北海道2022 初日   2日目  最終日
 2019年末に中国で発生したCOVIDは瞬く間もなく全世界に拡大。日本国内でも2020年初めから感染が広まり、それまでのように自由に気兼ねなく旅することが出来なくなってしまいました。比較的感染者数の少なかった徳島県ですが、県内の人がいないところはともかく、四国内でも他県に足を延ばすことが躊躇われる日々が続きました。波状攻撃のように感染者数の拡大を繰り返す隙間、過去2年間と異なり行動制限が解除された2022年のゴールデンウォーク。札幌に住む息子が彼の地で結婚式を挙げるという大義名分で、3年振りに北海道へ行くことになりました。折角だから式後走ってきたらと、妻が私の復路は3日後に予約。ただでさえCOVIDのことがある上に、この季節、天候が悪いと北海道ではとてもサイクリングを楽しめたものではありません。寒さに雨対策と荷物は増えるばかり。と言うことで、事前の意欲はこれまでの北海道ツーリングほど盛り上がりませんでしたが、毎日の走行距離も短めに、いざとなったら輪行でというコースに設定して行ってきました。 (2022年 5月28日 記)

国道393号線 標高500m付近 (2022.05.05)
 初日のコースは、札幌から交通量の多い小樽まで輪行。小樽から国道393号線を南下、毛無峠を越えて赤井川村経由で羊蹄山の麓へ。時間と体力に余裕があれば、羊蹄山を時計回りに一周して倶知安の予定としていました。
コース  小樽−国道393号線−赤井川−羊蹄山一周−倶知安
走行距離   105q   積算標高 1500m
最高地点   国道393号線 毛無峠  標高650m
走行日   2022年 5月 5日  天候:晴れ  GIANT TCR
 懸念していた天候は最終日こそ曇りの予報でしたが、2日目までは晴れ。この日は朝から快晴でした。札幌駅を午前9時前の列車に乗って、小樽駅には9時半過ぎに到着。小樽駅は2003年以来なので、ほぼ20年振りです。プラットホームのランプには見覚えがありましたが、駅舎の記憶は全く残っていませんでした。昭和9年に建てられたそうですが、今でも斬新さを感じる外観です。自転車を組み立てて、10時前にスタート。まずはまっすぐ運河へ向かってみます。ちょうど運河までの真中辺り、中央通りを横切る旧手宮線で廃線祭りをやっていました。鉄道には興味があるほうだと思いますが、前回はこの廃線跡に全く気付ていません。ちょっと覗いてみたかったのですが、人出が多かったので横目で見るだけで通り過ぎました。
 左  小樽駅到着
 左上 小樽駅
 上  旧手宮線跡
 右  小樽駅前から中央通り
     坂道の奥には石狩湾
 とりあえず運河までやってきましたが、以前のような感慨もなく、一通り巡っただけ。札幌から小樽に向かう車窓から、石狩湾を隔てて北に冠雪の山々が見えていたので、海岸線まで出たらその眺めが見えるかもと思い進んでみたのですが、観光船やフェリーの乗り場などが続いて海岸線まで出られるところがありません。まあ、この後の毛無峠への登り道からその光景は眺められるだろうと先へ進みます。
 運河から東進して、国道393号線の東側を流れる勝納川に沿う市道を走ってみることにしました。川沿いには遊歩道が設けられていて、地元の方の散策の場になっているようです。川は雪解け水でしょうか、清冽で豊富な量の水が勢いよく流れていました。暑くなってきたのと登りに備えて、国道393号線に入る手前で上着を脱ぎます。夏用の半袖とアームウォーマーで十分な気温です。レッグウォーマーも捲り上げてニーウォーマー状態に。
小樽、勝納川と川沿いの道 国道393号線へ
 国道393号線に入ると、道はいきなり8〜10%の勾配となりました。しかも路側帯は狭くやや荒れています。交通量も結構あります。この国道393号線、ほぼ25年振りに北海道を走ることができた2003年に購入したツーリングマップルでは赤井川村と倶知安町の間が未開通でした。そんなこともあり、てっきり交通量は少ないとばかり思い込んでいたのです。冷静に考えると20年も前の地図、状況も変わっていて当然です。ゴールデンウォークだったためか大型車が少なかったのは幸いでした。
 地図通りのつづら折れ区間になると、道幅は少し広がって勾配も数%程度に緩んできました。標高が上がるにしたがって、道脇には残雪の姿が増えてきました。木々の根元周辺だけが先に雪解けている姿は、四国ではまず見ることができない光景です。時間に余裕があるので、何度も立ち止まって写真撮影。そんな残雪や芽吹き始めたばかりの樺類かと思われる落葉樹が続く周囲の光景もあって、気持ちよく登っていきます。
 ところが、期待していた小樽の街並みや上述の石狩湾を隔てた冠雪の連山は、手前の落葉樹が大きく、葉がない状態でもほとんど眺めることができません。標高470m地点にあった毛無山展望所に到着すると、漸くその光景を多少なりと見ることができました。しかし、石狩湾越しに見える冠雪の連山は2時間ばかりの間に少し霞んでいて、車窓から眺めたほどのくっきり感はありませんでした(写真:下右)。

小樽市街(毛無山展望所から)
 毛無山展望所から少し進んだところで、左手・木々の合間に2003年に走った朝里スカイループと呼ばれるループ橋を見ることができました。下右の写真、ほぼ中央部付近にループ橋の3分の1くらいが見えています。周辺の山肌が標高によって木々の芽吹き具合が異なることもよくわかります。下左はその左方向です。小樽と札幌を結ぶ自動車道などが見えています。肉眼では右手奥に石狩川河口付近のタンク群まで見えていましたが、写真ではもうひとつはっきりしません。
 標高が上がるにつれて、道脇の残雪が多くなってきました。道幅が下方より広がったのは、除雪された雪を置く場所確保のためかもしれません。ただ、下左の写真でわかるように、クルマの通る所は漸次再舗装されているようですが路側帯はそのままです。もっとも下方よりは荒れ具合がましでした。この日に限らず、今回こんな道が多かったのです。初めて北海道を走った1977年は路側帯が荒れていたという印象が強かったのですが、その後何度か走った道内の道は何処の路側帯も随分と良くなったと感じていただけに、今回はやや意外に思いました。
 青空の下、残雪と落葉樹の気持ちよい道が続きます。毛無山方面への道があるようだったので、余裕があれば進んでみようと気を付けていたのですが、見逃してしまったようです。帰宅後 Google map で確認したのですが、確かに分かりにくそうで、しかも一般車は通行止めのようでした。
 
 路側帯が荒れていると下りは嫌だなと思っていましたが、なだらかな毛無峠(標高650m)を越えると赤井川村への下りは道幅も広く路側帯もまずまず。おまけに交通量もさらに減って快適でした。峠までもそうでしたが、道周辺は落葉樹が続きます。写真:下右、左手に見える冠雪の山は余市岳でしょうか。もう少し先の新緑の頃は素晴らしい緑の樹海が見られるのでしょうが、南国育ち在住者にとって道脇に雪が残る光景は日頃経験できないので、ちょうどいい季節だったかと思います。ある程度赤井川村に下って来ると、多少平地が広がってきて、牧草地など北海道らしい光景が続きます。
 ここでも雪解け水と思われる川が併走して流れています。水際まで原生林と思われる雑木林が迫っている光景は、この規模の四国の河川では見られません。驚いたのは、この川が北に位置する余市で海に流れ込む余市川だったことです。この付近では川は南西に向いて流れており、余市とはまったく逆方向。時計方向に大きく回って流れていることを地図で確認して納得。国道393号線が交差点で直角に左折するところに道の駅あかいかわがありましたが、ここもクルマと人が多かったのでトイレ休憩だけ。
 ここから先が2003年版ツーリングマップルでは繋がっていないところです(開通は2008年だそうです)。進んでみると、確かに道幅は広く、造りも新しく見えます。それでも路側帯には、やはり多少難あり。交通量はさらに減って、横を流れる余市川支流・白井川の流れや稜線付近まで続く芽吹き始めたばかりの落葉樹林を眺めながら、気持ちよく走ります。標高が上がるにつれて残雪の姿が増えてきました。
 峠は、樺立トンネルで抜けています。これまで、トンネル内はその前後より夏は涼しく冬は暖かいという認識だったのですが、このトンネル内は前後より温度が低く寒く感じられました。下りに備えて羽織った上着がちょうど良かったくらいです。トンネルの標高は480mくらいで、毛無峠より200mほど低いためか、周囲の残雪も少ないように思われました。
 トンネルから半分くらい下ってきたところで、今回初めて羊蹄山(写真:下左)とニセコアンヌプリ(下右上)の姿を眺めることができました。ひょっとしたら毛無峠の下りで羊蹄山を見られるのかもと思っていたので、漸く「お待たせ」といった感じでした。午後の陽射しは逆光となり、どちらも霞んでいるのが残念です。この付近から向かい風となってきました。下りなのにそれほどスピードがでません。
 下り切ると平地が広がってきました。耕運され作物の植付準備がなされた畑が続きます。一枚の大きさは北海道ならでは。狭い四国と比較すると格段の差です。ここから倶知安までは10q少々。まだ15時前だったので、羊蹄山を反時計回りに一周して倶知安へ向かうことにしました。
 国道393号線が左に直角に折れる手前の西三号という農道で左折、羊蹄山に向かって直進します(写真:下2枚)。裾野に向かって広い農地が広がります。遠目に牧草地かと思った緑は小麦でしょうか。
 行く手に土手のような高まりが見えてきて(写真:上左の木立付近)、登ってみると予想通り川です。尻別川支流ポンクトサン川で、こちらは日本海に向かって西へ流れていくようです。下右の写真は羊蹄大橋から。川沿いに雑木が水辺まで迫っている光景は、先の余市川同様に四国ではまず見ることができません。
 
 羊蹄山の麓を少しばかり登って突き当たると、道道478号線に左折。緩いアップダウンが続きますが、追い風になりました。右手に羊蹄山、左前方は平地にも近い緩やかな丘陵地が広がっています(写真:下左)。そんな道を進み、名前からきれいな湧き水がどんどん溢れているのかと期待していた京極町のふきだし公園に立ち寄ってみました。が、人気スポットなのか人出多数でごった返していたので素通り。
 そこからは道道97号線となって羊蹄山の東山麓を南下していきます。また向かい風となって微妙に登りです。周囲は雑木林が多く、途中には羊蹄山の喜茂別登山口もありました。左前方には尻別岳の姿(写真:上右・下左)。2019年に走った時、東南側から見ると羊蹄山にも似た単峰の端正な姿でしたが、北西側から見ると2、3の峰が連続しているように見えます。そんな尻別岳を背景に、羊蹄山と反対側には畑が広がっています。

羊蹄山喜茂別登山口
 さらに進むと道道66号線に入って、羊蹄山の南山麓を西進します。相変わらず向かい風でしたが、交通量も少なく北海道らしい広大な光景が続きます。一部では何かの作付けが始まっていました。この広さなので、全体としてはおそらく機械植えなのでしょうが、しゃがんでいる人は手植え中?
 真狩村に入り直進して国道5号線に出る少し手前で右折、山側の道を走って国道5号線に出ました。交通量が多いだろうと出来るだけ避けたかった国道5号線ですが、懸念したほどではありませんでした。17時過ぎ倶知安に到着。この日、毛無峠を登っている時に下って来るひとり、国道5号線で対向するひとりと二人の自転車乗りに出会いました。二人とも荷物もほとんど持っていなかったので地元の方かと思われますが、二人とも手を振って笑顔で挨拶してくれました。しかし、自転車乗りより圧倒的にモーターバイクでのツーリストが多かったです。    (2日目の記録はこちら、最終日はこちらへ)

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