信州ツーリング 2007・夏

 夏休みと称して信州の山・峠を走ってきました(2007.8.10〜11)。僅か50時間あまり。時間制限と限りない走りたいところの折衷案のため、ちょっと強行軍&足早になり過ぎたきらいもありますが、今の私にとってはまぎれもない貴重なツーリングでした(決して練習ではありませぬ)。初日は、妻籠宿を振り出しに、木曽路から大平峠・飯田峠を経て伊那路に、さらに権兵衛峠を経て再び木曽路・奈良井宿。二日目は、境峠から白樺峠を経由して鈴蘭へ、さらにエコーラインで乗鞍・畳平、乗鞍スカイラインで平湯峠、高山から美女峠〜長峰峠〜九蔵峠で終了。大平峠、権兵衛峠のアプローチは、これぞツーリングを堪能するぞと言わんばかりの道。レースの倍近くの時間をかけて登った乗鞍は、やはり他には無い圧倒的なスケールでした。2日間で約380km、積算標高差約7500m。クルマでの往復900km弱。帰路は深夜にも関わらずお盆の渋滞にかかったりしましたが、何とか事故無く帰宅。   (2010年12月5日 更新)

1st stage
 午前4時過ぎ徳島を出発。途中小牧付近で渋滞に遭いましたが、9時過ぎに出発予定地点・大桑村に到着。道の駅・大桑にデポ。コンビニでたっぷりと食料調達の後、まずは妻籠宿へ。

大平峠にて
コース  道の駅・大桑−妻籠−大平峠−飯田峠−飯田−伊那−権兵衛峠−奈良井宿−道の駅・大桑  
走行距離   約180キロ  積算標高 約3200m
最高地点   大平峠(1230m)、 飯田峠(1235m)、 権兵衛峠(標高 1520m)         
走行日   2007年 8月10日   天候:晴れ   GIANT TCR
 観光地で人混みを予想していましたが、夏休みとは言え平日の午前中もまだ早い時間だったためか、人出もさほどありませんでした。一通りウロウロして(人が少なくて落ち着いてゆっくりできた)出発。国道256号線を飯田方面へ進みます。この道は中央道を除くと木曽路と伊那路を結ぶ幹線であるためか、道路も広くあまり味は無く交通量もそこそこありました。
 しかし、大平峠への分岐からの旧道は一転して静かな道となりました。勾配は緩やかで、何よりもほとんど交通量が無い。展望はさほど無いものの(唯一木曽見茶屋というところからは西側の展望が開けていました)、木々に覆われてほとんど日陰を走る快適なまさにツーリングを楽しむための道であるといっても過言はない程でした。ちょうど正午前に到着した峠は小さなトンネル(写真トップ)。なんと天井に明り取り?の穴が2ヶ所ありました。
 峠から少し下ると大平宿(数件の家が復元されています)。そこからまた少し登ると飯田峠に到着。ここからは伊那路の展望が開けるかと期待していましたが、峠付近からの展望はほとんどありませんでした(実はこの道、30年程前にツーリングで走っているはずなのですが、ツーリング自体の記憶がほとんど残っていません)。

大平街道

木曽見茶屋からの展望
 峠から一気に下ると飯田の街(最近自転車レース関係では有名です)。ここから伊那までは、国道153を走らずに中央アルプス東山麓を南北に走る県道15号線を走りました。この道はある程度予想していましたが、小さなアップダウンの繰り返し(飯田と伊那では約300mの標高差がありましたが、実際は倍以上登っている)。おまけに気温は34℃まで上昇。コンビニはなかなか見当たらず。そのため追風基調であったものの、次第に疲労困憊となってきました。周囲にはリンゴ畑(四国人間にとってはとても新鮮)が続き、右手には伊那谷を見下ろす風景、左手には中央アルプスの山々と予想していた通りの素晴らしい眺めが展開されるのですが、ゆっくり楽しむ余裕なし。そのうち撮るさと思っていた、たわわに実った青いリンゴも、とうとう一枚の写真も無いままに終わってしまいました。

大平街道・道標

飯田峠
 伊那に到着した時には既に15時を回っていました。これから旧権兵衛峠を登って木曽路・大桑まで日没までに間に合うか、ちょっと心配でしたが、今回一番走りたかった道であるこの峠をはずすわけにはいかない、と進み始めました。実はこの旧国道361号線、某自転車雑誌で崩落で通行止めとの記事がつい最近見たばかり。ところが某他自転車雑誌では、閉鎖はされていたが問題なく?走行できたとのレポートをほぼ同時期に見ました(松本在住・nkmrkzhtさんからも南信州の道路情報を頂きました、この場を借りて御礼)。今回のツーリング、半分はこのレポを見て決行したと言っても過言ではありません。

飯田〜伊那間

旧権兵衛峠入り口・通行止めの柵
 地図上から伊那側からの登りはかなり緩やかだろうと予想していたのに、みはらしファームから最初の登りは、10%弱と思われる結構急な勾配でした。しかし、まもなく予想通りの緩やかな道になりました。疲れ切った脚でしたが、15時も過ぎ中央アルプスの東斜面で日影になったこともあり気温は下がったようで、15km/hrくらいで快適に走れる道。周囲は赤松林から落葉松林(四国でも時折目にしますが、1本1本が大きくまた林の規模が全く違います)、さらには広葉樹林(こちらはさほどの巨木なし)が道を蔽っています。残念ながら前半はほとんど展望がありませんが、大平街道同様走ること事態が楽しめる道でした。

旧権兵衛峠への道

権兵衛峠手前から伊那高遠方面
 しばらく走ると、上述のレポで確認していた封鎖のゲートが現われました。ちょうどハイキングらしき人がゲートの向こうから降りてきたので、やり過ごして道脇から進入。その後も道は同じような調子で快適に進みました。と、前方道路工事中の表示が。ちょうどトラックとブルが道幅ほぼ一杯に止まっていて数人が作業をしていたようでしたが、足早に通過。さらに快適に進んでいたところ(頂上まで○kmとの小さな表示が1km毎にあり)、再びお仕事関係と思われる二人。チラッと見ながらやり過ごしましたが、背後から何か声をかけられたような・・・。黙って見逃しておくれ、とばかりに立ち去りました。途中で一ヶ所、そして峠手前(結局峠を示すらしきものは何も無くあっけなく通り過ぎてしまった)に伊那側の展望が広がる地点あり(写真、時刻から平地部はほぼ中央アルプスの山影)、今春サクラを満喫した高遠方面から南アルプスの遠望を堪能できました。
 峠から木曽路側は10%弱の下りが連続しており、こちらから登るのは距離は短いものの、なかなか大変だと思われました。程なく一昨年だったか最近開通した権兵衛トンネル木曽側出口に合流。ここからは2車線の立派な道路となりましたが、当然味気ない道でした。
 奈良井宿への分岐部で迷ったものの、明朝には立ち寄る余裕が無いかと思い、奈良井宿へ回ることにしました。ほぼ下り基調だったので、17時過ぎに奈良井宿に到着(標高900mを越えているとは初めて知りました)。ここも夕方であったためか、妻籠宿同様、予想していたほどの人混みはありませんでした。妻籠宿と良く似た雰囲気でしたが、前者の方がやや落ち着いた感じがしたのは、道幅の広さとクルマのせいでしょうか?
 さて、奈良井宿から大桑までは、走りたくなかった国道19号線。とにかく大型トラックが多く、おまけに路側帯がほとんどない。市街地をトンネルなどでショートカットしてクルマでは走りやすいのですが、自転車にとっては酷道です。特に新鳥居トンネルは最悪。右側の柵のある歩道?を進みましたが、数10cmしか幅が無い。途中、日本海・太平洋の分水嶺という表示がありましたが、長く暗く細く交通量の多いトンネルを一刻も早く無事に通り過ぎることを願ったのみ。その後は、日も暮れ始め、おまけに小雨ながらも夕立。大型トラックに容赦無く水しぶきをかけられながらも、なんとか19時過ぎに無事デポ地に到着。ペットボトルの水で汗を流した後、今回唯一の満足な食事(道の駅・大桑でのステーキ定食)、ビールを飲んで車中泊。  翌日へ

2nd stage
 翌日は5時過ぎ活動開始。まず驚いたのは、道の駅で車中泊している人の多さ(少なくとも20人弱はいました)。まだ夢の中らしいそれらの人をよそ目に、30kmほど北の道の駅・日義木曽駒高原までクルマで移動。出発準備していると、同じように自転車の準備をしている人がいたので声をかけました。時計回りに野麦峠〜境峠を回ってくるとのこと。挨拶して6時半に出発。まずは薮原から県道26号線を境峠・乗鞍方面へ向いました。

白樺峠から乗鞍岳
コース  道の駅・日義木曽駒−境峠−白樺峠−乗鞍・畳平−平湯峠−高山−美女峠−長峰峠−木曽駒  
走行距離   約200キロ      積算標高 約4300m
最高地点   境峠(標高1486m)、白樺峠(1620m)、畳平(2700m)、美女峠(870m)、長嶺峠(1350m) 
走行日   2007年 8月11日   天候:晴れ   GIANT TCR
 この道は、最近マウンテンサイクリング IN 乗鞍への通り道としてクルマで走っていて、その雰囲気から是非一度自転車で走ってみたいと思っていました。交通量の多い国道19号線とは異なり、朝靄の落ち着いた静かな道。峠に近づくに連れて勾配は増してきますが、昨日の疲れが影響するほどの坂ではありませんでした。周囲は落葉松と広葉樹の入り混じる樹林。そんな中に別荘が点在するのですが、ちょうどお盆休みに近かったためか多くの別荘に関東や関西ナンバーのクルマが止まっていました。
 峠(展望はあまりない)から奈川までの下りは快調に飛ばしました。奈川からは上高地乗鞍林道へと左折。白樺峠までは平均数%くらいの勾配で登っていきます。道が渓谷沿いから山肌をトラバースするように変わると、少し展望が広がってきました。後ろを振り返ると奈川の集落と思われる段々畑。白樺峠には小さな池と湿原があり、補給を兼ねて小休止。

藪原から境峠へ

境峠から乗鞍方面
 白樺峠からは下り基調、少し進んだ地点では左前方に乗鞍岳の全容が飛び込んできました(写真:二日目トップ、稜線一番右のコルが乗鞍ゴール地点)。大平峠や権兵衛峠は如何にも日本の峠道といった味のある趣でしたが、この乗鞍はさすが3000m級だけあってスケールが違います。昨年チラッと走ったピレネーやアルプスには及ばないかもしれませんが、それに近い雄大さは日本離れしています。さらに右方には焼岳、その奥には穂高連峰が望めました。こちらも雄大な眺めでしたが、やや霞んでいたのが残念。

スーパー林道から奈川方面

白樺峠の池
 鈴蘭には10時前に到着。昨日は一日を通じてほとんど自転車乗りに会わなかったのに、ここ乗鞍はさすが、自転車乗りが一杯。確かにあの神々しいまでの雄大さを見ると(交通規制で自転車が走りやすいことやヒルクライム大会の元祖であると言うだけでなく)、自転車乗りにとってひとつの聖地であると言っても過言ではないように思えました。
 それにしても天候が良く、山頂までほぼ全ルートが見渡せたのですが、かなり登ってもゴールはまだ遥か頭上。よくまああんなところまでレースペースで登れるものだ、と我ながら感心。しかし、この日は全くのツーリング。練習やらツーリングやらで楽しむ自転車乗り達にどんどん追い抜かれながら2時間弱かかって漸く畳平へ。ちょうど正午でしたが、やや雲が多くなってきたこともあるのか、さすがに風は冷たかったです。ちょっと散策することも考えていましたが、天候が怪しくなりそうだったこと、北アルプスの遠景が一昨年ほど望めそうになかったこと、そして時間的余裕がギリギリになりそうなこともあってパス。

スーパー林道から穂高方面

鈴蘭から乗鞍山頂
 畳平からは、これまた今回走りたかった道のひとつである乗鞍スカイラインを下りました。この道も想像通りの楽しい道でしたが、特に森林限界より上が素晴らしかった。また、走るにしたがってどんどん近づいてくる穂高、槍ヶ岳などの北アルプスが、なかなかの迫力でした。森林限界を過ぎるとモミやツガの森林地帯である山肌の西斜面をトラバースするように走るのですが、こちらはあまり展望がなく一気に下ってしまい平湯峠に出ました。(30年近く前に通った)安房峠同様、この平湯峠もトンネルが開通して、旧道は一般車交通規制もあるためか閑散としていました。

大雪渓と乗鞍岳山頂
 
畳平から乗鞍スカイライン
 高山までの国道158号線に出ると、交通量もぐっと増えました。カーブも少なく60km/hr近いスピードで下りますが、下るに従って先程畳平の涼しさは何処へいったと思われる暑さ。堪らずコンビニで休憩です。今回のコース、予想はしていましたがやはりコンビニが比較的少なかったです。そう思っていたので、リュックを背負って余分目に食料は持っていたのですが、とにかく水がすぐ無くなりました。走りながら思ったのは、ちょっとお借りできる水道や水源がほとんど無かったなあ、と言うこと。ずっと以前のツーリングではいろんなところで水を補給できて、小振りのアルミボトル1本で間に合っていたように思うのですが・・・。

乗鞍岳(左手・最奥の三角山)方面を振り返る

乗鞍スカイラインにて
 高山市街の旧町並地区も30年ぶりに訪ねてみたかったのですが、あまりの暑さと時間的体力的余裕が無く市街手前で左折、国道361号線へと進みました。美女峠にかかる頃には昨日の権兵衛峠同様、15時も過ぎ木陰が多いこともあって心持涼しくなり、さほどきつくない勾配をゆっくり走ることができました。
 しかし、この日一番の問題はお尻の痛みでした。一皮剥けたいのは走りだけ。昨日後半からちょっと気になっていましたが、乗鞍登坂頃からまっすぐサドルに座っておれない状態となってしまいました。美女峠は一車線の旧道で交通量も少なく、いい雰囲気の道でしたが、如何せん、足の筋肉疲労よりお尻の痛みが律速段階となってしまいました。美女峠から下って朝日に出ると道は再び2車線の広い道。高山からは30年前に野麦峠へと走っているのですが、当時の記憶はほとんど残っていません。川沿いを走りダム湖畔で休憩した思い出だけが残っていますが、今回走るとかなりトンネル区間が随分多かったです。いつもなら大嫌いなトンネルですが、この時ばかりは(交通量が少なかったこともあり)周囲の気温が随分下がって有難かったです。

美女峠にて

野麦峠との分岐部
 野麦峠への分岐部には16時に到着。遠くに見える野麦峠方面は全く雲の中。これから進んでいく長峰峠方面は大丈夫とその時は思っていたのですが・・・。長峰峠は岐阜長野県境です。峠手前は高原様に開けて御岳方面に向う道があるのですが、御岳方面も雲の中。そのまま長峰峠を目指しました。ほどなく到着した峠には一軒の茶屋。夏の花に囲まれたちょっと雰囲気のある茶屋だったのですが、撮った写真はピンボケ。
 峠から下っていると、雲行きはますます悪くなってきて、遠くで響いていた雷鳴が次第に近くなってきました。ちょっと下った後に再び九蔵峠に登り始めると、雨もパラつき始めました。まあ、涼しくてちょうど良いとは思いましたが、雷はいただけない。一度などかなり近くで落雷したよう。ほどなくパラパラと雨が降ってきました。九蔵峠から少し下って最後の登りとなるであろうトンネルを目指し始めたところで結構本降りになったのですが、カッパも羽織らずにそのまま進みました。幸いトンネルを抜けると雨は降っておらず、路面も間もなく乾いてきました。ここから10kmあまり、ほとんどペダルを踏まなくてもいいくらいの下りで、国道19号線に合流。

長峰峠の茶屋

九蔵峠から御嶽方面
 18時過ぎ、約12時間でデポ地に到着。例によって、水浴びで汗を流して着替え。その後は帰路・クルマ運転となるためビールは我慢。国道19号を下り中津川ICで中央道に入ったものの、名神に入ると関が原から北陸道分岐、さらに栗東付近でも渋滞とのこと。尾張一ノ宮PAで仮眠することにしました。しかし、日が変わって深夜になっても渋滞は緩和されないどころかさらに悪化しているとの交通情報。仕方なく午前2時前に再出発。事前に地図で確かめていた国道と近く、渋滞し始めた関が原ICで高速を降りました。ここから米原まで国道21号線、さらに栗東まで国道8号線を結構いいペースで走れ、再び名神高速に入りました(計算上渋滞した高速よりも大分早かった)。これで一安心、夜明け前には帰宅できてビールを飲んで一眠りできる、と思ったのも束の間。京都南を過ぎてしばらく走ったところから渋滞が始まり、そのうちほとんど動かなくなってしまいました。夜も明け始める次第。なんとか茨木ICで降り、今度は171号線を走り、結局舞子まで下道を走って、本四連絡橋にのったのは、午前6時半も回っていました。
 当初、高速料金(特に本四架橋は高い)が馬鹿にならないので下道を走ることも考えていました。しかし、時は金なりと高速道路を優先したのですが、帰路から考えると夜間は結構楽に下道が走れることを知りました。体力的時間的余裕があれば、次回はできるだけ下道利用でしょうか。  (※ この時は高速休日割引制度などがありませんでした)

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