信州 桜を巡るツーリング 2017


 2014年2016年とツール・ド・八ヶ岳参加前後(2016年はDNS)に立ち寄った信州の桜巡り。どの桜にもすっかり魅了されて、病みつきになってしまいました。ヒルクライム大会に参加する意欲も失ってしまった2017年は、最初から桜見物を主として、後は少しばかりのサイクリングという目的で信州を訪れました。広い信州では、地域によって開花時期が結構異なります。2017年は、2014年時とほぼ同じ、伊那路の桜がちょうど見頃のようだったので、前回見落としたところを中心に回ることにしました。今回は予報と異なり、天候もすっきりしなかったので、移動の大部分はクルマ利用となりました。          (2018.05.20 記)

落合の桜 (長野県中津川市落合  2017.04.15)

 まず最初に向かったのは、木曽路・中津川落合の桜。中央道を中津川ICで降りて、手持ちの地図を見ると、少し先へ進んだところから右折して中央道のすぐ脇にあるようです。国道19号線から右折すると、道は一気に細く勾配の強い、民家を結ぶ生活道となりました。曲がりくねった急勾配の道を慎重に登っていくと・・・。
 多分この辺りだよなあ、と進んだところに小さな集会所があり、そこそこ大きな枝垂れ桜が咲いていました(写真:下左)。しかし、黒部の桜は枝垂れ桜ではなかったし、周囲・背景の景観も異なります。集会所にクルマを置いて、自転車でウロウロしてみます。中央道に沿うところまで登って少し進んだところに、おそらくこれがそうだと思われる桜がありました。中央道脇であることや背景の山などから、これに間違いありません。満開です(写真:上)。
 落合の桜を見た後は、登ってきた道とは別の道で戻りました。下方を流れる木曽川からだと標高差で100m。周囲の山肌斜面には、開墾してよく整備された田畑が広がり、所々に、これもいいなあ、と思う桜があちこちに満開でした。写真:上右は、もう少しで国道19号線に出る手前で目に入ってきた1本です。落合の桜にも劣らない花勢でした。
 その後、恵那まで戻って、土々ヶ根の桜を訪れようとしたのですが、どうしても見つかりません。自転車で探してみたかったのですが、クルマを停めるポイントも見つからなかったので諦めました。ところで、信州の桜情報としては、10年近く前に購入した雑誌とさわやか信州旅.netを利用しています。ところが今回再確認しようとしたのですが、いずれにも、落合の桜、土々ヶ根の桜、そして次の新田の桜が見つかりません。位置を示す地図まで確認したのは、何処の情報だったのでしょうか。

新田の桜 (長野県恵那市上矢作町本郷  2017.04.15)

 恵那からは、これまで自転車でもクルマでも走ったことのなかった国道257号線を進んで、新田の桜へ向かいました。近くまで行ったら何処かにクルマを停めて付近を自転車で走ってみようと思っていたのですが、予報に反して雨が降ってきたので諦めます。ゆっくり走らないと場所がわからないかもと思っていたのですが、近くまで行くと結構有名のようで、案内表示もあって迷うことはありませんでした。
 標示に従って進んだところ、辿り着いた新田の桜は、民家の庭先のようにも見える斜面にありました(個人の所有だそうです)。樹齢500年というコヒガンザクラ。横にある民家の二階家と比較しても、その大きさがよくわかります。残念ながら、満開には少し早かったようです。写真の手前には、大きな駐車場も設けられており、満開の時には結構な人出があるのでしょう。この日は、まだ3分咲きくらい。しかも小雨、そんな中、数人の花見客が訪れていました。
 民家の裏手には、ヤマザクラでしょうか。こちらにも結構大きな桜の樹が何本かありました。ほぼ満開(写真:省略)。後で調べると、新田の桜の子孫だそうです。

杵原学校の枝垂れ桜 (長野県飯田市山本  2017.04.15・4.16)

 伊那路に移動する頃には、雨は本降りとなってきました。この時点でサイクリングは完全に諦めました。次に向かったのは、2014年に訪れるつもりだったのに、素通りしてしまった杵原学校の枝垂れ桜です。中央道・飯田山本ICのすぐ近く。旧道を探し当てて、今回は目当ての杵屋学校・旧山本中学校跡を見落とすことなく到着しました。
 ここも有名のようで、広い運動場の隣に、数十台くらいの余裕がありそうな駐車場が構えられていました。小雨で少しぬかるんだ駐車場には20数台のクルマ。歩いてすぐ隣の運動場へ進んでみると、50名ほどの方が傘を差しながら写真を撮っていました。みなさん暗黙のルールなのか条件が揃うためか、少し離れたところに並んでいます。肝心の枝垂れ桜は、満開。雨天のためか、花色もやや濃く見えます。背景となる木造校舎との調和が、またいい具合です。
 天候が回復した帰路の翌夕、通り道でもあるので再度立ち寄ってみました。目的は、ひょっとしたら、背景に雪を抱いた中央アルプスが見えるのではないかと思ったからです。写真:上の2枚は、その日のもの。枝垂れ桜と校舎の遠く背後には中央アルプスが見えたのですが、標高が低いためか残雪の姿は何処にも見ることができませんでした。

安富桜 (長野県飯田市美術博物館敷地内  2017.04.15)

 続いて、飯田市美術博物館敷地内にある安富桜へと向かいました。市内をクルマで走ることは回避したかったのですが、小雨のため仕方なく。坂と一方通行、信号の多い飯田市内。ここにあるとわかっていながら、周りを一度ぐるっと回って、やっと辿り着きました。幸い、横手にあった駐車場が少し空いていました。歩いて向かってみると、白壁塀と門の上から、大きな桜の枝が伸びていて満開です。これかと思っていたら、その背後にそれより数段大きい1本の樹が姿を現しました。
 実は、街中の桜だったので、さほど期待はしていなかったのです。しかし、うれしい誤算でした。圧倒的な樹高、根廻も太く、花数も多く、樹の下から最上部まで満遍なく見事に咲き誇っています。樹齢450年以上と言われるエドヒガン桜ですが、支柱も一切なく、まだまだ元気そのものといった感じです。2014年に訪れた黒船桜の大きさにも随分と驚いたものですが、この安富桜は、それをも上回るかと思われました。この大きさをなんとか旨く伝えられる一枚をと、周りを歩いたり、登れるようになっていた美術博物館の屋上にも登ってみましたが、建物が多く常に何かが邪魔をして、すっきりとした写真は撮れませんでした。

麻績の里 石塚桜・舞台桜  (長野県飯田市座光寺  2017.04.15)
 飯田からは、その少し北にある麻績の里(おみのさと)へ向かいました。クルマで向かったので、カーナビを利用します。指示に従って進むと、道はクルマ一台がやっとの狭い道となりましたが、辿り着いてみると立派な駐車場がありました。どうも裏道を誘導されたようでした。まずは、駐車場から見えた枝垂れ桜に向かってみました。石塚の桜と呼ばれる枝垂れ桜は樹齢250年だそうです(写真:下左)。古墳の上に、立っています。うまくいけば、南アルプスを背景に、その姿が見られるかもしれませんが、この日は小雨のため南アルプスは全く見えませんでした。
 舞台桜は、そこから50mも離れていません。向かってみると、閑散としていた石塚桜に比較して花見客多数。樹は、石塚桜に比較して、横に伸びる枝からの花も多く、ずっと華やかな感じです。全体像を撮りたかったのですが、周囲にはあまりに人が多く、すっきりした写真が撮れませんでした。これまた後で知ったことですが、この桜はエドヒガンの突然変異種・半八重紅枝垂れ桜だそうで、一本の樹なのに花弁が5〜10枚と花によって花びらの枚数が異なるそうです。全国ではこれだけとのこと。おまけに、背後には何やら由緒あるらしい建物があるなあと思いながら、こちらも人の多さに辟易して近寄らなかったのですが、長野県最大の歌舞伎舞台だそうです。いつも思うことですが、もう少し詳しい事前情報収集が必要ですね。

松源寺のエドヒガン桜 と 松田城跡の桜   (長野県下伊那郡高森町  2017.04.15)

 さらに、麻績の里から2qも離れていない、松源寺へ向かいます。このお寺も結構由緒あるところのようですが、歴史に疎い私にはあまり興味なし。駐車場から少し歩いて到着したエドヒガン桜は満開でした。が、安富桜を見た後では、ちょっと見劣りがするように思えました。
 松源寺からさらに少し歩いたところに、松岡城跡というところがあるというので向かってみました。ここは何の事前情報も持っていなかったのですが、訪れて大正解。松源寺から東南方向に延びる河岸段丘の上に位置すると思われますが、城跡の整備された公園風のところまでの道筋にも、あちらこちらに大きな桜が満開。ソメイヨシノでもヤマザクラでもないように見えます。
 さらに先へ進むと、河岸段丘の先端にも1本の桜。天竜川を見下ろし、伊那路を一望できます。広々とした城跡公園と伸びやかに枝を伸ばす桜の樹が、解放感をもたらしていました。有名な1本桜もいいですが、こうした背景に咲く桜もまたいいものです。信州ならではか、いずれの樹も大きく、見晴らしも良く、思わぬ得をしました。
 小雨が続いた天気も、ここにきて青空が見えてきたのですが、対岸奥に位置する南アルプスの稜線までは見ることができませんでした。ここでも、天気が良ければ、南アルプスの冠雪を背景にした写真が撮れそうです。

吉瀬の桜  (長野県駒ケ根市  2017.04.15)

 さらに北へ進み、天竜川を渡って左岸へと移り、これまた2014年に確か時間切れで未訪となった吉瀬の桜へ向かいました。ここも漠然とした場所を確認していただけでした。地図で見ると天竜川沿いの県道18号線のすぐ脇ですが、実際に訪れてみると、あれかなあと思う桜は斜面の随分上方に見えました。狭い農道のような急坂を登っていくと、三脚を構えた数名。
 ここの一番の売りは、対岸に鎮座する中央アルプスの冠雪の峰々を背景にした写真が撮れることです。が、松岡城跡で顔を見せ始めていた青空は、また隠れてしまい、再び小雨がぱらつくようになってきました。当然、中央アルプスの稜線はもちろん、山の中腹さえ見えない状況でした。と言うことで、仕方なく河岸の田畑を背景に。奥の方に見える高架は中央道のようです。雲の間から、一瞬ですが、陽が差してきました。三脚を構えた人達は、どんな構図で撮られたのでしょうか。
 いろいろ調べていると、伊那路だけでも、まだまだ訪れていない有名な桜がいくつもあります。2018年は病いのため、信州はおろか近場の桜さえ楽しむことができませんでした。近場はもちろん、信州もまだまだ何回もいってみたいし、全国には沢山の桜の名所があります。あと何回桜を愛でるツーリングができるかなあ。

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