林道笹無池ヶ谷線 2022  付:石林道東線
 前年末、木材運搬作業のため一般車通行止めだった林道笹無池ヶ谷線。年末にその標示の上に貼られた解除中の案内を確認しました。正月三ヶ日は仕事も休みだろうと、好天が期待された1月3日に走ってきました。実に16年振り。一部は記憶に残っていたものの、ほとんど初めての道と言ってもいい状況でした。(2022年 1月10日 記)

林道笹無池ヶ谷線にて (2022.01.03)
 走ったコースは下図参照。Ride with GPS では林道笹無池ヶ谷線の中央付近がトレースできなかったので適当です。下り切って、野根川沿いに出た後は、石林道東線を一般車通行止めのところまで走ってきました。快晴の一日でしたが、先の林道大木屋小石川線同様、陽が当たらない所が多く、終日寒く感じました。
コース 海南−林道笹無池ヶ谷線−石林道東線−久尾−船津−宍喰−海南
走行距離   95q   積算標高 1900m
最高地点   石林道東線終点  標高 950m
走行日   2022年 1月 3日  天候:晴れ  GIANT CONTEND
 午前7時半過ぎに、まぜの丘をスタート。その前に大砂海岸に立ち寄りましたが、目当てのだるま朝日は水平線上の雲で見られず。快晴でしたが、放射冷却現象で気温0℃。耳当て・ネックウォーマー、オーバーシューズ着用は当然で、このところ定番となったハイキング用アウターも着込みました。国道193号線を経由して、まぜの丘から10qの地点で林道笹無池ヶ谷線に左折。通行止めの標示には解除中の貼り付けを再度確認、安心して進み始めます。
 左 だるま朝日、雲で見られず
 中 国道193号線、気温1℃
 右 通行止め、解除中
 最初はきれいなアスファルト舗装です。薄暗い杉木立(写真:下左)を100mほどで抜けると、右手に霜が降りた田畑が広がっていました。その向こうは海部川支流・笹無谷川です。しかし伏流していて水の流れは全くありません。頭上は抜けるような青空ですが、日影で寒い。道は平坦に近いくらいの極緩やかな登り。舗装状態も上々で、いつまでこんないい道が続くのかなと思いながら進んでいくと、サラサラと水音が聞こえてきました。ふと右手を眺めると、伏流していたはずの笹無谷川に、いつの間にかそこそこの量で水が流れていました(写真:下右)。
 まだ緩やかだった道周囲は、杉木立や県南に多い照葉樹を交えた雑木林が短い間隔で繰り返されます。まもなく川の流れは道のすぐ横になって、路面と川面の差は2m前後になりました。川底の石は吉野川系と異なり白っぽい茶系です。水の透明度は高いのですが、周囲の植生も含めて、特に見映えがするという光景ではありません。ただガードレールはほとんどなく、何処でもある電線・電柱もなし。すぐ横を路面と高低差なく川が流れる道は、四国にはさほどありません。個人的好みの光景なのですが、前回の記憶には全く残っておらず、記録を確認しても記載がありませんでした。前回は数名でワイワイ喋りながらだったので、あまり気に留めなかったのでしょうか。
 まさかこのきれいなアスファルト舗装、16年の間に舗装されて最後まで続くのじゃないだろうなと思っていると、まもなく未舗装路となりました(下の写真)。しかし、木材運搬のため通行止めで予想していた通り、重いトラックが通るためでしょう、轍を中心として未舗装でも全く問題ない良く踏み込まれた道が続きます。時に横手からの小さな崩落によって道上に落石があるところもありましたが、前半は快適な道が続きます。
 
 この道、最初はずっと笹無谷川に沿って西進していきます。笹無谷川が二手に分かれるところで、小さな橋を渡って左岸へ。7qあまり進んだところで大きく左手にカーブして南へ向かうようになるのですが、この手前くらいから少し勾配が増してきました。この前後に一部コンクリート舗装の部分がありました。少し暖かくなってきて、漸くアウターを脱ぎました。
左  未舗装だが良好な路面
上  小さな橋で左岸へ
右上 橋上から笹無谷川の流れ
右  最初のコーナー手前
 少しずつ標高を稼いでいきます。北側の山肌には、木材を皆伐した斜面が谷筋から稜線付近まで続いているのが確認できました(写真:下右)。あの斜面を伐採するのは大変だし危険を伴うだろうなあと思いながら、先に進みます。これといって特徴のない道が続くので、僅か数日前のことなのに、勾配がきつかったのはこの辺りだったか、コンクリート舗装は何処で終了したかなどの記憶があやふやです。
 前回から16年経過しているので、伐採された部分以外は木が成長しているはずです。前回、太平洋が見えた記憶があまり残っていなかったのですが、この付近から海が見えました。他に島はないので、東方向、奥は牟岐大島、手前が出羽島だと思います(写真:下左上)。さらに進んで林道入り口から12qで旧宍喰町と旧海南町の町境。標識がありました。ここで一服。海南側は国道193号線からすぐに林道になるのですが、宍喰側は野根川まで下る林道部分は8qほどで、そこから国道55号線までが長いのです。
 左  旧町境の標示
 左上 出羽島と大島
 上  ピークかと思いましたが
 右  太平洋が見える
 ここからは下りかと思って、途中で脱いだアウターと耳当ても着用しましたが、そこから2q程緩やかに登って、最高地点は標高720m程でした。このトラバース中にも木々の間からですが、2ヶ所太平洋が望めるところがありました(写真:上右)。下りになると少し荒れたところもありましたが、路面は登りとほぼ同様の状況。勾配も同じくらいに思えました。途中で三叉路があって、左手には林道広岡笹無線・終点の標示。地形図では繋がっていない道ですが、終点とあるからには起点があって何処かと繋がっているのでしょうか。
左  旧町境から緩やかに登り
上  右手から左奥へ進んだ三叉路
右上 林道広岡笹無線の標示
右  南方面の眺め
 相変わらず同じような道が続きます。所々で崩落の落石がありますが、クルマの轍部分は概ね良く踏み込まれています。上の林道広岡笹無線の分岐を過ぎると、勾配はきつくなってきました。逆走もなかなか大変そうに思えます。
 下り切って、野根川沿いの石林道(林道石線が正しい?)に突き当たります。ここまでちょうど30q、スタートからほぼ予定通りの3時間。ここの標示は16年前のままでした。とても寒かったので、僅かに陽が当たるところで休憩。補給をしながら、さて、ここからどうしようかと思案。当初から石林道東線(行き止まり)へ向かうか、先に見送った林道竹屋敷線を回るどちらかを考えていました。両方は時間的に厳しそうです。少し考えた後、横を流れる野根川の雰囲気が良さそうだったので石林道を進んでみることにしました。とりあえず、ちょっとだけ雰囲気を楽しんで30分くらいで引き返し、林道竹屋敷線へ進むことができたらと、その時は考えていたのですが。
石林道合流地点 野根川 野根川沿い石林道を遡る
 こちらも最初はきれいなアスファルト舗装が続きます。所々に山側からの小さな崩落で落石があったり、水流があったりします。日影では凍結していました。緩やかだった勾配ですが、写真:下左の石林道西線の分岐部を過ぎると、きつくなってきました。川に沿う左下のガードレールが西線、東線はまっすぐです。下右上の写真、小さいのでわかりませんが、山肌の白っぽく見える部分は、植林された樹が各々白いネットで保護されているためです。ガードレールの直下にも同じものが見られます。下右下、写真が小さくわかりにくいですが、稜線の少し下に小さくガードレールが見えます。東線の先です。まだ随分距離と標高差がありそうです。

白っぽい山肌は植林後

稜線の下にガードレールの姿
 その先で未舗装になりました。確か一度大きく回り込んだところから、相川方面への切通が見えたはずとの記憶は間違っておらず。写真:下左の稜線ほぼ中央部の木が途切れたところが切通です。この付近で、もう竹屋敷方面に回ることは諦めて、石林道東線を終了地点まで進んでみることに決めました。相川への分岐に到着してみると、16年前よりも低くなって路面もクルマが入っているようで、多少踏み込まれていました。以前に知人がその後進んだところ、かなり酷い状況だったと述べられていた記憶があるのですが、その後また改善しているように思われました。ただ、今回はここへは進まず、石林道東線を先へ進みます。
左  稜線の中央部が相川への切通
上  相川へ分岐の切通・左手へ
右上 相川の切通から先、上の右手
     路面状況は上々
右  野根川上流東谷川の谷を越える
 どんな道が期待と不安で進み始めると、なんと路面状況はそこまでよりずっと良くなりました。勾配も一部下りがあるくらい緩やか。ずっと以前・1994年に初めて走った落合峠の後半部分を思い出す、未舗装でもよく踏み込まれており、アスファルト以上に走りやすい道でした。ただ、相川への分岐部が標高500mほど。地形図の石林道東線終点は標高900mを越えていた筈です。と思いながら走っていると、野根川上流東谷川の谷筋を回った前後から勾配が増してきました。写真:下左、相川への分岐はサドルの延長上で左手からの山斜面が交差する後方付近と遠く下方へ。次の谷筋の向こうに斜度のきつい道が見えています(写真:下右)。
 さらに上右の先の尾根筋を回り込むと、写真:下左、もう堪忍して、と言いたくなるような勾配が目に飛び込んできました。この少し手前からコンクリート舗装となりました。下右上の写真は、下左の奥の谷筋コーナー部です。そこからは17%前後の激坂でした。距離はさほどないので、なんとか登り切り。

稜線の向こうに水平線
 尾根筋を回ると、勾配は少し緩やかとなって、右手は稜線がすぐ近くになってきました。標高も900mを越えて、南東方向には太平洋が見えています(写真:下右)。見えている道は標高600m少々だった付近。相川への分岐部は左手前の稜線の奥に隠れてしまいました。再び未舗装になったと思ったら、前方にショベルカーの姿。その向こうに鎖が張られて、左手に一般車通行止めの標示がありました。手前には雪が凍結して残っていました。ここまで林道笹無池ヶ谷線の合流地点から15qほど、未舗装部分は10qほどで、約3時間要しました。一服後、歩いて封鎖の先へ少し進んでみました。道は幅が狭くなって路面の荒れ具合も増していますが、自転車なら問題なく走れる道が、まだ先へ続いているようでした。石林道西線に繋がるのでしょうか、それとも林道大木屋小石川線・魚梁瀬方面に繋がる予定があるのでしょうか。
 左  一般車通行止めの鎖
 左上 ほぼ稜線
 上  一般車進入禁止の奥
     白いのは凍結した残雪
 右  登ってきた道が見える
     山並みの向こうに太平洋
 さあ、後は下りです。慎重に。こんなところでトラブルは絶対に避けたい。何ヵ所か見えた太平洋の姿が一番良かった地点で一枚。下りでの写真撮影は、どうしても減ってしまいます。相川への分岐は、路面に集中していたためか見落として通り過ぎてしまいました。漸くアスファルト舗装のところへ戻ってきて一息。再び野根川の川面を覗き込みながら下りますが、やはり陽が差しているところは極僅かでした。
野根川・点描

写真のような陽が当たる所は僅か
 林道笹無池ヶ谷線の合流地点か久尾の集落までは短い区間ながら初めての道です。同じような野根川沿いの道が続きます。一度ゆっくり遡るのも面白いかもしれませんが、夏場の昼前後なら川面に陽が差し込むのかもしれません。所々に鮎釣りポイントの標示らしき立て札を見かけました。写真:下左2枚は久尾集落のすぐ上流にある吊り橋。結構揺れます。写真:下右、奥から下ってきて左手へ。手前の県道301号線は、崩落のため随分以前から通行止めのままです。頭上の標示には左・竹屋敷、直進・林道石線と記載されています。
  
 久尾集落では十数軒の民家を見かけましたが、居住しているように見えたのは、少し上方にある数軒だけ。そうそう、林道笹無池ヶ谷線に入ってから石林道東線を往復するまで、出会ったのはニホンジカ2頭のみ。久尾集落手前で軽トラがゆっくり走ってきて、その後ろに野放しの犬が4、5頭。飼い犬の散歩のようですが、猟犬?吠えついてきたら厄介だなと思いましたが、どの犬も全く気にせぬ風に擦れ違っていきました。久尾から船津までは、本来なら野根川左岸の県道301号線がメインですが、上述のように長らく通行止め。右岸の道で船津へ。この道、途中から竹屋敷方面に別れます。時刻は14時。無理すれば回れないこともない(70qほど)のですが、日が暮れるのも嫌だし、林道笹無池ヶ谷線の中央付近で見かけた林道広岡笹無線終点の起点が分かるかと中谷方面に回るつもりだったので、迷わず船津へ下りました。
左  久尾集落
上  緩やかに登って野根川は下方
右上 右・竹屋敷、左・船津
右  船津集落
 船津から猪鼻遂道を越えて下り、途中から中谷方面に登り返します。以前に一度走っているのですが、この道も地形図では日比宇方面と繋がっていません。実際は綺麗な舗装路がついているのですが。久尾、船津と人影を見かけなかったのですが、一番小さな集落の中谷では、高齢の男性二人が陽当たりのいい軒先で話をしている姿を見かけました。上述のように、林道広岡笹無線の起点がないかと探しながら走ったのですが、それらしき分岐が見当たらず。帰宅後確認したら、広岡はもうひとつ北側の谷筋でした。
猪鼻遂道 中谷集落 阿波海南駅 海南文化村
 その後は、宍喰に出て国道55号線で。旧海南・宍喰間は国道55号線しか道がないので。ちょうど国道と線路が交差するところで、頭上を前年末に営業を開始したばかりのDMVが線路を走っていきました。急なことで、写真撮れず。その代わり海南駅ではちょうど緑の車両が停車中で30名ほどが撮影中(別の車両でした)。おそらくバスから鉄道モードに変換しているところだったのでしょう。さらに海南文化村の停車場で、バスモードの先程追い抜いて行った青い車両を見つけたので1枚。世界初との売り込みですが、SNSなどで魅力的な情報か話題でも出ない限り、前途は厳しいかもしれません。それはともかく、久々の林道笹無池ヶ谷線、石林道も含めて、十分に楽しめました。次回は、おそらく繋がっていない林道広岡笹無線確認でしょうか。

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