宇陀・又兵衛桜を訪ねて
 奈良県宇陀市周辺には、名のある1本桜がいくつかあるらしいことに少し前から気が付いていました。たまたま前年にゴンさんが訪れられた記をブログにアップされているのを見て、ますます行きたい気持ちが強くなってきました。ゴンさんに再訪される機会があれば是非声をおかけくださいとお願いしていたところ、2014年4月にタカやんさん企画の又兵衛桜詣でにお誘いいだき、待ってましたと便乗させていただきました。時折霙交じりの小雨が降る生憎の天候でしたが、訪れた又兵衛桜はちょうど満開。観光化され過ぎているきらいはありますが、それは見事で一見の価値ありの桜でした。  (2016年03月30日 記)

又兵衛桜 全景
コース  橿原−明日香−吉野−宇陀−近尻−宇陀−桜井−橿原
走行距離  一周 約100キロ  積算標高 1800m
最高地点  近尻付近の峠 標高660m
走行日・天候  2014年 4月 6日 天候:曇り、一時小雨 ロード
 午前5時前、自宅出発。大阪市内の手前では、前方に真っ赤な太陽が昇ってきました。今日も一日いい天気かと思ったものの、奈良県に入ると一転して空一面の雲。午前9時集合予定地の樫原ジョグ&サイクリングセンターには7時前に到着。ちょっと早く到着し過ぎたので、みなさんとは又兵衛桜で合流しようとゴンさんに連絡し、時間的に回れそうと思った吉野方面に向かってみることにしました。
 生駒のトンネルを抜けて朝靄に煙る光景を見た時から、いい雰囲気だなあと思っていた奈良盆地を、まずは県道155号線で明日香方面に向かいます。日本史には全く疎い私でも、名前だけは知っている地名が次々と出てきます。石舞台の辺りでは、桜が満開。明け方までの雨に濡れて、桜の花がより鮮やかでした。明日香からは、より鄙びているだろうと県道15号線で吉野方面に向かうつもりでしたが、分岐部に「吉野方面には抜けられません」との表示。折よくひとりの自転車乗りの方がそちらから下ってきたので訊ねてみると、峠付近で通行止めとのこと。仕方なく、県道156号線を進みました。まもなく勾配がきつくなって標高400mほどの峠に到着。

明日香 石舞台付近にて

県道156号線、峠少し手前から明日香方面
 なんとそこから東側は雪景色でした。幸い雪は畑と民家の屋根に残っている程度で、路面は濡れているのみでした。慎重に下って、県道37号線に右折しました。旧道の確認ができていなかったので、長い鹿路トンネルを抜けて吉野口には午前8時30分頃に到着しました。吉野も桜の季節に一度訪れてみたかったところです。今回は、下千本付近が見頃との事前情報を得ていました。吉野の全容について詳細を全く把握できていなかったので、今回はおおよその距離間隔などがわかれば、と下見のつもりでした。
 吉野口で川の左岸に渡ると、既に結構大きな満開の桜の樹が随所に見られ始めました。こりゃなかなか期待できそうです。川沿いから左手に向かうと一気に登り道となりました。おまけに小雨が・・・。雨も次第に強くなってきて、吉野神宮も素通りです。下千本というので、川の近くかと思っていたのですが(その程度の認識)、結局標高差で250mも登ったでしょうか。雨に煙る山肌に点在するヤマザクラは満開ではなかったのですが、見るには十分な咲き具合でした。しかし、雨は本降りになってきて写真を撮る余裕もなし。おまけに、先に進むと沿道両側は土産物屋で埋め尽くされ、まだ朝早めの時間でしたが休日とあって結構な人出。濡れ鼠になりながら、桜は何処だと自転車を押し進むと中千本の分岐部に到着しました。

県道155号線・峠東側、 雪が残る

 吉野口 桜橋
 ここからはさらに勾配がきつそうでしたし、自転車で入ってもいいのか? 開花もまだ早いとのことでしたので、下千本までの下見だけで終わらすこととして周回コースを下ることにしました。上着は合羽を持っていたものの、下は準備していなかったので、あっという間にびしょ濡れ、足元はずくずく。気温が低かったこともあり、寒くて凍えるようでした。
 吉野口まで下ってくると、雨も少し小降りになって気温も多少上昇したようでした。吉野からは県道28号線と国道370号線で大宇陀・道の駅へと向かいました。いずれの道も、交通量は比較的少なく走りやすい道でした。時折、日も差してきて、その時だけはちょっと暖かく感じました。

小雨の吉野山・下千本
 又兵衛桜は、大宇陀・道の駅から国道を少し西へ入ったところにありました。手前には何ヶ所か大きな駐車場があって、観光バスを含めて多数のクルマが停まっています。数珠つなぎに歩いていく観光客の先には、うっすらと淡いピンク色が見えました。あれがそうだな、とまずは遠目からと対岸(小さな川が横にあり)の道を進みました。近づいて行くと、確かに大きな樹、しかも運よく、ほぼ満開のようです。樹の周囲は、この1本の観光用のためか、随分と整備されていました。

人が誰もいないように見えますが・・・

近寄って一枚
 ゴンさんたちが到着するまで、ウロウロ。しかし、また小雨が降ってきて気温が下がりました。ちょうどゴンさんたちが到着す頃に雨が上がりました。みなさんと合流した後も、又兵衛桜の周りを、あっちへ行ったり、こっちへ来たり。みなさん、思い思いにしばし観賞。

違う角度から一枚

上方から一枚、ここも人でいっぱい
 結局、ほぼ1時間近く又兵衛桜のところに滞在しました。思い残すことなく、県道31号線で東吉野村方面へ向かいます。追い風でしたが、時折氷雨がパラつきました。途中、由緒ありそうな民家の庭先にあるしだれ桜や、芳野川沿いの桜並木も満開でしたが、寒さで楽しむ余裕がありません。ただ、道は交通量も少なく、総勢11人の大所帯でしたが、のんびりと走ることができました。

満開!
 予定コースがわかっていなかったので、いったい何処をどう走っているのか、走っている時には全くわからないままでした。県道31号線の峠を越えて、少し東吉野村に入ったところにある「月うさぎ」というところで昼食をいただきました。この峠、登るにつれて周囲には残雪が道沿いに。「月うさぎ」オーナー氏の話では、午前中まで雪が降っていたそうで、屋根には数pの降雪でした。地産物を中心とした食事をいただいて外に出ると、青空が広がり始めていました。

県道31号線の峠手前にて

月うさぎの前庭
 帰り道は向かい風でしたが、旧道を走ったり、途中の和菓子屋さんで団子をいただいたり、大宇陀でも旧道に入って、少しばかり残っている往年の街並みを楽しんだりと、地元の方に企画していただいたサイクリングならではの楽しみに溢れていました。その後は、県道166号線を桜井市方面に向かい、市街地手前で明日香方面に左折しました。たまたまこの道が、もう1ヶ所訪れてみたかった桜・満願寺の近くのようでした。時間が迫ってきて、予定の明日香・石舞台方面へ立ち寄ることを中止したみなさんと県道37号線の分岐部で別れて、満願寺を目指します。
 少しばかり走ったところで、聖林寺を見つけました。満願寺は確かこの近くだったと進んだところ、満願寺の桜の表示を見つけました。そこから700mばかりで下の写真のしだれ桜に到着しました。樹は道路から20mばかりの高台にありました。手前の駐車場には3台ばかりのクルマが停まっていました。カメラマンも3人。思っていたより花付きが悪いように見えましたが、又兵衛桜の人出とは異なり、ひっそりとして、やってきて良かったなあと思う光景でした。

 満開の中を

 見飽きることのない
 満願寺のサクラを楽しんだ後は、その道を進んで小さな峠を越えると、朝一番に通過した明日香の近辺でした。最後は川沿いの自転車道を走って、16時過ぎにデポ地に到着しました。
 奈良は、和歌山から京都に向けて通過した1976年以来でした。上述のように、生駒のトンネルを抜けた瞬間から、何がかわからないけど日本の黎明期を感じさせる雰囲気を感じました。史跡も多いですが、走るだけでも楽しい道がいっぱいありそうです。ところで、満願寺、事前に雑誌などで見ていた印象と少し異なるなあと思っていましたが、帰宅後確認したところ、すぐ近くにもう少し花数の多い枝垂れ桜があったようです。ちょっと悔やまれますが、佛隆寺や西光寺、大野寺などの桜とともに、またぜひ再訪したいものだと思っています。

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