高の瀬峡からジロウギュウへ
 Kazさんから、10月末に高の瀬峡から槍戸・山の家まで剣山スーパー林道を自転車で登って、そこからジロウギュウへ登りませんかというお誘いを受けたのが、10月半ば。同じ徳島県内と言えども、高の瀬峡までは徳島市内から100q余。なかなか向かう機会はありません。ましてや南側からジロウギュウに登ろうというのは、またとない機会。即答で行きますの返信を送りました。ゆるゆるでお願いしますの但し書き付きで。ジロウギュウに登ったのは、名頃から丸石避難小屋に登って、ジロウギュウ〜剣山と縦走して以来。何時だったかなと記録を確認すると2015年、6年も前でした。つい先日だったような記憶だったのですが。 (2021年12月14日 記)

高の瀬峡から剣山スーパー林道でジロウギュウ(右上)へ向かう (2021.10.30)
 右の地形図は、高の瀬峡レストハウスから真っすぐ北へ向かう剣山スーパー林道がふたつの大きなコーナーを経て東に向きを変える後半から、剣山トンネルを抜けたところにある槍戸・山の家、そしてそこからジロウギュウに至る徒歩道(破線)の範囲を示しています。ちょうどに2015年に歩いた丸石避難小屋からジロウギュウまでの縦走路(稜線の道)が入っています。
 レストハウスの標高が約510m、山の家が標高1520m、ジロウギュウ山頂が1930mなので、自転車で1000m登って、徒歩で400m登る計算です。
コース  レストハウス−槍戸−ジロウギュウ山頂往復−レストハウス
走行距離   35q+4q   積算標高 1000m+400m
最高地点   ジロウギュウ山頂  標高1930m
走行日   2021年10月30日  天候:晴れ  GIANT CONTEND
 Kazさんは午前9時集合と提案されたのですが、脚力に自信の無い私は少しでも余裕を持てるようにと午前8時集合でお願いしました。Kazさんは、谷に陽が入る時間を考えていたことを後で知りました。市内から100q余。高速道路はありませんが、交通量は少なく、信号もほとんどない国道195号線。所要2時間少々とみて、午前6時前に、一緒に走るふくてんさんをピックアップして、道中楽しくお喋りしながら向かいましたが、それでも遠い。天気は快晴、高の瀬峡に入る手前くらいから紅葉した樹が目に入るようになってきました。ちょうど8時にレストハウスに到着。Kazさんは既にアップ中。準備をして早速剣山スーパー林道を走り始めます。谷筋に沿う道はまだ日影で寒いくらいでしたが、初っ端から対岸に見える山肌の紅葉ななかなかいい具合です。
 残念ながら、毎度のこと以上に写真の発色が良くないです。実際はもっと鮮やかでした。空の色も同様。谷底を流れる那賀川最上流、まだまだ陽が当たっていません。意外と川面を確認できるところは少なかったです。登り始めは、対岸・西側は稜線(石立山標高1707mなど)までの標高差が1000m以上で、山容の迫力が圧倒的です。
 ところで、剣山スーパー林道のこの区間は長らく通行止めになっていました。遠いこともあるのですが、前回走ったのは2006年10月ですから、なんと15年振り。その時は、一応レースだったし、しかも雨の中だったこともあって、道の状況はほとんど記憶に残っていません。そのため、走り始めてまもなく下り区間があることにも驚いたくらいです。
 那賀川に沿って、北上
 Kazさん、ふくてんさんに比較して私は走力が劣るので脚を引っ張って申し訳ないと思っていたのですが、幸いお二人ともサイクリングペースに手加減してくれた上に、随所で写真撮影目的で立ち止まること多数。おかげで、なんとか大きく遅れることなしに付いていきます。
 紅葉はちょうど見頃、道沿いに大きな樹はなく雑木ばかりですが、いい色付き具合です。上述のように、この道、まずは北へ向いてまっすぐ登っていきます。しばらく走ると、前方にジロウギュウ山頂付近が見えてきました(トップ・下右上の写真)。青空とのコントラストが素敵です。
 
 写真:上右下の少し奥で、道は一度大きく左に折れて西方向に進むようになります。下の2枚は、その区間です。小さくて分かりにくいですが、下弦の月が青空に浮かんでします(写真:下左)。右は、振り返って見た谷筋。
 3q弱くらい西向きに走ると、右手に大きくカーブ。ここからはジロウギュウ直下の槍戸に向かって東へ進むようになります。下左の写真、実はこの右手のほうが絵になると思って先に行っていただいたのですが、撮った写真はこちらのほうがいいように思われました。さらに進むと、遠くに見えていた稜線が随分と近くなってきました。上方の木々は落葉している姿が多くなってきて、さらにその上は森林限界を越えてクマザサの原となっています。立ち枯れの樹も点在しています。
 下の写真は、上の地形図全体がよくわかるかと思われる一枚。以前に歩いた稜線から右上にジロウギュウ。稜線の下をトラバースする剣山スーパー林道。ゴールの剣山トンネルは、写真の右手に切れています。もう少しのように見えるのですが、まだ7qくらい残っています。全線を走った後の道の様相から、長らく通行止めになっていた原因の崩落箇所は、このあたりかと思われました。
 ジロウギュウ山頂を見上げなくてもいいくらいのところまで登ってきました。ところで、この日KazさんはMTB、ふくてんさんは32Cのシクロクロス、私は一応メーカーのカタログではロードに分類されている32Cのタイヤ。前を走る二人を後から見ていると、お尻が飛び跳ねているシクロクロスに比べるとMTBはやはり安定しています。登りでそれですから、下りの違いは言うまでもなし。
 ひとつ上の写真では、勾配はあまり無いように見えますが、実際に進んでいくと7〜8%くらいの坂が続きます。未舗装路なので、アスファルト舗装よりいつもの感覚よりきつく感じます。進むとジロウギュウ山頂は見えなくなってきました(写真:下右)。
 漸く剣山トンネルに到着しました。周囲の紅葉を楽しむために何度も立ち止まったこともありますが、約17q、標高差1000mに3時間余りかかりました。写真:下左は振り返って走ってきた道。稜線の左手奥には三嶺が頭を出していました(写真:下右上・ズームアップ)。トンネル点前には、那賀川源流の碑があります。この碑を見るまで、那賀川の源流は南方向に分岐する千本谷筋かと思っていたのですが、改めて地形図を見るとジロウギュウ直下(北)へ向かう川筋も千本谷方面と同じくらいの長さがあり、こちらのほうが分岐後の川幅も広く標示されていました。
 トンネルを抜けたところにある奥槍戸・山の家で昼食休憩後、靴を履き替えてジロウギュウへハイキング開始です。この山の家周辺からジロウギュウへの登り前半には、そこまでに見られなかった大きな落葉樹が多数見られます。標高だけではなく、風が当たりにくいためでしょうか、それとも何か別の要素があるのでしょう。そんな落葉樹が点在する明るい林の中を気持ち良く歩いていきます。
 左・上 広葉樹の中を登る
 右   奥槍戸・山の家、玄関
 少し進むと、足元にはクマザサが目立つようになってきました。左手遠くには、また三嶺の姿が確認できます(写真:下左の左奥)。山の家はあっという間に、眼下に遠ざかっていきます。
 左  左奥に三嶺
 中  直下の剣山スーパー林道
 右  南東に向いて、剣山スーパー林道
 落葉樹だけではなく、樅ノ木かなと思われる大きな常緑針葉樹も所々で見かけます(写真:下右)。木々が密生していないので明るく、気持ちも軽やかにしてくれます。写真:下中は途中で東側の展望が広がったところ。左手は槍戸山からの稜線です。右手に横走する剣山スーパー林道は、この後木沢方面への道と分岐して、この稜線の裏手へ回っていくようです。登っていた時には、その方向感覚がはっきりしませんでした。
  
 写真:下左は、上中の稜線付近のズームアップ。高城山など剣山スーパー林道が東に向かって進むところはこの後方に隠れているようです。そこから少し進んだところで、眼前に森林限界と思われる木々の姿がなくなってクマザサの斜面が見えてきました。事前に地形図を見ていて、斜面恐怖症の私にとっては鬼門かなと思われていた斜面をトラバースするところです。お二人にも、もし脚が竦むようなら途中で止めて待ってますと宣言していました。
 ところが、実際に進んでみると、立ち枯れの木や針葉樹も残っていて、危惧していたような高度感もなく進むことができました(写真:下左)。ところが、先を見ると、道は稜線のところで方向を変えて、そのまま稜線を登っていくようです。あそこはヤバイかも・・・。そこにやってきました。予想通り。普通の人にはなんてことはない道でしょうが、ちょっと不安な斜面です。おまけに道表面には滑りやすい小石が浮いています。先に進む人の足元を見ながら、なんとかクリア。登るのはいいけど、下りは・・・。下右の写真は、その斜面を無事登りきって一段落できるところに到着して振り返ったところ。手前の向こうに登ってきた道が続いているのですが、角度があるの見えません。
 そこからは勾配も少し緩やかになって、まず右手・北側に剣山が見えてきました(下の写真)。ジロウギュウとを繋ぐ道もはっきり見えています。左手の伸びる稜線の奥には丸笹山、さらに奥に讃岐山脈が見えています。讃岐山脈と剣山の稜線とクロスする麓に街並みが薄っすらと見えていますが、地形図で確認すると脇町付近のようです。予想していた以上の光景です。写真ではわかりませんが、讃岐山脈を越えて香川・白鳥付近や小豆島も確認することができました。
 ジロウギュウ山頂に到着した頃には雲が増えてきて、青空が見えなくなってきました。それでも山頂からは360°の大展望。南西方向には、なんと太平洋が確認できました。ちょっとボンヤリしていますが、海岸線は安芸市付近のようです(写真:下右)。下中は北西方向。剣山方面から登って来る人の姿。その奥の稜線、ぴょこんと飛び出しているのは黒笠山?だとすると、左手の三角は矢筈山でしょうか。一番奥には、ここでも上の写真から続く讃岐山脈が見えています。右手の一番高いところは大川山だと思います。
  
 下の写真は西方向です。中央に聳えるのが三嶺。その左手奥は天狗塚だと思います。左手一番奥は土佐矢筈山辺りでしょうか。手前の稜線には、三嶺から続く以前に歩いた縦走路が通っています。
 上の写真、手前の稜線から視線を少し下にずらすと、登ってきた道が見えます(写真:下左)。下中は、3つ上の写真をズームアップ。脇町付近が見えていますが、一番奥は香川の矢筈山・女体山の付近だと思います。下右は北東へ向いて、一の森の稜線を越えて東宮山が見えています。
  
 名残惜しい展望ですが、曇ってきて少し寒くなってきたこともあり下り始めます。上述の急斜面ポイントでは慎重に。しかし、心配していたほどの恐怖感はなかったので、ちょっと一息。それでも気を抜かないように慎重に山の家まで下ってきました。
  
 後は登ってきた未舗装路を安全に下るだけと、靴を履き替えてリ・スタート。ところが下り始めると、登り時よりも周囲の紅葉具合がより進んでいるように見えます。午後遅くなった光線の影響ではなく、また3人の共通した感想だったので目の錯覚でもなかったようです。ついつい登り時にも停車したところで、立ち止まって写真撮影。相変わらず、くっきりした写真がありませんが。
 
 登り時との時間差は6時間ほど。紅葉は.2、3日で大きく変化すると認識していましたが、まさか時間単位でこれほど変わるとは思ってもみませんでした。立ち止まる毎に、朝はこんなに染まっていなかったよなあ、とは3人の口から何度も漏れた言葉です。
 大分下まで降りてきましたが、やはり朝より紅葉の具合が進んでいます。西側斜面はもう日陰となって、ますます発色が悪いのですが、谷底から稜線まで、朝よりずっと見映えがありました。この分だと、この2日前後くらいが一番の見頃だったのかもしれません。
 この年は、10月中旬まで気温が高い日が続き、何処の山も紅葉が遅れていましたが、その後冷え込んだためか、何処も高低差なく一気に紅葉し始めたようです。この6日後に訪れた落合峠もそうでしたが、例年なら標高差で染まり具合が異なるのに、この年は標高の低い処から高い処まで全ての区間で紅葉が楽しめました。ジロウギュウからの素晴らしい展望と、そんな有難い紅葉の姿を存分に楽しめた一日でした。

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