阿佐東線 と 甲浦付近の道
 廃線になる直前の三江線を訪れたり、福塩線近辺のサイクリングや布原信号場を訪ねたりと、鉄道路線に関連したツーリングをいくつか行ってきました。鉄ちゃんと呼ばれるほどの思い込みも知識もありませんが、鉄道は興味があって好きなもののひとつです。この春先には、徳島本線や牟岐線と阿佐東線の各駅を訪ねる、片道輪行サイクリングを考えていたのですが、感染症の蔓延などで実現できないままになっていました。そんな中、来年にはDMVによる営業となるため、牟岐−海部間ではバス代行となってしまいました。海部以南、甲浦までの区間を列車が走るのも後僅か(今月末まで)。ということで、その列車を見ることを目的として南へ行ってきました。 (2020年11月11日 記)

甲浦−大斗間 奥河内集落の外れにて (2020.11.08)
コース 牟岐−甲浦−大斗−生見−甲浦−宍喰−大里海岸−浅川−牟岐
走行距離   85q    積算標高 900m
最高地点   水ノ口峠  標高300m
走行日   2020年11月 8日  天候:曇り  シクロクロス
 牟岐町スタートは、午前8時半。牟岐駅に立ち寄ってみると、徳島行きの普通列車が出発前のようでした。事前にチェックした時刻表で、甲浦駅10時到着の列車を見ることをメインと考えたため、あまり余裕がないと往路は国道55号線をメインで南進。海部川を渡ったところで、海部駅に立ち寄ってみました。駅は高架橋の上にあります。頭上に列車のエンジン音が聞こえたので、駅と列車が見える少し離れた高台まで移動して一枚。この時点では、いつ発車するのか確認していませんでした。そのまま国道55号線を進んで那佐付近の海岸線に出た辺りで再確認したところ、もうすぐ先程見たその下り列車がやって来るようです。ということで、数分待っての1枚が、下右の写真。阿佐東線、海岸線に沿っているように見えるのですが、トンネル区間が多く、海が見えるところは少ないようです。

海部駅にて 9:17発 甲浦行

牟岐駅にて 8:44発 徳島行
 宍喰駅は素通りして、県境の水床トンネルは交通量が多く狭いので、いつものように県道309号線で迂回。再び国道55号線に戻るところで、道を横断して甲浦漁港に下る道へと進みます。この道は初めてです。沢山の漁船が停泊している港の光景を見ながらゆっくり進みます。小さな山の間を抜けると漁港の雰囲気は全くなくなって普通の田舎町の表情になりました。甲浦駅は、その外れです。
 列車到着の10分ほど前に駅付近に着いたので、写真になりそうなところを探して駅の手前に移動。しばらく待っていると、レールの繋ぎ目を渡る音が聞こえてきました。程なくトンネルから列車が出てきたので1枚。駅手前のためか、かなりゆっくりのスピードです。ちなみに宍喰駅−甲浦駅間は2.5qほどの直線区間ですが、写真の奥に見える第四宍喰トンネルの長さは1.5q。ほぼ60%がトンネルです。地形図を見ても、阿佐東線は全線のほぼ半分近くがトンネル区間のように見えます。
 何年か前(確認すると2013年でした)、室戸200q走時に初めて立ち寄った甲浦駅。確かここも架橋上にホームがあったので、DMVはどうやって道路まで下るのだろうと思っていました。駅に近づいた列車は待合室より随分手前に停車しました。回り込んでみると、駅の端から道路へのスロープが取り付けられているようでした。階段を上ってホームに出てみると、鉄ちゃんらしき人が二人、写真を撮っていました。車止めでしょうか、土嚢が線路上にあります。スロープ側をみると、どうも写真:下右端の工事車両の部分で道路になるようです。DMVの車両は見たことがない(この日も情報収集不足で何処にあるか確認できていませんでした)のですが、線路の上を走るくらいだから大きくて重いイメージがあるのですが、スロープは結構急勾配で曲率半径も短いです。普通の大型バスでも大変そう。この道を上り下りできるとは、ちょっと驚きです。
待合室手前で停車 白い部分がスロープ  甲浦駅ホーム  駅からスロープ側
 さて、阿佐東線の列車を見るという最低限の目的が達成できたので、おまけに考えていた甲浦から河内川に沿って遡る初めての道へ進んでみることにしました。いきなり、小さな堰の上手に浅く広がる緩やかな流れと周囲の雑木が素敵な箇所があったのですが、写真撮り忘れ。ここからの道は野根川方面に向かって1本道だと思っていたのですが、少し走ったところで左手への分岐がありました。前夜、スマホに地形図を入れてきていたのですが、なんと電源が切れています。何度入れてもすぐに切れてしまいます。故障かと思ったら、充電切れでした。直進が正解だろうと進んだのですが、自信がありません。ちょうど、散歩中?のご婦人がいたので野根川方面に出られるかと訊ねてみたところ、大斗や生見に抜けられますよとのこと。安心して先へ進みました。トップの写真は、奥河内の最後の民家を過ぎて100mばかりのところ。コンクリート舗装になったので、どんどん道は悪くなっていくかと懸念したのですが、またすぐにきれいなアスファルト舗装に戻りました。
 道周囲は、県南故でしょう紅葉はほとんどみられません。しかし照葉樹林は案外少なく、圧倒的に杉林の区間が長いです。杉林はあまり手入れが行き届いていません。写真は雑木林のところばかりですが、雑木区間は僅かで、一ヶ所竹林が100mほど続くところもありました。写真:下の少し先だったと思います、何やらケモノの臭いがするなあ、猿の群れでもいるかと思っていたら、なんと道のすぐ横で体長1mはあるイノシシがヌタ場なのか泥浴びをしていました。チラッと目が合ってしまいました。さすがに、ちょっと身の危険を感じて写真を撮る余裕なし。猪突猛進は御免だと、恐る恐る遠ざかります。幸い、そのまま泥浴びを続けていたようで、背後で危険な物音はありませんでした。
 道は、山の東斜面の走っているのですが、木々が繁っていて甲浦(海)側の見晴らしは全くありません。記憶通りに一つ目の折り返しを過ぎると、むしろ反対・野根川側の展望が少し広がって勾配も緩やかになってきました。まもなく、最高部に到着。ここまでは中央部が苔むしたところや枯葉に覆われた路面が多かったので、下り区間も同様だろうと思っていたのですが、なぜか下り区間の路面は清掃されてようにきれいでした。アスファルト舗装も滑らかです。12%の斜度標示のところが一部ありましたが、それほどきついとは思われませんでした。下りは早く、あっという間に生見大斗林道の三叉路に出ました。
 上 最後部(標高300mちょい)
 左 シダ類が繁る
 下 生見大斗林道との三叉路
    左奥から右奥へ進む
    大斗方面は手前右へ
 この道は2002年以来ですので、なんと18年振りです。当然記憶にはほとんど残っていなくて、杉林の中の道だったなあという程度です。その通り、登りだった東側に比べると少し手入れされた杉林が続きました。進んでいくと、右手に下る道の分岐が2か所。写真:下右上は、相間川方面に下る道のようで、そのあとに生見の役場方面に下ると思われる分岐を確認しました。ところで、前回は生見の役場付近から登り始めたとばかり思っていたのに、改めて写真を確認すると、今回走った道を逆走していたようです。
 上 相間川方面への分岐
 左 生見大斗林道
 下 生見方面
 道は再び登りとなります。これは事前に地形図で確認していた通り。甲浦からの登り同様、林の中の道を予想していたのですが、斜面には柑橘類の畑が広がっていて生見海岸方面の展望が広がっています。山肌に広がる柑橘類の畑は法華津峠からの光景を思い出させましたが、大きさとまだ全く色付いていないことから温州ミカンではないように見えました。生見の国道沿いでは、季節になると文旦やポンカンを売る出店を何軒も見かけますが、ポンカンでしょうか? 途中、短い距離ですが、雑木の雰囲気がいいところがありました(写真:下右)。
 写真:下左は、一番標高のある付近(といっても標高200m弱)から生見の海岸を見下ろしたところです。それにしても、走っている時には、前回走った道だとは全く思っていませんでした。ピークを過ぎると、ずっと柑橘類の畑の中を下っていきます。
 上 生見海岸、サーファーが点々と
 左 最高地点付近から
 下 左の写真から少し進んで
 再び甲浦に戻ってきたら、12時33分発の列車がちょうど発車する直前でした。大急ぎで駅に向かいましたが、到着時と異なり列車はそれなりのスピードで遠ざかっていき、きれいな写真を撮れず。まあ、往路で楽しめたからと、県境はまた県道309号線で迂回して徳島県に戻ります。海部・宍喰・甲浦と三駅ある阿佐東線、往路では宍喰駅だけ見逃しているなと、帰路途中に立ち寄ってみることにしました。すると、時刻表も確認していなかったのですが、うまい具合に下り列車に出会うことができました。写真:下、宍喰駅から甲浦方面に向かう列車。
 なんだか得した気分、満ち足りて帰路を走ります。海部駅の近くからは、国道を外して大里海岸へ向かいました。海岸には投げ釣りをする人の姿が何人か。奥に見えるのは、右端が牟岐大島、その左手が出羽島。砂浜の先・半島状の奥に薄っすら見えるのは、千羽海崖付近のようです。しばらく、海岸の防波堤の上を走っていったのですが、ふと気づくと周辺の松の木が全て枯れています。長さ2q以上、幅100mあまりにわたって続く海岸沿いの植生は松の木が多いですが、他にもいろいろな樹が生えています。枯れているのは海に近い松ばかりでしたが、原因は? 途中から林の西側の道を走って、蛇王運動公園を通っていきます。一時閉鎖されていたように見えていたB&Gの温水プールが復活していたようでした。1999年、牟岐で仕事をしていた当時は週に2回ほど通っていたものです。
 上 枯れた松林
 左 大里海岸
 下 浅川の町
 浅川の町を抜けて国道55号線に復帰しますが、鯖瀬の少し北側で紫陽花ロードと呼ばれる旧道へ。この道、以前は季節になると紫陽花が道周囲に満開となっていたのですが、1999年当時でも、地元の人が以前より世話する人がいなくなって花数が減ったと言われていました。紫陽花の季節に訪れていませんが現在はどうなっているのでしょう。道の一番高い付近にある松坂隧道は、ちょうど100年前の1921年完成。石やレンガ造りが主だった当時、コンクリート打ち込みとしては国内最古と案内板に記されています。
 上 松阪隧道・南側
 右 松坂隧道・北側
 下 松坂隧道の案内板
 旧道からすぐに国道に復帰せず、林道神野内妻線の走り始めの道を回って牟岐へ。さらにデポ地よりちょっと北に位置する橘地区に回り道。実は、その前夜、高知のMさんからアサギマダラの写真が送られてきました。そうだ、確か牟岐で休耕田にフジバカマを植えてアサギマダラを呼んでいるところがあったと思い出して調べて向かったのですが、少しばかり時期が遅かったようです。フジバカマの花は咲いているものの、優雅に舞うアサギマダラの姿はどこにも見ることができませんでした。また、来年の楽しみです。

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