碓氷峠 国道18号線旧道と旧信越本線跡
 群馬・長野県境で避暑地で有名な軽井沢のすぐ近く碓氷峠の名は、自転車乗りでなくても知っている人が多いと思います。めがね橋と呼ばれる旧信越本線の有名な橋梁があるということも朧気ながら知っていましたが、四国からは遠く、1980年頃に近くを走ったことがあるものの、なかなか訪れる機会がありませんでした。信州の桜を訪ねる旅の合間に初めて訪れたのは2017年4月、もう3年も前のことになりました。 (2020年 5月23日 記)

旧信越本線・第三橋梁
 走ったコースは、峠からすぐの軽井沢側を起点として一度横川まで下り、同じ道を引き返してきました。同じ道を往復することは本来あまり好きではないのですが、時間的な関係でいい周回ルートが取れなかったことも理由のひとつです。しかし、登りと下りでは視界も異なるし、新たな発見もあるかもしれないと思ってのスタートでした。
コース  碓氷峠−横川往復
走行距離  25q  積算標高 500m
最高地点  碓氷峠  標高1000m
走行日  2017年 4月16日 天候:晴れ  FELT F1
 まずは軽井沢から旧国道18号線を周囲の光景、旧信越本線跡などを見ながら、ゆっくりと下りました。峠からしばらくはコーナーに砂が浮いているところもありましたが、並行してバイパスがあるため、交通量は少なく、時折走っていくのは峠道が好きそうなクルマ、オートバイと自転車乗り(数人と擦れ違い)だけでした。写真は、一度下っての横川付近から並べました。まずは、旧道が栄えていた頃に繁盛してたと思われる道脇の古い食堂跡。ここから南東方向に2q程直線道路が続きます。食堂を通り過ぎると、コーナーの連続が始まります。各コーナーには、カーブ〇〇とNo.が記載された表示があります。全部で184あるそうです。まずは、カーブ1(写真:下左から2枚目)。

古い食堂跡

カーブ・1

ソメイヨシノ満開

谷急山
 まもなく、旧信越本線跡と旧道は立体交差します。写真:下右、下の道が旧信越本線跡で、現在は遊歩道になっています。そちらをゆっくり歩くのも、またいいかもしれません。遊歩道には、写真:下中上のような表示が随所に設けられています。碓氷湖は、碓氷川が坂本ダムで堰き止められたダム湖です。遊歩道にも降りてみましたが、自転車走行は禁止のようです。
 
 碓氷湖を過ぎると、まもなく有名なめがね橋・旧信越本線第三橋梁が見えてきます。竣工が1883年とのこと。その姿は、もう100年以上前の建造物とはとても思えないレンガ造りの重厚な機能美を呈しています。鉄道橋としては、今はなくなった旧余部鉄橋にも匹敵するインパクトがあります。
 朝まだ早い時間帯だったためか、観光客もあまりいません。橋上の線路跡は歩道になっているらしいので、上ってみることにしました。橋梁の上は、写真:下右上のような感じです。この第三橋梁に限らず、建築の詳細などの説明が各橋梁毎にありました。
 写真:下左、橋梁まで登って袂から、右下に見えるのが国道18号線旧道です。写真:下右、橋梁の真下から見上げてみました。最高部は谷からの高さが31mあるそうです。
 写真:下左のコーナーにはNo.55の表示があります。奥手に何やら構造物が見えるので近寄ってみると、やはり旧信越本線跡のレンガ造り。
 
 写真:下左は第四橋梁跡、写真:下右は第五橋梁跡です。遊歩道に続く階段が見えますが、周囲も含めてよく整備されています。
 下の写真は、第六橋梁と前後のトンネル。信越本線の最後に完成した横川・軽井沢間には、18の橋梁と26のトンネルがあったそうです。66.7‰という急勾配。道路なら7%弱というところですから、自転車乗りの感覚ではそこそこの登り坂ですが、鉄道では大変な急勾配です。そのため、線路の間に歯車をかますアプト式というシステムがあるそうですが、この跡は見逃してしまいました。
 左  第六橋梁 全容
 上  第六橋梁の説明標示
 右  ぞの前後にあるトンネル
 そんな橋梁跡やトンネル跡に寄り道しながら、ゆっくりと登っていきます。旧信越本線跡を訪れるだけでも楽しいのですが、予想外というか、国道18号線旧道自体がとても魅力のある道でした。旧道ならではの、緩やかな勾配と連続するカーブの道は、走りやすいし飽きることがありません。おまけに、4月半ばのため落葉して裸木の状態でしたが、道周囲はもちろん、山肌全体が大きな落葉樹で覆われています(下の写真)。
 写真:下の2枚は、旧熊ノ平駅跡です。左が軽井沢方面、右が横川方面。遊歩道は、ここが終着駅のようです。軽井沢側のトンネルの入り口は封鎖されていますが、横川川側からは、今にでも列車が走ってくるように思えるくらいでした。
 上述のように、気持ちのいい道が続きます。写真には、クルマがほとんど写っていませんが、それくらい交通量は少な目。時折やってきても、どれほども待つことなしに、クルマのいない光景を撮ることができます。
 こんな光景は全く予想していなかっただけに、随分と得をした気持ちになりました。四国には、こんな大きな落葉樹がずっと続く道は思い出す限りありません。新緑の頃、おそらく今頃は、さぞかし美しいだろうなあと思われます。下るのではなく、ゆっくりと登るのが最高でしょう。
 どんな小さなカーブにもNoがつけられていたので、適時写真を撮りながら登っていったのですが、なぜか最終の184番付近は見落としてしまいました。道と周囲の広葉樹林、旧信越本線跡に満足しきっていたためかと思います。
 左  旧道沿いの落葉樹
 上  山肌全体が落葉樹
 右  碓氷峠 群馬・長野県境
 あまりに有名どころなので俗っぽいのでは思っていたのですが、そんな先入観は吹っ飛んでしまいました。ちょっと遠いところだが、いつの日か再訪したところのひとつです。次回は、新緑か紅葉の頃に。

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