林道大木屋小石川線 2021
 ずっと以前に走ったきりの林道笹無池ヶ谷線林道大木屋小石川線を再訪してみようと思い立ったのは、その少し前のことでした。後述のように、林道笹無池ヶ谷線は通行止めの可能性がありそうだったので、現地に行ってその時の状況次第でどちらかを走るということにしました。結局、今回は後者を走ることになったのですが、県道148号線に入ってからの記憶は全く残っておらず、ほとんど初めての道状態でした。何時以来かなあと帰宅後確認したら、なんと17年振りでした。 (2021年12月18日 記)

大木屋小石川林道にて (2021.12.11)
 走ったコースは下の図の通りです。事前に走行予定を立てたところ、思いの外長い距離になることに驚きました。2004年の記録をちゃんと確認しないまま計画したのですが、初めて走った1994年は当時の職場から移動して結構遅い時間から走り始めた記憶だったので、100qを越えるとは思ってもみませんでした。
コース  海南−轟の滝−大木屋小石川林道−魚梁瀬−野根−船窪−海南
走行距離  135q   積算標高 1600m
最高地点  大小屋小石川トンネル  標高 750m
走行日  2021年12月11日  天候:晴れ  GIANT CONTEND
 午前5時過ぎに自宅を出発。一路、南へ。デポ地予定の海陽町・まぜの丘まで70qほどです。脚力低下が著しいので、できるだけ余裕を持って走り始めたかったことと、日の出を何処かで見ようと思っていたからです。ゆっくり走っても、予定していた大砂海岸には日の出10分程前に到着。空はもうすっかり明るくなって、青みが出てきています。下左の写真、左手奥に見えるのは出羽島と奥に大島です。待っていると太陽が顔を出してきました。眩しくない程度の一番いい条件、ばっちりのだるま朝日を拝むことが出来、最高の出足です。すぐ先にあるまぜの丘に移動して、スタートは7時30分頃でした。
 海陽町の町中を走って、国道193号線へ。ここから県道148号線の分岐部までは、最近も何度か走っていて記憶はまだまだ新しい区間です。横を流れる海部川を眺めることも楽しみのひとつですが、この時間帯はまだ陽が差していません。この日は移動性高気圧に覆われ、12月半ば近いのに最高気温は18℃くらいになる予報。ということで少し薄手の出立で向かったのですが、寒い(スタート地点では4℃)。非常用と考えていたハイキング用アウターを着てちょうどいいくらいでした。
 実はこの日、本当は林道笹無池ヶ谷線を走ろうと思っていたのです。確か少し前に走った時に、分岐部に木材運搬のため一般車通行止めの標示を確認していました。日時までは明確に覚えていなかったので、とりあえず現地について無理だったら林道大木屋小石川線に向かおうと考えていました。思っていたより下流だった林道笹無池ヶ谷線の分岐部には、やはり全面通行止めの看板があって、通行可能は夕方から早朝を除けば昼の1時間だけ。日曜日だけ解放とのことで、土曜日だったこの日は諦めることにしました。ちなみに期限は12月31日となっていました。林道笹無池ヶ谷線再訪は年内の日曜日か来年のお楽しみに。
林道笹無池ヶ谷線、通行止 川面に霧が漂う海部川 県道148号線への分岐 透明度十分だけど
 海部川には川霧が漂っていました。いくつかある私的定点ポイントで川面を覗き込みますが、山陰で陽が当たっておらず透明感のある水がそれほど楽しめません。最も、いい時の状態に比較すると、川底の石は少し汚れているように見えました。県道148号線に入っても、頭上には真っ青な空が広がっているのに、川はもちろん、走る道も山陰で陽が全く当たりません。道は海部川に沿って遡っていくのですが、轟の滝も最後に訪れたのは2012年5月のこと。もう少し勾配があったような記憶だったのですが、意外と平坦なままで進んでいきます。
 川は道以上に蛇行(写真:左)。所々で何枚か写真を撮ったのですが、これはという海部川の良さを出しているものがありません。途中、樫谷、平井という集落があるのですが、居住していない家屋が多いように見えました。写真:上右の轟の滝分岐部には、ちょうど9時に到着。
 分岐部からは勾配がさらにきつくなるという記憶だったのですが、これまた意外と緩やかなまま進んで(写真:下左)、轟の滝には、思いの外、早く到着することができました。滝手前の建物などの光景は、さすがに少し記憶に残っていました。50mほど歩いて、轟の滝へ。水量はまずまず(写真:下右)。写真を撮っていると、霧状になった水滴がいっぱい飛んできたので、5枚ほど撮影して終了。今回のメインはここではないので、一休みした後、来た道を引き返します。
 下左の写真の橋、轟の滝分岐部ですが、滝へは手前を右折。ここからは勾配がきつくなるかと思ったのですが、相変わらず心地良い程度の緩やかな道が続きます。写真:下中は大比という集落。ここも人影は見えませんが、無人ではないようです。前方から町営バスが走ってきて、通り過ぎていきました。下右の写真は、大比を過ぎたところにある橋です。林道大小屋小石川線は左へ。右手に進むと、この奥に川又という集落があるようです。町営バスをそこから走ってきたのでしょう。地形図では、右手の道、川又を越えて槙木屋谷に沿って湯桶丸の方へ向かっています。林道湯桶平井線というらしく、那賀川上流の南川・湯桶谷に沿っても同名の林道が走っています。これが繋がれば林道大周回コースなのですが、今後も繋がる可能性はほとんどないのでしょうか。最も、もし繋がったとしても、その時に走れる脚力がないことは間違いなし。
  
 上右の写真、陽が当たって見えにくいですが、中央付近に林道大木屋小石川線通行止めと標示があります。が、かなり古いようなので気にせずに左折して進みます。左折すると、写真:下左、林道大小屋小石川線・起点の小さな標示がありました。2004年時はここから未舗装だったようです。今回もいよいよダートかと身構えたのですが、まだアスファルト舗装が続きます(写真:下右)。中央部は苔生していますが、勾配も比較的緩やか。こんな調子が続くと最後にツケが・・・。
 海部川は、ずっと左手すぐ横を流れているのですが、川側にも雑木が多くて、写真:下右のような川と一緒に写真を撮れる処はほとんどありません。ガードレールが凸凹多数ですが、右手の山肌から落石があるのでしょうか。
 上左下の分岐を過ぎると、下左の写真のように、いよいよ未舗装路になりました。しかし、序盤は勾配も比較的緩やかなまま、路面状況もまずまずです。未舗装路になったところで、スタート地点からちょうど40q。時刻は10時。標高は300m弱だった記憶です。峠のトンネルは標高800m弱、事前に Ride with GPS で引いたコースでは確かトンネルまで46qほどでした。とすると平均してもこの後8%強の勾配なので、後半はどんなになるのだろう。上述のように前回の記憶は全く残っていなかったので、ちょっと危惧。
 ところで、この林道大木屋小石川線は東西に走っているのですが、後半に折り返しが二か所あって、東へ進む短い区間があります。最初の折り返しで狭くなった海部川を渡ると、道は一度アスファルト舗装になりました。勾配は10%前後ですが、未舗装路を走ってきたので随分と楽に感じます。まさかこのままトンネルまで続くのかとの期待?はたまた残念?は、再び西への折り返し手前から未舗装に。海部川の流れもなくなって、路面も次第と荒れてきました。写真は余裕があったところなので、路面も比較的良好な状況だったところがほとんどです。少し手前からクルマが最近通ったらしい轍が薄っすらと残っていたので、安心して進みます。標高は上がってきましたが、県南の温暖な気候のためか道脇にはシダ類が繁茂しており、雑木は常緑樹が多く落葉樹は僅か。時期的なこともありますが、紅葉の姿は皆無でした。
 左  シダ類が多い道脇
 下  大木屋林道(右手)分岐部
 右上 峠少し手前から振り返って
 右下 下の写真の左手・進行方向
 二つ目の東へ向かう区間の折り返しが、写真:上中で、右手には林道大木屋線(行き止まり)の標示。左手に進みますが、勾配は10%を越え、路面には小石も増えて、さらに荒れてきました(小さくて分かりにくいですが写真:上右下)。歩くようなスピードなので、ふらついてハンドルを取られ、とうとう足付き。ちょっと頑張ってスピードを上げると安定するのですが、持続する脚力がありません。とうとう50mほど押しました。これだけは写真で記憶に残っていた振り返って遠望ができた地点は何処かなあと進みます。一ヶ所ありました。この付近かな?と思いながら撮ったのが、上右上と少し進んで下左の写真。2004年時の轟の滝の下の写真とほぼ同じ位置のようです。背後の右手から伸びる山肌が伐採後の地肌が見えている2004年時に比べると、すっかり緑になっているのが良くわかります。結局、遠望が効くところはここだけでした。木々の成長は早いけど、脚力の衰えも早いです。前回は9時にスタートして正午過ぎにトンネルに到着と記載していますが、今回の到着は11時もすっかり回っていました。7時半にスタートしていて大正解でした。トンネルの西側には1978年3月竣工の標示。
 トンネルを出て高知県に入った陽当たりのいいところで補給休憩。右手下には小さな流れ、奈半利川の上流です。さあ、ここからは当分下りですが、ここまでの荒れ具合を考えると、下りも前途多難が予想されます。気合を入れ直して下り始めます。すると、意外にも路面の状況は徳島県側より良好です。途中、3ヶ所ほど崩落後と思われる荒れた短い区間がありましたが、スピードは出せないものの、ストレスはない程度で下ることができました。周囲の植生は植林された杉がほとんどとなって、徳島側同様これといった景色はありません。大分下ってきて、川の流れが横に見えるところで1枚くらい写真を撮っておこうと立ち止まったところ、なんと右手の山からニホンカモシカが現れました。少し先で立ち止まって、こちらを見ています。まだ幼獣のようです。逃げないの幸い、位置を変えて5枚ほど写真撮影。それでも逃げないので、進むよと声をかけて自転車に乗ると、ゆっくりと川の方に降りていきました。降りた付近で立ち止まってみましたが、もう姿は見えませんでした。そうそう、徳島県側では、猿の姿が多いところがありました。
立ち止まって振り返るカモシカ
 写真:下右は小石川橋。魚梁瀬ダム湖を渡る橋ですが、この手前まで未舗装で、未舗装区間は10qほどでした。その少し手前に小さな吊り橋がありました。事前に地形図で南手の山を走る道を見つけていましたが、そこが分岐だったようです。余裕がなくて見送り。振り返っての写真ですが、林道大木屋小石川線は右手奥です。結局、轟の滝から魚梁瀬の町まで、出会ったクルマは例の町営バス一台だけでした。
 下の3枚は、小石川橋から魚梁瀬の町までで。ダム湖の貯水量は少な目です。流れる水はずっと下方ですが、透明度は良好。右は東川橋。上述の山側の道を走ったら、ここに出てくるようです。
  
 魚梁瀬に出て、ダム完成時集団移転となった丸山地区へ向かってみます(下右の写真)。短い区間を観光目的に再走行するようになったと耳にしていた森林鉄道は、冬季休業なのか倉庫の中でした。ここからは徳島県境方向などに向かって、いくつかの道が山深く長く伸びているのですが、周回コースが取れるものはないようです(もしあることをご存じの方がおいでましたらご一報を)。意外だったのは、この付近から見た背後の山の稜線が意外と低く見えたことです。地形図で確認すると、魚梁瀬の標高は450mほど。県境の稜線は1200〜1400mくらいなので、もう少し高度感があってもいいように思えます。稜線まで距離が長いだめか、それともさらに背後に山が隠れているのか。地形図を眺めていると気持ちをそそられるのですが、今後も行ってみる可能性は極めて低そうです。
 下の写真は、魚梁瀬ダム湖の反対側にあった、この日唯一と言ってもいい紅葉です。見頃は過ぎているようですが、そのため白い木肌も目だっていい感じと思ったので、ズームアップで一枚。
 魚梁瀬の町からは県道54号線、途中から県道12号線で二又へ向かうのですが、魚梁瀬ダムのところまで一度登りがあります。標高差100m程度ですが、いつもきつく感じていました。今回は予めきついという思い込みが強かったためか、ゆっくり走ったためか、それほどきついとは感じられませんでした。登るにつれて丸山集落方面の展望が良くなってきます(写真:下左)。正午も過ぎて、気温が最も高くなる時間帯でしたが、あまり気温の上昇が感じられません。道はずっと山陰、路面は明け方には凍結でもしていたのかと思うような濡れた状態でした。道のピークは魚梁瀬ダムの真横で展望台があるのですが、全貌を見るにはもうひとつ。初めて見た時は、ロックフィル方式のダムの姿に驚いたものです。

魚梁瀬大橋(写真:左ほぼ中央)

展望台から魚梁瀬ダム
 展望台からは下り、途中で馬路方面からの県道12号線と合流します。下りなので快走です。二又までは集落が一ヶ所あると認識していたのですが、轟、島とその間にもうひとつ、三つの集落がありました。ちょうど柚子の収穫中だったようで、辺りには柚子の香りが立ち込めていました。横を流れるのは奈半利川上流ですが、ダム直下なので水は濁っています。川原の石が埃を被ったような白っぽいのは、このあたり一帯で見られる特徴でしょうか。二又には13時過ぎに到着。いつものように二股橋の写真(下右上)を撮って、国道439号線に右折。ここから先の奈半利川支流小川川の透明度は良好ですが(写真:下右中)、ここも山陰で陽が当たりません。太陽の高度が最も高い時間帯ですが、冬場なので。よく1月に室戸周りでこの道を走っていましたが、例年南にもかかわらず結構気温が低いと感じていたことを思い出しました。
 途中、蛇谷林道の分岐部(写真:上右下)を確認したりしながら、この区間いつも長く感じるのだよなあと思いながら進みます。竹屋敷の分岐には13時半過ぎに到着。可能ならここも蛇谷林道時以来16年振りに走ってみたいと思っていました。時間も脚もかろうじて可能かと思われましたが、分岐部に舗装道路工事のため時間通行止めありの標示。この日ここまで何度も同じような標示があったのですが、全て解除中でした。なのに、ここだけ「しています」。工事個所は10q程先、通行可能時間は各時00分から10分間。登り基調なので、とても14時の通行時間には間に合いません。15時になるとその後の行程が日没後にひっかかりそうです。ということで、またのお楽しみということで、毎度お馴染みにの四郎ヶ野峠へ。
 右 竹屋敷への分岐部
 中 時間通行止め規制中
 左 四郎ヶ野峠
 四郎ヶ野峠からは野根に下って、竹屋敷へ向かわなかった分少し余裕ができたので、クルマも多い国道55号線を避けて野根川沿いの県道101号線を遡ります。平坦に近い極緩やかな登りですが、なんといっても交通量がほとんどないのが良いですね。下左は広々とした雰囲気がお気に入りで、いつも写真を撮る桜並木のところ。しかし、満開の時期には未訪のままです。野根川も上流に僅かの民家があるだけなので、清流です。道沿いは大部分植林された杉林ですが、ゆっくり走るのには持ってこい。
 下左中の潜水橋・大斗橋付近で出会った大型ダンプも道を譲ってくれました。上流に向かうと道は旧道然とした趣になってくるのですが(写真:下右)、雨の降った後は水浸しであったり、荒れた天候の後では小石や小枝が散乱していることもあります。最後は少し登りがあって、猪鼻隧道を越えて下ると宍喰の町へ。ちょうどこの年の年末から営業運転をする予定のDMVが宍喰駅に停車していました(写真:下左下)。試験運転でしょうか。しばらく待っていると、東洋町に向かって出発していきました。
   
 
 野根に下った頃から少し雲が出てきましたが、それまで快晴の小春日和だったこの日、頭上にはずっと青空が広がっていたのですが走ったコースはほとんど日陰。9時間程走って、陽が当たっていたのは通算で2時間もなかったくらいでした。林道大木屋小石川線はそれほど見所がある道ではないと思いますが、県南で数少ない徳島県と高知県を結ぶ道。忘れた頃に訪れるのにはちょうど良い道だと思った今回でした。しかし、周回コースは距離もあって、4回目はないように思えます。

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