丹波・桜並木三昧
 4、5年前のことだったでしょうか、いつも懇意にしていただいているゴンさんのブログで丹波に素晴らしい桜並木があることを知りました。毎年のように訪れられてはアップしている写真を見るにつけ、是非一度訪れてみたいものだと思いは募るばかり。丹波地方は自転車で走ったことが全くなく土地勘がありません。当初は場所も全くわからなかったのですが、漸くある程度見当がついたのが2年ほど前。そして今回、やっと訪れることができました。(2023年 4月25日 記)

加古川沿いの桜並木 丹波・青垣間 (2023.04.01)
 加古川沿いの桜は満開、そして天気も上々という予報だったこの日。前年5月の北海道へ行くために神戸空港へ向かったのを別にすると、本州へ渡るのは2020年2月以来3年振り、近畿方面に向かうのは2019年5月以来4年振りでした。単独で明石大橋を渡るのは何時以来でしょう。購入後12年を経過したクルマと加齢の我が身、久々の本州の道を走ることに若干の不安も抱いての出発でした。午前4時半に自宅を出て、高速道路を100q/h以下でゆっくりと走っていきます。舞鶴道を北上していくと、丹波篠山口ICの手前付近からあちこちに桜並木の姿を見かけるようになってきました。心が逸ります。予定していたデポ地まで自宅から170q、ちょうど2時間で到着。
コース 柏原−丹波・加古川−かたくりの里−水分け公園−宮田川−柏原
走行距離  110q   積算標高 500m
最高地点  県道69号線・栗柄峠 標高270m
走行日  2023年 4月 1日  天候:快晴  SPORTIF
 この日丹波地方の予想最低気温は6℃でした。自宅出発時は11℃で案外暖かいと思ったのですが、本州に入って北上するに連れて気温は低下。到着したデポ地では、なんと3℃でした。念のためにと持ってきた準冬装備で、午前7時にスタート。最初の目的地、柏原川沿いの桜並木を目指します。柏原川沿いのメインは、もう少し先だと思っていたのですが、県道176号線を1qも走らないうちに、左手に桜並木が見えてきました。柏原川の上流、地形図では上小倉と記載のある辺りです。早速県道から桜並木のある柏原川沿い未舗装の小径へと向かいます。いきなり満開の桜並木が迎えてくれました。走り始めたばかりだというのに、何度も立ち止まってばかりで前へ進めません。
 桜並木が続く柏原川沿いに走っていくと所々に橋があったので、その度渡って川の上下・左右両岸の様相を確認してみます。何処も桜はちょうど満開。土手沿いの道は電線類などもなく、土曜日の朝早いためもあってかクルマはもちろん人影もほとんどありません。桜並木を眺めながら、ゆっくりと走ります。
 下の写真は、事前に確認していた柏原川沿い桜並木の中心部かなと思っていた柏原の町中に入る手前の直進部です。早朝の道には、時に散歩する人影を見るのみ。この光景を贅沢な独り占めです。柏原の町中に入っても、できるだけ川に沿った道を進んでいきます。桜並木はほとんど途切れることなく続いています。この後も含めて、道沿いには幾つか公園もあり、デポ地に利用できそうな駐車場も何ヶ所か確認できました。
 丹波市街の外れで柏原川が加古川に合流する付近も、できるだけ川沿いに近い道を走ります。加古川沿いを北上するようになると、今日のメインと考えていた桜並木らしい様が前方に見えてきました。
 その桜並木の袂に到着しました。と、入り口に「農耕車以外の車両は通行禁止」の標示があります。車両とあるので自転車も通行禁止でしょうか。しかし歩いている人の姿も全くありません。ということで、ゆっくり進んでみます。途中、地元の方と思われる高校生らしき若者と、通勤らしき人が自転車で対向していきました。復路時には花見の人出も多くなっていましたが、何組かの花見と思われる自転車乗りが走っていたので自転車は通行可能なのでしょうか。後日、前年までこの標示はなかったらしいことを耳にしました。左手端に見えているのは北近畿豊岡自動車道の一部。氷上ICから青垣ICまで自動車道も加古川に沿って走るので桜並木が見えるそうですが、この土手沿いからの眺めが一番でしょう。歩くか、自転車でも極ゆっくりでないと勿体ない眺めです。
 両岸にも桜並木が見られた柏原川沿いと異なり、川幅も広くなったこの付近の桜並木は左岸のみのところが大部分です。しかし、5qほど続く桜並木は圧巻。二日後に同じ場所を走られたゴンさんによると、昨年までに比較して道路を覆う枝が多少なりとも切られたようで花数が減ったそうです。が、初めての私には関係なし。ちょうど樹高があった頃の桜堂のエドヒガンを知らない人が現在の姿を見ても十分満足できるように。下の写真は、下流へ振り返って。南北に流れる川の左岸なので、午前8時過ぎでは土手道のある桜の川側(西側)は日陰となって花がやや暗くなってしまうのが、唯一残念な点でしょうか。
 川と反対側は、ほとんどが水田と思われます(写真:下右)。この時期は休耕状態です。ところで、この桜並木は「ふるさと桜づつみ回廊」という瀬戸内から日本海まで約170qの川沿いを地域交流の場・地域住民の憩いの場などとして、兵庫県が1991年から2000年にかけて整備したものの一部分だそうです。植樹開始後30年近く経過して木々が成長し、一番の見頃を向かえているようです。
 大分北上してきました。この付近になると、一部土手沿いの道が連続していなかったり、ワイヤーが張られて完全に通行止めになっているところもあって、時々土手から離れて回り道が必要なところがありました。
 写真:下の4枚は、加古川沿いに入ってから初めて未舗装となった土手道のところ。進んでいくと、路面のあちこちに桜の太い根が道を横断して段差を作っています。そのため足元に注意しながらゆっくりと走っていたのですが、ふと桜の花が崩れずそのまま落ちている姿に気付きました。ほとんどの桜は花びらが別々に舞うように散り、椿のように花が丸ごとポトリと落ちる桜はあまり見聞きした覚えがありません。見た目はソメイヨシノに見えましたが、何か別種でしょうか? それとも何か別の原因があるのでしょうか? そんなことを思いながら進ん行くと、突然道が消失して引き返す羽目に。
 往路は加古川左岸をずっと走っていたつもりでしたが、青垣ICの手前付近からは奥塩入谷川という加古川支流沿いに迷い込んでいたことに、帰宅後地形図で走った道を確認していて初めて気づきました。下の2枚はその付近です。左岸だけだった桜並木が、川の両側に見られるところが出てきました。途切れながらも桜並木はまだ続いているようでしたが、一番の見所は過ぎたようですし、他に回りたいところもあったので引き返すことにしました。復路は右岸を進んでみます。
 一番の桜並木が続く付近では再び左岸に戻ります。2時間程の間に随分と人出が増えています。車両通行禁止の札もあったので土手沿いの道は通らず近くの車道や農道を走って、時々土手まで続く道に回ってみることを繰り返しながら南下。下の写真は橋上から下流に向かって。上下をトリミングすると、より長く続く桜並木が強調され、桜並木全体の雰囲気が伝わりやすいかと思います。有名な角館・松木内川や北上市・北上川沿いを訪れたのは花の季節ではなかったのですが、並木を形成する1本1本の木々が見事な大木でした。例年なら満開の時期だったのに春先の気温上昇で訪れた時には葉桜だった下北・大畑桜ロードも幅広い道路を両側から覆うように立派な桜の樹が続いていました。それらに比較すると1本1本の樹の大きさは多少劣るかと思いますが、見渡す奥まで桜並木が続いている様は圧巻で、決して見劣りすることはないと思います。。
 昼前となって木々全体に光が当たり始めましたが、逆に遠くは霞んできました。少し風が出てきたためか、時折花びらが舞い散る様が趣を増します。写真:下右、加古川沿いのメインの桜並木の南端付近まで戻ってきました。この後、橋を渡って右岸へと移動したのですが、上述のように向こうから自転車で走って来る親子連れと、こちらから向かっていくクロスバイクのカップル、さらに数名のロードバイクに乗った集団も北上していく姿を見かけました。車両通行禁止、自転車は例外でしょうか。
 さて、桜並木は十分に鑑賞したので、もうひとつ予定していた西手にある清住かたくりの里へ向かってみることにしました。カタクリは14℃くらいにならないと花が開かないそうです。早朝は寒いくらいでしたが、昼前になって気温も上がってきました。カタクリの花と言えば、2016年に信州・岡谷で一度見た限り。神社裏手で忘れられたようにひっそりと咲いていました。ところが、ここは訪れてみると駐車場には誘導の人もいて、20台余のクルマ。観光客も多かったのですが、山肌斜面に咲く花数の多さに圧倒されました。ただよく見ると盛りを過ぎた花が多いようで、一番の見頃には少し遅れた時期だったのかもしれません。入場料が300円必要ですが、ここも一見の価値あり。次来る機会があるかないかなのでちょっと立ち寄ってみた程度でしたが、訪れて良かったです。
 かたくりの里に向かう時は県道78号線とその北側に並走する細い道を走っていったのですが、その南側に並行してある道沿いにも桜並木が見えていたので復路はそちらを進んでみました。葛野川というこれも加古川の支流沿いに植えられた桜は、どれも加古川沿いのものより一回り大きく見応えがありましたが、並木の距離はさほどありません。
 そこから本州一低い分水界というのが気になっていた氷上町の東にある水分れ公園へ向かいます。分水界というのは、降った雨や雪がどの方向に流れるかの境界線で、分水界となっている山脈を分水嶺というそうです。しかし、この丹波市水分れ公園付近の地形図を見ても、ここで瀬戸内側(加古川系)と日本海側(由良川系)に分れているとはピンときません。現地に到着しても、全く同様です。写真:下右上の説明文を読んでももうひとつ分かりにくく、下右下の地図を見て、やっと少し納得できました。個人的には、ひるがの分水嶺公園のような、水が二手に分れる様相を想像というか期待していたのです。下左の写真、この道路がまさに分水界だそうです。左手を流れる高谷川の水は加古川に合流して瀬戸内海へ。道路の右手(北側)の雨水は由良川水系に流れるそうで、ここに来るまでに通り過ぎた石生交差点というところが最も低い地点とのこと。そう言われて改めて地形図を見直すと、確かにすぐ北にあるJR福知山線・石生駅付近の小川は北へ向いて流れ由良川に注いでいました。
 水分れ公園を後に国道174号線で春日町に向かい、そこからは県道69号線を東進。さらに県道97号線へと右折して丹波篠山方面へ向かいます。この区間は見るもの、語るもの供に特に無いのですが、県道69号線は中国山地から続くなだらかな山間部を走る交通量も少ない道でした。走ってはいないのですが、県道に旧道が併走しています。県道97号線に突き当たる手前にある栗柄峠西側は一部通行止めになっていますが、旧道を走れば良かったとちょっぴり後悔。このコース取りを考えたのは、ちょうどこのツーリングを計画していた時に I's bicycle さんブログで見つけた宮田川沿いの桜並木を見るためです。加古川沿いだけでは時間が余りそうでしたし、以前にドカさんブログでなかなかいい雰囲気のようだと思われた丹波篠山にも立ち寄って一周するのにちょうどいい距離だと思われこともあってです。ところが、訪れてみると、この宮田川沿いの桜並木は加古川沿いの桜並木と同等以上に私の琴線に触れるものでした。
 県道97号線に右折して桜並木はまだ先だろうと思っていたら、五坊谷池というため池から間もなく前方に桜並木が目に入ってきました。すぐに県道97号線を離れて、川沿いの桜並木道へ。ここも満開。ちなみに宮田川を下っていくと篠山川となって、さらに加古川に注いでいます。小川と呼ぶのがふさわしい宮田川ですが、ここはかなりの区間で両岸に桜並木が続きます。木々の大きさは、加古川沿いと同じくらい。走っていく右岸の土手道は所々で未舗装路も混じります。正午も過ぎていましたが、花見客が増えていた加古川沿いとは異なり、時に人を見かける程度。随分と長く続くなあと思いながら、人がいないのを幸い何度も立ち止まって写真を撮りながら満喫。結局、篠山川に合流するまでの5qほど、ほとんど途切れることなく両岸に桜並木が続いていました。事前情報は I's bicycle さんブログの一枚の写真だけだったのですが、思ってもみなかった素晴らしい光景でした。
 篠山に近付いてい来ると、時々花見客の姿が見られるようになりましたが、ほとんど気にならない程度。広々とした加古川沿いの桜並木はもちろん言うことなしですが、宮田川沿いの桜並木も、人が少ないということもさることながら、こじんまりとまとまって両岸に続く並木道の長さや未舗装路も多い道周辺の雰囲気など、期待・予想をはるかに上回る景観が続きました。ほぼフラットで、車はまず通らないし、人もほとんどいない。自転車初心者にとっても優しく、とても楽しめるコースだと思います。宮田川沿いだけでも十分だったかもと思うくらいです。ということで、宮田川沿いの桜並木に満足し過ぎて時間も遅くなり、丹波篠山市街に立ち寄ることは、またの機会に。
 宮田川が篠山川に合流するところで右折、篠山川沿いを500m程走った後は県道77号線で西進。川代1号トンネルの所からは旧道が川代サイクリングロードとして整備されていました。JR福知山線の鉄橋のところで写真を撮っていたら、数名のグループが対向していきました。再び県道77号線に戻って走りますが、この県道、川代恐竜街道と名付けられているそうで、周辺では福井県同様以前から恐竜の化石がよく発掘されているそうです。近隣には恐竜に関連した施設や標示も多く、サイクリングロードにも屋根付きの休憩所と自転車ラックの脇には発掘されたらしい恐竜の説明書きがありました(写真:下の4枚)。
 JR下滝駅を過ぎると、県道77号線を離れてJR福知山線沿いの道を進みます。自由に出入りできるJR四国の無人駅と異なり、下滝駅には入場のためにICカードかスマホをかざすらしい機械が備え付けられていました。道左手を流れる篠山川の護岸には、海岸アートならぬ河岸アート。描かれているのは、もちろん恐竜です。下滝駅で時刻表を確認したところ、列車は1時間に1本(上下で2本)の間隔で運行されているようです。10分程前に列車が通過したところだったのでしばらくはやってこないなと思っていたら、下りの特急列車が追い抜いて行きました。ちょうど次の踏切で警報が鳴り始めたので、おそらく上り特急が来るのだろうと待ち構えて一枚。その踏切からすぐ先にあったJR谷川駅は、JR加古川線の終点です。駅舎内を覗くと、さすがに有人でしたが、駅周辺は閑散としていました。駅のすぐ西手で右折して県道86号線を北上するのですが、右折してすぐJR加古川線の踏切、そこから50mも進まないところでJR福知山線の踏切を越えます。
       
JR下滝駅 護岸に描かれた恐竜 上り特急こうのとり JR谷川駅
 二つの踏切を越えると、県道86号線でここまでの道同様、極緩やかな登りで奥野々トンネル(旧道があったのを見逃してしまいました)を抜けて下ると、再び柏原川沿いに戻ってきました。朝と異なり午後の陽射しに桜の花も輝いていましたが、相変わらず花見の人は極僅かです。彼の地では日常の風景なのかもしれません。この日最初に出会った桜並木をもう一度ゆっくりと愛で、丹波・桜三昧の一日が終わりました。
 帰路は、こちらが近いかと国道175号線を南下して三木小野ICから高速道路へ。後から確認すると、ほとんど距離は変わらなかったのですが。国道175号線は、その昔、グリーピア三木や播磨中央公園にロードレースやトライアスロン出場で何度か通った道です。当初は明石大橋も淡路の高速道路もなく徳島から随分時間を要したものですが、国道175号線もバイパス化されるなどしていて当時の面影はあまり残っていないようです。
 信州の桜再訪や上述の東北の桜も満開の時期に訪れてみたいものですが、現地までは遠く、なかなか敷居が高いです。それに比べると、丹波までは170qほどと松山や高知より近いのです。ゆっくり走っても、ちょうど2時間。桜の季節だけでなく、また新たな発見を求めて訪れてみようと思います。

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