吉野川を遡る  −河口から源流の碑まで−

コース   吉野川河口北岸−阿波麻植大橋で南岸−国道192号線−東三好橋で北岸−池田−大豊−早明浦ダム−大橋ダム−よさこい峠−源流の碑
走行距離   220キロ+α
最高地点   瓶ヶ森登山口 標高1700m  積算標高差 約2400m
走行日・天候   2017年  6月 3日   天候:晴れ   ロード
 吉野川と初めて出会ったのは、もう半世紀以上も前のことです。その川沿いを自転車で初めて走ったのは、西讃の自宅から祖谷往復ツーリングした44年前。当時はもちろん、徳島にやってきた41年前にも、まさかその後(1〜2年他の地に転居していたことはありますが)吉野川のほとりに住み続けることになるとは思ってもみませんでした。何処かにも記したと思いますが、当初なかなか徳島に愛着が持てなかったのですが、吉野川河口付近(1976年当時、吉野川大橋もまだ片方だけで北岸の先には繋がる道もなく、河川敷は一面の湿地帯でした)だけは、なぜか心落ち着く自分の居場所だったのです。
 いつの間にか長い付き合いになった吉野川、このHPやブログを始める以前から、一度は河口から源流まで自転車で遡ってみたいと思っていました。しかし、河口からできるだけ川沿いの道を走って、最後は県道40号線からよさこい峠経由で瓶ヶ森山頂直下の「源流の碑」まで約220q。ゴール手前20km弱は、ツール・ド・フランス風に言えば、超級山岳が最後の壁とばかりに立ち塞がります。積算標高差も結構あり、単純に平均速度20q/hrで走っても11時間。後半は10q/hr以下になることが必至です。というわけで、決行するなら昼間が長く、あまり暑くならない5月後半から6月前半に限ると考えていました。実は2013年6月15日にも試みたのですが、本山町手前から小雨。国道194号線に入ったところから見た瓶ヶ森林道付近は雲の中だったので、断念した前例があります。その頃でも走力が最盛期より2割くらい落ちていたのですが、その後4年間・特にこの2年間の落ち具合は半端じゃありません。今年ダメだったら、もうその先は無理だろうとの決意で、今回の走行に臨みました。
                                                                  (2017年06月08日 記)
走ったコース
           
                                    源流の碑から、源流の谷方面(吉野川は左手上方へ流れていく))

 午前3時45分起床。まずは腹ごしらえ(ちょっと早過ぎますが)をして、4時30分に自宅を出発。コースとは少し逆走ですが、吉野川大橋を渡って北岸(左岸)の河口へと向かいました。予想通り(冬場はもちろん、夏場でも早朝はいつも)緩い西風。追い風に乗って、軽く30km/hr。ということは、当然スタート地点からは向い風です。ライトがなくても十分視界がとれる明るさの中、河口で最初の写真を1枚。日の出前の北東方面には、淡路島と沼島の間に、これまであまり気づいたことのなかった山のシルエットが大阪湾の向こうに見えていました。ちなみに川の中、丸く見えるのは高速道路の橋桁になる部分のようです。
 4時45分、いよいよ源流の碑に向かってスタート。ですが、上述のように緩い(おそらく2〜3m/s)向い風が、いきなり行く手を阻みます。前回・DNF時は、まだ体力に多少なりとも自信があったので、できるだけ吉野川に架かる橋の写真を撮りながら、というおまけ付きを考え実行していたのですが、今回はそんな余裕が全くありません。徳島市内の橋も、徳島本線の鉄橋だけ撮って、先へ進みました。


スタート地点 吉野川河口 北岸 (4:45)


西条大橋から高越山 (5:40)

 河口からは北岸土手沿いの道を走って、次の写真撮影は西条大橋。背景は高越山。前回はこの付近から向い風が治まってきたのですが、今回は全く弱まりません。前回、立ち止まって何枚か写真を撮った柿原堰、阿波中央橋も、足早に通り過ぎました。
 できるだけ川沿いの道を走るために、阿波麻植大橋で南岸(右岸)に渡り、また土手沿いの道を西進。相変わらず向い風。もう戦意喪失。このペースではとても源流の碑までたどり着けないだろうから出直そうかと思ったくらい。全く前に進みません。岩津橋手前からは、土手の道がなくなるので、仕方なく国道192号線で西進。穴吹手前で、ちょっと風が弱まったかと思ったら、また向い風。結局、貞光までに2時間半かかりました。平均時速24km/hr未満。コンビニで補給食を調達します。


阿波麻植大橋で南岸へ (6:10)


東三好橋で再び北岸へ  (7:30)

 しかし、貞光を越えた辺りから、やっと風が弱くなってきたようでした。それでも平地で28km/hrくらいが精一杯。ちょっとした登り坂では、がくんとスピードが落ちます。東三好橋で、再び北岸(左岸)へ渡りました。川島辺りから池田手前までの中下流の風景は、以前から吉野川の中でも最も好きな流域です。しかし、今回は、そんな風景を楽しむ余裕もほとんどありませんでした。国道32号線に合流するまで、前回は橋を見る(撮影する)ために、いろいろと迂回していたのですが、今回は県道12号線で一直線。国道32号線合流が、確か8時ちょうどくらいだった記憶です。国道32号線を少しを走って、すぐに県道267号線に右折です。ツール・ド・西阿波、SSコース最後の西山への登り分岐を横目に、池田ダム。何回も走っている道ですが、今回初めて池田ダム堰堤上が走行可能なことを知りました。


池田ダム 堰堤も走行可 (8:10)


池田へそっ湖大橋 手前に香川用水取水口 (8:15)

 池田へそっ湖大橋(徳島自動車道)をくぐって、再び国道32号線へ。土曜日だったので交通量は少な目でしたが、大型トラックもそこそこ通ります。が、大型トラックと同等以上に気に障ったのが、オートバイ・ツーリングの集団(暴走族ではありません)。乗ってる本人達は快適なのでしょうが、騒音をまき散らしながら、すぐ横を結構なスピードで追い抜いていきます。小歩危・大歩危の景勝で気を紛らわせますが、このところ降雨量が少ないので、上流にダムがあることもあり、川水はお世辞にもきれいとは言えません。早朝だったためか、季節的にもまだ早いのか、ラフティングの姿もなし。


小歩危峡 (9:00)


高知道をくぐる (10:20)

 10時15分、一見本流に見える穴内川に沿う国道32号線から県道262号線へ右折。分岐部で、こんなに貧相な道だったっけと、ちょっと迷ってスマホで確認(今回紙地図持たず)。貞光から向い風が弱まったおかげで、平均時速24.7km/hrくらいまで回復しました。上述のように、事前にルートラボで概要を把握して、国道194号線までは休憩を含めて平均時速20km/hrで計算していたのですが、1時間弱ほど予定より早くなっていて、ちょっとだけ一安心(しかし、その後気づいたことですが、ゴール予想18時の計算でした)。それでも、前回は交通量が減ったのを幸いと写真を撮りながらだったこの県道262号線も、ほとんど停車なしで走りました。
 おまけに、前回は早明浦ダム手前までずっと県道262号線で北岸を進んだのですが、今回は少しでも時間稼ぎをと、高知自動車道をくぐったところから県道5号線をちょっとだけ走って、再び南岸(右岸)国道439号線で本山の町へ向かいました。スタート時にはウィンドブレーカーを着ていても肌寒いくらいでしたが、さすがに11時にもなってくると気温が上がってきたようです。この後のコース上では最後と思われる早明浦ダム手前のコンビニで、2度目の補給調達。コンビニは、もっと頻繁に立ち寄るかと思っていたのですが、結局貞光と2ヶ所で済みました。


早明浦ダム (11:15)


県道17号線 大川村付近の吉野川 (12:30)

 早明浦ダム下で一枚写真を撮って、ダム湖までの坂道を登ります。ここからは県道17号線。入り組んだダム湖畔に沿う道は、直線でみるとすぐのところへも結構距離があります。ここでも写真撮影はほとんどなし。もう少し手前だったと思っていた太田尾越への分岐(県道6号線)は、大川村に入ってからでした。湖畔沿いのアップダウンは軽度ですが、ダム湖の水が途切れて流れが見えるようになると、緩やかな登りになりました。もう少し勾配があったような記憶でしたが、ゆっくり走る分には問題なし。途中、右手に登っていく道には、平家平・三ツ森山方面の表示がありました。その道がどこまで続いているのか、興味津々。横を流れる川底の石は大きく、中下流の青石ではなく、白っぽいものに変わっていました。

  
大橋ダム 昭和15年竣工 (13:00)


国道194号線と県道40号線の分岐 (13:20)

 大きな岩壁が川の両岸を狭めるようになってくると、もうすぐ国道194号に合流です。大橋ダム手前からは旧道を通って、国道194号線に進みました。ちょっと立ち寄ってみた大橋ダム。竣工は昭和15年と記載されていました。照明の燭台も古めかしい。大橋ダムからすぐのところには、本川大橋。この橋をスタートして、リョウさんけんさんすーさん稲叢山から長沢ダム奥の林道を走ったのも、もう遠い昔の話になってしまいました。国道194号線に入ると、県道40号線の分岐までは大橋ダム湖に沿って道幅も広い2車線道。交通量も少なく、ほぼ平坦な道が続きました。風もなく、スタート直後よりずっと楽に走れた感覚でした。


吉野川源流からの沢を跨ぐと本格的な登り坂

県道40号線、登りに入ると切り立った崖

 長沢の集落で、最後の自販機。ボトルに水分補給して、いよいよ超級への登りです。と、分岐すぐのところに「この先工事中・時間制限あり」の表示がありました。確認してみると、表示地点から3qから11qの地点にかけて3か所の通行規制。通行可能時間は変則的で、あと15分後から35分間とのこと。最初の地点は、ちょうどいいと思われましたが、最終区間まで通り抜けるのは厳しいと思われました。規制で1時間近く待つことになると、その後がちょっと問題ありになりそうです。
 とにかく進んでみました。最初のところは、警備の人が工事の人に声をかけてくれ、自転車ならOK。次のところも警備の人が声をかけてくれたのですが、通行時間まであと数分、加えて上から木材を満載したトラックが下ってくるので待ってとのこと。約10分の足止めでしたが、これがこの後のためには、いい休息になりました。待っている間に、その親切な警備の人に訊ねたところ、最後の通行規制のところまで行けるよとのこと。私が、10q近くを30分、平地ならともかく坂道だから無理だろうというと、いやその先までまだ道は登りにならないとのこと。事実、一緒に時間待ちしていた2台の軽自動車とスタートしたのですが、曲がりくねった部分が多いのでクルマもスピードが出せず、ほとんど同じペース。というか、カーブが多い区間では自転車のほうが速く、とうとう後方の一台は先に行けとのこと。警備の人の話通り意外に道が平坦だったことに加えて、一番気温の上がるこの時間帯に、ほとんど木陰だったことも幸運でした。
 最後の小さな集落のところで、直線が続いたので、後ろから追いついてきた先程のクルマに挨拶して抜いてもらいました。さすがに、ダムがもうないので、川の水も澄んできましたが、やはりこのところ少雨のためか、驚くほどの透明度はありませんでした。

  
県道40号線 1ヶ所だけ自念子ノ頭と瓶ヶ森林道が見えた


緑のトンネル

 源流の谷を跨ぐと県道40号線は川から離れて、いよいよ本格的な登り坂になってきました。季節によっては、アブ(ブヨ)が多いとも聞いていましたが、今回は全く問題なしでした。ただ、2ヶ所ほど立ち止まった時に、スズメバチのような大きなハチが近づいてきたことがありましたが。
 さあ、もうゴールまで20q弱です。予定よりは早い時間に到着できそう。ただ、GPSの速度はずっと一桁を示していました。道は切り立った断崖の下を通っていくところもありましたが、下方は木々が繁っているので見えず、高所感はあまり感じずにすみました。木々の葉も、もうすっかり濃くなっていました。1ヶ所だけ、木々の間から自念子ノ頭と瓶ヶ森林道を望むことができましたが、その後よさこい峠までは瓶ヶ森林道方面が見えるところはありませんでした。よさこい峠まで後少しになってくると、南西方向の展望が広がってきました。重なる山々の向こうに、梶ヶ森かなと思う三角山が見えました。


よさこい峠 (15:30)


よさこい峠〜シラサ山荘

 よさこい峠には15時30分に到着。もうゴールまで10q足らずですが、ここからも少し登って閉鎖中の山荘シラサまで一度下って、さらに最後の登り。1週間前に瓶ヶ森登山口で引き返したのですが、やはりこちらの道沿いのほうが、大きな落葉樹が多く見応えがあります。森林・樹木に関しては、よさこい峠から土小屋までが、もっといいのですが。
 脚はもうほとんど売り切れ。山荘シラサへの下り手前で、ちょうど積算標高が2000mとなりました。前方には、瓶ヶ森。この角度から見える姿が好みです。さらに西黒森山から自念子ノ頭山頂直下を走る瓶ヶ森林道も見えてきました。


瓶ヶ森 遠望


シラサ山荘手前から瓶ヶ森林道方面

 小さなピークから少し下って、山荘シラサからは、ほとんど力が残っていない脚で、ゆるゆると最後の坂と登りました。標高差200mくらい。途中、定番の子持権現山、すっかり逆光になってしまった石鎚山の撮影ポイントで記念撮影。というか、撮影とは名ばかりの休憩です。


子持権現山


石鎚山 遠望

 河口からほぼ12時間、瓶ヶ森登山口を過ぎて、少し下ってゴール・源流の碑に到着。まだ陽が当たっていて気温は15℃くらいありましたが、じっとしていると肌寒いくらいでした。なんとか目的達成の余韻に浸ることもなく、持ってきた服を全部着込んで足早に下山となりました。


吉野川・源流の碑にて (16:20)
 
 ただ単に川沿いの道を遡ったに過ぎない内容になってしまいましたが、思い入れのあるイベントだったし、衰えに多少なりとも逆らえたことは、私的には納得・満足。同じことは、もう二度とないと思います。しかし、吉野川にはまだまだ魅力的なところが多いので、今後、テーマを絞って、またゆっくりと走ってみることは続けていくつもりです。

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