Lombardia

    Pass del Mortirolo    (2018.07.17)


Passo del Mortirolo から Glosio への下り(SP81)
  Lombardia 4日目。この日は、Pass del Mortirolo(モルティローロ峠)へアタックです。Giro D'Italia のコースにも登場する有名な峠らしいですが、ほとんど馴染みもなく予備知識は皆無でした。事前に地図を見ても、なかなかその場所が確認できませんでした。漸く確認できた峠の位置は、Bormio(ボルミオ)から Tirano(ティラノ)方面へ向かって20qほど進んだところから東側に登った山にある峠のようです。下中の地図・赤四角付近で、下左の地図はその拡大図です。赤線が走ったコースです。峠の標高は1852m、麓から峠までの距離は約12q。平均勾配は、なんと10.9%! 元気な頃でも7%以上の坂は苦手だったのに、最近著しく登坂能力が落ちていたので、この急勾配を登り切れるかかなり不安でした。加えて Passo dello Stelvio(ステルビオ峠)や Bernina Pass(ベルニナ峠)と比較して標高も低く、前日 Sentiero Valtellina を走りながら、この辺りかなあと眺めた付近の山は、稜線近くまで木々が繁っていて、もうひとつ魅力に乏しいようにも思われました。
   
 まずは、前日も走った Sentiero Valtellina を Tirano 方面へ下っていきます。復習するように、また見逃していたり撮り逃した場面を写真にと、時々立ち止まって撮影。天気は、この日も上々でした。写真:下中は、Sentiero Valtellina・Bormio 側の入り口です。主要道・SP27に並走する部分では、ロードバイクで速く走る人たちが追い抜いていきます(写真:下右)。上の地図、オレンジ色は高速道路SS38、Sentiero Valtellina は主要道SP27に並走していきます。
Bormio 郊外 Sentiero Valtellina へ
 
 左 入り口まで主要道・SP27で
 上 Sentiero Valtellina 入り口
 右 主要道を走る人の姿も
 写真:下左は、Bernina Passにも掲載した Madonnna Della Biorca(マドンナ・デラ・ビオルカ)という街付近です。対向する自転車乗りも多いです。Pass del Mortirolo は、この稜線のずっと右手先です。この付近の稜線標高は、3000m弱あります。写真:下右中は、前回撮り損ねた Sentiero Valtellina では珍しいコンクリートの陸橋状になった部分。ロードバイク乗りの人が停まっているのは、わかりにくいですが信号待ちです(写真:下右下、SP27併用区間)。
 Tirano までもう10qもない Mazzo di Valtellina(マッツォ・ディ・バルテリーナ)というところで、Sentiero Valtellina を離脱します。写真:下右3枚、樹木のトンネルで木陰になった快適な道を、まっすぐ進むと Tirano 方面です(写真:下中)。すぐ右手を Adda川が流れています。峠は左手に進みます。しっかりした表示はあるのですが、繁った樹木の葉に半分隠れていて、知らなければ通り過ぎてしまうこと間違いなし。事実、前日も走っているはずですが、全く気づきませんでした。左折した後も、200mばかり離れた mazzo の街まで、畑の中の曲がりくねった道を走っていきます。写真:下左は、それより少し手前で、SS38(左の土手上)と併走する部分です。
 右3枚
 Mazzo di Valtellinaで
 Sentiero Valtellina を離脱

 左 その少し Bormio 側
 Mazzo の街で急坂登坂に向けて小休憩。写真:下左は Bormio 方面に向かう主要道・SP27です。自転車乗りの姿は本当に多いです。Sentiero Valtellina はこの左手。街の中は石畳の道が続きます。ここにも壁際に Pass del Mortirolo の表示がありました(写真:下中)。写真:下左は、教会脇の広場にて。
      
 さあ、いよいよ Pass del Mortirolo nに向けて登坂開始です。小さな街を抜けないうちから道は急勾配となりました。両側には古い建物が並んでいます(写真:下左)。写真:下中は、Mazzo の街を抜けた辺りから振り返って。上の教会の尖塔が見えています。写真:下右は、Tirano 方面に向かって。
      
 途中で Grosio(グロージオ)から Passo del Mortirolo に向かう道・SP81に合流する Mazzo からの道は、一車線の農道のような道です。大型車の通行は厳しそう。徳島で例えれば、道幅は大坂峠くらいです。こんな道を Jiro D'Italia では選手達が登っていくのですね。幸いほとんどクルマの通行はなく、狭い道ながらも急勾配のところでは時々蛇行して登ることができました。写真:下右上、木陰でわかりにくいですが、15%はありそうな坂を押していく人の横を e-bike の女性は余裕で登っていきます。
 登るにつれて、だんだんと周囲の風景が下方へ遠ざかっていくのは、毎度のことです。しかし、予想通り道周囲には木々が繁っており、写真:上下のように見晴らしの開けるところはそれほどありません。ただそれ故木陰も多く、直射日光を避けることができたのは幸いでした。所々であった展望のあるところでは、その度に立ち止まって、写真撮影と言う名の休憩を繰り返します。時に地元の方らしい自転車乗りが追い抜いていきますが、その数はさほど多くなく、峠まででも10名くらいでした。木陰には多少助けられましたが、やはり急勾配が続くと暑いです。とあるコーナーで、湧き出る水場を発見(写真:上右下)。とても冷たくて、生き返るようでした。昔から利用されてきたもののようです。飲んでも、美味しい。眺めもいいところだったので(写真:下2枚)、しばし休憩。
 そこから少し登ったところに、Marco Pantani の記念碑がありました。これも、その時まで全く知りませんでした。調べてみると、1994年の Giro D'Italia で、Pantani がこの峠をトップ通過しているそうです。帰路にSP81との分岐で立ち止まっていた自転車乗りに、Pantani の記念碑はどっちだと聞かれて、左手だと教えてあげることができました。ここに立ち寄ることを目的のひとつとする Pantani ファンも多いのでしょう。写真:下右上は、そのSP81に合流する手前にて。峠方面は右手です。帰路は、右手から左手へと下りました。道の幅、周囲の林は、概ねこんな感じです。
 左  北東側の展望
 上  Marco Pantani の記念碑
 右上 SP81に合流する地点
 右下 途中で気づいたコーナーのNo.
 コーナー毎にNo.プレートがあったことも、その頃になって初めて気づきました(写真:上右下)。Google map の Street View を見ると、No.プレートはちゃんと下から設けられているようです。フランスのような、自転車乗りのための1q毎の常設表示はなかったです。コーナーは、それぞれ間の距離が異なるので、確かNo.8からNo.7までが随分長かった記憶。逆にNo.4辺りだったかでは、50mくらいでした。あっ、峠から最初のコーナーがNo.1です。登り始めて Mazzo の街を出ると、峠まで集落はもちろん、農家など民家もほとんどなかったように思うのですが、急坂を登るのに余裕がなくて周囲に目が行き届いていなかったのかもしれません。峠の少し手前に3棟くらいの建物と広場があって、クルマも何台か停って10数名の人がバーベキューのようなことをしていました(写真:下左下)。最近徳島でも山間部で増えてきた農家民宿でしょうか。写真:下左上、急勾配をダンシングする男性を横に、余裕の笑顔でVサイン。E-bike の素晴らしい性能を知ったことも、今回のツアーの大きな収穫でした。
 そこを過ぎると、峠までは、あと一息です。峠直前は草原状で、カウベルを鳴らす牛たちが、のんびりと草を食べていました。道も少しばかり緩やかになって、峠に到着。写真:上右、Adda川の谷の西側に聳えていた山々の峰も、目の高さに近づいてきました。写真:下左は、南西方面に向かって。峠は予想通り?とても地味でした。峠の碑はふたつ建っているものの、建物はひとつもありません。自転車乗りを含めた人の姿も、多い時で数人程度。Passo dello Stelvioの賑わいと比べると、えらい違いです。周囲の展望も、ほとんどありません。これも予想通りかな。せっかくなので、ふたつの峠の碑で記念撮影(写真:下右2枚)。下右上の写真の後方に見える白い正方形が下の看板です。
 写真:下右は、峠から登ってきた道を振り返ったところ。上左の写真は、下右の写真の道の右手です。
 少し時間があったので、峠から反対側へ下ってみました。距離で100mほど下るとT字の分岐があって、SP81は左手でしたが、展望があるかもと再度登りになった右手に進んでみました。200mも進んだでしょうか。左手(東側)遠くにおそらく氷河と思われる雪を抱いた山脈が見えてきました。おおっ、これは圧巻(写真:下)。後ろを振り返ると、登っている間には見えなかった Pass del Mortirolo に連なる北側の山(写真:上左の山)。写真では伝わりにくいですが、これも大きい。森林限界を超えるようで、まばらな針葉樹と瓦礫のような斜面が見えます。前方(南側)にも大きな山、右手にもスイス国境方面の山々(何枚か写真を撮ったのですが、どうもうまく伝わるのがなく割愛)が遠望できます。この光景を見るのと見ないのでは、えらい違いだと、峠に引き返して、到着してきたみんなに声をかけて再度向かいました。この道は、しばらく稜線近くを走って Tirano 方面の西側や反対の東側にも下る道が続いているようです。ここを通るグランフォンドもあるようです。時間と走力があれば是非走ってみたいものです。
 
 全員が揃って一服したところで、下りへ向かいます。下りは登りとは異なってSP81をまっすぐ Grosio方面に下りました。こちらも道幅は登った道とほぼ同じような感じで、さほど広くなく、木々が繁っていて見晴らしがあるところは少なかったです。しかし、時に展望が広がるところでは、Adda川沿いの街やその北側の山々の大パノラマが広がります。思わず立ち止まってしまう風景。小さくてわかりにくいですが、先に走っていった人が民家の脇に立ち止まって風景に見入っています(写真:下)。
 牧草と思われる草原斜面にある農家(写真:下2枚)は、同行のYoさんが「アルプスの少女・ハイジの世界のよう、こんな光景が実際にあるのですね」という言葉にも納得です。
 ほんの数軒の集落にも、教会の尖塔が見えます(トップの写真)。民家を見かけたのも、3、4ヶ所だけだったと思います。いずれも、思わず立ち止まってしまうような、周囲の光景に溶け込んだ石造りの家。さっと下ってしまうには、あまりに勿体ない光景です。
 上の写真のようなところは、本当に2、3ヶ所だけで、その後も木々に覆われた、あまり見晴らしのない道が続きました。出会ったのは、工事関係らしいトラックと地元の方と思われるクルマ2台だけ。自転車乗りにも出会いませんでした。自転車でのメインルートは、Mazzo からの道のようです。
      
 下り切った Grosio 手前で、この日は終了です。回収車に乗って、Bormio の宿へ。この日の回収車は、バンの牽引トレーラーに前輪をひっかけて縦並びの構造のものでした(写真:上右)。
       

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