川への想い
    2016 Tour de France 観戦  Etape 12 Montpellier 〜 Mont Ventoux  (2016.07.14)


Tour de France 観戦のため Mont Ventoux への道を登る人たち
 Tour de France 観戦2日目。翌日は帰国に向かって移動だけなので、この日が実質現地最終日。観戦予定は、Mont Ventoux の登りゴールです。麓までバスで行って、後はコースを登って適当なところで観戦です。前々日とよく似たコースで麓の街・Bedoin へ向かいましたが、Avignon(アビニョン)では、少し違った道を走ってくれました。Le Rhone(ローヌ川)にかかる有名なアビニョン橋(写真:下左から2枚目)やアビニョン城壁(写真:下右から2枚目)を眺めることができるように配慮してくれたのでした。ただ、バスで走りながらなので、なかなか思うような写真は撮れません。
 前々日は、Bedoin の街も通り抜けた麓までバスで行くことができましたが、さすがにこの日は無理。街の手前でなんとかスペースを見つけて駐車。そこからは、自転車で向かいます。ところで、麓でも多少風が吹いていたのですが、山頂付近は強風のため、コースが短縮されるという情報が直前に入ってきました。Mont Ventoux は、この日に登ればよいと前々日は別行動をとったのですが、どうも山頂まで登るのは難しいようです。まあ、何処かにも書いたように Mont Ventoux 自体には、さほど思い入れはなかったので途中での観戦で十分と思っていました。まずは観戦に向かう人達で混雑する Bedoin の街を抜けていきます。
 街を抜けると、道は緩やかな登りになります。歩く人、自転車で向かう人、続々。まだレースまで数時間以上前ですが、既にクルマの通行は禁止。道脇に駐車しているクルマは、ほとんどが前日以前にやってきて車中泊。みなさん、新聞を読んだり、朝食をとったりしながら、登っていく人々をのんびり眺めています。小さな自転車に乗った子供を牽引するMTBのお父さん、写真を撮ろうとするとポーズを取ってくれました。タンデムもちょくちょく見かけます。こちらもトレーラーの荷物を牽引中(写真:下左)。
 とあるところで、人だかりが・・・。近づいてみると、悪魔おじさんでした(写真:下左2枚)。2014年の Tour de France 16stage、Mauleon-Barousse(モレオン・バレッセ)以来です。相変わらず、凄い人気です。写真:下右から2枚目、数名の方が地元の古い民族衣装でしょうか、音楽に合わせて踊っていました。下右端、山頂から11q地点、フライパンで焼いているソーセージがとても美味しそうな香りをたてていました。
 時間の許す限り、観戦場所を探すことも含めて、まだまだ登っていきます。周囲の樹高が少し低くなって、空が広く見えるようになってきました。
 山頂が随分と近づいてきました。振り返ると、登ってくる大勢の人々の向こうには、平原が広がっています(トップの写真)。コースが短縮となったので、山頂がまだ遠くに見える地点で、ゴール地点まで1qを切りました。道路両側には鉄柵が設けられて道幅が一段と狭くなり、まもなく道路上は閉鎖されました。横手に担ぎ上げて進もうとしましたが、凄い混雑で、とても前へ進むことができません(ふたつ上右の写真)。下手をすれば下ることもできなくなりそうだったので、隙を見て道路に戻り、少し下って観戦場所を決めることにしました。
 結局、ゴールから5qほど下ったところで観戦することにしました。周囲はまだ樹高のある木立で影が十分にあり、コース短縮の原因となった強風も、木々のためか地形のためか、そよ風程度でした。ゆっくりとワインを飲みながら、先程までとは逆に、登ってくる人々を眺めます。登ってくる人々は、まさに老若男女。中腹なので、歩く人より自転車に乗った人のほうが多く見られます。熟年カップルも若いカップルも。街乗りのような自転車と服装がいいですね。二人を乗せたチャイルドカーを牽く父と、頑張る少年をロープで引っ張る母。チャイルドカーを牽く父親の姿は時々目にします。二人乗りも。ロープで引っ張っているのは、初めて目にしました。
 飲んでいたワインの1本は、ちょっと判別できにくですが、前日 Nimes のスーパーマーケットで仕入れていた「Ventoux」という銘柄(写真:下左)。地元産でしょうか。沢山の自転車乗りの中に、1950年前後くらいかと思われるクラッシックな自転車に乗った数名の一団が通り過ぎていきました。ジャージもクラッシックです。慌ててカメラを構えたのですが、既にみんな通り過ぎて、下右上の写真が唯一。いつものようにそんな時間を過ごしながら、レースの少し前にキャラバン隊がやって来るのを待ちます。ところが、今回は、もうそろそろ選手がやってくるのではないかと思う時間になっても、キャラバン隊の姿が現れません。2、3のキャラバン隊もどきはやっては来ましたが・・・。どうもキャラバン隊は麓で足止めになっていたようです。
 少し周囲を歩いて、撮影に適当な場所を探してみました。ちょうどS字になった道を見下ろせるポイントを見つけたので、そこに登ってみました。これまた山岳コースでは何よりも先に選手到来を告げてくれるヘリコプターの爆音も、強風で飛べなかったのか全く聞こえません。そうこうするうちに、何やら選手のような感じで一人通り過ぎていきました。あれっ、今のがトップの選手?確かにオートバイも伴走していましたが、なんだかそれらしくありません。ただ、その後も一人、二人と登ってきます。チームジャージにゼッケン、伴走にチームカーも続くので間違いありません。いつもは先導のクルマがやってきて、もうすぐ先頭がやってくるぞと観客も身構えるのですが。いつもの山岳コースでの観戦と雰囲気が随分と異なっていました。Maillot Jaune はなかなかやって来ないなあと思いながら待っていたところ、下方から一際高い歓声が聞こえてきました。続いて、コーナーから現れたのは、これまでと全く数が違うオートバイの隊列と辺りに漂うオーラ。 Maillot Jaune の一団がやってきました。まだこの時点では勝負の場所ではなかったのでしょう、淡々と進んで行き過ぎました。
 その後は、何人かから10人以上の集団が次々と通り過ぎていきます。最後は Maillot Vert も含んだグルペット。前日区間優勝した Maillot Vert は、本日休養のようでした。グルペットが通り過ぎると、毎度のことですが、観客は一斉に下り始めます。大混雑の中を麓まで下ると、中腹では全く感じなかった強風が吹き荒れていました。
 さらに驚いたのは、麓に設置されていた大きな液晶画面には、Maillot Jaune が自転車ではなくランニングで走っている姿が繰り返し放映されていたことです。あの後、いったい何が起こったのか、全容を知ったのは帰国後の話でした。

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