奥栗一谷林道 猿押林道  付 県道207号線(張川林道以南)
 2019年〜2020年は、カレンダー上比較的長い年末年始休暇が予定できました。可能なら1泊2日のツーリングも考えていたのですが、どうも天候がすっきりしない予報でした。唯一、確実に好天が期待できそうな28日。走るなら、季節的に、やはり南。日帰り可能で、できるだけ走ったことのない道をと、2、3日前から地図とにらめっこ。当初は県道207号線を中心に考えていたのですが、どうもうまい具合に周回コースが取れません。その時、県道207号線の東隣りに馬路に抜ける道が繋がっていそうなことに気づきました。結論から言うと、その道・奥栗一谷林道と猿押林道は、特に見晴らしや見所があるわけでもなく何処にでもありそうな道でしたが、初めての道は、やはり期待と不安でわくわく。

猿押林道
コース  安芸−奥栗一谷・猿押林道−馬路−県道207往復−安芸
走行距離  125q  積算標高差 1700m
最高地点  猿押林道頂部 標高720m
走行日・天候  2019年12月28日 天候:晴れ シクロクロス
 12月28日、午前5時20分に自宅を出発、一路南へ。途中、だるま朝日が何処かで見られるのではと期待していました。ちょうど宍喰で日の出時間となったため、海岸でしばらく東の空を眺めていたのですが、生憎水平線上だけ雲があって、だるま朝日を拝むことができませんでした。ちょっと残念と思いながらクルマを走らせたところ、野根漁港のところで海霧。川霧や湖面の霧は何度も見たことがありますが、海霧を見た記憶はあまりありません。停車して何枚か写真撮影(写真:下左2枚))。野根川から流れ込む水の温度差による現象でしょうか。
 デポ予定の安芸手前まで、高速道路はありませんが信号も少ない快走路なので3時間もかからないだろうと予想していました。が、デポ地の大山岬に到着したのは8時半も回ってでした。片道160q。早速準備して、8時40分にスタート。まずは伊尾木洞へ向かいます。以前にtakaさんが訪れてブログにアップされたのを見て、一度訪れてみようと思っていたところです。チラッと見たら終わりだ程度に予想していたのですが、手前の案内板(下の写真)で確認すると結構長い散策路があるようです。その後の予定もあり、入口(写真:下右端)だけで終了として先へ進みました。
 
 県道207号線を1qほど走ったところで、右折して登り道になりました。事前にチェックしていたゴミ処理場横を通って、いきなり標高400m近くまでの急坂は予想通り。登り始めは、写真:下左上のような幅広い2車線でしたが、ゴミ処理場を過ぎると1車線になりました。少し走ったところで、道脇に奥栗一谷林道起点の表示を見つけました。道は間違っていないと確信できて、一安心。
 そのまま進むと、事前チェックがいい加減で、道はすぐに尾根の東側を進むと思っていたのに、しばらく西側を進みます。写真:下右は、林道から見た伊尾木川河口と安芸市の一部。写真でははっきりしませんが、肉眼では土佐湾の向こうに、おそらく四国カルスト方面と思われる山々が見えました。道は全線舗装。一度登り切った後は多少のアップダウンがありますが、標高400m付近を走っていきます。道周囲は杉や檜が多いのですが全く手が入っておらず、常緑雑木も混じっている状況でした。進むと道は尾根を回り込んで東側に。途中で1ヶ所、重なる山の向こうに土佐湾が見えるところがありましたが、道周囲は上述のようにあまり魅力的ではない雑木林が続き、遠望もありません。
 左上 登りはじめ
 上  奥栗一谷林道の表示
 左  安芸の町を一望 奥に高知市
 右  伊尾木川河口付近
 淡々と走って、スタート地点から15qほどのところで、猿押林道起点の表示(写真:下左上)がありました。10時過ぎだったとの記憶です。ここからは未舗装でしたが、路面状況はフラットで上々。技と力のある人ならロードバイクでも走行可能と思われるます。竣工昭和61年となっていたので、もう30年以上経過しているようですが、崩落跡もほとんど見当たらず、補修箇所もありません。周囲に林業を思わせる手入れされた植林域もあまり見かけませんが、路面状況からクルマは適時入っているように見えました。代わり映えのない道が続きますが、松が多かったことはちょっと意外でした。写真:下右は、かなり進んで、国土地理院地図だと尾根西側の道を繋がるエの字の手前(下左下も)にて。この手前右手に尾根西に出る道があるのですが、鉄柵で通行止めでした(写真:下中下)。林道東又佐喜浜線のように、ひょっとしたらカモシカに出くわさないかなとの期待もしていたのですが、周囲の林や道の雰囲気から期待薄。野鳥以外の動物も見かけることはありませんでした。
 分岐部からちょっと下って、もう一度登り返すと猿押林道の最高地点(標高720mほど)です。南東への展望が広がっていましたが、山また山。写真:下左のほぼ中央部・最奥に電波塔が見えました。野根山街道を走った時の最高地点だったところに間違いないと思います。南寄りには、写真:下右のように土佐湾も見ることができました。そこからは、下り。道は間もなくコンクリート舗装となって、さらにアスファルト舗装になり、勾配はそこそこ急です。道両側は、相変わらず上述のような木々が繁っていて、途中木々の間に安田と思われる海岸線沿いの町が見えるところが1ヶ所ほどあった以外は、ほとんど展望がありません。杉などを中心にした林の右手は、安田川上流の深い谷です。
 一気に、しかし慎重に下って、ふたつの林道では、一台のクルマにも出会いませんでした。写真:下左は、馬路の町外れで。森林鉄道跡のようです。何回も走っている馬路ですが、いつも対岸の県道12号線を走るばかりなので、こんなところが残っているのは初めて確認しました。それにしても、馬路周辺は柚ばかり。他の柑橘類は栽培に適さないのでしょうか。
 その後は、県道12号線を下ります。緩い下りと追い風で快走。途中、いつもの、これも廃線跡の鉄橋で一枚(写真:下右)。ここでも、鉄橋の向こうはトンネルがあることは知っていましたが、手前に軽四以下なら通行可能の標示をみつけました。この標示も初めて気づいたものです。船倉という付近ですが、ここから安田川の左岸に沿って廃線跡利用らしい道が続いていることを、右岸の県道12号線を走りながら、ちらちらとチェックしました。帰宅後、国土地理院地図で確認すると、やはり道が通じているようです。次回近くを走ることがあれば、、余裕を持ってこちらの道を走ってみようと思います。
 デポ地には正午過ぎに帰着できたので、時間があればと考えていた県道207号線を遡ってみることにしました。この道は徳島県側から駒背峠を越えて張川林道の分岐まで走ったことはあるのですが、そこから川下は未走。上述のように、当初この県道207号線を中心に考えていたのですが、周回には張川林道経由しか道がありません。結局、張川林道分岐までの往復という、本来の私的ツーリング感覚からはちょっと外れるコース取りとなりました。奈比賀の集落までは右岸の県道208号線、まだまだ谷が広いです。
 奈比賀を過ぎると県道207号線と名前を変え道も狭くなり、入河内の集落を過ぎると、伊尾木川の左岸となりました。交通量は、時折思い出したようにクルマが通るくらいです。道は、設置されている立地条件にもよるのでしょうが、上述のふたつの林道と異なり小さな崩落や路肩欠損が沢山あって至る所で工事中の表示がありました。年末だったためか、工事はほとんどされていなかったのですが。それ以上に多く見られたのが、河川(川原)での工事です。ショベルカーを使用して、何を目的としているのかわかりませんが、何ヶ所もありました。写真はそんなところを外していますが、川の流れも濁って魅力がありません。道周囲の山肌は常緑樹がほとんどで、新緑や紅葉もあまり望めそうにない感じでした。素掘りのトンネルを抜けると、距離的にひとつの目安だった伊尾木ダムでした。魚梁瀬ダムほどではないだろうが、奈半利川にある平鍋ダムくらいの規模はあるのだろうという予想は全く外れて、随分と小さなダムでした。ダム手前では木々が邪魔で、写真:下右下はダム湖に架かる橋からです。
 左  県道208号線
 右  県道207号線
 下  素掘りのトンネル
 右下 伊尾木ダム湖
 中ノ内のいう3軒ほどの小さな集落で、表にいたおじさん(同年配?)から「何処まで行くの」と聞かれたので、「張川林道の分岐で折り返し」と答えました。「後5qくらいですかね」と問い返すと、「自転車だと30分くらいかな」とのこと。帰路のことも考え、14時までには折り返したかったのですが、この時点で13時50分くらいだった記憶です。ところが、「気を付けて」と見送られた直後に後輪パンク。修理していたら14時もすっかり過ぎてしまい、ちょっと気力を削がれたところに、また大きな崩落箇所(下の写真)。
 左  県道207号線、伊尾木川
 右  張川林道への分岐となる橋
 下  伊尾木川
 右下 県道207号線・崩落部
 ここまでやってきたのだからと、先へ進み、なんとか張川林道の見覚えのある(前回は10年前だけど)橋の分岐部に到着したのは14時40分でした。橋向こうの張川林道は相変わらず未舗装のようでした。伊尾木川の魅力は、ここから上流なのかもしれません。川幅が狭まって崖が迫っていた記憶がうっすら残っていますが、定かではありません。入河内集落は、まだまだ人の姿が見られましたが、それより奥は民家があっても数軒程度がほとんどで、人影もほとんどありません。おじさんと話したすぐ上流(パンク前)対岸に小学校跡を見たことも、ちょっと驚きでした。コンクリートの造りは30〜40年くらい前に建てられたように見えましたが、当時は小学校が成り立つくらいの子供がいる地域だったのでしょう。今後、伊尾木川沿いの集落や県道207号線がどのような経過を辿っていくのか、これからの日本を先取りしているのかもしれません。
 奈比賀からは伊尾木川の左岸・県道207号線を下って、デポ地に帰着は16時半前でした。この日一日、木陰や山影が多く、好天にも関わらず、あまり陽を浴びなかったのですが、海岸線に出てくると空は快晴で、西の空には眩しい太陽の姿。
 だるま夕日には眩し過ぎるし、足摺辺りの地平線上に沈んでしまうかもと思われましたが、帰路についていると、羽根岬でちょうど日の入り前となりました。クルマを降りて海岸で佇んで待ってみると、意外にも眩しさが減弱して、だるま夕日を見ることができました(左の写真)。17時3分から2分間ほどの天体ショーを楽しんだ後、3時間の安全運転で帰宅。未知の道と朝夕の自然現象を楽しめた年末の一日でした。

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