風の里公園へ、再び
 前年6月の鞆の浦行き以来1年半振りに、すーさんと一緒にツーリングできる予定が立ちました。いつものようにすーさんの希望・こんな感じのところというイメージを聞いて、幾つかのコースを考えた上 今回向かったのは風の里公園。私は前回訪れてから5年近くになります。今回は走ったことのない道を中心に、北側からアプローチするコース設定としました。当日は移動性高気圧に覆われ快晴と予想されていましたが、意外と薄雲が広がりました。しかし、気温は予報通り上昇したようで、標高900m付近でも心地良い体感温度でした。 (2023年12月28日 記)

風の里公園・稜線の道から須崎方面 (2023.12.09)
 走った道筋は下図の通り。発着は越知町・宮の前公園です。そこから坂折川沿いを遡って下の谷というところから南下、風の里公園のある稜線を目指します。稜線は最後まで西進せず、途中から北側へと下り、最後はもう12年も前に鳥形山から下ってきた時に通って気に入り、是非再訪したかった県道18号線を回って下の谷から戻って来るコースとしました。
 
コース  越知町−下の谷−風の里公園−長者−県道18号線−越知町
走行距離   65q   積算標高 1500m
最高地点   風の里公園   標高980m
走行日   2023年12月 9日  天候:晴れ  FELT F1

Ride with GPS では未舗装路標示(縦線)部分も舗装済みです
 デポ地とした越知町・宮の前公園は、ひょっとしたらと思っていたのですが、やはり2019年4月にみんなでひょうたん桜を見に行った時の発着点でした。ただ、国道脇には川の駅という新しい建物ができていたり、公園自体も当時より随分と整備されているように見えました。午前8時20分頃にスタート。初っ端の仁淀川支流・坂折川に沿って遡る道は桐見ダム・ダム湖が川に戻る付近まで両岸にあることを確認していましたが、まずは無難にと右岸を走る県道18号線を進んでみました。しかし右岸は山影で寒く(5℃)、どれほども走らないうちに小さな橋で左岸へ移動。陽が当たると暖かい、太陽の恩恵を身に感じます。県道18号線自体も、その左岸に移ります。
宮の前公園 県道18号線・坂折川左岸区間 桐見ダム
  緩やかな登り道で少温まってきたこともあり、桐見ダムの堰堤を渡って再び右岸へ渡ってみました。宮の前公園では風が強かったのですが、谷筋に入ったためか無風。ダム湖面も鏡のようです。進んでいくと右岸の道は道路工事をしているようだったので、すぐ手前の中大平橋で左岸に渡ったところ、左岸・県道18号線は全面通行止めで閉鎖されていました。三度左岸に戻って道路工事の横を誘導に従って進むと、手前には桐見ダム公園という施設がありました。川辺に下る道の先には広場が見えましたが、利用者はほとんど無いようで寂れた感じ。そこに写真:右下上に見える不思議な建造物がありました。展望台のようにも見えるのですが、足元は湖面で到達する道がありません。しかも全周金柵で閉じられています。いったい何に使用するために作られたのでしょうか?
 公園の対岸(県道18号線)に、通行止めの原因・大きな崖崩れがありました(写真:下左)。かなり上方から土砂が崩れており、ガードレールも押し切られているます。写真では切れていますが、すぐ右横上方に民家が見えていました。二次災害が起こらないことを祈りますが、復旧にはかなり時間がかかりそうです。
 ダム湖がほぼ川の状態に戻る地点で、左岸の県道18号線に復帰。ダムを境に大桐川と名前が変わる?川面を眺めながら進みます。道は比較的広く舗装状態もそれまでより良好でした。交通量はほとんどありません。往路ではさほど感じなかったのですが、この同じ道を下った帰路では7%前後と結構勾配があったことに驚きました。まだ序盤で余裕があったのと、ゆっくり走ったためでしょう。
 地形図で風の里方面への分岐部を確認していた下の谷地区に到着(写真:下左)。山肌を蛇行する道沿いに連なる家屋の雰囲気がいいのですが、近づいてみると半数以上が無人となっているようでした。風の里へ向かう道は手前に下っている道ではなく、奥に見える2本の道の下側へと進むのが正解のようです。分岐部まで進んでみると、詳細な行先の集落名が記載されていて、左手へ進むので間違いないことが確認できました。

分岐を左手へ、復路は右手奥から

分岐部から振り返って
 ここからは全く予想がつかず、どんな道かと興味津々で進んでみると、意外にも非常に路面状況のいいアスファルト舗装が続きました。珍しく川側にはほとんどガードレールがなく、目線とあまり高低差がない川面を眺めながら勾配も緩く道走って楽しく快適な道です(写真:下右)。川水の透明度は高いのですが、昨今の鮎喰川などと同様川底は泥?苔?に覆われ、折角の水の美しさが半減以下。谷が深いので陽も当たりません。冬場には終日川面に陽が差さないところも多いのかもしれません。下右の写真では右手に隠れていますが、電柱・電線が無ければ、さらにいい雰囲気になるでしょう。進んで大屋敷集落の分岐でわかりにくかったので道を確認しようとしたら、地形図にアクセスできません。谷筋で電波が入らなかったようで、少し移動すると確認できました。やはり紙地図(コピーでも)を準備しておくことの必要性を改めて認識しました。コミュニティバスが入っているらしく、この後最終集落の小日浦集落の入り口までバス停がありましたが、併設された時刻表を確認すると一日二便でした。

杉林が続く

大屋敷のバス停
 下2枚の写真は、続く南の川集落と小日浦集落との間にあった両側から切り立った岩肌が迫ったところです。左の写真では左手が白飛びになってわかりませんが、両側からの崖で狭くなったところを川がカーブして流れています。道もそれに沿っているのですが、長さ数mほどの短い橋ふたつで、カーブする上下流の川を右岸・左岸・右岸を跨いでいる、あまり目にしない造りでした。大屋敷、南の川、小日浦と三つの集落で人を見かけたのは、南の川で野良仕事をしている私と同年配くらいに見えた一人だけでした。
 小日浦集落の入り口を過ぎてまもなく、聖神社入り口という右コーナーに東屋があったので一服です。ここまでは予想外に緩やかな道でした。大屋敷の分岐から東方向へ進んできた道は、聖神社登り口のある右コーナーを回ると稜線目指して南に向かうようになります。このコーナーを回った途端、10%前後の登りが続くようになりました。道両側はこの後も含めて、ほとんどが杉林です。手が入っていると思われるところはあまりなく、雑然とした杉林が大部分です。最終の小日浦集落も過ぎると交通量はほとんどないようで(この日も皆無)、路面には杉の落ち葉が道幅全面に敷き詰められたように覆っているところもありました。枯葉の下は、比較的新しく見える上々のアスファルト舗装でした。なんだかブレーキの辺りから異音がするなあと確認すると、リムとブレーキシューの間に杉の落ち葉がギッシリ。落ち葉の時期だと、パンクしたかと思うシューっという音がして引っかかった広葉樹の葉っぱに気付くことは多々ありますが、杉の葉が詰まったのは初めての経験でした。

聖神社登り口の東屋にて

杉の枯葉がブレーキに詰まる
 個人的好みの落葉樹に覆われた下の写真のような部分は滅多にありません。常緑樹の杉林が多い上に北側斜面を進む道なので、このように陽が差すこともほとんどありませんでした。途中、大タヲ山展望台・左という標示のある分岐がありました。展望台の名に少しばかり食指を動かされたのですが、事前情報もなく標示に距離も記載されていません。相い変わらず電波状況が悪いようで、地形図や Google map も繋がらず、あまり余裕もなかったので先へ進みました(後で確認しましたが、地形図・Google map とも展望台に至る道の記載はありません)。
 稜線近くに出てくると、勾配は少し緩やかになって、道は西方向へ進むようになります。しかし曲がりくねっている上に、時折14%の標示があるアップダウンが二度三度と続きます。写真:下左は、その前後から右手木々の間から見え隠れしていた鳥形山が正面にしっかりと見えたポイントです。石灰石の採取場は、何度見ても要塞でもあるかのような存在感があります。鳥形山の右手には中津明神山が見えていました。当初稜線の北側を走っていた道は稜線そのものを走る部分もあり、一部では稜線の南側を走る部分も出てきました。そんなところでは、前方には漸くチラッと風車の姿が見え始めました。そして記憶のある南側からの合流ポイントに出てきましたが、稜線付近に入ってから思っていたより随分と距離がありました。
 ところで、前回の記録を確認すると、5年ほど前の地形図では稜線の道は東側にも西側にも連続していないと記載しています。今回、このルートを計画するに当たって、地形図では繋がった記載だったので全く気にしていませんでした。5年の間に更新されたようです。
 上右の写真は南側からの合流点も過ぎて記憶にはっきり残っているポイントですが、前回には印象に残っていない北側の展望が素晴らしかったです。上右の小さな写真ではわかりませんが、左手一番奥に石鎚山から笹ヶ峰方面に連なる稜線が見えています。下の写真は、その石鎚山付近・上右の写真左端付近をズームアップしたものです。奥の真中よりやや左手の一番高いところが石鎚山です。右手やや手前の高いところは筒上山・手稲山付近らしく瓶ヶ森はその後方に隠れているようです。
 石鎚山をさらにズームアップ(写真:下左)。特徴的な山容から、間違いないことがわかると思います。前回も走っているところですが、北側の展望がこれだけ広がっていることは記憶も記録を読み返しても記載がないので、大気の条件が悪かったのだと思います。写真:下右は、二つ上右の写真から折り返して東へ進む短い部分です。珍しく落葉樹の多いここも前回も気に入って写真を撮ったところです。この後すぐに折り返して、再び西へ進みます。
 その最後のコーナーを回ると、新庄川に沿った谷筋から須崎方面が、高度感満載で眼下に姿を現します(写真:下)。地形図を見ると、稜線南側の等高線が混んでいて山肌が急傾斜であることがよくわかるかと思います。気温が高く、逆光もあって、太平洋・土佐湾は須崎湾辺りが確認できるだけですが、前回の記録を見ると、前回よりは見晴らしが良かったことがわかります。上述のように、やはり北側の山脈・石鎚方面は靄って見えなかったようです。
 この後、稜線に沿って西へ進んでいきますが、この上の写真のポイントからの眺めが一番だと個人的には思っています。ところが、ちょうどそこを通る部分の道は崖側が崩落してロープが張られてコーンが置かれていました。トップの写真はそのすぐ西側で、ロープの部分ならより一層高度感のあるところを走っている雰囲気が出たかと思います。
 一番東にある第1号機風車の下で一服後、西へ向いて稜線を進みます。写真:下右、見えている風車が第1号機です。中央付近に見える奥の稜線・一番高いところが、中腹に雪割桜の桑田山がある蟠蛇森。写真ではわかりませんが、その稜線左上には高知市街が確認できました。条件が良ければ、安芸や室戸付近まで見えるかもしれません。

第1号機風車の下から南へ

第1号機風車の下から西へ
 下左は、西へ向かって行く稜線の道で、唯一沢山の風車が一望できるポイントです。前回もほぼ同じポイントで写真を撮っています。その後は道沿いの雑木の樹高もあって、展望が広がるところはほとんどありません。四国カルストの広大感には敵いませんが、高度感はそれ以上とはすーさんも同意見。その四国カルストや前述の鳥形山が近くにあるように、ここでも少しばかりカレンフェルドの姿を見ることができます。下左の写真は南東へ向いて。珍しく南東へ見晴らしが効く地点で、足摺方面に山々が重なっています。方向からだと、右端の一番高い木に重なる付近が鈴ヶ森かもしれません。条件が揃えば、左端付近に土佐湾・太平洋が見えるのではないかと思われます。
 稜線の南側を走っていた道が北側を走るようになると、再び石鎚山方面の展望が広がってきます。またまた止まっては眺めを楽しむの繰り返しです。下:左の写真、左から鳥形山、その後の稜線・写真のほぼ中央部が中津明神山、右手最後方の稜線に石鎚山が見えています。写真:下右下は中津明神山付近をズームアップ。手前の稜線左手に鳥形山が連なります。山肌に見える集落は、地形図で泉と記載されているところ。2011年に鳥形山に登った時は、この集落を通る道を下ったはずですが、全く記憶に残っていません。

鳥形山

奥:中津明神山
 前回は稜線を一番西まで走って県道378号線で南側に下ったのですが、後半はそれほど見晴らしもなかった記憶だったので、今回は前回間違って少し下った・途中から北側へ下る道へと進みました。写真:下左端は、その分岐部。左手に登っていく道が西へと進む道です。下りに備えて寒さ対策、脱いでいた上着を羽織ります。下った道は地形図では軽車道の記載ですが、綺麗なアスファルト舗装で広さも十分でした。ただ、登ってきた道同様、周囲は杉林が続き、路面には杉の枯葉多数。3qほど下って突き当たったところを左折。国道439号線方面へ。右へ進むと、序盤に地形図にアクセスできず悩んだ大屋敷の分岐部に至るようです。鳥形山の麓へ向かって下っていきます。写真はありませんが、振り返ると稜線に風車姿が遠ざかっていきました。結局、下の谷集落の分岐から国道439号線へ下って来るまでの約30qで出会ったクルマは一台だけでした。
北側へ下る分岐部 相変わらずの杉林 次の分岐部を左へ 鳥形山の方へ
 下り切って国道439号線に併走する道(旧国道らしい・ここも路面に杉の枯葉満載)を進んで合流した国道は、与作と呼ばれていた時代が全く感じられない新しく広い、そしてトンネルでショートカットされた道でした。クルマで走るにはいい道ですが、自転車ツーリングにはちょっと味気ない、そんな道ですが、クルマはほとんど通りません。上述のように2011年に鳥形山から下ってきた後に登り返した県道18号線を再訪したかったので、鳥形方面から下って来る道の分岐も確認しながら下っていきます。国道439号線からの分岐(写真:下左、奥の橋)を確認して県道18号線へと進みますが、国道からすぐだったと記憶していた細い旧道の両側に犇めきあって連なる民家の光景(写真:下右)は、分岐部から1qほど先でした。
 前回からもう12年も経っているので人が住んでいない家屋も多いのではないかとの予想に反して、商売をしている店や子供の姿、そして小奇麗な旅館まであって活気さえ感じられました。家の前を掃除していたおばさんが挨拶してくれるほど。写真が的確でないですが、昔の風情を残した情緒が今も漂っていました。両側に民家が密集する直線部分を通り過ぎると、道は山肌に沿って緩やかにカーブを描いていきます。その前方に見える山肌にも見事な石積みの田畑と民家が点在しています。
  
 県道18号線の左手下を走る国道439号線沿いには小学校を始め役場のような建物もあって、民家も多数。小学校名から長者という地区のようです。その中心部は、写真:下右の進む前方ガードレールに隠れる下方に位置しています。国道439号線からの分岐部は、左奥の谷となる付近。左手下方には手入れの行き届いた棚田(写真:下左)もあります。民家が連なる直線区間は棚田の右上に見える鉄筋二階建ての向こう側です。道両側に密集する民家の光景ばかりが強烈な印象の記憶となっていましたが、こんな素敵な光景が続いていたことは記憶から全く欠けていました。
 
 まもなく民家は見られなくなり、またまた杉林の中を走る道となりました。相変わらず狭い道が続きますが、クルマはほとんど通りません。峠を越えて下の谷集落までの10qほどの間に出会ったのは軽自動車1台だけでした。有難いことに旧道故か勾配は4%程度で、後半になって疲れてきた脚にも優しい道でした。道はこの後もずっと普通車一台がやっと通れる幅で、軽自動車でも擦れ違いは困難。国道439号線の分岐部に、この先大型車だか中型車だか通行禁止の標示があったことを思い出しました。
 大峠に到着。何処かから近くになった鳥形山を眺められるかと期待していましたが、峠の少し手前に木々の間からちらりと見えるところが1ヶ所あっただけ。峠には森林管理道の標示があり、峠から南に伸びる林道名に記された地名・星ヶ窪は、県道18号線に入ってまもなくの分岐でも左手に書かれており、地形図では軽車道で繋がっています。
県道18号線 大峠まで
 大峠を越えて相変わらず細く緩やかな勾配で下っていく道で、ふと気が付くと前輪がスローパンク。チューブを交換。写真:下左は峠から最初の民家があった県道標示にも記載されている田代地区。少しばかり広がった平坦地には水田が設けられていました。民家は2軒ばかり。ご高齢の女性が野良仕事をされていました。前方に見える切り立った崖のある山は、方向から横倉山でしょううか。
 地形図を見るとわかりますが、峠の東側はいくつかある小さな集落を繋ぐように著しく蛇行した道が続きます。そのため勾配は緩やか。上方からだと下方に、ある程度下って来ると見上げるように民家が立体的・階段状に重なる光景が見られましたが、なかなかいい写真ポイントがありません。そんなコーナーの連続の最後に、往路に曲がった下の谷集落を通過。その後は前述のように往路では感じなかった勾配のある下り坂を走って、崩落部分を右岸で回避と往路を逆走します。中大平橋を渡って、後はずっと左岸でデポ地に戻りました。戻ってきた宮の前公園は、土曜日だったこともあってか、キャンプをする人で溢れてのにちょっと驚きました。
 5年振りに訪れた風の里公園、南側の光景こそやや霞んでいましたが、高度感は相変わらず。北側も前回は印象にも残っていない石鎚山方面までの遠望が楽しめ、12年振りに訪れた大峠前後の道も期待を裏切ることなく、走行距離は短いものの十二分に楽しめた一日となりました。

 ご意見・ご感想・新しい情報はこちらへ

ツーリング四国へ戻る  TOPに戻る

inserted by FC2 system