四国カルスト・大野ヶ原  ほうじが峠
2009年
 つい先日と思っていた先のツーリングから、早5年。今回も急遽K氏と話がまとまって四国カルストを走ってきました。4回目となる今回は、初めて高知県側からアプローチしました。天候に恵まれたこともありますが、大野ヶ原から天狗高原・五段高原への道はやはり最高でした。瓶ヶ森林道、落合峠と並ぶ、四国のベスト3、と個人的には思っているのですが、2011年6月11日の朝日新聞に、梼原前町長の話が特集で載っていました。風力発電の話から始まり、町を町民のレベルから作り上げていく・この話を読んで梼原町の素晴らしさを再認識した次第です。

牧草地に囲まれた大野ヶ原の道を登る
コース  布施ヶ坂−梼原街道−高研山トンネル−東津野城川林道−大野ヶ原・四国カルスト−梼原−矢筈峠−布施ヶ坂
走行距離  130キロ   積算標高 3400m
最高地点  天狗高原(標高1455m)
走行日  2009年 9月13日   天候:晴れ   PINARRELO PARIS  
 スタート&ゴールは、道の駅・布施ヶ坂としました。ここから国道197号線を西進して、高知愛媛県境・旧高研山トンネル西側から東津野城川林道・西線(林道とは名ばかりの2車線舗装路)を北上して野村町へと向いました。県道383・四国カルスト公園縦断線を東進して、五段高原まで。カルストを十二分に楽しんだ後は、東津野城川林道・東線を南下して、再び197号線に合流。最後に、国道439号線を北上して、矢筈トンネル北側で右折。県道378号線を南下して、途中四万十川の源流近くまで寄り道してデポ地へと戻りました。約130km、平均速度は19.4km/h。

国道197号線を離れた旧道にて

国道197号線・旧道のトンネル
 須崎までは高速道路で、その道の駅・布施ヶ坂はローカルな道を進みました。国道197号線は、国道とは名ばかりの鄙びた田舎道だろうとの予想を全く裏切る、幅広い2車線の道でした。交通量は少なく、信号もほとんど無く走りやすい道でした。が、もうひとつ味気の無い道でした。何ヶ所か旧道があるなあと思いながら走っていたところ、風早トンネルのところで、千枚田の標示を見つけたので、そちらへ進んでみました。トンネルを遠回りするので距離も標高差も増えますが、旧道故の勾配の緩やかさとガードレールなしに加えて、生活道であるため荒廃がなく、色づき始めた稲穂の棚田や山村風景がやはりクルマ中心に作られた新道とは全く異なった趣を呈してくれました。もっとも、千枚田は百枚もないくらいでしたが。
 大まかな地図しか確認していなかったので、国道197号線がこんなに何度もアップダウン(小さな峠・トンネル)とは思っていませんでした。道は川に沿って走ることが多いのですが、四万十川の蛇行した支流が縦横に流れていて、その支流間を越えるのに峠・トンネルがあるようでした。

旧道・高研山トンネル西口から、東津野城川林道入口

高原野菜とコスモス咲く、大野ヶ原高原
 出発地点から30kmほどで、愛媛高知県境・新高研山トンネル手前で旧道へ入ると、これまた心地よく程よい勾配の道でした。照明が全くなくて真っ暗な旧トンネルは途中で降りて押しました。トンネルを抜けると右折して、東津野城川林道です。この道も大縮尺の地図ではいまひとつはっきりしなかったので、ネットでいくつか情報を確かめていたのですが、その通りの幅広い2車線道でした。標高700〜1000mの間で数回のアップダウンがありました。進むにつれて、当初は遥か右手前方に見えていた四国カルストが次第に近づいてきました。野村町までの約25kmの間に、すれ違ったクルマは僅か2台でした。

姫鶴平から大川嶺方面

姫鶴平にて、主要道から北側へ外れた道
 野村町で県道36号線に入ると、道は1車線と細くなりますが、逆に交通量は増えてきました。稜線の北側で木立の影となって、この季節としてはちょっと肌寒いくらいの道を登ると、まもなく畑や牧草地が点在する高原・大野ヶ原が眼前に広がってきました。ちょっと信州を思わせる建物が寄り添う小さな集落には小学校もありました。そこから少し走ったところで、県道383・四国カルスト公園線へと進みます。
 なんと言っても、ここからがハイライトです。初っ端から牧草地を縫うようにして登っていく道となります(トップの写真)。これで4度目ですが、来る度に「ああ、来て良かったなあ」と思わせてくれる風景です。稜線付近からは右手に源氏ヶ駄馬という山頂方向に向う道がありましたが、K氏と顔を見合わせてパス。後日知ったところでは、ここもなかなかの見所のようで、次回の課題です。稜線の南側へ出ると、源氏ヶ駄馬の石灰岩が点在する大きな斜面を背後に追いやりつつ東進。南側には太平洋が見えるはずですが、ちょっと靄っていてこの日は確認できませんでした。

五段高原へと登るK氏、後方は姫鶴平と風車
 地芳峠まで一端少し下った後は、再び登りが待っています。交通量はさらに増えて、到着した姫鶴平はモーターバイクのイベントが行われていたようで、やたらバイクが多かったのですが、結局この日出会った自転車乗りはひとりだけでした。混雑(と言ってもしれていますが)を避けて、北側の横道へと進んでみました。メインの県道383号線はクルマがそこそこ通るのですが、こちらの道は交通量がほとんどありませんでした。ノンビリとカレンフェルドの牧草地帯を進みます。

姫鶴平、北側の道

五段城への登り
 大野ヶ原や五段高原は、いくら見ていても飽きない風景ですが、いつまでもゆっくり出来る時間は残念ながらありません。五段高原の東端・天狗荘からは、南に向って県道48号線を少し下った後、再び東津野城川林道(今度は東線)でさらに南下しました。時折振り返ってみると、五段高原はあっという間に頭上に遠ざかっていきました。ほぼ下りっぱなしで県道304号線との交差点を越えると、少しばかりアップダウンが続きました。下ってきた脚には、これが結構堪えます。交通量は西線同様、ほとんどなく快適です。

姫鶴平から五段高原、後方にうっすら見えるのが大川嶺
 再び国道197号線に戻ってきたのは、14時半過ぎ。ここまで100km弱。農協のようなところで休憩しつつ、その後の予定を相談しました。そのまま197号線を布施ヶ坂まで戻ると10km弱しかないし、面白みに欠ける。ということで、少し戻ったところから国道439号線を北上し、矢筈トンネルを抜けたところから県道378号線を南下することで意見が一致しました。往路でもチラッと目にしていたのですが、剣道378号線の奥・矢筈トンネルの南斜面が四万十川の源流と標示されていたので、うまくいけばここも訪れようとの魂胆もあってです。

五段高原から西へ

姫鶴平、北側の道にて 後方は大川嶺
 国道439号線も鄙びた山道という予想(徳島県内では通称・与作がぴったりの道ですが)を裏切って、幅広2車線の道が続きます。100kmばかり走って大分くたびれ始めた頃でしたが、K氏はいつもの如くこの頃になるとますますエンジンがかかってきます。この日も、やや追い風だったこともありますが、緩やかながらも登り基調の道を30km/hを軽く越えて快走です。後ろからヒイヒイいいながら追走するのがやっとやっと。
 左手に四国カルスト方面へと繋がる道を2、3本やり過ごして走り続けると、道はやっと1車線の田舎道となりました。同時に勾配も少し急になってきましたが、まだまだ余裕で登れました。まだどれくらい登るのかなあ、と二人で喋りながら登っていくと、どれほどもしないうちにトンネルに到着。

カレンフェルド

姫鶴平
 しかし、余裕があったのもここまで。トンネルからは下りになるとばかり思っていたのに、まだ登り坂が続きます。しかも勾配はさらに急に。結局、また標高1000mくらいまで登ることになってしまいました。

姫鶴平から五段城方面
 ちょうど最高地点辺りから振り返った時に、目に飛び込んできたのが写真:下左の光景。四国カルストからの東方向に見える禿山は難だろうと思っていたのですが、鳥形山(2011年4月走行)といって石灰岩を採掘しているそうです。遠目にも石灰の灰白色が目立っていました。ちょっと要塞かのようにも見えます。

矢筈峠からさらに登ったところから、鳥形山

四万十川源流は、ここからさらに徒歩20分
 さて、肝心の四万十川源流です。道沿いにあるわけないよなあ、と喋りながら下って行くと、分岐があって「源流まで2.5km」と標示がありました。道はまた登っていて、しかも結構な急勾配のようです。またまた顔を見合わせた二人ですが、次はいつ来ることが出来るかと、今日の最後と決めて先へと進みました。狭く勾配のある道を、随分水量のある渓を横に見ながらどんどん標高を稼いでいきました。四万十川源流というためか、路面状況は上々でした。周囲は落葉広葉樹林が繁っています。
 と、路傍に「あと1km、ラストスパート」なる手書きの看板。なんじゃ、これ?そこから数100mで辿り着いたのが、右上の写真。やっと源流に辿り着いたと安堵したのも束の間、「源流まで徒歩25分」という無常な標示が道脇に。渓流沿いの山道だったのと、既に時間も17時前となっていたので、さすがに諦めて帰途へとつきました。

2004年
 1985年に訪れて以来、是非また行きたいと思いながらそのままになっていた四国カルストへ、約20年振りに行ってくることができました。今回は、5月に剣山スーパー林道を一緒に走ったK氏とH氏の2人が同行。
 まず、久万町からほうじが峠を越えて小田深山渓谷に入ったのですが、これがまたなかなか味のある道でした。そして、メインの大野ヶ原から四国カルスト。相変わらず四国離れしたやや女性的でかつ雄大な風景に、初めて訪れたお二人にも大満足していただけました。私個人としては、ちょうどマラソン大会が開かれていたせいもあるのか、ちょっと人と車が多すぎた(特に姫鶴平付近)のがちょっと残念でした。初めて訪れた時は季節はずれのせいもあったのか、ほとんど人がいなくて静寂なたたずまいだった印象が強いのですが・・・。それでも、やはり期待を裏切らない素晴らしい高原です。

四国カルスト 五段高原から姫鶴平を望む
コース 久万町−ほうじが峠−小田深山−大野ヶ原−四国カルスト
走行距離  約100キロ  積算標高 2000m
最高地点  天狗高原(標高1455m)、ほうじが峠(標高1030m)
走行日  2004年 7月18日  天候:晴れ  MTB
      久万町-ほうじが峠-古味-大野ヶ原-四国カルスト-柳谷村
時間    9:30----10:50---12:00---13:00----14:30----16:00
距離(km)   0------20------40------55--------70--------100
標高(m)  560----1030-----635----1170-----1445-------380
 ほうじが峠へは、久万高原町から国道33号線を南へ少し走った美川小学校のところで右折、県道211号線へと進みます。なんの予備知識もなかった県道211号線&ほうじが峠ですが、すれ違う自動車もほとんどなく、ツーリングでゆっくり走るにはピッタリ。おまけに杉木立や雑木林が両側から覆った中を走るので、盛夏の厳しいこの季節にもかかわらず日陰が大部分で涼しく、とても真夏の日中とは思えない快適さでした。
 ほうじが峠は緩やかな切り通しですが、峠自体の見晴らしはあまりよくありません。峠から西は県道340号線。峠から少し走った所に、冷たい涌き水が溢れる休憩所がありました。しばらく高原の雰囲気(標高約1000m前後)の平坦な道を走った後、下り始めると地道になりました。これも事前に把握していませんでした。数キロの間、道の両側から生い茂った緑の中を仁淀川支流の黒川に沿う地道を楽しみました。

ほうじが峠にて

ほうじが峠から西へ
 地道が終わりしばらく進むと、県道52号線に合流します。このあたりは小田深山渓谷と呼ばれ紅葉の季節には有名で、以前から一度訪れてみたかったところです。流れる水こそ少し濁っていて、感嘆するほどの透明度はなかったのですが、周囲の雑木林が見応え十分。さほど大きくない谷であるにも拘らず、幹周りが大人何人分もあると思われる大きな広葉樹や植林ではない同じ位立派な針葉大樹が随所に見られました。残念ながら、写真が撮れていません。ここはやはり新緑、もしくは紅葉の頃に訪れる価値がありそうです。ただし、道が細いので、自動車が多いとちょっと閉口するかもしれません。

地道を楽しむ

県道340号線
 県道52号線を下って行くと前方に四国カルストの高原が見えました。国道440号線にぶつかる古味にちょど正午に到着、食事を兼ねて(といってもいつものコンビニ調達物)休憩。ここでその後のルートを相談した結果、以前に私が訪れたのと同様、県道36号線を進んで大野ヶ原へ出て、そこから東へと稜線を進むことに決定しました。古味から県道36号線の分岐までは、それまでがウソのような交通量の多さ。国道440号線は高知県梼原町に抜けるだけなので、おそらくほとんどが四国カルストへ向かっていると思うと、頂上・高原での混雑が危惧されました。
 大野ヶ原までは、約15kmで標高差約500m 登る緩やかな道です。県道32号線に入ると、またほとんど交通量がなくなり、ほうじが峠前後同様、木々に覆われ涼しくてとても快適な道でした。20年前に訪れた時は、まだまだ地道が多く、明るい木立の中を進んだ記憶だったのですが、今回は当然全線舗装でした。しかし、周囲の木々は小田深山渓谷同様、広葉大樹がそこかしこに見られる深い森で、以前に訪れた時の印象に勝るとも劣らぬものでした。小1時間で、標高約1000mの大野ヶ原に到着。K氏とH氏は眼前に広がる丘状の牧草地を見て、「ツール・ド・フランスを走る気分だなあ」と歓声。休憩していると肌寒いくらいの気温と風でした。

大野ヶ原を走る、気分はツール・ド・フランス

大野ヶ原から地芳峠への途中で
 大野ヶ原からは進路を東に、稜線に沿って四国カルストを目指します。周りは、カレンフェルドの石灰岩が山肌に突き出すカルスト独特の風景となってきました。ここでも記憶は不確かで、前回は大野ヶ原からカルストまでずっとほぼ稜線で見通し良好であったと思っていた(下記参照)のですが、実際は稜線のやや南斜面を走り木々も結構繁っており、「高原だあ!」と目を見張る広々した風景を堪能できたのは、大野ヶ原周辺と姫鶴平から五段高原にかけてのみでした。地芳峠では、前述したように四国カルスト高原マラソンが行われていて(ちょうど終了直後だったようです)大混雑でした。ここから姫鶴平・五段高原まで約400m登りです。

 姫鶴平には、巨大な(大川原高原よりかなり大きい)風力発電の風車が2機回っていました。それにしても、人と車が多いのが、高原情緒を台無しにしていると思ったのは、自転車乗りの私たちだけ? 写真では、あまり車も人も写っていませんが、できるだけ車・人が入らないようにシャッターを押しただけで、実際は狭い道には車が行き交い、広場には人が溢れていました。20年前からは想像できないことです。しかし、それさえ目を瞑れば、やはり四国カルストの風景は最高です。K氏、H氏とともに、四国とは思えないなあと、快適な涼しさもあって大満足でした。

牛、放牧中

五段高原
 五段高原からは、肉眼ではうっすらと室戸方面と土佐湾が望めたのですが、とても写真には写らない程度で、太平洋が見えていることに気付いた人も少ないのではないかと思えるくらいのぼんやりでした。
 高原情緒を十分に堪能した後、帰路は猪伏林道を降りることにしました。HPで知り合いになった高知のM氏から一部地道であるとの情報を得ていました。天狗高原からみると、北北西に高くなだらかな山が見えました。地図で確認すると笠取山方面のようです。ここもいつか訪れてみたいところのひとつです(追記:2008年9月走行)。本当に高知・愛媛の西部には、訪れてみたい未走の地が多いのですが、如何せん、同じ四国とはいえ徳島は東の端、ここまで結構遠くて、なかなか簡単には訪れることができません。

五段高原を走る

後方は笠取山方面
 猪伏林道は、しばらく走ったところでバリケードで閉鎖されていましたが、横からすり抜けて通過(20年前に訪れた時は、あまりの悪路とロードレーサーだったので、チラッと見ただけで引き返しました)。今回は大部分が石鎚スカイラインのような立派な2車線の舗装路となっており、一部に舗装直前と思われる未舗装部分が残っていましたが、全線舗装されるとおそらくこちらが四国カルストへのメインルートになると思われました。ただ、古味からしばらくは1車線の細い道がまだかなりの部分で残っているので、ここで混雑するだろうと思われました。自転車にはそんな道の方が良いのですが。猪伏林道周辺も、落葉樹が素晴らしく、紅葉が楽しめそうです。

地芳峠の西側から、姫鶴平・五段高原を望む

五段高原から姫鶴平・2004年トップの写真とほぼ同じ場所
 最後の2枚の写真は、1985年と1986年に訪れた時のものです。いずれも季節は11月と晩秋。記憶が正しいところもあるようで、当時は稜線あたりに木々がほとんどなくススキなどの草ばかりで、大野ヶ原方面から五段高原までが見渡せています。もちろん風車はありませんし、駐車場もありません。赤い屋根の厩舎は健在です。

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