林道大川原旭丸線 その周辺の道
 2000年代前半には、ヒルクライムの練習として年に何回かは登っていた大川原高原(以下、大川原と略)。初めて訪れた時の記憶がはっきりしないのですが、確認すると石楠花が咲いていると耳にして未舗装の荒れた急勾配の道が強烈な印象として残っている徳円寺を訪れた時(1979年6月)に大川原に周っているらしく、これが初訪のようです。しかし、全く記憶に残っていません。大分間が開いて2001年12月に再訪しているようですが、はっきり写真にも残っているのは2002年7月。まだ営業運転ではなかった試験用の風力発電用の風車(以下、風車と略)が写っています。そんな風車が稜線に沿って西へ増設されるために整備されたのが、現在の林道大川原旭丸線です。以前から未舗装路があって、2015年11月には林道梅ノ木線へと下っています。その先へ足を延ばしたことはなかったと思いますが、逆に四国の道を伝って柴小屋から大川原、さらに婆羅尾峠までは2006年4月に山道をよく知った方達の案内で走ったことがあります。今回は、その逆で東から西へ向いて通行可能な区間を走ってきました。 (2022年11月30日 記)

林道大川原旭丸線・標高900m前後の稜線を行く (2022.11.12)
 コースは下図の通り。県道21号線で神山町鬼籠野へ向かい、そこから林道元山大槻線で大川原へ。大川原からは、既に貫通しているらしいものの、まだ柴小屋手前で通行止めだった林道大川原旭丸線を通行止めのところまで走って、その手前から神山から柴小屋へ至る道の途中に繋がる未舗装路を下ります。林道大川原旭丸線の一部は Ride with GPS では引けなかったので概略です。
 
コース  徳島−林道本山槻地線−林道大川原旭丸線−神山−徳島
走行距離  65q   積算標高 1400m
最高地点  林道大川原旭丸線ピーク  標高1100m
走行日  2022年11月 6日・12日 天候:晴れ GIANT CONTEND

2006年4月9日 四国の道
 県道21号線で神山方面へ向かいます。短い距離ですが、養瀬トンネルのところは神山側から下って来る時もいつも旧道を走っています。横を流れるのは、鮎喰川支流鬼籠野谷川。地形図を確認すると、この支流の源はこの日走っていった林道元山槻地線の上方にあたるようです。立派な高架橋とトンネルでクルマには快適な道になりましたが、この狭い旧道、ちょっと前のことですが路線バスが走っているのに遭遇して驚いたものです。
 鬼籠野で国道439号線に左折。新府能トンネル手前で、写真:下右上の標示のところを元山方面へ右折。ちゃんと大川原高原・13.5kmの標示も出ています。すぐにある中津川集落を過ぎると杉木立が続く小さな川沿い(鬼籠野谷川)となります。前週に走ったばかりのコースなのに、ここに杉林なんてあったっけ。既に記憶が曖昧です。ところが、その先にあった1本のミツマタは記憶に残っていました。記憶とは不思議、それとも老化現象でしょうか。元山集落集会場に突き当たって左折。道路壁面に←大川原・立岩神社の手書きの案内が出ています。下左の写真は、元山集落で西へ振り返って。一番奥に見えるのは、方向と山容から剣山でしょうか。

国道439号線からの分岐部
 神山から大川原に至るこの道は何度も下っているのですが、登った記憶はほとんどありません。自転車仲間からは、佐那河内(林道大地の森線)からと異なり、神山から登るのは勾配が緩やかで楽だと聞いていましたが、下っているとそれほどにも思えませんでした。しかし、登ってみると確かにその通り。10%を越える坂はほとんどありません。気持ち良く登れるのですが、ほとんどが杉林の中で道周囲の景観は単調です。展望も極一部である程度。一ヶ所焼山寺山と山肌に焼山寺が確認できるところがありました。林道元山槻地線起点の標示は、結構登ったところに現れます。1本道なのですが、そこまでの道は町道でしょうか。
杉林の中がほとんど 林道元山槻地線起点 焼山寺山と焼山寺 立岩神社の鳥居
 途中の立岩神社に立ち寄りました。国道439号線の分岐からは6q少々で、ちょうど大川原までの半分です。鳥居をくぐって幅1mばかりの道を200mほど進むと、数本の石楠花の上方に大きな岩と小さな祠。言われについては、林道との分岐部に詳細が記された案内板があります。
 立岩神社からの後半も登り道が続きますが、勾配は前半より緩やかです。一部下り区間もあります。紅葉ももう終わりに近づき、路面には多数の落ち葉。進んでいくと、旧府能トンネル佐那河内側から登って来る道が合流する地点に、林道元山槻地線終点の標示がありました。
 
左・上 林道元山槻地線 後半
右   林道終点の標示
 そこから2q程で林道大地の森線に合流するのですが、その手前では風力発電風車の姿が見えるようになってきます。一方、左手谷筋には、上流にも関わらず豊富な水量の谷川。これが鬼籠野谷川の源でしょうか。
 
 最近一方通行になってしまった、頂上広場前後。ヒルトップハウス方面から最後のきつい坂を登ると頂上広場です。下6枚・広場からの眺望写真は11月6日のものです。6日はスタート時の山頂付近は雲の中だったのですが、到着した頃には晴れ渡ってきました。待っていたのは、思わぬ好条件の眺望。何十回と登ってきた大川原ですが、これまでで一番かもと思えるくらいすっきりとした見晴らしでした。写真:下右、眉山の西側を蛇行する鮎喰川。遠くに鳴門大橋、淡路島の風力発電風車群もはっきり見えています。
 下左の写真は、真北からやや西へ。吉野川沿いの平野と阿讃山脈。その後方には小豆島が見えています。下右はほぼ真北、神山森林公園の向こうは吉野川を挟んで讃岐山脈・大坂峠付近で、その上に播磨灘を経て播州地方の海岸線・工場群も確認できました。直線距離で90qほど。
 写真:下左、眉山山頂から鳴門海峡を隔てて、淡路島・福良の街もはっきり見えます。その上は南あわじ市の町並みでしょうか。尖った山は先山? 写真:下右、そのまた右手。沼島が見えていて、その後方に友ヶ島と加太付近。全てコンデジです。登る時にはとてもこんな光景が見られるとは思っていませんでした。もう何十回も見ている景色ですが、これほどいい条件だと見飽きることがありません。肌寒くなってくるまで見入っていました。
 さて、ここからは林道大川原旭丸線です。夏場には牛が放牧され旭ヶ丸へ向かう道との分岐部(写真:下左端)に以前からある案内板には林道起点とあるのですが、足元のこの後100m毎にある距離標示には起点から500m余の数字が書き込まれています。本当の起点は何処でしょう。また確認しておきます。進み始めると、まずは結構な勾配で下っていきます。下り切って登り区間をほぼ登りきるまで、舗装されてさほど時間が経っていない綺麗なアスファルト舗装です。2015年11月に走った時は、この付近は大きな石がゴロゴロしていて走りにくかった記憶です。また下りになって進んでいくと、林道梅ノ木線の分岐部。道はコンクリート舗装に変わっています。
林道大川原旭丸線 起点? 林道梅ノ木線分岐部 コンクリート舗装 梅ノ木峠の標示
 ところで、国土地理院地形図ですが、下図のように梅ノ木林道から西側の一部は記載がありません(2022年11月末の時点)。林道大川原旭丸線は、総じて尾根近く標高900m前後を100m弱のアップダウンを3回ほど繰り返しながら、東側からだと最初は尾根筋の南側、そして途中から北側となって、その後また南側を進んでいきます。
 下左の写真は、林道梅ノ木線分岐部より西側にある梅ノ木峠から振り返って。右手が走ってきた林道大川原旭丸線。左手奥に四国の道が伸びています。2006年に走った時は、こんな走りやすいところが何ヶ所かありました。進んでいくと、何度か四国の道の案内標示がありましたが、林道大川原旭丸線の延伸で分断されてしまったように見えます。写真:下右、稜線の北側では、雨が降ったのが随分前にも関わらず路面は浸みだしたらしい水で濡れていました。もう少し時期が遅いと凍結間違いなしです。
 道沿いは杉林が多いのですが、一部雑木林も見られます。所々の法面は、伐採された木材を利用したと思われる木で補強がなされています。下右の写真は、尾根の北側を走る区間から眺めた光景です。神山・大埜地付近で東から北に流れの向きを変える鮎喰川が見えています。山肌には宮分や府中、松尾の集落も見えています。
 北西方向には、焼山寺山と焼山寺。後方には高越山が見えています。南側斜面を走る部分も半分以上あるように思うのですが、南方の景色が見渡せるところは、あまりなかった記憶で印象に残っていません。各風車には林道から分岐した道がついているのですが、いずれも分岐部で関係者以外通行止め。
 写真:下左は大分進んだところで振り返って。風車が一番沢山見える場所です。意外とこんな場所がありません。写真:下右、こんな感じの杉林を伐採して作った道が続きます。途中で私を追い抜いて行った軽四が戻ってきて擦れ違い様に停車したのは、この付近でした。「何処まで行くのですか」と聞かれ、立ち話となりました。その人の話では、林道大川原旭丸線は9月に柴小屋方面まで貫通していて、知人が走ってきたというのでやってきたとのことでした。この日は途中でダンプカーが道を塞ぐようにして通行止めになっていたので引き返してきたとのこと。既に柴小屋まで繋がっていたとは初耳でした。
 自転車ならダンプカーの横をすり抜けられるかもしれませんが、その通行止め地点まで走って引き返そうと決めました。一番の目的は、神山−柴小屋への道へ下る未舗装路を走ることでしたから。写真:下左、西側最後の3つの風車が見えるところ。後方の稜線が柴小屋です。ここから下ったところに未舗装路への分岐点(写真:下右下)があります。そこからまた登り坂となって1qほど進んだところで、話に聞いたダンプカーが停車している通行止めの地点に到着。ここまで来ると、柴小屋の稜線はすぐそこに見えています(写真:下右上)。来年には正式な開通のアナウンスがあって、ロードバイクでも周回できるようになるでしょう。
 通行止め地点から引き返して、分岐から未舗装路に下ります。分岐部には四国の道の標示があって、柴小屋2.7q・大川原高原9.5qと記されています。上の写真、左手奥に見える暗い森の中へ進んでいきます。最初は写真:下左のような踏み固められた極上の未舗装路で始まります。周囲は一面杉林ですが、下枝は取り払われており、密生している割に陽光も入って比較的明るい雰囲気です。しかし、100mも進まないうちに路面は石ころだらけに。写真:下右の付近は階段状に木材が敷かれていました。前週に初めて下った時は、この付近からお手上げの状態でしたが、再訪してみると、そこそこ乗車出来る部分もありました。下左のような踏み込まれたところも短いものの2か所ほどあります。
 下左の写真は、北東に下っていく道が最初に迎える左コーナーです。途中、コンクリート舗装のところも極僅かの区間ありますが、いきなり大きな窪みがあったり、他のところ同様大きな石がゴロゴロで、未舗装部分以上に注意を要します。とにかくサイドカットなどしないように、慎重に無理をせず。危なそうと思ったら、すぐに下車の繰り返しです。登り勾配がきつすぎて止まるとビンディングを再度入れることができない急坂を時に経験しますが、この道は下りでも一端外すとビンディングを入れるのにも一苦労です。

右コーナー、折り返し
 下左の写真は、次の右折コーナーです。左上から下ってきて折り返して左奥下へと進むのですが、沢の水が道路を横断しています。下右の写真は、さらに下っての一枚。ここは左奥に折れるのではなく、手前に直進です。確認できた分岐は、この2か所ですが、迷うことはないと思います。大きな石がゴロゴロあるので、ペダル・クランクを軸に自転車を立てて写真を撮るのに苦労することがありません。写真の通り、ずっと杉林ですが、時に残った落葉樹があって黄色く染まった葉が路面を飾るところが極一部でありました。
 もう一ヶ所、谷筋の水が道路を横断しているところがありました(写真:下左)。大雨が降ると、上方からの土砂が流れてきて通行不能になること必須と思われます。四駆の車でも走るのは大変かと思われますが、オフロードバイクと思われる比較的新しい轍が確認できました。自転車で登るのは、MTBでもかなり厳しいでしょう。下右の写真は、神山から柴小屋への道との合流部。このすぐ上は短いコンクリート舗装の部分あります。分岐部をこちらから見ると、とても進んでみる気になりません。この道を下ってみる気になったのは知人から下ったという話を聞いて道が繋がっていることが確認できたからなのですが、その話を聞いてなければ走ることはなかったと思います。
 林道大川原旭丸線から神山−柴小屋への道に出るまで僅か2.5q、標高差300m。比較的整備された杉林が続いているので、今後も林業関係の方が利用するのかもしれませんが、そうでなければ林道大川原旭丸線が全線開通すると誰も通らなくなって廃道になること間違いなしと思われました。私も、もう一度訪れることはおそらくないと思います。

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