角 島
 何時・何処でその写真を目にしたのか明確には覚えていませんが、どなたかのHPであったことは間違いありません。沖縄?それとも海外のリゾート地かと思ったくらい、美しい海上に緩やかな曲線を描いて架かる橋。これが山口県・日本海の風景と知って、随分と驚きました。私の日本海のイメージからは程遠かったのですが、そんな先入観も関係なく、是非一度は訪れてみたいものだと思っていました。中国四国地方と、よくひとまとめに言われますが、四国の東端・徳島から、中国地方西端までは結構遠いものです。今回、うまい具合に角島訪問を実現できそうな機会に恵まれました。直前まで実行できるか不確定だったのですが、心配していた天候も回復して走ってくることができました。   (2012年11月23日 記)

角島大橋
コース  小倉−関門トンネル−下関−国道191号線−角島−国道435号線−県道240号線−県道31・28号線−小郡
走行距離   約150キロ   積算標高 約1200m
最高地点   ほぼフラット  最高地点でも標高200mほど
走行日   2012年 11月18日   天候:晴れ   LOOK KG-96
 
 午前7時30分、小倉駅で自転車を組み立てようとしたところ、後輪がぺしゃんこ。前夜にしっかりと空気を入れて確認していたのですが・・・。出鼻を挫かれましたが、空気を入れ直すとなんとか大丈夫のようだったので、見切り発車(結局、最後までOKでした)。まずは、地図を確認して国道199号線を門司に向けて進みました。日曜日の朝でしたが、幹線道路のためか交通量はそこそこありました。
 少し走ると、まもなく左手は海・関門海峡です。途中、国道沿いにレンガ造りの建物(赤煉瓦プレイス)と倉庫(ニッカウヰスキー門司工場)を見つけて、この日最初の写真撮影。いつものように事前調査不足で、この建物が何であったのかは今初めて知った次第です。地図には門司レトロなんていう表示もあるので、小樽や函館のような景観を見ることができるのかとちょっと期待しました。小倉から数km走ると前方に関門橋が見えてきました。対岸の下関は、すぐ目の前。結構大きなビルが立ち並んでいました。

レンガ造りの倉庫(ニッカウイスキー)

赤煉瓦プレイス
 門司港付近で、少しウロウロ。改装中の門司港駅をはじめとして、その周囲にはちょっと通り過ぎただけでも由緒ありそうな洋風館をいくつか見ることができました。門司を散策することも面白かったかもしれませんが、関門トンネルの入り口を探すことが先決。これも全く事前に確認していませんでした。地図でトンネル入り口付近と思われるところへ向う途中で、タクシーの運転者さんに道を訊ねたところ、歩行者用の入り口はずっと先、関門橋の袂にエレベーターで降りる(これは既知)建物があるとのこと。と言うことで、関門橋下に向って東進したところ、ほぼ橋直下にその建物を見つけました。しかし、人も誰もいません。開いているのかと訝しく思うほど閑散としていました。料金20円とありましたが、下関側で払うとのこと。大きなエレベーターで地下へと降りました。

関門橋、トンネル入り口手前にて

門司港駅(改装中)
 エレベーターを降りるとちょっとした広場があって、海峡トンネルへと続いていました。幅は3mくらい。ほぼ直線なので(高低差は少しあり)、ずっと向こうまで見通せました。押して歩かなければならないと聞いていたので、ゆっくりと歩いて進みました。散歩コースなのか行き違う人も本州に渡るまでに10人以上。人のみなら無料だそうです。全長780m、ほぼ中央に福岡・山口県境の表示。とびしま海道では瀬戸内海に架かる橋の上で広島・愛媛県境を越えましたが、海底で県境を越えるのはおそらくここだけでしょう。歩行者用トンネルのすぐ上は車道とのことで往来するクルマの走行音がよく聞こえました。

関門トンネル、門司側

関門トンネル、福岡山口県境
 下関側に出ると(料金は箱に入れるだけ)、南面に当たるためか山影だった門司側より随分明るい雰囲気でした。海峡に向って並んだ砲台の写真を撮り忘れたまま、先へと進んでしまいました。国道9号線は交通量が多く早々とお別れしたかったのですが、そのまま下関の街中へと進んで行きました。写真:下のような門司同様由緒ありそうな洋館が見られました。街を訪ねて歩くウォーキング大会も開催されていたようですが、こちらも門司同様、ゆっくり歩くと味のある街なのかもしれません。ただ、自転車乗りにとっては、ちょっと走りにくい道が多かったです。特に駅周辺の交差点では、自転車や歩行者のことは全く考慮されていないように思われました。
 下関駅を過ぎたところで、長門・萩方面、国道191号線の表示を見つけて、そちらへと進みました。すぐに交通量は減って快適な道になるだろうとの予想は外れ、その後しばらく交通量は多いまま、また信号停止が非常に多く、高低差こそあまり無いものの結構疲れました。

下関市内にて

漸く海沿いに、遠景は九州
 しばらく走ると、やっと海岸線に沿って進むようになりましたが、まだまだ信号も多く、道沿いの海の色も重く暗い感じでした。写真で見たような南洋を思わせんばかりの明るい澄んだ角島の海の色は、よほど条件が良い時のものなのだろうか、などと思いながら北上を続けました。
 下関から15km程走ったところで、本州最西端・毘沙の鼻まで4kmの表示を見つけました。ここは事前に確認していました。もう一度やって来る可能性はあまりと思われるので訪ねることもチラッと考えましたが、特に端に拘るつもりもないのと、とにかく角島が目標であったので、パス(後から考えると、時間的余裕もあったので行くべきだったと、少しばかり後悔)。この部分と後2ヶ所ほど、国道191号線は海岸線から少し離れる区間があります。しかし、いずれの区間も海岸線も含めて長い登りや急な登りは、ほとんどありませんでした。

長門二見から北、山陰本線と離れて海岸沿いを走る

角島大橋、遠望(道の駅・北浦街道豊北から
 湯玉手前付近からは、交通量も信号もぐんと少なくなって走りやすくなってきました。加えて海の色も明るさを増してきて、その後の展開に期待が出てきました。この付近で懸念していたGPSが電源切れ。充電していたつもりだったのですが、どうもドタバタしていて忘れていたよう。GPSだけでなく、私もエネルギー切れになってきました。それまで長門と萩の表示ばかりだったのですが、長門二見で国道191号線が山陰本線から離れるところで漸く角島の表示が出てきました。その少し先に「コンビニまで後7km、そこから角島まで4km」の表示があったので、とりあえずコンビニまで走っての補給を目指しました。
 角島の少し手前、道の駅・北浦街道豊北からは、角島大橋が遠望できました。道の駅はそこそこ混雑していたので、角島も観光客でいっぱいなのではと懸念していましたが、国道191号線から県道275号線へと進んで辿り着いた角島大橋には、さほどの人出もなく落ち着いており、ゆっくりすることができました。ところで、肝心のコンビニは距離からすると国道と県道の分岐部付近と思っていたのに、見当たりません。見過ごしたのかと思ったのですが、実はその先でした。北側からの距離表示だったようで、判断を誤ってしまいました。

高台から見た、角島大橋
  おかげで、角島大橋に到着した時には完全にエネルギー切れ。とにかく、まずは手前の高台に登って写真撮影です。写真では、申し訳ないのですが、海の美しさが全く伝わりません。この日は雨の心配こそなかったものの、切れ切れに流れる雲が、まだらの影をつくっていました。しばらく待ってみたのですが、角島大橋と周辺の海全体一面をすっきりと照らしてくれることがありませんでした。大橋横にある展望台に登ってみると、眼下に打ち寄せる波の透明度が半端ではありません。海水の色は、海深の違いにもよるのか、群青色から明るい碧色までのグラデーション。高い山からの眺めや澄んだ川の流れもいいですが、美しい海もまた格別です。しばらく本州側からの眺めを楽しんだ後、折角だからと角島へと渡ってみました。角島のことだけは、ウェブで多少調べていたのですが、どうもハンガーノックで力が全く入らず。まだまだ帰路のこともあるので、西海岸が見えたところで引き返しました。

本州側の海岸、波打ち際も美しい

角島大橋を、角島方面へ
 角島から先のルートは、その場で決めることにしていました。長門までだと30Kmほど。時間は正午を回ったところだったので、帰りの列車時間までゆっくりと海岸線を回れる余裕がありました。しかし、最後の一枚を撮った時にカメラを落としてしまい操作不能になってしまいました(帰宅後、何故か復活)。長門方面の海岸線は風光明媚な景観が続くことと想像されましたが、写真が撮れないのも残念なことと、もう少し走りたいこともあって、結局もうひとつの予定プラン、小郡・新山口駅まで走ることとしました。
 地図で確かめていた阿川駅近くで、国道191号線を右折。地図上から多少予想はしていたのですが、進んだこの道は広くきれいなものの、微妙なアップダウンの繰り返しで結構堪えました。滝部で国道435号線に乗り換え。前夜久々に会った元オオカ〜ラ仲間・転勤で現福岡在住のなかやんから「山口県は滅茶苦茶道路がきれいで味気ないので主要道を外したほうがいいですよ」とのアドバイスをいただいていました。その主要道を外したつもりの国道435号線でしたが、徳島の国道438・439号線とは全く異なり、一級国道かと思うような幅広い2車線道路でした。交通量も少なく、緩い追い風で、アップダウンも少なく、登りがあっても緩やか。疲れた脚には有難い道でした。

角島側から

角島・夢ヶ崎、角島灯台
 しかし、周囲の風景には、目を見張るほどのものはありませんでした。ひょっとしたら、と思っていた紅葉もほとんど見かけませんでした。ただ四国とは異なったなだらかな山を背景に、黒や赤茶の塗り屋根瓦の純日本家屋が点在する風景は、35年程前に津和野近辺を走った時と同じ。穏やかに、緩やかに時間が流れている様でした。上述のようにカメラ故障で、その後の写真はありません。
 美祢手前からは国道435号線を外して、その北側を走る県道240号線へと進みました。当初こそ、迷ったかなと思うような田畑の中を縫う曲がりくねった細い道でしたが、小さな細い切り通しの峠を下ると、これが三桁県道かと疑うこれまた素晴らしく整備された幅広2車線道路となりました。本当に山口県の道は、よく整備されていました。自転車旅行には、ちょっと味気ないですが。

角島大橋、本州側から
 そうそう、この付近は秋吉台のすぐ南でした。秋吉台も35年程前に走ったきり。また再訪したいところですが、今回はパス。再び国道435号線とクロスするところで、小郡の表示が出てきました。まだ40km近くあると思っていたのに、なんと後16kmの表示。 その後、県道31号線から28号線へと進みました。ほぼ下りでしたが、交通量はさすがにちょっと増えてきました。小郡までの距離表示はどんどん減って一桁になりましたが、周囲はまだまだ山の中。新幹線・新山口駅まで後3km程になって漸く街外れにでました。
 事前のチェックがいい加減であったので、予想より随分早く新山口駅に到着。これなら、上述のように本州最西端や、門司や下関の街をもう少しゆっくり回ってみても良かったなあ、と反省ばかり。それにしても、新幹線はやはり超特急ですね。それに比べて、在来線・徳島本線の特急は名ばかり。停車駅もやたら多く、各駅停車と変わらない?先日利用した最終鈍行列車と高松-徳島間が20分程しか変わらないのに納得。

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