落合山  (落合峠 2012 秋)
 ここ数年、可能な限り新緑もしくは紅葉の季節に毎年訪れている、徳島県内では私的一番のお気に入り・落合峠。今年は、おそらく訪れる機会が持てないだろうと思っていたところ、自転車仲間のブログから紅葉情報が入ってきました。峠付近は見頃とのその情報から1週間経っていたので、少し遅いかもしれないと思いましたが、幸い時間が取れたので、急遽訪れることにしました。今回は、峠から東西の山へ少しばかり歩いて登ってみることにしました。 (2012年11月10日 記)

落合山山頂から南西・寒峰方面
 午前5時40分に自宅出発、一般道をクルマで貞光の河川敷へと向いました。旧三加茂町役場までクルマでの移動も考えましたが、帰路は風呂塔方面から半田経由でと考え、貞光発着としました。午前7時過ぎに貞光河川敷を出発。
コース 貞光−三加茂−桟敷峠−落合峠−落合山−桟敷峠−半田−貞光
走行距離   80キロ  積算標高 2200m
最高地点   落合峠(標高約1500m) 落合山(標高1683m)
走行日   2012年10月20日  天候:晴れ  FELT F1
 桟敷峠への分岐部・三加茂までは国道192号線。緩い追い風でしたが、大型トラックがスピードを出して追い越して行くことが予想以上に多く、ちょっとストレスでした。国道沿いにある電光掲示板は、気温9℃。この秋初めての一桁で、耳や手先・足先は結構冷え込みを感じました。三加茂は、7時30分頃通過。県道41号線で桟敷峠へと向かいます。この道は何度も訪れているので勾配もよくわかっています。道沿いを流れる吉野川支流・加茂谷川の水量は多かったのですが、谷底なのでまだ陽も当たらず暗く、周囲の木々も全く紅葉してませんでした。

桟敷峠2kmほど手前、お気に入りの落葉松林も、まだ緑

桟敷峠手前から、旧三加茂町と讃岐山脈
 桟敷峠へは、インナー・ローでゆっくりと登りました。桟敷峠までの道は、あまり見所がありません。標高600mを越えた付近からの2kmほどの10%を超える急坂では、毎度の一桁走行。標高700mを越えたところで、北側に三加茂方面の展望が広がる定点ポイントで、まず最初の写真撮影。さらに登って、最後の180°左カーブを曲がったところの定点ポイント・その2、落葉松林で2枚目の写真撮影(上左)。ここも黄葉はまだまだの状態でした。桟敷峠手前では一部道際の林が伐採されたところがあり、以前は見られなかった三加茂・讃岐山脈・大川山方面が展望できるようになっています(写真:上右)。
 桟敷峠でちょっと補給休憩の後、午前9時に再出発。下りでは、ウインドブレーカーを着込んで、ちょうどの気温でした。下りきった深渕付近の紅葉もまだまだでした。ところで、最近訪れた吉野川水系では何処の川も水量が多かったのですが、なぜか深渕付近・松尾ダム湖末梢付近の水量は少なかったです。

標高1100m付近、紅葉はまだ

標高1200〜1300m付近、紅葉、黄葉
 桟敷峠を下って深渕を越えると、いよいよ落合峠への登り・一番のお気に入り区間です。深渕からしばらく走ると、右手下方に見える松尾川に、ちょっといい写真ポイントがあるのですが、山影でまだ陽が当たらず暗いままでした。登り始め付近の木々は、まだほとんど紅葉していませんでした。この付近の紅葉がちょうど良いか、ちょっと遅いかくらいに思っていたので意外でした。しかし、この分だと逆に峠付近は、まだ紅葉が楽しめるかと思えました。松尾ダム湖の水量は少なかったのですが、松尾川の水量は十分でした。これまたいつも立ち止まる小さな橋の上から、水量・透明度をチェック。なかなかいい条件でした。

標高1300m、最も大樹に恵まれている付近

落合峠直前にて
 しばらく松尾川を左手に見下ろしながら登っていくのですが、水量もそこそこあり、川の流れは清らかでした。しかし、川との間には雑木が繁っており、なかなかすっきりと渓谷全体を見渡せる場所はありません。Z字のつづら折れを登り烏帽子山登り口の270度左カーブ地点を過ぎても、紅葉の最盛期にはまだ間がある状況でした。紅葉・黄葉が目立ち始めたのは、標高1200〜1300m、私が最も好きな落葉大樹が繁っている辺りでした。う〜ん、何度来ても、やっぱり落合峠はいいなあ、とひとりニンマリしながら進みました。

落合峠から矢筈山方面に登る道(落合山途中から)

矢筈山山腹の紅葉
 落合峠には11時20分頃に到着。担いできた運動靴に履き替えて、まずは東・矢筈山方面へと登りました。こちら側には、これまで2回ほど登っているはずなのですが、上り始め道周囲のクマザサが記憶より随分と成長していて、路面は全く見えない状況でした。

紅葉に彩られた烏帽子山

矢筈山方面から落合山(右上)方面、クルマのあるところが落合峠
 しばらく進んで、クマザサが一面に繁るなだらかな斜面のところで折り返し。ここからは、北側の眺めが特に楽しめます。クマザサの向こうには、まず腕山・水ノ口峠方面、さらにその向こうには讃岐山脈・大山から雲辺寺方面、そしてその奥にはうっすらと七宝山や讃岐富士・飯山のシルエットも見ることができました。西方向には烏帽子山から落合山、東には矢筈山が、いずれも彩り豊かな山肌を見せていました。

クマザサの原から北へ、讃岐山脈の向こうにうっすらと七宝山

祖谷側の谷
 いったん峠まで引き返しました。ちょうど、11時。そこから今度は西方向へと脚を伸ばしました。事前に平キンちゃんのブログで、かなりクマザサが深いとの情報を確認していたおかげで、胸くらいまで繁っていることにも安心して先へと進みました。緩やかに少し登った後一度少し下ると、そこからは勾配が少しきつくなって、山を登るという感じになってきました。登るにしたがって、風景はどんどん変わっていきます。

落合山への道(中央のクマザサの窪み)、胸辺りまで繁る

落合山から落合集落
 とりあえずあそこまでは登ろうと決めていた落合山のピークには、ゆっくり登って30分ほどで到着。辿り着いた山頂からは、それまで東・烏帽子山方面だけの展望(それはそれで良かった)だったのが、一気に360度の大展望。特に西南方向・寒峰方面への山の連なり・稜線と山肌が空間の広がりを感じさせてくれました(トップの写真:なかなか感じた雄大さがお伝えできません)。北西方向には烏帽子山がすぐそこに。そしてその横に讃岐山脈を越えて、また七宝山が見られました。南方面の谷には、祖谷側に下った時に目線と同じ高さで見える落合の集落が、遥か下方に見えました。

剣山とジロウギュウ

中津山と思われる
 南東方向には、おそらく剣山とジロウギュウと思われる峰が肩を並べていました(写真:上左)。西南方向には、寒峰の向こうには、中津山や国見山、さらに遠くには四国山地・石鎚山系と思われる山々もうっすらと見えました(写真:上右、下左)。

寒峰の向こうには、国見山?

落合山から矢筈山方面、中央左手の草原状のところが先に登ったところ
 振り返ってみると、先ほど登ったばかりの矢筈山方面・クマザサの平原への道が見えました。ズームアップしてみると、写真:下左、瓶ヶ森の氷見二千石原には及びませんが、徳島にもこんなところがあるのだとか、また先程登ったばかりのところをもう少し高所から見るとこんな風に見えるのだとか、いろいろと思いをめぐらせることができました。

右上の写真、草原部分(クマザサ)をズームアップ

落合峠北側斜面
 落合峠南斜面・北斜面ともに、自転車で道を走っている時とはまた全く異なった展望です。走りながら感じていたより、ずっと紅葉が目立っていました。いやあ、こんな素晴らしい360度の大展望を独り占めだ、なんて補給食を摂りながら一服していたところ、おひとりの山歩きの方が烏帽子山の方へと向っていかれました。ボンヤリとですが讃岐平野まで見えて、鳥瞰好きの私にはたまりません。心地良い気温といい天気、まったく昼寝でもしたいくらいでしたが、この日は手抜きになっている畑仕事が待っているので、後ろ髪を引かれる思いでボチボチと下り始めました。

落合峠南側斜面

讃岐山脈の向こうに、讃岐富士・飯山と坂出の街が見えた
 下っていると、峠にはま〜し〜さんらと思われる自転車乗りが数名休憩しているのが見えました。峠まで下って、みなさんと挨拶。見ノ越を目指して祖谷方面へ下るみなさんを見送って、私は桟敷峠方向に引き返しです。時間はちょうど正午。そうそう、峠まで下ってきたところ、安物の運動靴は両足ともソールがつま先からパックリと大きく口を開けていました。またクマザサの中で靴もソックスもしっとりと濡れてしまったので、ほとんど下りの復路はビンディングシューズではなく運動靴のままで下ることにしました。


深渕付近の松尾川


桟敷峠から松尾ダム湖への小さな流れ
 同じ道往復は、あまりしない方針ですが、ここ落合峠は別。この日も午前中の登りから時間が経って陽の当たり具合が変わり、往路時には山影だったところも陽が差して明るくなっていました。光線の変化に加えて、登りと下りで、同じ道ですが随分と違って見える部分も多く、相変わらず立ち止まってはカメラを構えてみるの繰り返しでした。特に往路時は全く陽が当たらずに暗かった谷底の水面にも、陽が当たって透き通って輝くエメラルドグリーンが吉野川水系ならではの表情を醸し出していたのですが、手前・周囲の木々はどうにもならず。なかなか思ったような写真を撮ることができません。力量と気合が足りないだけかもしれませんが。いつか、桟敷峠から松尾ダム湖方面への小さな流れだけを狙ってみたいものです。しかし、ここまで来るとやはり落合峠は外せませんから、いつのことになるやら。

風呂塔下から半田方面、右上は高越山、左上には吉野川

斜面に散在する山村集落
 桟敷峠には13時に到着。登り時間と下り時間、あまり変わりません。その後、風呂塔方面へと進みました。こちらへ進むのもこれで4度目くらいですが、いくつかの分岐があっていつも迷ってしまいます。今回もご他聞にもれず、一度迷ってしまいハウスのある畑で行き止まりで500mほど引き返しました。上の写真は、左はその迷う前、右は迷って引き返した後しばらく進んで一番上にある小さな集落から対岸方向を撮ったものです。落合集落もそうですが、徳島県内の山には、市内に近い神山から祖谷のかなり山深いところまで、こうして急斜面に点在する山村集落がまだまだ見ることが出来ます。いずれも周囲の畑もよく整備されているのですが、このような景観、いつまで見ることができるのでしょうか。

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