砥峰高原とその周辺の道
 話は自転車仲間で「ちょい飲み会をしましょう」から始まりました。折角の機会なので、昼間のツーリングを私が提案。飲み会までに余裕を持って帰って来られるコース、しかも参加される皆さんが喜んでくれそうなという条件で地図を眺めながら考えたのが、砥峰高原付近を周回する道です。播州方面は未訪で土地勘が全くなかったので、2週間前に千種高原付近を走って下見・予行を行ってきました。その東側の今回のコース、どんな道かは全く未知数でしたが、これがまた自転車ツーリングに持ってこいの道が続く最高に楽しいコースでした。  (2019年12月20日 記)
コース  神河町−県道8号線−播磨一宮−県道6号線−県道39号線−砥峰高原−長谷−播但線沿いの道−生野−県道367号線−神河
走行距離  90キロ   積算標高 約1700m
最高地点  砥峰高原 標高810m 
走行日・天候  2019年 11月 30日  天候:曇り/晴れ  GIANT TCR
 
県道8号線を西進
 11月30日、午前5時半出発。参加は、仕事の都合などもあって、けんさんふくてんさんと私の3人です。淡路島経由、三木JCTから中国道〜播但道・神崎南ICで降車。神河町役場近くにデポして、8時スタート。予行で学んだ通り、この日も移動道中は快晴の夜明けでしたが、現地に到着すると雲が空を覆ってきて気温は3℃。おまけに明け方雨が降っていたらしく、路面は濡れていました。非常用の合羽をリュックに入れておいて、出動です。。
 まずは県道8号線を西進します。2車線の比較的広い道。走り始めこそ少し交通量がありましたが、まもなくクルマの姿は減って、陽が当たらない緩やかに登っていく道を、ゆっくりと進みます。徳島を出る時は冷え込んだ前日より暖かいと感じましたが、念のための真冬装備でちょうどいいくらいでした。進んでいくと、前方上方の山、稜線付近は雪景色です(写真:下左端、わかりにくい)。上小田という集落(写真:下左から2枚目)を過ぎると、道はつづら折れとなって勾配も増してきました。クルマは時折通る程度でしたが、その中に一台、ボンネットと屋根には5cmほどの積雪。3人で思わず絶句。行先は・・・。
 標高700mほどの峠に到着(写真:下右から2枚目)。スタート地点は標高150mほど。今回、久々にみなさんと一緒に走るので、いい加減ないつもより念入りに事前チェックしていました。夜の部があるので、通過時間もヘタレの私に合わせて余裕を持って計画していましたが、最初の峠まで、その余裕でちょうどのペース。登りで少し温まっていましたが、下りに備えてまた真冬仕様にして、最初は曲がりくねった、その後は広く走りやすい下り道を国道29号線まで一気に下ります。振り返ると、稜線付近は、やはり雪景色です(写真なし)。道は途中で一部狭い旧道となっていた以外は、ほぼ広い2車線で交通量も少なく走りやすい道でした。
 国道沿いのコンビニで小休憩後、少し北上したところで県道6号線へ右折です。最初だけ工事用の大型ダンプが走っていましたが、その後は県道8号線同様、交通量は少なかったです。横を流れる揖保川は先日走った上流ですが、川床が浅く路面と高さがあまり変わりません(写真:下左)。谷深い四国の川とは随分異なる景観だなあとは、3人の共通意見。県道8号線沿いもそうでしたが、杉林が多い周囲の山肌の中に所々で黄から橙に色付いた雑木林も見られました。
 7qほど進んだところで、県道39号線に右折。道は1車線となり、交通量はほとんど皆無となりました。横を揖保川の支流が流れ、いい感じと進んでいると、「この先通行止め」の表示が出現(写真:下中)。災害による土砂崩れかなと、話しながら進んでみると・・・。もうひとつ通行止めの表示(写真:下右)。「除雪のため12月1日から通行止め」とのこと。明日からかと、ちょっとだけ安心して先へ進みました。
 福地渓谷という付近からは、勾配がぐっと増してきました。道は、下の写真のようにかなり細くなって、横を流れる川も渓谷様になってきました。この付近、1〜2週間くらい前だったら紅葉が最高だっただろうなと思われる落葉樹林が広がっています。新緑の頃も良さそうです。
 しかし、勾配はきつかったです。10%はざら、15%くらいありそうなところもあって、その後の7%前後の道が緩やかに感じられたくらい。砥峰高原に出る少し前から道はさらに緩やかとなって、道脇の丘状の山肌には、広葉樹林が落葉して視界を広げていました。道とどれほども高低差のないところを小川が流れていて、広葉樹林の下には落ち葉のうず高く積った地面が広く見渡せる、四国ではちょっと見かけない光景です。そんな雰囲気を写真に捉えきる自信がなく、写真を撮らず仕舞い。
 狭い谷から少しなだらかな丘状の杉と広葉樹の林を抜けると、そこには広々としたススキの草原が広がっていました。砥峰高原です。時期的には、ススキの見頃には遅いと当初から予想していましたが、枯ススキとなっていたこの時期も陽光が差し込むと光り輝いて、まだまだ楽しめる光景でした。
 おまけに、季節外れで、ほとんど人がいないのが、また良かったです。草原の中には遊歩道も設けられていましたが、車道からしばし眺めるにとどめました。これも事前に一応チェックしていたとのみね自然交流館が開いていたので、昼食休憩。ちょうど翌日からは冬季休業とのこと。いただいたお蕎麦は細く短い麺でした。ちょうど11時過ぎ、ここまで45qに3時間。予定では4時間みていたので、後半の余裕ができました。
 食事を終えて外に出ると、先程までほとんど人影がなかったのに、ハイキングツアーと思われる中高年の御一行が数十人ほどいて、一気に賑わしくなっていました。人のいないのが、こんな光景には似合います。季節外れの訪問が正解でした。草原の東手にあった駐車場には、大型バスが2台停まっていました。見頃に時期には道が渋滞するとツーリングマップルに記載がありましたが、登ってきた道はとてもバスは通れません。みんな東側から往復のようです。
 その東側の道を下り始めます。同じ県道39号線なのに、こちらは西側に比較して2車線の広い道です。勾配もきつく、登りなら休める区間がありません。。
 途中で登って来る自転車乗りと擦れ違いましたが、自転車で砥峰高原を訪れるなら、絶対に西側からのアプローチがいいと思います。勾配がきつい区間もありますが、西側が圧倒的に周囲の景観も良く味があります。写真:左は、下ってきて最初の集落・川上付近。千種高原周辺同様、大好きな備中の黒瓦白壁の民家ほどではありませんが、まだまだ昔の田舎らしい雰囲気を残した風情です。路面も漸く乾いてきました。隣の写真は、その少し下流にある長谷ダム。この周辺の山肌も、所々で紅葉していました。
 下り切ると県道404号線に左折。そこから渕という集落まで県道404号線を走った後、播但線に沿った町道へ進みました。この道が、また自転車ツーリングには持ってこいの道でした(下の3枚)。揖保川とは嶺ひとつ東側の市川に沿って、極々緩やかに登っていきます。道は1車線、右手には市川が揖保川同様、浅い川床で流れていきます。途中、民家もほとんどなし。当然、クルマもほとんど通りません。播但線が、所々で道とクロスします。おそらく1時間に1本も列車は通らないのだろうと、列車に遭遇することは期待していませんでしたが、走行しながら下左の写真を撮っていた時、何か音がするなと思っていたら、左後方から田畑と林の境界部分を橙色の古い気動車(1両編成)が走っていきました。写真に撮れず、残念。
   
 そんな道を楽しみながら、生野に到着。ここも事前に生野銀山に関連した史蹟が多少あることを確認していたので、国道312号線をすぐに離れて街中へ向かいました。格子や板塀のあるちょっと古めの民家が残っていて、寂れたとも見えないこともないですが落ち着いた雰囲気の通り。国道429号線はさすがに交通量が多かったのですが、少し裏手に入ると電線も地中化されて、すっきりとしていました。
 
 役場支所前にあった案内図で確認して、これも調べていた市川沿いのトロッコ軌道跡へ向かいました。アーチ状の石垣で補強された川沿いの軌道跡は僅かばかりの距離ですが、往年の趣を残しています。下の2枚、民家より一段下方に川に沿ってあるのがトロッコ軌道跡です。すぐ傍に、銀山ミュージアムセンターというところもあったのですが、こちらは素通り。
 国道429号線を1qほど走ったところで、今度は県道367号線に右折、南へと向かいます。右折手前の表示に、小さく3.5q先通行止めの記載を見ました。通行止めなら先程走ってきた播但線沿いの道を戻ることは苦にならないと、先へ進みます。道はまもなく1車線となりましたが、路面状況は上々。しばらくは緩やかでしたが、事前に作製した標高図では、先の県道39号線西側のきつかった登りよりもさらに急な坂となっていた通り、峠手前1.5qくらいは休めることのできない急な勾配が続きました。たまらず写真撮影と脚着き。写真:下中のような植林された杉林、この日全線で見られました。
 峠で一服。夜の部に向けての時間的余裕は十分でした。そこからは、それまでの二つの峠同様、最初は少しばかり1車線のくねくねした道が続いた後は、2車線の広い道となって、極緩い下り基調の道を追い風にも乗って快走(写真:下右)。国道312号線手前までは交通量も少なく、周囲の山肌はこの日一日見られたように多くの杉林の中にちょうど紅葉見頃の落葉樹林が混ざっている具合でした。
県道367号線
 最後に少し時間があったので、デポ地すぐ近くの寺前駅に立ち寄ってみました。途中の播但線の雰囲気から、閑散とした駅だろうとの予想に反して、何両かの列車が停車しています。一両はラッピングされていて華やかです。駅舎内に入ってみると、列車は最低1時間に1本は運行されており、朝夕は数本、特急も1日3本走っていることを確認して、ちょっと驚きました。
 地図だけをたよりに考えて企画したコースでしたが、これほど楽しめる道とは全く予想していませんでした。また季節のいい時に、今度は砥峰高原南北に走る道を利用したコースを走ってみたいものです。

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