森林管理道・羽根線  
 林道東又佐喜浜線を走った時、羽根川沿いで装束峠方面へ通じるらしい分岐を見つけました。ひょっとしたら蛇谷林道を走った時の最高地点辺りに通じているのかなと思って後日地形図を見ると、確かに蛇谷林道を走った時の道に繋がっているように見えます。いつか、その道を走ってみようと画策していたのですが、今回いつも一緒に走ってくれるすーさんを巻き添えにして走って来ることができました。少ない事前情報から、かなり荒れているように予想していたのですが、訪れてみると意外と走り良い道でした。周囲の光景も羽根川をはじめとして、とても楽しめる道です。 (2021年 3月18日 記)

森林管理道・羽根線にて (2021.03.14)
 走ったコースの概要は、下図参照。吉良川の町外れをスタートして、羽根川沿いを遡り、森林管理道・羽根線へ。最高地点の電波塔まで登った後は、宿屋杉に立ち寄り。その後は野川林道で下る予定でしたが、途中で通行止めのため、須川林道から池の川原林道を経由して、再び野川林道へ出て下りました。未舗装区間も予想していたより路面状況はずっと良かったです。未舗装区間は、ざっと25q程です。未舗装区間を含めて40q余の間には自販機さえありません。
 ところで、森林管理道とは聞きなれない言葉です。調べてみると、いわゆる林道はその機能によりいくつかに区分されているそうで、その骨格となる路線が森林基幹道と呼ばれるそうです。いつも走っている林道の大部分は、これに当たるのかもしれません。森林管理道・林業専用道は、基幹道を補完する役割を持つ林道だそうです。さらに、その下に森林施業道と呼ばれる林道があるそうです。
コース  吉良川−羽根林道−森林管理道羽根線−田川林道−電波塔−宿屋杉−田川林道−須川林道−池の川原林道−田川林道−奈半利−吉良川
走行距離   70q (未舗装区間 25km)   積算標高 1100m
最高地点   電波塔直下  標高1087m
走行日   2021年 3月14日  天候:晴れ  CX    同行者 すーさん・フルサスMTB
 徳島を午前5時過ぎに出発。デポ地まで130q。休日早朝なので順調に走れて、7時半過ぎにはデポ地に到着。前日は雨後で大気の条件が良かったのですが、徳島・高知県境を越え野根も過ぎた辺りから見えた室戸岬方面は予想外に靄っていました。この日一番の眺望が楽しめると思っていた電波塔付近からの眺めも期待薄のようです。午前8時前に吉良川の町外れをスタート。まずは国道55号線を羽根まで。国道沿いは黒耳(くろみ)のビワとして有名なビワの産地。至る所に1個1個丁寧に袋掛けされたビワの木が並んでいます。残念ながら写真なし。下左から2枚目のすぐ先、羽根川手前で右折します。行く手に見えるのは羽根岬。
 確か林道東又佐喜浜線を下ってきた時、この付近の水田は水が張ってあった記憶です。クルマで移動中阿南辺りでも田圃に水が張られていたので、こちらでもそんな光景が見られるのだろうと思っていたのですが、まだ水は張られていませんでした。林道東又佐喜浜線の走行日は3月17日で僅か3日の違い。数日以内に水が張られるのでしょう。羽根川沿いに入ると、記憶通りの一車線の旧道です。始めこそ時にクルマが通りましたが、その後は皆無。路面に多少の小石は見られますが、勾配も緩く、左手を流れる羽根川を眺めながら遡っていきます。この日の最高気温は16℃くらいまで上がる予報でしたが、早朝で山影の道は思ったより寒く、しばらくは冬仕様で進みました。
 羽根川沿いの最後となった民家を過ぎるところに、林道羽根線の標示がありました(写真:下左)。ここからは、さらに雰囲気がよくなります。勾配は相変わらず緩やか。新緑の姿はまだですが、ガードレールもほとんどなく、電柱・電線がないのが特にいいですね。吉野川系の青石を見慣れた目には、白茶色っぽい川石は色彩的には魅力が少し劣りますが、川の水は量もあるし、透明度も高いです。海抜ゼロから一気に標高1000m付近に登ると思っていたすーさんには、アプローチが長いことが予想外だったようです。目指す山は、かなり奥に行くまで視界に出てくることがありません。
 
 上:立ち止まって羽根川を眺める
 下:歩行者用吊り橋
 
 そんな道(写真:下右)を楽しみながら、羽根川河口から約15q。林道東又佐喜浜線走行時に確認していた橋とその分岐に到着したのは9時15分頃。そこ(標高250m)から最高地点・標高1000mまで予定では約13qです。以前にオフロードバイクが下る動画を目にしたことがあったのですが、2017年に撮影したらしいその動画では路面は全面未舗装で結構荒れているように見えていました。ところが、橋を渡って左手・森林管理道羽根線へ進むと(写真:左下)、意外にも真新しいアスファルト舗装が続いていました。勾配も緩やかなままです。
上:佐喜浜への分岐手前の橋(奥)
下:左・森林管理道羽根線 右・佐喜浜
 私の事前情報に戦々恐々としていたすーさんは、後半どうなることかとかなり自重の走りです。いつまでこの快適な舗装路が続くのかと進んだところ、分岐から2qほどのところで未舗装となりました。それでも路面状況は上々で、勾配もさほどきつくはありません。まだまだ余裕を持って走れる程度でした。ところで、森林管理道羽根線までにも何度も目にしたのですが、進む先の路面が何らや鮮やかな緋色に染まる処がありました。近づくと、落花した椿です。写真:下左のようなところが何か所もありました。羽根川は橋の手前で2本に分岐しているのですが、水量は衰えずに流れています。写真:下右上、左手に滝と渕があったのですが、うまく全容を捉えられるポイントがありませんでした。
 上:左手には小さな滝
 下:約2qで未舗装に
 未舗装とは言え、クルマもそこそこ入っているようで、写真:下右のように轍の部分は結構踏み均されています。近いうちに舗装が延長するのかもしれません。羽根川の水量は相変わらず多いのですが、川面が見える部分はあまりありません。クルマも全く通らず(森林管理道羽根線に入ってすぐ道脇に停車していた軽自動車1台のみ)、渓流の水音に時折混じる野鳥の囀りを耳に快適なサイクリング。この程度の道状況ならロードバイクでも可能だったかも、と思ったりしたくらいです。
 上:快適な未舗装路
 下:再びアスファルト舗装に
 そんな未舗装路を2q程進んだところで、また真新しいアスファルト舗装になりました。何処かに施工年月日を記した碑がないかと路肩に注意していましたが、何処にも見つけることができませんでした。舗装後まだ1年も経っていないような感じです。まさか、このままアスファルト舗装で最後までなんて甘いことはないだろうなと思いながら進むと、また2q程で未舗装となりました(写真:下右下)。舗装・未舗装に関係なく、周囲の植生はほぼ同じ。落葉樹もあれば常緑樹もあり、シダ類も結構生えています。山全体としては杉林が圧倒的に多いのですが、谷沿いでは雑木が続きます。何より、上述のようにガードレールがほとんどなく、電線・電柱もない、後で写真を見直して、つくづく余分なものがない光景の価値に気付きました。
 河口からずっと羽根川の左岸を走ってきましたが、写真:下左下の西又橋を越えると今度は川の右岸を進みます。西又橋には昭和46年竣工と記されていたので、結構古くから道はあるようです。橋を越えると路面状況はやや悪化、勾配も少しきつくなってきます。全体として北東方向へ進んできた道は、ここから北西へと向かいます。
 左上:右岸を遡る
 左 :西又橋(昭和46年竣工)
 上 :枝打ちされた杉林
 右 :路面は次第と荒れてきた
 概して狭い谷なので、写真:下左のように川面が路面と高低差がなく、一画面で捉えることのできるところは、あまりありません。道はそれなりに見えますが、前半よりもひとつひとつの石ころは大きくなって勾配も少し増しています。地形図を見ると、北西に進む道が東へと方向転換するところで、また川を跨ぐようです。さっきは西又だったので今度は東又かなと思っていたら、西股橋でした(写真:下右下)。又と股の違いは何なんでしょう?
 上:こんな広い部分はここだけ
 下:西股橋
 西股橋からは川を離れて山肌をトラバースしていきます。写真:下左、振り返ると目的地に近いと思われる稜線が漸く視界に入ってきました。標高700m程、この少し先から木々の間に登ってきた羽根方面の山の連なりを見ることができました。おそらく土佐湾も見えているはずですが、靄っていて水平線もわかりません。写真も撮っていますが、すっきりしないのでアップなし。西股橋から1qほど進んだところで、道はUターンして再び北西方向へ。下右の写真のように路面はさらに荒れてきて、勾配もきつくなってきました。
 
 この付近から野根山街道との交差点までが、最もきつかったです。最初からこんな道だと、早々に心折れていたこと間違いなしです。登っていくと、この日唯一の崩落部位がありました(写真:下左下)。見上げると、今にもさらに崩れてきそうな山肌が露出していました。ピーク近くからは南方向に羽根から室戸方面の眺めが開けた地点がありましたが、相変わらずの靄で海は確認できません。正午ちょっと前に野根山街道との交差部・稜線に到着しました(写真:下右)。ちょうど反対側からオフロードバイクがやってきて、そのまま森林管理道羽根線ではなく、南側の道へ進んでいきました。その道、地形図では行き止まりになっていますが、何処かへ抜けられるのでしょうか。
 左上:勾配はきつくなって
 左 :唯一の崩落箇所
 上 :羽根・室戸方面のやまなみ
 右 :野根山街道との交差部
 野根山街道との交差部・稜線から200mほど急で荒れた道を下ると、野川林道との合流点です(写真:下左)。右上から下ってきました。ここから野川林道を蛇谷林道との接合点まで走って、この日の最高地点・電波塔へと向かいます。この区間は前回走っているはずですが、もう16年も前のことで全く記憶に残っていません。道は意外と広く、路面もよく踏み込まれていて上々でした。写真:下右のカーブを回るところで、前方稜線上に電波塔が見えてきましたが、写真では白飛びして写っていません。
 
 蛇谷林道と田川林道の接合点の少し手前に、西側の展望が広がるところがありました。ただ、先程から述べているように、靄がかって見晴らしは良くありません。写真:下、南西方向、ボンヤリと見える町は田野の市街です。本来なら、その向こうに土佐湾、さらに高知市を越えて須崎方面辺りまでは十分見えるはずなので残念でした。当初予定していた野川林道は手前の谷筋を下ります。余力・余裕があれば、その奥の尾根筋近くを走る野川林道34支線を回ってみるつもりでした。
 そこからすぐのところが、野川林道と蛇谷林道の接合点です。そこから折り返すように電波塔への荒れたコンクリート舗装の道。ここは記憶に残っていました。周囲にクマザサが繁っていることも記憶通りでしたが、背丈以上ほどもある高さ。こんなに高かったかなと蛇谷林道の写真を確認すると、クマザサはもっと低く、今回のような雑木(落葉していますが)の姿もほとんど見えません。写真:下右上の付近では背後遠くに剣山が見えた筈でしたが・・・。
 到着した電波塔直下・この日の最高地点からも、これも記憶通り全く展望がありません。手前の広場ではアマチュア無線を楽しんでいる人がひとり。ところで、ここはこの室戸岬付近で最も標高がある(1087m)地点なのですが、どの地図にも山名がありません。装束山という名を見つけたのですが、これは装束峠の東側にある標高1083mのピークを差すようです。どなたか山名をご存じなら、お教えください。
 左:上:右上
  野川林道終点から電波塔へ

 右 :電波塔直下の案内板前で
 電波塔付近は全く見晴らしがないので、先程の田川林道沿いの展望ポイントまで下って一服。下の写真は、西へ向いて。以前にすーさんと走った香美付近の山々や2年程前に走った猿押林道付近の山も見えているのではないかと思われます。剣山はほぼ真北で、写真の右手。左手には土佐湾・太平洋が広がっているはずですが・・・。
 一服の後、野川林道を戻って宿屋杉に立ち寄ってみました。前回の記憶では野川林道(須川林道と間違って記載)沿いに標示があって、そこから藪道を野根山街道まで自転車を担いだ記憶でしたが、今回は野根山街道との交差部から下ってきた森林管理道羽根線と野川林道と交差するすぐ上から登る道がありました(写真:よっつ上左)。前回、野川林道から分岐する森林管理道羽根線の記憶は全くないのですが・・・。それはとにかく、自転車を押していくと、300mほどで宿屋杉に到着。さすがに初めて見た時ほどの感動には比べる余地がありませんが、初めてのすーさんは私が期待した以上に喜んでくれました。奥には、確か以前には気付かなかった折れた上方部と思われる幹が横たわっています(写真:下右、すーさん左手)。以前に見た在りし日の写真(室戸台風で倒れる前)は無くなったようで、見つけることができませんでした。それにしても、宿屋杉、随分とすかすかした感じで、支えもありますが、いつまでこの姿を保っていることでしょう? 周辺の地面に生え広がる多種の苔の美しさも以前同様、この季節でも鮮やかなライトグーンで輝いていました。
 
宿屋杉
 野川林道に戻って下っていきます。道幅は森林管理道羽根線より若干広く、未舗装ですがシクロクロスでもそこそこ下れる路面でした。下っていくと、西に向かっていた道が東に向かうコーナーのところに、黄色いテープで通行止めの標示。さらにすぐ下に写真下左のような通行禁止のロープ。ただし、どのあたりでどうなっているのかという詳細情報は一切示されていません。かなり下ったところで引き返すとなれば大変です(宿屋杉の時点で野川林道34支線は諦めていました)。ちょうどその手前に分岐があり(写真:下中、奥から下ってきて手前が通行止め)、右手奥は須川林道のようです。通行止めの標示はなく、途中からは以前と同じ道(もちろんほとんど記憶なし)になりますが、そちらへ進む以外に選択肢はありませんでした。野川林道と同じような路面の道を下っていたところ、すーさんがパンク。この日唯一のアクシデントでした。
  
 チューブ交換後も同じような道を下っていくと、また分岐がありました(写真:下左)。今回、当初の予定コースは地形図を印刷して持っていたのですが、須川林道方面はコース外だったので手持ちなし。文明の利器スマホで確認すると、左手の道は野川方面に繋がっているようです。ちょうどその時、電波塔下でアマチュア無線をしていた軽自動車が下ってきて、分岐で少し逡巡した後そちらへ下っていったので、私たちも追従しました。地形図では1本実線だったので道は細くなって荒れているかと危惧していましたが、須川林道と変わらない状況でした。むしろ、南斜面のためか陽光も差して明るく、前半は緩やかな下りで走り良かったです。前後フルサスのすーさんはあっという間に姿が見えなくなってしまうので、写真は道下の1枚のみ。
 下り切ると、仮設のような橋で野川を渡ります。そこに標示があって、下ってきた道が池の川原林道という名前であることを知りました(写真:下中、後輪のところの標示)。野川林道に合流するのですが、こちらも通行止めの標示。ここには、そこから500mの地点で通行止めである記載がありました。余裕があればちょっと覗きに行くところですが、そのまま野川林道を下ります。川幅が少し広がりますが、自然な姿が保たれたままの川沿いの道は、反対に遡ってみたいと思わせます(写真:下右上)。最初の民家が現れるとアスファルト舗装となって川周囲には田畑も現れ、それまでの自然体に近い光景は失われてしまいました。
 左 :野川から電波塔を
 上 :野川林道起点・通行止め
 右上:野川の流れ
 右 :吉良川の街並み
 奈半利に出て、最後は予想通り向かい風の国道55号線。日曜日だというのに大型トラックも結構数多く走っていて、そこまでの気持ち良さが全くなくなってしまったのですが、回避する脇道はほとんどありません。デポ地に到着したのは15時半くらい。最後に吉良川の街並みを往復。ここも電柱の地中化だけでもできれば、随分と見え方が異なると思うのですが。帰路は徳島市内手前から混雑するかと懸念していましたが、それほどでもなく、3時間弱で帰宅することができました。適度な勾配と未舗装ですが荒れ具合も少な目で、周囲の光景も楽しめる余裕を持って走ることができました。山頂付近からの眺望は、靄っていたために期待していたようには望めませんでしたが、それを補って余りあるコースでした。電波塔、3度目はあるでしょうか?

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