四国カルスト 2019
 四国カルストには何度も訪れていますが、開放感に溢れる光景は見飽きることがありません。今回は、これまで四国カルストを訪れたことがないという盟友・すーさんを誘っての訪問となりました。個人的に一番旬の季節と思っている初夏ではありませんでしたが、変わらない伸びやかな光景は、期待を裏切ることがありませんでした。 (2020年 2月20日記)

四国カルスト 姫鶴平から五段高原へ
 午前5時過ぎに徳島を出発。高速道路を須崎ICで降りて、デポ地の梼原まで240qです。久万高原や笠取山を外して四国カルストだけを訪れるのなら、高知回りのほうが松山回りより若干近いのです。今回は、高知側・南側から向かう計画です。東と西にある東津野城川林道・東線&西線国道429号線からのルートは走ったことがあるので、今回は中央部の国道440号線から登って、西側の県道329号線で下るコース(下記)としました。現地到着は8時過ぎ。8時30分にスタートです。
コース  梼原−地芳峠−天狗高原−地芳峠−大野ヶ原−韮ヶ峠−県道377号線−県道2号線−六丁−県道304号線−田野々−梼原
走行距離   80q  積算標高 2100m
最高地点   四国カルスト・五段城 標高1450m
走行日   2019年11月 4日   天候:晴れ   FELT F1
 
 デポ地は、雲の上温泉の駐車場です。前回走行後に利用した温泉がとてもいい印象だったので、今回も同様の予定としました。写真:下左橋の奥に見えるのが、隈研吾氏設計の雲の上ホテルから雲の上温泉への渡り廊下です。温泉は右の建物で、ホテルは左に隠れています。右手奥にはプールもあるようです。
 まずは、梼原の町まで下ります。寒い。ネックウォーマーを着用してちょうどいいくらいでした。電線地中化ですっきりした梼原の表通りは、建物こそバラバラですが、統一感がないわけでもありません。なにより電線がないだけで、街はこんなにも美しくなるのです。写真:下右から2枚目、走るすーさんの左手奥は地元の木と茅を用いた、雲の上ホテル同様・隈研吾氏設計のマルシェユスハラです。ちょっと進んだところには、写真:下右端、屋根付き橋で対岸と結ばれる三嶋神社があります。南予では屋根付き橋をいくつか見かけましたが、高知でも他にもあるのでしょうか。手前に小さく「龍馬脱藩の道」とありますが、この日後半は龍馬脱藩の道とクロスを重ねるように走ってくることになります。
 街を抜けると、四万十川支流・梼原川に沿って国道440号線を遡ります。川の水はきれいですが、まだ陽が差し込んでいないところがほとんどです。いくつか、短い沈下橋ありました(写真:下左上)。ひとつ峰を隔てた東側は四万十川源流というだけで、そちらの沈下橋には源流で一番奥の沈下橋と宣伝されていますが、こちらは無名の沈下橋でしょうか。
 当初は、できるだけ旧道を走るつもりでしたが、川左岸に位置する旧道は大部分が日蔭です。結構寒かった(到着時は10℃未満)ので、陽の当たる新道で良かったと思われました。3000m近い長さの地芳トンネル手前で、旧道へ入ります。トンネルも以前はなく、調べてみると2010年開通とのことでした。登っていくと、漸く体が暖かくなってきました。写真:下中上は、大分登ってからの一枚。遠くには土佐湾が見えました。旧道ならでは緩やかな勾配(写真:下左下・右)が、衰えた脚に優しく心地良いです。大坂峠引田側にも似た勾配で、クルマもほとんど通らず走りやすい道です。周囲には杉林と雑木林が混在しますが、紅葉はまだでした。地芳峠到着(写真:下中下)は11時過ぎ。そこから姫鶴平まで勾配がきつくなることは、記憶通りでした。旧道を走っていた時は、連休最終日なのにクルマがほとんど通らないなあと思っていのですが、地芳峠からは一気にクルマが増えました(といってもしれています)。愛媛側(北側)からのほうが、道がいいのでしょう。ちなみに、愛媛側から入った時は、いつも西端の大野ヶ原から入って東の天狗荘から下っていたので、国道440号線の北側は未走(だと思いますが、お初だった35年前は天狗荘から北へ下る道はなかったはず)。
 姫鶴平までやってきた。ここまでやってくると一気に解放感が広がります。初めてのすーさんにも大満足していただけたようです。曰く、「54年も四国に住んでいながら、ここを知らなかったなんて・・・」。ここから五段城までが、四国カルスト一番の見所だと思います。相変わらず2基の巨大な風力発電風車(初めて訪れた時はなかったし、しばらくは1基だった記憶です)。下を走るクルマと比較すると、大きさが良く分かります。しかし、手前にはグランドのような広い駐車場ができて、景観を損ねているように思います。姫鶴平の建物にはレンタサイクルも準備されていました。しかもe-bike。時間はわかりませんでしたが、レンタル料500円と記載されていました。高くはないと思うので、クルマでやってきた人には是非レンタルして五段城まで走って欲しいものです。きっとまた別の世界が見えること間違いなし。
 北には、大川嶺・笠取山(写真:下左、すーさんの頭の上付近)が望めます。稜線では北西風が結構強かったです。2日前に走ってきた瓶ヶ森より南に位置して標高も低いのですが、気温はぐっと下がっていたようです。北東には中津明神山も見えましたが、石鎚山は雲の中でした。写真:下右、五段城へ向かっていきます。標高1400m前後の広いカレンフェルトの高原を走る道は、四国離れした景観です。この季節どうかなと思ったことも全く杞憂でした。
 振り返って1枚。ここからの眺めが四国カルストから大野ヶ原方面までの全容と一番うまくとらえられるポイントだと思います。一番奥に見える山が、その後進む予定の源氏ヶ駄馬方面です。どの写真にもクルマ・オートバイは写っていませんが、走っている台数は結構多く、いずれもできるだけクルマなどが写らないように狙った結果です。 以前からあった古い牛舎の横に、新しく大きな牛舎?が建てられていました。季節的に放牧は終わっているかと予想していましたが、所々で草を食べる牛の姿を見ることができました。
 天狗荘で引き返します。3月に走った風の里公園の風車群が見えます(写真:下左端)。この稜線の上には、うっすらと土佐湾が見えていて、雲とのちょうど真ん中くらいに安芸方面も肉眼ではボンヤリ確認できたのですが、写真ではわかりません。左から2枚目・谷底に見えるのは、2017年8月にやってきた時に登りのアプローチにした国道439号線から県道48号線の分岐部付近です。写真:右から2枚目、南西方面には山並みが重なります。左手前方には、土佐湾が薄っすら見えました。
 写真:下左は、五段城の山頂横付近。山の南側になると、風が遮られ、日が当たって暖かかったのですが、撮影時は、ちょうど雲の影でした。下右は南西方向、ガードレールがないと開放感が一層強くなります。
 天狗高原です。ススキの草原が広がります。標高は1400mくらい。瓶ヶ森林道とほぼ同じくらいの標高ですが、それ以上に高い山がないこともあって、解放感が全く異なり、こちらに分があります。広々、独占のように見えますが、実際は観光のクルマが行ったり来たりしています。天狗荘で折り返して、来た道を逆走します。
 写真:下左端は、姫鶴平から地芳峠までの下りで。奥に見えるのは、牛城というピークだと思います。襟巻状に、これから走っていく道が見えています。地芳峠は南北に走る旧国道440号線では峠ですが、東西に走る県道383号線では鞍部です。標高は1000mを越えていますが、展望は全くありません。そのまま素通りして大野ヶ原方面へ向かいます。写真:下左から2枚目は、途南側下方を見た一枚。国道440号線を走っている時、前上方にガードレールが見えましたが、今度は逆に国道440号線を見下ろしたもの。谷筋が梼原川(国道440号線)です。牛城の南側を走る間は暖かかったのですが、再び北側斜面になると日陰と北西風で寒い。放牧もそろそろ終了でしょう。
 北側斜面に入って大野ヶ原までの途中、道両側に落葉樹が繁っている区間があることは、以前に走った時の記憶として残っていたように思っていました。この辺りでは大部分が紅葉も終了して落葉していました。派手な色彩はありませんが、やや大きめの樹もあって個人的好みの区間です(写真:下)。
 さらに西進して、大野ヶ原です(写真:下左)。夏場なら牧草の緑が広がる丘陵地(それでも標高は1200m前後)も、トラクターが走りまわっていて、ちょうど牧草の刈り取りが終了しつつあるところでした。稜線から大野ヶ原へ下ると県道36号線(写真:下右)。前回肱川方面に下った分岐を、そのまま西進して韮ヶ峠方面へ進みます。
 韮ヶ峠には、龍馬脱藩の道の大きく詳しい地図表示がありました(写真:下左2枚)。進んでいく予定の県道379号線は脱藩の道と何ヶ所かでクロスしているようです。県道379号線を快調に下っていたところ(昼過ぎですが暖かくなりません)、下井桑という集落のところで崩落通行止め。迂回路は対岸(右岸)でしたが、50mほど登らされて余裕のない足をさらに削る羽目になりました。県道379号線に復帰して、まもなく県道2号線に合流。ここから梼原方面には前回走っているので、六丁という集落から県道304号線へと寄り道します(写真:下右から2枚目)。写真:右端は、この付近で所々に見られる茶堂です。
 しかし、この寄り道が、この日一番の難関でした。それほど登らないと思っていたのに、結果的には標高差400mちょい登る羽目になりました。勾配も、この日後半だったこともあるでしょうが、所々で10%あって一番きつかったです。途中は、植林された杉林が多く、これといった見晴らしもありませんが、クルマも通らず、元気があれば走りにくい道ではありません。ふたりともヘロヘロ状態で、なんとか峠に到着。振り返ると、山肌の紅葉が見頃でした(写真:下右から2枚目)。この付近には、県道304号線以外にも何本か横走斜走する道があります。どんな道か不明ですが、もし次回があれば、また異なる道を走ってみたいものです。
 峠からは国道440号線まで一気に下って、数時間前に走った道を梼原の町まで戻ります。町に到着後、折角なので雲の上図書館(これも隈研吾氏設計だそう)を外から見学(写真:上右端)。中は結構賑わっているように見えました。街並みといい、いくつかの建物には結構お金がかかっていると思われますが、財源はどうなっているのでしょう。梼原町は裕福な町なのでしょうか。最後に町中心部からデポ地までの1q・標高差100mをやっとやっと登り返して、後は雲の上温泉に浸って一日終了。これで、一杯飲んで、そのまま横になれれば最高なのに、とは二人の共通した思いでした。

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