中津山再訪・途中撤退、林道川崎国見山線
 暖かい四国ですが、冬場に冷え込むと標高1000mを越える道では凍結することも多々あります。12月も目前となった週末、天気予報では高気圧が張り出してきて、好天が期待できそうです。山へ向かうなら、今年最後のチャンスかも。前夜、何処へ行こうかと思案していたところ、中津山再訪を思いつきました。中津山への道は、まだまだ元気だった18年前でも相当厳しかった印象が強く、脚力低下の昨今を考えると、この機会を逃すと次はないかもしれません。ただ、隣りにある国見山も捨て難い。結局、デポ地の阿波池田に到着した時点の状況を見て、どちらに向かうかを決めることにしました。 (2022年12月15日 記)

林道川崎国見山線から白川谷川方面 (2022.11.27)
 午前5時過ぎに自宅を出発。阿波池田の池田ダム湖畔に到着したのは7時前。道中、行先は十中八九国見山だと考えていたのですが、到着してみると雲海はなく、少し霞んでいて山頂からの遠望も期待できそうにありません。これは中津山に向かえというお達しと、難関覚悟でスタート。気温は7℃。頭から手先・足先まで、早くも冬装備です。
コース  池田−出合−中津山中腹−川崎−林道川崎国見山線−池田
走行距離   55q   積算標高 1600m
最高地点   中津山撤退地点  標高860m
走行日   2022年11月27日  天候:晴れ  GIANT CONTEND
 池田大橋は直進して吉野川右岸を進み、三好橋を渡ります。この橋からの眺めが好きで、いつも立ち止まって写真を撮っています。下左は上流方向。この日は風もなく、ダム湖面が鏡のようです。左奥に、これから向かう予定の中津山山頂が頭を出しています。下右上は下流側。池田大橋と徳島道・へそっこ大橋、後方の山腹には西山地区が見えています。少しだけ雲海の姿が。右岸は帰路に通るという予定で、左岸・国道32号線を進みます。第一吉野川橋梁を跨ぐところで、ちょうど向こうからガタンガタンと列車の音。大急ぎでカメラを出して一枚。
 
 
 国道32号線から祖谷口橋を渡って県道32号線に入ります。道は、まだまだ山影の中。県道32号線沿いの祖谷渓谷は、これより先が川面との高低差が200m近くになって、周囲の山々も雄大さを増すのですが、出合まででも写真:下左のように、その魅力の一端を感じさせてくれる光景に出会えました。出合の中津山登り口には8時前に到着。松尾川を渡る橋を渡ってすぐ左折です。前回の記録では、ここから山頂まで12qで所用時間は2時間40分。今なら4時間超かかるだろうなあ。正午くらいに到着できれば上々。道は記憶・記録通り、最初から10%越えが続きます。あっという間に左手を流れる松尾川が下方に遠ざかっていくのですが、木立で川面はほとんど見ることができません。
左  県道32号線から祖谷川
上  県道32号線からの分岐部
右上 分岐から登り始め
右下 光明寺方面へ折り返し
 前回はスマホもなく、おそらく地形図を印刷して持っていったのだと思いますが、分岐部では2、3ヶ所迷った(悩んだ)記憶があります。しかし、今回は要所では地形図のGPSで確認できるので安心。まず光明寺の標示で、最初の折り返しです。出合から2q、既に200m登っています。この分岐から光明寺まで、短いつづら折れの途中に3、4軒の民家があるのですが、勾配はさらに増しています。下左の写真は、そんな道の途中から。奥の山腹に見えるのは、地形図によると石内付近でしょうか。光明寺は、下右の写真のように表の道は広くなって駐車場もあり、建物も比較的新しく整然としたお寺でしたが、前回の記憶には全く残っていません。
 光明寺を過ぎると、それまでのアスファルト舗装がコンクリート舗装になりました。さらに最後の民家を過ぎると道には落ち葉が多くなり路面も荒れてきたので、空気圧を少し下げます。この後も落ち葉が路面を覆いつくすところが多かったのですが、これも前回の記憶にありません。前回は12月末だったので、落ち葉も風で飛ばされてなくなっていたのでしょうか。落ち葉が多い割に、前半の道沿いは杉林が多いです。そんな道を登っていくと、電波塔との分岐部にやってきました。ここまで出合から5q、標高差410mほど。まだ比較的状況の良い道の区間ですが、すでに50分要していました。一服しつつ案内板(写真:下中)を見ると、サドルの左上付近に消えかかった字で「路肩崩壊、車は通行できません」の張り紙がありました。車はとあるので、徒歩や自転車なら押してでも通ることができるかと先へ進みます。下右の写真、鳥居の左後方から登ってきて、右上奥へと進みます。写真では小さくて判別できませんが、ここにも「路肩崩壊 車の通り抜けできません」の比較的新しい立て札(鳥居の右後方)がありました。
 左下 杉林の中が多い
 左上 落ち葉の道
 上  電波塔分岐部の案内図
 右  電波塔分岐部からの道
 この鳥居からの道は20%を越える激坂です。おまけに落ち葉が多く、下手に踏み込むとスリップするくらいでした。右手には時々国見山の姿が見えたのですが、木々が邪魔をしていい具合の写真が撮れません。下右の写真は、右手に祖谷渓谷を見ることができた唯一の地点から。下左は、さらに進んだところから左手・北側へ向いて。一番奥に讃岐山脈が見えています。現地で眺めていた時は、手前の稜線上に見える集落は西山地区だと思っていたので、手前の山肌にある集落は地形図で石立と記載されている付近かと思いますが、はっきりしません。
 その後まもなく、道は未舗装となりました(写真:下左下)。下左上のような、コンクリート舗装で比較的緩やか(それでも8%くらい)のところも僅かにありましたが、すぐに未舗装に戻りました。そして勾配は10%強が続きます。おまけに、下右の写真のように両側から萱のような草が倒れて路面を覆っています。これも前回の記憶には全くない光景です。あまり経験しない状況なので忘れているとは思えません。倒れた草は朝露に濡れてとても滑りやすくなっています。勾配は相変わらずきつく、草の下には10pを越える石も隠れていて、予想以上に進むのが困難です。まあ時間は十分あるからと、のんびり進みます。陽が差すところが増えてきて漸く体も温まってきました。左手には灌木(この付近は伐採されているのか杉林なし)の間から松尾川対岸の山や集落、さらに讃岐山脈まで見えるのですが、木々の隙間から見える程度で写真を撮ろうと思うようなところはありません。
 道は次第に荒れ具合を増してきて、乗車して進むことも難しくなってきました。前回も石ころだらけの道で大変だったなあと思い出しながら進んでいくと、写真:下左の分岐に出てきました。路面状況からは右手に進むようで、分岐部の板に小さく「左は水源入り口」と記載されています。ここまで出合から6.5q。先程の鳥居のところから1.5q進むのに30分。歩くより遅いスピードです。距離的には半分を越えましたが、前回の記憶では後半も最後が難関。このペースだと、あと2時間余は要しますが、時刻は9時半だったので、正午までには山頂に到着できるかと右手に進んだところ・・・。写真:下中のように両側から草茫々で行く手を遮られ、その先は道の様相をしていません。左手に下ってみましたが、こちらはすぐに道終了。地形図のGPSで確認すると、舟山と記載のある北東・標高865m付近。おそらくこのすぐ先に崩落部があって、いつからか車はここまでしか入っていないように思われました。標高差もまだ600m程あり、自転車を置いて歩くとしても藪漕ぎ必須です。
 冒頭で述べたように、今回を逃すと次はないと思っていましたが、潔く諦め、ここで撤退としました。しかし、まだ10時前。陽当たりのいいところで補給をしながら、さてどうしたものかと、その後の予定を考えます。県道32号線を祖谷方面に走って、県道45号線の分岐部から重松経由で吾橋へ抜けることも考えていたところ、ふと未走だった林道川崎国見山線のことを思い出しました。以前から一度走ってみようと思っていた道です。ちょうどいい機会だと、即決。上右の写真は、休憩中近くに飛んできた鳥。何かと思ったら、ジョウビタキ・雌でした。
 ということで、下り始めます。相変わらずの枯草の道を慎重に下って(写真:下左、正面奥の山腹に西山地区が見えています)。下右は、唯一すっきりと北側が見渡せたところで。手前の尾根筋が松尾川対岸で山肌に松尾集落が見えています。奥に讃岐山脈・雲辺寺付近。
 もうこの道を訪れることは二度とないだろうと、しっかりと周囲の光景を目に焼き付けます。下左は北東方向、腕山付近でしょうか。さらに下って、木々の間から見えているのは、光明寺とその下方途中にある集落。地形図では本名と記載されています。登ってきた時、短い距離のつづら折れで稼いだ標高差がよく分かるかと思います。
 出合まで慎重に下って、再び県道32号線で祖谷口まで戻ってきました。下の写真は、往路時に撮った県道32号線から見た川崎集落全景。先に走った中上集落から見た落合集落の光景にも通じるところがある、祖谷地方に見られる急斜面の様相です。徳島の山間部には良く見られますが、全国的にはあまりない光景かもしれません。
 ここからは当日のアドリブで、事前情報は全くなし。林道川崎国見山線(以後、林道と略)は国道32号線から国見山橋を渡ってが起点かと思われましたが、今回は川崎集落の北側から林道途中に出る道を見つけたので、そちらを進んでみました。祖谷口橋手前で左折して、かわさき橋を渡ります。この橋を渡るのは初めてです。渡ってみると車一台通るのがやっと。意外と幅狭い橋でした。写真を撮ろうと思ったのですが、向こうからクルマがやってきたので写真撮影は帰路に。
 川崎集落の北側を走って林道に入ります。この道は県道45号線には貫通しておらず、行き止まりの筈です。下左の地形図のように、道は途中で途切れています。行き止まりまで走って引き返そうと先へ進んだのですが、実際は地形図の道が途切れた地点から5qほど先、下の青い点のところが2022年末時点での終点でした。林道に入ると、勾配は8%くらいのコンクリート舗装という予想通りの道が続きます(写真:下右下)。この写真では道両側が雑木林ですが、大部分は植林された杉林を貫いていきます。川崎集落を抜ける途中からも見える吉野川対岸の山肌裾野・下川地区の民家の造りや並びがとても気に入ったのですが、林道に入ってからも木々が邪魔をしていい撮影ポイントがありません。見上げると前方頭上に国見山山頂がチラリと見える(写真:下右上)、こんなところもほとんどありません。
 
 道は、そこそこに育った杉林を貫いていきます。勾配はずっと同じくらい。右手(西側)には吉野川対岸が杉林の間から時々見えるのですが、やはりなかなかすっきりと見渡せるポイントがありません。写真:下左は、進んでいく途中、唯一あった分岐部です。林道は左奥から登ってきて手前へ。地形図のGPSで確認すると、川崎集落から尾根沿い近くに伸びている軽車道から正木と記載されている集落に伸びる徒歩道付近に重なりました(上図:井戸口山とある南の点線)。右手の登っていく道を進めば、尾根沿いの軽車道で川崎集落に戻れそうです。復路はそちらへ進んでみることにしました。杉林ばかりの中、この分岐のすぐ先で、唯一西側の展望が広がるところがありました。見るなり、ああ先日走ったところだと思い当たります(トップの写真)。見えている谷筋は白川谷川。右手山肌の集落や道にも見覚えがあります。一番左奥は県道5号線から登って越えてくる浦の谷林道の峠だと思います。分岐部からしばらくは、それまでと異なり、標高600m弱の等高線に沿って道が進むようで勾配はあまりありません。一時下るところもあるくらい。正木と記載されたところには数軒の建物マークがありますが、林道沿いからは全く確認できませんでした。ちなみに Google map ではこの付近まで道が記載されています。
 その後、明かに比較的新しい造りだと思われる坂を登っていきます。勾配は再び10%超。先日の林道大川原旭丸線でも見た法面下方を木材で補強しているところもありました(写真:上右)。路肩には小さな石標があって、最初に確認したところは平成29年、次は令和2年と刻まれていました。結局、上述のように地形図の記載終点から5q強走ったところで工事中行き止まりでした。そこにあった石標には令和4年9月竣工と刻まれていたので、ゆっくりと南進工事が進んでいるようです。地形図のGPSでは、897.6mの三角点と441mの標示を結ぶ線の少し南側、2本の徒歩道(現地では不明)が合流する右手・標高680m付近でした。いつかは国見山登山口方面からの道と繋がるのでしょうか。
左  林道工事中、通行止め
上  スマホGPS通行止め位置
右上 杉林の中を進む
右下 通行止め部 道脇の石標
 通行止め地点で休憩の後、来た道を戻ります。先程の分岐まで引き返して右手へ進むと、すぐに北西方向の展望が広がりました(写真:下左)。吉野川と阿波川口の町が見えています。右手奥の一番高いところが雲辺寺です。下右上は、杉林の間から見えた吉野川左岸・山肌の集落。国政付近かと思われます。短いけど10%越え落ち葉の道(写真:下右下)で尾根の軽車道と思われる三叉路に出ると、クローラーやトラックのタイヤ跡があり、ぬかるんでいてドロドロでした。
 川崎集落からの軽車道に出たと確信し、左手・北方向に進みます。周囲は雑木林になって、さらに落葉満載。路面は未舗装のようですが、確認できません(写真:下左)。勾配も緩やか。これは極上の道だ、こちらへ進んだのがは大正解と落ち葉を踏みしめ進みます。途中、木々の間からチラリと未踏に終わった中津山の姿も見ることができました(写真:下右上)。
 ところが、ずっとこんな道で川崎集落まで続いているものと思っていたら、どんどん路面が荒れてきました(写真:下3枚)。右端の地点では、道が途切れているようにさえ見えたので、思わず地形図で再度確認しましたが、道は間違っていません。中津山のひどいところより悪いくらいだと言ったら言い過ぎでしょうか。三叉路にあった轍の車両は林道側から入ってきたのでしょう。大きなクルマはもちろん、軽四四駆でも通り抜けるのが難しそうです。当初、川崎集落からこの道を進むことも考えていたのですが、もしそうしていたら途中で断念していたこと間違いなし。
  
 その後、写真:下右のようなコンクリート舗装で雑木林のいい雰囲気のところもありましたが、結局川崎集落の最上部の民家に出る直前まで荒れた道が続きました。ところで、林道については地形図より新しい情報が記載されている Google map ですが、この軽車道は記載されていません。下左の写真は、川崎集落最上部付近からの眺め。青い橋が祖谷口橋、赤い橋がかわさき橋です。
 漸く出てきた川崎集落を縫うように蛇行する道を、周囲を眺めながらゆっくりと下ります。集落に出てきてすぐのところにある川崎空薬師堂、数本植えられている桜が満期時には、まさに花を添える光景になるようです。下の写真は、ほぼ真中くらいまで下ってきて北西方向。左手に見えるのは正賢寺。下りながら、何枚か写真を撮ったのですが、斜面の家並みを上手く捉えることができません。
 集落内は道が交錯しているのですが、北寄りの道を走って林道に出てしまい、すぐ下からもう一度集落内に戻りました。が、もっと南側の道を進んでみるのが良かったかもしれません。下左の写真は、下右の写真の少し手前から。中央奥に中津山が鎮座しています。こうして青空の中に聳える姿を見ると、山頂まで到達できなかったことが残念。
 かわさき橋まで戻ってきました。忘れずに写真を。祖谷口からは、吉野川右岸の道で。三繩駅では、ちょうど高知方面行きの列車が発車したところだったので一枚。
 本来メインだった中津山が途中撤退で前座となってしまいました。それでも思い付きで以前から気になっていた林道川崎国見山線を走ることができたし、復路には尾根道を走ることもできて、県西部の山を楽しめた一日となりました。後日YAMAPで確認したところ、中津山への登山道は軽車道とは反対、西祖谷・田ノ内という南側からの尾根筋がメインルートのようです。同じ日に登られている方もいらっしゃるようでした。私は、おそらく今後中津山山頂まで登る機会はないと思うし、川崎集落まで下ってきた軽車道を走ることもないだろうと思います。そんな道がこれからは増えていくと思われますが、そんな道はもちろん、定番の道でも一期一会の気持ちで走っていきたいと思った旅でした。

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