佐用のひまわり畑 片鉄ロマン街道
 生活基盤が変わったことで、夏休みがなくなってしまった今年。そんな中での、貴重な7月の三連休。可能なら1泊ツーリングでも、と思いましたが、梅雨の末期で天候も安定しない日が続きます。それ以上に、一泊ツーリングを企てる気力ももうひとつ充実してきません。しかし、折角なので、何処か日帰りツーリングをと考え始めたのが、数日前のこと。時間的な制約もあり、この暑い季節、何処がいいだろうと考えていたところ、前週訪れた・まんのう町中山のひまわり畑がいい雰囲気だったので、それなら以前から噂に聞いていた佐用のひまわりはどうだろうと食指が動きました。場所を確認すると、日帰り可能と思われます。ちょうど、これも以前から気になっていた片鉄ロマン街道も含むことができそうなので、その二つを繋いだ周回コースを走ってくることにしました。  (2017年07月18日 記)

 佐用町・ひまわり畑(宝蔵寺地区)
コース  備前市cycling terminal−旧閑谷学校−県道368号線−佐用・ひまわり畑−県道356・359・362号線−片鉄ロマン街道−備前ct
走行距離   約150キロ   積算標高 約1300m
最高地点   県道368号線 岡山・兵庫県境の峠 (標高300m) 
走行日   2017年 7月16日   天候:晴れ   スポルティフ
 午前4時半、徳島出発。瀬戸大橋〜山陽道〜和気ICで下車。デポ地予定の備前市サイクリングターミナル(以下、CTと略)は、そこから4qほど。自宅から170q少々、約2時間で到着です。しかし、CT直前の分岐で看板を見落として、わけのわからぬ行き止まりの道に迷い入ってしまう始末。表の道まで引き返して、無事にCTに到着しました。
 午前7時、早速、出発します。この日一番の懸念は、気温でした。予報では、35℃。ちょっとでも涼しい午前中に距離を稼いでおくつもりです。そのため、少し戻るようになる片鉄ロマン街道の起点には最後に訪れることにして、まずは北へ向いて廃線跡の道を進みました。道は樹木に覆われていて、少し薄暗いくらい。まだ気温も26℃くらいだったので、快適に走れました。少し登りが続くと、峠清水トンネルに到着。いい雰囲気です。このトンネル内でも、おひとりとすれ違いましたが、地元の方の散歩コースでもあるようで、僅かの距離の間に何人もの歩く方とすれ違いました。
    
片鉄ロマン街道  備前市サイクリングターミナル        峠清水トンネル                        
 峠清水トンネルを越えると、下り道。しばらく道は両側から木々に覆われていましたが、平坦な水田部分になると林が途切れます。下り切ったところで、一端片鉄ロマン街道を離れることにします。ここから広域農道を東へ走って、確かこの辺りだったと確認していた旧閑谷学校へ向かいます。この分岐すぐ近くにある中山サーキット、職場の仲間と一緒にレースにやってきていたのは、もう20年も前のことになりました。広域農道は例の如く幅広い2車線で、アップダウンのある道でした。ゆるゆると、登ります。峠を越えて、少し下ったところから北西方向に、この後通る予定の吉永町方面が見渡せました。下り切って県道261号線に右折。ほんの少し走ったところで、自転車はこちらの標識に従って進むと、写真:右下の旧道と思われる道へ誘導されました。路面は滑りそうなくらい苔生していました。トンネルを抜けて、100mほど下ると、旧閑谷学校です。

広域農道を東へ

苔生した旧道のトンネルを越えると・・・
 事前に調べておいたのですが、開門時間が9時〜17時だったので、今回は場所確認程度のつもりでした。ちょっと独特な石造りの重厚な塀を越えて、中を覗いてみました。講堂も雨戸が閉じられています。講堂から見る紅葉した楷の木が有名ですが、一時期紅葉する前に落葉する状態が続いていたそうで、5年ほど前から樹医の手で手入れされ、昨年あたりから紅葉が復活したそうです。開門前で人影もまばらな旧閑谷学校を後に、県道261号線を下って吉永の町へ。ちょうどJR山陽本線・吉永駅横の踏切で遮断機が下りました。止まって待っていると、通り過ぎて行ったのは長〜い貨物列車。相前後して駅に停車していた普通列車が行き過ぎて、通行解除です。
  
旧閑谷学校  石塀                  講堂                    楷の木     
 吉永駅前で右折して、県道368号線を進みます。少し走ったところで、旧道から八塔寺川に沿う新しい道に出ると、立派な2車線道になりました。地図からは、鄙びた田舎道を予想していたのですが・・・。山間を走る極緩やかな登り道ですが、時折スポーツカーっぽい車が何台か追い抜いていきました。何かイベントでもあるのかと思っていたら、峠を越えて県道90号線との交差点に岡山国際サーキットまで3qの看板。納得。ここに何度か走りに来たのも(当然クルマではなく自転車)、中山サーキットと同じ頃のことです。その県道90号線に右折して、すぐに再び県道368号線へ左折です。ここからは漸くそれらしい田舎道になりました。
 この日の最高地点は、この県道368号線の峠・岡山兵庫県境でしたが、標高は僅か300m。緩やかな坂を登り、峠を越えてすぐに分岐がありました。ちょうど地元の方がいたので(ほとんど民家はなかった)訊ねたところ、佐用へは右側の道でOKとのこと。ここから国道373号線の合流までは、ほぼ下り。1車線の道でしたが、交通量もほとんどなく快適でした。国道373号線をちょっと走って、久崎でまた県道368号線へ。ちょうど智頭急行線が少しの間、並走しています。横を流れるのは、赤穂市で海にそそぐ千種川です。
    
県道368号線の峠・岡山兵庫県境                         左手:千種川   右手:高架が智頭急行線
 久崎から千種川に沿って数q遡ると、いよいよ佐用町です。まずは一番手前と確認していた宝蔵寺地区のひまわり畑を目指しましたが、県道368号線からの分岐がはっきりせず、少し行き過ぎて引き返し。分岐から1qほどと思っていたのですが、もう少し距離がありました。到着した宝蔵寺地区、数か所ある佐用のひまわり畑の中で、最も開花が早いとの情報通り、最盛期は少し過ぎているようでした(写真:トップ)。それなりに多くのひまわりが咲いているのですが、1週間前に訪れたまんのう町中山の丘陵地にあるひまわり畑の印象が強く残っていたので、それを見た後では驚くほどの規模には思えませんでした。
 少し北へ進んで、佐用で一番大きいらしい林崎・東徳久地区に向かいます。国道179号線との交差点までやってくると、ひまわり畑に向かうらしいクルマが列をなして、係り員が誘導しています。右前方には、ひまわり畑が見えてきましたが、圧倒的という言葉が出るほどではない感じ。誘導されるがままに、公園に設けられた駐車場(の片隅)に自転車を止めて、少し歩いてみましたが、ひまわりは満開であるものの、あまりの人の多さに辟易です(この後、もっと多くなるのでしょうが)。
  
佐用ヒマワリ畑 東徳久地区
 さらに5qほど北にある漆野地区に向かってみます。上の地図をうろ覚えで向かったのですが、県道53号線を進むと、小さな看板と警備員の方がひとり。観光客と思われるクルマも人も、ほとんど見かけません。東富久・林崎地区の人出が嘘のよう。10数mくらいの丘をひとつ越えたところにあったひまわり畑。ここは段畑となっていましたが、残念ながら満開には少し早いようでした。この先にも2つほどひまわり畑があるようでしたが、大きいと記載があったここまでの4地区でもさほど感動しなかったので、ここで引き返すことにしました。
 ちなみに、帰宅後、客観的な比較ができるかと調べたところ、佐用は6地区で合わせて120万本との記載。まんのう町は帆山地区全部で100万本と記載。ちなみに全国の有名どころも確認したところ、100万本を超えるところは、あまりありません(北海道や東北も含めて)。ということは、まんのう町は佐用町と並んで全国的にみてもトップレベルの規模のようです。特に中山地区は畑一枚が大きいので、国内ではあまり類をみない光景かもしれません。

佐用ヒマワリ畑 段地区  棚田状になっている

佐用ヒマワリ畑 段地区 満開には少し早い
 期待が大き過ぎたのかもしれませんね。引き返して、国道179号線で佐用町の中心部へ。お昼前になっていたので、何処かコンビニで補給をと思っていたのですが、なんと佐用の町中にコンビニを見つけることができません。大きなスーパーはあったのですが、自転車の鍵も持っていなかったのでパス。気温も上がってきたので、とりあえず水分だけは十分補給して、予定通り、国道179号線を避けて中国道に沿う県道356号線へと進みました。
 交通量のあまりない県道356号線は、岡山・兵庫県境となる杉坂峠まで登りです。兵庫県側は道周囲も山間に少し平地も広がっていましたが、岡山県側に入ると道も細くなり、両側から木も繁って木陰となりました。気温が随分と上がってきたようで、登りは体にも水をかけてながらの走行だったので、この下りは少しでも体を冷やすことができて助かりました。
    
杉坂峠・兵庫県から再び岡山県へ                           吉井川支流・吉野川を渡る
 再び国道179号線に出ると美作江見という町。ここでコンビニを見つけて、やっと一服。程よく冷房の効いた店内にイート・イン・コーナーがあるのは、自転車乗りには有難いですね。国道179号線を少し進んだところで、また国道を避けるべく県道359号線に左折。国道179号線に沿って流れていたのは吉井川支流の吉野川。奈良県にもありますが、吉野川って結構いろんなところにあるのですね。県道359号線も、意外と広く、しかし予想通り交通量は少なく、美作江見側から走ると少しだけ登りがあって、小さな峠から再び吉野川沿いに出るまでの5q弱は、ずっと緩やかな下りでした。
 蛇行してきた吉野川に再び出ると、左岸の国道374号線を避けて右岸の県道362号線で川沿いを下りました。お昼過ぎ、さすがに暑くて、オーバーヒートを防ぐために、気化熱で少しでも体表を冷やそうと、頻繁に手足頭に水(ボトルの中はぬるま湯状態)をかけながら走ります。10q弱走った飯岡というところで、吉井川本流と支流吉野川が合流します。そこから柵原鉱山資料館を目印に、3qほど川を遡ったところに、片鉄ロマン街道の終点・旧吉ヶ原駅がありました。

県道26号線 吉井川本流

旧吉ヶ原駅にて
 ところで、片鉄というのは正式には片上鉄道といい、1919年から1991年まで柵原鉱山の硫化鉄鉱を運ぶことと周辺住民の足となって、瀬戸内側の片上までを結んでいた鉄道の略称です。結構最近まで現役だったのですね。廃線となった後、整備されて2003年、自転車道・片鉄ロマン街道として再開通したそうです(全長34q)。以前にチラッと見かけた某ランドナー乗り氏のHPで絶賛されていたことや、また他にもサイクリングに適したいい道とのレポートを見たこともあったので、一度走ってみたいと思っていました。
 吉ヶ原駅には、真夏のしかも一番暑い時間帯だったこともあるのか、観光客は3名ばかり。休憩を兼ねて、構内をウロウロ。当時の車両も残されており、一部は動態保存されているそうです。
  
  吉ヶ原駅 構内
 一服した後、いよいよ片鉄ロマン街道へと進みます。この日最初にCTから3q程走った区間は、林の木々に覆われ、風情のあるトンネルもあり、確かに魅力ありそうな道だと思ったのですが、柵原から飯岡までは県道横に付随した歩道を広くしたような味気ない道(舗装状態は良好です)でした。飯岡で吉井川沿いの左岸土手に移りましたが、ここから分岐した吉野川を回り込むように少しだけ左岸に渡って周匝(すさい)橋で再び吉井川の右岸土手に戻るまでの区間は、標示がはっきりせず少しわかりにくいように思えました。案内マップなどを持参していれば、そんなことはなかったのかもしれませんが。
 周匝橋からは土手沿いの道を3qほど走った後、一端国道374号線を少しだけ走ると、また吉井川の左岸に移ります。ここからが、廃線を利用した自転車道、という感じが一番する区間かと思います。それより上流は、これも事前の刷り込みが強かったためか、みなさんが言うほどではないな、という感じを受けました。

吉井川

旧苦木駅跡
 片鉄ロマン街道は和気まで約20qにわたって吉井川の左岸を川に沿って走る国道374号線とは完全分離で、しかも国道の少し上手を走るので、視界も良く快適です。暑い時間帯でしたが、時折木陰もあり、そんなところでは一息つけます。横と並走する電線がなければ、もっといいのですが。下の写真、吉井川の水が川幅一杯あふれるくらいありますが、このすぐ下流に大きな堰がありました。
   
片鉄ロマン街道   右手に国道号374線と吉井川が並走
 写真のように、苦木駅や天瀬駅では旧駅舎が残っています。ゴミもなく、よく整備されています。私がツーリングを始めた頃は、いろんなところ(公園など)に水道栓があったのですが最近は滅多になく、水補給にも気を遣うのですが、旧天瀬駅には珍しく水道栓もありました。もちろん、水補給。夏のそれも暑い時間帯でしたが、何人かの自転車乗りとも会いました。自転車はクロスバイクやロードなどいろいろですが、みなさん、のんびり走っているのは同じ。親子連れの方もいました。
   
片鉄ロマン街道  旧天瀬駅                          JR山陽本線・和気駅
 和気の町中は少しごちゃごちゃしていましたが、それでも大きく迷うようなことはなく、中山サーキットの広域農道のところからは、朝走った部分を逆走。最後は、朝走り残したCTからJR赤穂線・西片上駅方面まで進んでみました。CTから西片上駅までは下り。片鉄ロマン街道では、始点から峠清水トンネルまでが唯一の登りらしい登りでした。始点には表示があるものと思っていましたが、どうも見つかりません(見落としたのかも)。その代り、津山街道の石碑で記念撮影。帰宅後確認すると、案内マップでは赤穂線より少し北側の山陽新幹線とクロスする地点が始点・0qとなっていました。

緑あふれる片鉄ロマン街道

津山街道の表示
 佐用のひまわり畑と片鉄ロマン街道、いずれも期待度が大き過ぎたためか、思ったほどではなかったかなという印象になってしまいました。が、片鉄ロマン街道はもちろん、ふたつを繋ぐ国道を外した道は、交通量も少なく、勾配のきつい坂も長い坂もなく、非常に走りやすい道が続きました。炎天下でなければ、もっと楽しめる道かと思います。訪れた時の季節、気象条件などはもちろんのこと、自分の体調もですが、先入観や期待感も、印象を大きく変える因子だなあと改めて思いました。

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