川への想い   

    2012 a la carte  Annecyの休日  (2012.07.10)



Annecy湖 (Annecyの街から南南東方向)
 Etape du Tour 参加も3回目となり、漸く少し余裕を持って楽しめるようになってきた2012年。毎日、早朝から深夜まで移動などを含めて強行軍が続くツアーの中で、初めて日程の途中で一日自由行動可能になった日がありました。その前後に連泊したのは、Annecy(アヌシー)という街です。

Annecy近辺の地図

 Annecy(アヌシー)は、Geneve(ジュネーブ)から南へ20kmばかり、スイスとの国境近くに位置する街です。南北に細長い一周40qほどの Annecy湖の北端にあり、フランスのヴェニスとも呼ばれる街です。
 街も湖も、かなり有名なところだそうですが、そんなことを知ったのも現地に行ってから、もしくは帰国後の話。何も知らずに訪れた街と湖には、改めてフランスの街には、まだまだ知らない美しい街や自然がたくさんあるのだなあと認識させてくれた次第です。

 そんなAnnecy湖には Tour de Franceの個人タイムトライアルでも使用されたという湖沿いのサイクリングロードがあるとのことでした。折角なので、同行のY氏とその道も含めて、湖一周をサイクリングしてみることにしました。

 まずはLe Thieu(ティウー運河)近くに位置する旧市街方面へ向かってみます。当時はスマホも持っておらず、市内の地図も持たず、ただ行き当たりばったり。狭い入り組んだ迷路のような道を、あちこちと巡ってみます。まだ朝も早い時間帯のため、人影もまばら。街角のカフェも、漸くテラス席の準備を始めたところでした。

 しかし、観光客と思われる人は、既に街をウロウロ散策しています。道路に面した建物の1階部分がアーケード状になった通りでは、八百屋や肉屋が並んでおり、お客さんが品物を物色中でした。主な通りを建物の中で結ぶような狭い横道は、この街の歴史を感じさせてくれます。

店先の1階部分はアーケードの歩道になっている

 建物だけでなく、フランスのヴェニスと呼ばれるだけあって、街中に水路が巡っています。さすがにゴンドラの姿はありませんが、川沿いに面した通りにはレストランやカフェが並び、また川沿いや橋の手摺や民家の窓にも鮮やかに咲き誇った花々が飾られています。

Palais de L'isle 横を流れる Le Thieu

 街の景観以上に驚いたのは、その水の透明度です(写真では濁っているように見えますが)。Annecy湖の透明度はヨーロッパでも一番とか。それまでヨーロッパの川の水は、そんなに澄んでいないものと思っていた先入観を一掃です。確かに、そのすぐ後に訪れたAnnecy湖の湖水は、日本でみる湖水よりも、ずっと透明度が高かったです。

 Le Thieu(ティウー運河)がAnnecy湖から流れ始める近くにあるPalais de L'isle (牢獄だったこともあるらしい)付近は一番の観光ポイントのようで、周辺はもう観光客で賑わっていました。川沿いの鉄柵には、自転車でやってきたらしい人の自転車が数珠つなぎ。もちろん、頑丈なロックがかけられています。

観光客で賑わう Palais de L'isle 付近

 湖まで出てみると、東側の山が圧倒的な存在感を持って立ちはだかっていました(トップの写真)。そこからAnnecy湖を時計回りに一周します。まずはD909で東湖岸を南下。写真:下のような自転車道があった街外れを過ぎると、自転車道が不明となり交通量がそこそこ多かったので、山側の脇道に入ってみました。湖岸からの平地部分がほとんどなく一気に山肌となる道は、民家の間を縫う生活道のようですが、結構勾配がありました。

プラタナスの並木・D909沿いの自転車道

 少し高台に登ると、湖一帯の光景が良く見えます。道沿いのカフェも満開の花が彩を添えています。そんな山沿いの道をしばらく走って、またD909 号線に復帰します。
 途中、対抗するロードレーサーの隊列と何度か擦れ違いました。weekdayでしたが、夏休みなのでしょうか。それとも、普段からこんな感じなのでしょうか。

Annecy湖東岸・高台から、西を望む

 湖の南端を回りこむと、西湖岸をD1508で北へ向かいます。走りながら左手(湖と反対)の少し離れた周囲よりやや高くなったところを、自転車で走っている人々に気が付きました。どうも話に聞いていた廃線跡を利用した自転車道のようです。D1508と平行して走っているようですが、入口らしいところがなかなか見つかりません。

サドルの斜め左上付近が、D909から高台を走った辺り

 入口を探しながら走っている途中で、湖岸に見つけた小さな公園で小休憩。軽食を摂りながら、走ってきたばかりの東岸を眺めます。
 平地はほとんどなく、山が迫っています。山頂付近は、この辺りでよく見かける急峻な岩肌が突き出るように聳えています。ちょっと香川の五剣山にも似た感じですが、山頂付近は標高2000mを越えます。スケールが10倍くらい大きいです。

 下の写真2枚も、同じ湖岸西側から見た東側です。氷河に削られた地形なのでしょうか。山腹半ばから急に斜度を増し、森林の姿がなくなって壁のような岩山が聳える、日本では見られない山容です。ズームアップしてみると、中腹にも民家が見られます。この稜線の上から見た景色は、また格別でしょうね。この日は雲も多くどんよりとしていて、天候がもうひとつだったのが残念。

 しばらく走って漸く入口をみつけ、自転車道に入ることができました。道は幅も広く、ちゃんと上下2車線があります。当然のことですが、クルマが全く通らないので安全。 数多くのサイクリングを楽しむ人の姿を見かけましたが、ロードレーサーでガッツリ走っているような人は、ほとんどみかけません。

 老若男女、みなさん、のんびりと走っています。親子連れも多く、自転車も日常使用しているような実用車に近いものも多かったです。上述のように、weekdayだったのですが、ここではこれが日常なのでしょう。途中にあったトンネルの北側では、ロッククライミングの練習を行っているグループも見かけました。湖で泳いでいる人も見かけましたが、ちょっと寒そうでしたね。素敵なミキストも見かけました。TAにsimplex仕様、爽やかなミントグリーンカラー。

 きつい坂は全くなくて、ほぼ平坦。とても走りやすく、もちろん周囲の景色は言うことなし。素晴らしい自転車道でした。もっと沢山の写真を撮ったつもりだったのですが、意外と少なく、いつものように碌なものがありません。多少なりとも雰囲気が伝われば幸い。整備された自転車道はもちろん、そこを何の気負いもなくサイクリングしている人達。フランスの自転車文化の一端かと思います。

Annecy北西湖岸から、南東方向 

 という感じで、Annecy湖を一周して、またAnnecyの街に戻ってきました。お昼も遅くなって、おなかも空いたので、川沿いのレストランで食事。観光地なので、少しだけ英語が通じました。何処でも間違いのないピザとY氏が魚が食べてみたいと注文したら、小魚のフライとポテトチップスが山のように。

 食事も終わって、ホテルまで再びのんびりと街を散策しながら戻ります。自転車乗りは街の中にも多く、みんな自転車ジャージ姿で普通に行動していました。アイスクリーム屋さんにも。

 エタップ参戦時もツール観戦時も交通規制が早くから始まるため、また終了後の混雑も半端じゃないので、上述のように、毎日夜が明ける前から行動開始、夜が更けてホテルに戻ってくることが多いツアーだけに、ゆっくりとサイクリングと街の散策を楽しめた貴重な一日となりました。

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