林道谷山霧越線 と 林道六丁轟線
 この道・林道谷山霧越線が開通したら 2、3の周回コースが作れるのにと思ったのは、もう10年以上も前のことです。それから何度か東西の分岐部を掠めていましたが、最後に訪れているのが2017年だと思います。この時に県道16号線の峠・大越で測量をしていたらしい方に訊ねたところ、後2年くらいで開通しそうだとのことでした。そろそろ開通したかな、ダメ元で一度トライしてみようかと思っていたところ、タイミングよくとくしま林道ナビの地図にアップされているのを見つけました。確か、その2週間くらい前には掲載されていなかったと思うのですが。新緑には少し早いかと思われましたが、好天に恵まれたこともあって訪れたのは、2020年4月25日。予想通り、これといった展望も景観もありませんでしたが、初めての道ならではのワクワク感はいいものです。 (2020.05.10 記)

林道谷山霧越線
 早朝に小仕事を済ませて、その足でデポ地予定の長安口ダムへ移動します。那賀川橋を渡ったところで県道24号線へと進み、桑野で国道195号線へ。1993年・1994年の2年間長安口ダム直下で勤務していました。当時は、阿瀬比まで県道28号線経由でした。陽が長い夏場、天気が良ければ、現在は道の駅ができている広場にクルマを停めて、そこから30q自転車で通っていました。月曜日は往路(当直)火曜日復路。水木も同じ。金曜日は往復。当時とほとんど変化のない阿瀬比からの道を、いろんな思い(あまりいい思い出はありません)を巡らせながら走りました。
コース 長安口−谷山−大越−谷山霧越線−六丁轟線−川俣−長安口
走行距離  55q  積算標高 1100m
最高地点  林道谷山霧越線途中  標高750m
走行日  2020年 4月25日 天候:晴れ  シクロクロス
 午前8時40分、スタート。まずは古谷川に沿って県道36号線を遡ります。すぐに道路工事時間規制(実施中)の表示を目にしました。はっきり確認しないまま進むと、今度は解除中の札が貼ってあったので安心して進んだら、深森地区で法面工事中。が、自転車は端っこを通らせてくれました。

とくしま林道ナビから借用

県道16号線と古谷川
 20数年前は国道195線から分岐するとずっと細い一車線だった県道36号線も、深森辺りまでは所々でと道路の直線化と拡張が成されています。しかし、深森より奥は以前からの道と変わることがありません。深森には、1993年当時既に廃校になっていた小学校跡がありましたが、今はその校舎もありません。職場に谷山出身のほぼ同世代の人がいて、まだ谷山の分校があったそうで、深森小学校が随分大きく見えたものだと話してくれたのも、つい先日のことのようです。川俣の分岐で、いつものように確認写真を一枚。右手へ進むと六丁轟線、帰路はこちらから下ってきます。県道36号線は左手です。

県道16号線

川俣の分岐
 その谷山集落、もう人が住んでいる人がいないのではとも危惧していましたが、数軒の家屋は今も健在のようでしたし、そのうちの一軒は広い前庭をとても美しく植生されていました。以前はこんなに目立っていなかった記憶なので、里帰りもしくは新規に移住してきたのでしょうか。谷山を過ぎると、記憶通り勾配が少し増してきます。それでも衰えた脚でもゆるゆると登れる数%程度。4月後半というのにスタート時点では少し肌寒かったくらいの気温(9℃)でしたが、登りで漸く暖かくなってきました。舗装状態は上々ですが、いつものように路面には多少の枯れ枝・枯葉、小石が散在。登り時には問題になりませんが、下りなら少し注意が必要です。途中、小鹿が2頭、飛び跳ねていきました。 
 上  谷山集落の一部
 左上 古谷川東
 左  谷山集落の手前
 右  県道16号線 谷山より奥
 スタートから21qほど、積算標高は550mと思っていたより少ない高度差で大越に到着。所用1時間40分ほど。写真:下左、右手から登ってきましたた。林道谷山霧越線は、奥に伸びる影になった道です。分岐には、全通していることを示す新しい表示はなく、以前からある「この先6qで行き止まり」の表示のままでした。補給ついでに一服しながら、いつもは素通りする峠部分にある石碑を読んでいたら、この県道36号線、当時は林道古谷川大越線と記載されていました。昭和45年(1970年)に開通したとのこと。しかも、石碑に刻まれた期日が4月25日。ちょうど50年前のこの日です(写真:下右)。

林道谷山霧越線は奥へ

開通記念の碑
 一服後、林道へと進み始めます。ここからは以前に少しだけ進んだことがあるのですが、記憶にはほとんど残っていません。最初の短いコンクリート舗装区間後、全通して多少はいい道になっているかとの予想に反して、一気にガレた未舗装になりました。事前に国土地理院地形図(未だにこの林道は繋がっていません)で確認したところ、大越のほうが六丁轟線との分岐部より標高が高かったのですが、まだ登っていきます。いや、こりゃ大変かも、と先行きが不安になるくらいでした。しかし、結果的に全線で一番荒れていたのは、東側の起点近くでした。写真:下左は、未舗装になって、すぐの辺り。ほぼ尾根ですが、両側とも杉が繁っていて見晴らしはありません。下右の写真は、路面状況が少し落ち着いたところでの1枚です。
 峠の稜線近くで始まった道は、少し進んだ後、稜線の北側を走っていくようになります。途中、北に山々が一望できるところが1か所ありました。南側から眺めることのない剣山山系ですが、方向からサドルの左上は高城山かなと思っていたら、間違いないようです。ズームアップしたら雨雲レーダーの姿が確認できました(写真:下右)。
 
 そのまま進むと、今度は稜線の南側に出ます。北側で一端下りでしたが、また登りです。道はコンクリート舗装。全体的な印象では、全体の7割くらいが未舗装だったように思います。道の造りは、舗装状態や法面の処理などが林道倉羅川井峠線によく似ています。最近の林道造成の主流なのかもしれません。途中、道脇でモコモコ動くものがあります。ウリボウにしては動きが遅いなと思っていたら、タヌキでした。

稜線の北側

稜線の南側
 結局、その後もアップダウンを繰り返し、全長14q余で、大越側からで積算標高は500m弱くらい。逆向きだと600mを越えるかと思われます。勾配のきついところはコンクリート舗装です。下の写真、表示には林道管理境界と記載され、手前が那賀町・向こう側が海陽町管理と記載されています。太陽に照らされたコンクリート舗装は眩しいくらいの白さで、この付近が一番新しい、最後まで繋がっていなかった部分かもしれないと思われました。結構な勾配です。
 そこから登りきると、また稜線の北側へ移動です。道周囲は、ほとんどが杉林で、周囲の視界が遮られています。北側では剣山山系への展望、南側では太平洋の展望が時々木の間にチラッと見られるのですが、すっきりと見渡せる部分はほとんどありません。一ヶ所、剣山とジローギュウだろうと確認できそうなところも、木々の合間で写真は撮り損ねてしまいました。トップの写真は、そんな北側を走る部分です。この付近は、路面の石の大きさなども一定していて、前半よりも走りやすくなっています。
 小さな崩落は2か所ほどありました。災害時の迂回路ととくしま林道ナビには記載されていますが、先に通行止め・不通になるのは、こちらではないかと思われます。全体として、林道西側のほうが路面がずっと落ち着いていました。
 前半はなかなか見通せるところがなかった稜線の南側ですが、後半、写真:下の箇所では南側斜面の木々が皆伐され、太平洋の水平線がすっきり見えました。南側が一望できたのは、ここだけです。この付近だったか、全線で1か所だけ分岐する未舗装路が南側にありました。東手に下りながら伸びていく道が確認できたのですが、何処かに通じているかは不明です。下の写真付近から以西は、かなり踏み込まれた快適な未舗装路で、走り慣れた人なら25Cのロードバイクでも走行可能と思われくらいでしたが、そこも写真撮り損ねです。
 そのまま快適になった路面を走っていくと、とくしま林道ナビの記載通り起点から14q余で林道六丁轟線の合流部に到着です。ちょうど正午前でした。こちら側の表示(自転車を立てかけてあるところ)も以前のまま、何処にも県道16号線に繋がっている情報は見当たりません。写真:下左、奥のカーブする道が林道六丁轟線(全線舗装)です。左手に進むと国道193号線へ出て霧越峠。今回は右手へと下ります。 この道を最後に走ったのは2014年。初めて走ったのは1993年と記載していますが、1994年だったかもしれません。川俣方面から走ってくると、かなり登ったところで、少し展望が広がった記憶でしたが、反対側から下りの今回、この付近かなと思った辺りでも、思ったほどの展望は得られませんでした。
 
 那賀川流域全体がそうですが、六丁轟線沿いも山肌には杉林が続きます。途中、稜線近くまで皆伐された斜面が2ヶ所あって、1ヶ所では作業中ではなかったものの、枝を打ち払う機械などいくつかの重機が、つい先程まで稼働していたような状態で放置されていました。頭上には、材木を運ぶロープウェイ。途中、2か所ほど登り返しがあることも記憶通りでした。写真:下右の場所は、初めて走った時に大崩落していて工事中だったところ。この法面全体が崩落して、土砂が道を覆っていました。工事中の土砂崩れの上を押して通った記憶も、つい先日のことのようです。
 上記のように道周囲の9割くらいが植林された杉林ですが、一部に落葉雑木が見られます。芽吹き始めたばかりの柔らかな新緑、萌黄色です。横を流れるのは、川俣で東と西に分かれた古谷川西。東側よりこちらのほうが山が深く、水量も多めで本流のようです。途中、またカツン、カツンとアスファルトに響く音を残して、小鹿が跳ねていきました。
 2014年時の記載にもあるように、ここは職場の釣り好きに連れてきてもらって最初で最後のアメゴ釣りに来たところです。どの付近だったかは記憶が定かでありません。道沿いで川底がすぐ近くに見える写真:下のようなところも、3か所くらいありました。こんなところから河原へ降りて行ったのでしょう。2014年時は多少路面に難がある場所もあったように記載していますが、今回は特に問題になるようなところはありませんでした。
 徳島になら至るところで見られそうな谷筋の光景を眺めながら、川俣の県道36号線合流部には12時30分頃に到着しました(写真:下左)。谷山の集落で人影を見てから、ここまで、出会ったのは少し手前で擦れ違ったオフロードバイクの一人だけでした。この分だと、往路に通った工事箇所には作業昼休み中に余裕を持って通過できそうと思われました。そのまま走って通行制限もなく、13時前に長安口ダムに到着。
 左  川俣、県道16号線合流手前
 上  川俣の短いトンネル
 右上 長安口ダム、遠景
 右  長安口ダム直下
 写真:上右下は、長安口ダム直下です。色だけみると鮮やかなアクアブルーですが、おそらく魚はもちろん、ほとんどの生物が生存できない環境ではないかと思われます。仕事のモチベーションを保つことが、とても難しかった彼の地での勤務時代、一番学んだことはダムの功罪であったかもしれません。

 ご意見・ご感想・新しい情報はこちらへ

ツーリング徳島へ戻る  TOPに戻る

inserted by FC2 system