まで戻り、前回すーさんと走った鉄橋を走る下り列車を狙ってみます。が、鉄橋が見えるポイントがなかったので、もう一度下って鉄橋上流の道路橋へ。下りがやってくるのを待ちます。あまり時間がないと道路橋で待ったのですが、実際は少し余裕があったので、逆光を避けて鉄橋の手前まで行けばよかったと後悔。粕淵駅停車直前の列車をもう一枚撮って、今回の江の川・三江線三昧ツーリング終了。
    
浜原駅にて              粕淵駅・江津側の鉄橋               粕淵駅付近にて
 撮り鉄、乗り鉄と楽しみましたが、やはり餅は餅屋。もう少ししっかりと事前準備していたら、本数少ない列車とも、いいポイントにも巡り合わせたかもしれません。廃線となる日までに、もう一度訪れることは、まずないと思われますが、消えゆくローカル線と鄙びた中にも穏やかな中国地方の風景を十二分に楽しめたツーリングでした。

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