信州 桜を巡るツーリング 2016


 2014年、ツール・ド・八ヶ岳参加前後に立ち寄った伊那路周辺の桜。どれも素晴らしい桜ばかりで、すっかり信州の桜に魅せられてしまいました。これはもう毎年訪れるしかないと思った次第です。が、翌2015年は3月に骨折のため諦めざるを得ませんでした。ということで、2年分の思いを込めて、2016年、再びツール・ド・八ヶ岳参加前後に信州の桜を訪ねてみる計画を立てました。この年は桜の開花が少し早かったのでしょうか。伊那路の桜は既に散り始めのようで、北信州がちょうど満開のようでした。そこで、比較的近いところに高山五大桜と呼ばれる5本の1本桜があるという、高山村を訪れることにしました。       (2018.05.13 記)

水中の枝垂れ桜 (長野県上高井郡高山村高井水中  2016.04.16)

 デポ地は、こちらも桜まつり真っ最中の臥竜公園。広い駐車場(有料:500円だった記憶)には、次から次へと花見客を乗せたクルマがやってきます。手早く準備をして、自転車で高山村方面へ向かいます。まずは水中の枝垂れ桜へ。推定樹齢250年と言われる枝垂れ桜は、水中地区の畑道を150mほど登った奥まったところにありました。
 横の広がり以上に、圧倒的な樹高が印象的です。花数も多く、ちょうど見頃でした。樹そのものももちろんですが、遠くに雪を抱いた飯綱山や黒姫山を背景が見られるのは信濃路ならではです(写真:右上)。花見客もそこそこの人数。少なくはないものの、辟易するほとの多さでもありません。そんな中を、あっちへ行ったり、こっちへ来たり、樹の周りをぐるっと一周。下から仰ぎみたり、少し離れてみたり、なんとかこの桜をうまく捉えられないものかと工夫してみますが、相変わらずおざなりな写真しか撮れません。
 この後、以下の桜を回ってみました。いずれも半径2qくらいの範囲に位置するのですが、直結する道はなく、一度主要道まで下って再び登り返す必要があります。5つの桜を巡るだけで、積算標高差は800mに達しました。

赤和観音の枝垂れ桜 (長野県上高井郡高山村高井  2016.04.16)

 続いて向かったのは、赤和観音の枝垂れ桜です。ここへ向かう道は、5つの桜の中で一番勾配がきつかったです。集落の一番奥、山の斜面・林と畑地との境に桜はありました。
 樹齢は推定200年余とのことです。水中の枝垂れ桜を見た後では、樹自体の大きさや周囲の情景などが少し見劣りするように思いますが、ここも満開。斜め方向に傾いた主幹が女性的。花見客は水中よりずっと少なく、10人程度。やはり、人が少ないのがいいですね。
 樹周辺にも特に制限はなかったので、近寄ってみることもできます。また写真:上右の山側に登ると、桜の下方に民家や軒先の庭が入る光景を見ることができます。

黒部のエドヒガン桜 (長野県上高井郡高山村高井黒部  2016.04.16)

 3番目に向かったのは、黒部のエドヒガン桜。推定樹齢は400年とのことです。エドヒガン桜と言えば、徳島では吉良や桜堂が真っ先に浮かびます。いずれも樹高があるのですが、黒部のエドヒガン桜は、こんもりと小山状にまとまっています。周囲に余分なものがない緩やかな田畑斜面に立つ姿は、伸びやかで優雅に見えます。
 満開のように見えましたが近寄ってみると、7分咲きくらいでした。ここも水中の枝垂れ桜同様、飯綱山方面の残雪の山を背景に見ることができるのですが、遠景はやはり少し霞んでいて残念でした(写真:下右)。足元の一角には、菜の花が植えられていて、これも満開でした。
 近くには田畑を利用した広い臨時駐車場(無料)が設けられていたのですが、ここも花見客は入れ替わり立ち代わりで、私がいる30分ほどの間に訪れたのは20人程度。水中の枝垂れ桜こそ花見客は少し多かったですが、五大桜と呼ばれるくらいだから何処も人でいっぱいだろうとの予想は、うれしいほうに外れました。おかげで、何処もゆっくりと鑑賞することができました。 

中塩の枝垂れ桜 (長野県上高井郡高山村中山  2014.04.19)

 黒部の桜からは、谷筋を流れる松川を渡って対岸の中塩の枝垂れ桜へと向かいました。ここも、ばっちり満開です。黒部と異なり、生活道沿いで民家も並ぶ一画にあるため広い駐車場などはないのですが、そのためかどうかはわからないものの、花見と思われる人は数名でした。
 10台ばかりで満車になりそうな駐車場に停まっているのは、よく見ると先程までの駐車場で見かけて同じクルマ。みなさん、行程は同じようです。樹高は水中に敵いませんが、花数の多さ、枝振りのボリュームは、今回訪れた五大桜の中でも一番でした。
 少し離れて、上方から見えるところへ行ってみると、樹の下にある平屋の上に覆いかぶさるような枝振りです。袂まで行って見上げると、花数の多さがよくわかります。 

坪井の枝垂れ桜  (長野県上高井郡高山村中山  2016.04.16)

 最後は、坪井の枝垂れ桜。ここは推定樹齢600年ということもあり、少し期待していたのですが、得ていた情報(写真)より花数も少なく、少し樹勢が落ちてきているように思えました。そういう年回りだったのかもしれません。
 推定樹齢600年とのことはあり、幹回りは五大桜のなかで一番太く立派でした。しかし、さすがに年齢を重ねているだけに、多くの枝が写真のように鉄柱などで支えられていました。根本には、古いお墓。手前には菜の花畑があり、満開でした。
 実は、坪井の枝垂れ桜の裏手に横道の枝垂れ桜という1本桜があり、高山六大桜と呼ばれているそうです。なぜか五大桜との先入観が強く、この1本を見落としてしまいました。もう一度、訪れてみる機会があるでしょうか。

素桜神社の神代桜 (長野市泉平素桜  2016.04.16)

 高山の五大桜を堪能した後、時間摘余裕が微妙でしたが、次はない可能性大と思い、見頃らしい素桜神社・神代桜へ向かってみることにしました。移動途中の千曲川河川敷では、モモが満開でした。
 長野市を横切って山の中腹とは確認しており、加えて道々案内板があったのですが、本当にこれであっているのかと不安になりそうな道(しかも激坂)が続きました。なんとか辿り着いた素桜神社の神代桜。樹齢1200年、エドヒガンでは唯一の天然記念物指定は伊達じゃなかったです。
 実は、事前情報の写真だけでは、それほど期待はしていなかったのです。ところが辿り着いてみると、高山の五大桜も素晴らしかったけれど、それを上回るくらいの見映えです。ほぼ満開。いや、思い切ってやってきて本当に良かったです。躊躇ってやって来ていなかったら、絶対後悔したこと間違いなし。
 神社は集落の斜面に位置していて、道路からは数mほど登ります。登ってみると、神社は申し訳程度の建物でしたが、桜は道路から見ていたのとは比較にならないくらい圧倒的な量感を持って迫ってきました。同じエドヒガン桜の黒部の桜も素晴らしかったですが、幹の太さ、枝振り、花のつき具合など、さすが樹齢1200年の風格なのか、豪奢という感じさえしました。訪れた時間が遅かったためか、花見客は入れ替わりで2、3名ずつと少なかったのが、なお良かったです。ほとんど独占。樹の周りをぐるっと、2周3周。何処か少し離れたポイントから見られるところがあるかもしれませんが、ここまでの激坂でもう完全に脚売り切れ。そばで見るだけでも大満足でした。

雪窓公園の桜 と 千曲川沿いの桜並木  (北佐久郡御代田町  2016.04.17)

 当初から晴れたらスポルティフでレースではなくサイクリングと考えていたツール・ド・八ヶ岳は、前日の段階で悪天候が予想され、早々にDNS決定。当日てっきり雨風になると思っていましたが、朝起きると曇天、雨は降っていません。しかし、今にも降り始めそうな雲行きです。まさかフルコースで開催されたとは考えもせず、朝からゆっくりして時間もできたので、何処へ回って帰ろうかと佐久周辺の桜を調べたところ、比較的近い場所に雪窓公園というところを見つけました。
 天候が悪いこともあり、この日は最初から帰路に向かってクルマで移動しました。到着した雪窓公園、野球場やグランドも併殺された公園でした。桜のある公園自体は、それほど広いというほどではないのですが、枝垂れ桜やソメイヨシノが満開でした。四国では、この二つの桜の開花時期は1週間以上くらい異なるように思うのですが。


 曇天でしたが、芝生の緑が鮮やかさを少しばかり強調していました。小雨もパラついてきたので、退散。
 写真:上右は、雪窓公園から下の布引観音堂へ向かう途中、千曲川を渡る県道153号線の橋の上から見つけた、土手沿いの桜並木。ちょっと大きさがわかりにくいですが、かなりの樹高がありました。ソメイヨシノでしょうか。

釈尊寺・布引観音堂の桜 (東御市本海  2016.04.17)

 千曲川沿いの県道40号線は、40年ほど前に走ったことがあるはずです。細かな記憶には残ってないのですが、今回走った道よりは遥かに狭く曲がりくねっていたような気がします。当時も釈尊寺・布引観音という存在は地図で確認していました。今回、ここにも大きな桜があるというので、ちょうど帰り道にあたることもあり、立ち寄ってみることにしました。

 駐車場に到着すると再び小雨が降ってきたので、どうしようかなと迷っていたら、ちょうど登り口でハイカーの一団と一緒になり、後をついていくことにしました。千曲川沿いからゆっくり歩いて登って15分ほど。途中で先発したハイカー集団に道を譲られ、到着した釈尊寺。ここも事前情報から素桜神社同様、さほど期待はしていなかったのですが、運よく満開。樹自体も結構大きく、本堂の広い屋根瓦や懸崖造りの観音堂との調和が相乗効果でお互いの良さを引き立てていました。小雨で、しっとりした雰囲気になっていたのが、また良かったのかもしれません。


 観音堂まで歩いて行って、反対側からの眺めも秀逸でした(写真:上左)。ちょうど遅れて登ってきたハイカーの人達も、桜に見入っていました。時折風に舞う花びらをカメラにと構えてみたのですが、弱めの風に散る花びらも少なく、狙ったような花吹雪の一枚は撮れず。

笠取峠西側の桜など (立科町  2016.04.17)

 予想外の桜に心を満たされ帰路についたのですが、その途中にもそこここに当たり前のように大きな桜が咲き誇っていました。自転車なら簡単に途中下車できるのですが、クルマだとそうはいきません。
 下の写真は、二度ほど自転車でも走っている笠取峠を少し北側に下ったところで。特に名のある桜ではなく、山村の少し耕作放棄地も増えているような斜面に何本かの大きな桜があり、小雨に煙る中、満開の花を咲かせていました。こんな感じのところが、道筋に何ヶ所も見ることができました。

 長和町和田付近では、久保の大枝垂れ桜というの樹があるようです。写真:下左は、和田宿・信定寺の桜。この辺りで地元に方にも訊ねてみたのですが、もうひとつはっきりしません。手持ちの情報地図でも、すぐ近くのように思われるのですが、それらしき姿も確認できず。仕方なく諦めました。ひょっとすると、下の横河川沿いの桜並木と同じように、手持ちの地図表示が間違っていたのかもしれません。


 信濃路を離れる最後に、岡谷郊外の横河川沿いの桜並木を訪ねることにしました。手持ちの地図では帰路からすぐのようです。ところが、その付近に向かいましたが、歩いて探して全く桜並木はありません。横河川に間違いない様なのですが。もう少し上流かと、さらに歩を進めてみましたが、はやり桜の1本もありません。意気消沈でいたが、その代わりといっては何ですが、出早神社というところでカタクリの群落を見ることができました。写真ではよくいろいろなところのカタクリの群落を見ることがありましたが、実際に群落を見たのは初めてだったと思います。桜以外の花まで楽しめて、2016年の信濃路の花旅は無事終了しました。
 横河川沿いの桜並木、今回のアップに際して再度確認してみると、場所は諏訪湖近く・横河川の下流で、手持ちの地図の場所表示が間違っていました。

ご意見・ご感想・新しい情報はこちらへ

桜を巡るツーリング  TOPに戻る

inserted by FC2 system