林道高野線  森林基幹道法皇線
 地形図と Google map を眺めていて林道観音谷線の西側に翆波峰方面に繋がる道があることに気付いたのは、その2、3日前のことでした。しかも実線の軽車道ではなく、1車線の道路として記載されています。こんな道をどうして今まで気付かなかったのだろう、地形図では微妙に繋がっていないので行き止まりだと思い見逃していたようです。年々衰える脚力のことはもちろん、前日が雨だったので翆波峰付近から燧灘の大展望も楽しめるかもしれないと早速向かってみました。 (2022年 4月27日 記)

林道高野線にて (2022.04.16)
 いつものことですが、事前のチェックは極めて雑。上述のように地形図では繋がっていないのですが、Google map では繋がっているので大丈夫だろうという程度です。事前情報が多過ぎても面白くないので、というのは言い訳。当然ですが、天候もチェックします。この日は西高東低の気圧配置、東予地方は曇り後晴れの予報でしたが、山の天気予報を確認すると近くの豊受山の予報は一番条件の悪い登山指数Cの表示でした。最初は見間違えたのかと思ったくらい。翌日の日曜日は移動性高気圧に覆われAの表示だったので一日延期したほうが無難かと思われましたが、これまた上述のように雨直後のほうがすっきりした展望を期待できるかと、この日の決行となりました。
コース 伊予三島−林道高野線−森林基幹道法皇線−三角寺−伊予三島
走行距離   45q   積算標高 1600m
最高地点   翆波峰  標高891m
走行日   2022年 4月16日  天候:晴れ  GIANT CONTEND
 午前6時前に自宅を出発。高騰するガソリン対策のため、高速道路代を少しでも節約。井川池田IC−三島川之江IC間のみ高速道路を利用したのですが、新境目トンネルを抜けると、向かう赤石山系の稜線は雲の中です。法皇山系はかろうじて稜線が見えている程度。まあ瀬戸内海側は晴れているし次第に回復するだろうと、そのままデポ地・三島公園へ向かいました。道中の吉野川沿いは北側の阿讃山脈、南側の剣山山系ともに山肌に新緑の萌黄色から明るい黄緑に溢れていました。午前8時にスタートした三島公園も気持ちが洗われるような新緑でした。しかし、山の天気予報通り結構冷え込んでいました。気温は7℃。薄手の恰好できたことを、ちょっと後悔です。
新緑の三島公園 向かう先は雲の中 林道高野線起点の表示 豊岡台団地から燧灘
 三島公園からは、主に高速道路の側道を伝って西進します。海岸線からすぐ1000mを越える山になるので、標高50m程度ですが北側ほぼ180°燧灘の全貌が見て取れます。ただ、期待したほどの透明感はなくて、まずまず程度。東には高屋神社のある七宝山から荘内半島。海には、東から伊吹島、円上島、股島、魚島諸島の背後には本州・福山方面、そしてしまなみ海道を伝って今治まで確認することができました。ついつい立ち止まって写真を撮るの繰り返しで、8qほどに45分もかかってしましました。写真:下右、左手前が伊吹島、右奥が紫雲出山。荘内半島突端・三崎は伊吹島の後ろに隠れています。下左は、ほぼ真北方向。魚島諸島付近から後方は尾道付近かと思います。
 さて、件の道ですが、地形図では住宅団地と思われる辺りから始まるようです。西進すると、高速道路の山側にそれらしき住宅団地が見えてきました。その頃には赤石山系の稜線も雲が切れてきました(写真:下左)。高速道路を高架橋で渡ると、林道高野線という表示が出ていました。目指す道の名称のようです。そのまま進めば良かったのですが、一旦住宅団地を回るような道を走って、団地の裏手から林道に合流しました。さあ、後はしばらく1本道と進み始めたところ、すぐに未舗装となりました。地形図では1車線の記載だったので、もう少ししっかりした道を予想していたのです。ちょっと驚きでした。さらに100mも進まないうちに、コーンとバーで閉鎖されています。そこには「落石のため通り抜けできません」の標示が・・・。
 そのまま引き返す選択もありましたが、折角100q余りもクルマを走らせてやってきたので、担いででもダメなら引き返そうと進んでみることにしました。路面はそれなりに浮いた石も多く、枯葉はもちろん、小枝というには大きく太い枝も散乱しています。おまけに勾配も10%近く。時間は十分あるので、ゆっくりと進みます。というか、歩く程度のスピードしか出ません。かろうじて乗車できている程度。走りに余裕がないので、時々避けたつもりの枝が車輪に入ってしまいます。勾配のきついところでは、一部コンクリート舗装の部分もありました。
 ところが、左手を流れる西谷川から地形図・最初のコーナーを折り返す(写真:下左)と、幸いにも勾配は緩くなって数%程度になりました。路面の状況も落ち着いてきました(写真:下右)。これはいい道だと悦に入りたいところでしたが、ひょっとしたら引き返しかもと思うと、ついつい下ることも考えて路面をチェック。残念ながら周囲は最初は杉、その後は檜の密生した植林が続き、新緑の明るさや展望は全くありません。
 那賀川流域で仕事をする期間が数年間あったこともあり、徳島は植林された杉林ばかりだと思っていました。ところが、上述のように吉野川沿いの山は、この季節に走ってみると意外と落葉樹が多いことに気付きました。一方、四国中央市となった法皇山系の山肌は、この時期でもほとんどが黒っぽい緑。高校生の頃から通い始めて、1985年1986年には仕事で2年間居住し、その後も度々訪れている当地ですが、そんなことにも初めて気づいた次第です。
 左上図は林道高野線()付近の地形図です。下の軽車道が林道観音谷線。稜線付近を東西に走る一車線道は森林基幹道法皇線です。地形図通り、大きなジグザグで登っていく道は、これでもう少し植生が豊かで時に展望があれば最高!という勾配と路面が続きます。後半にあったひとつの右コーナーでは重機が入ったと思われる後があって、前日の雨のためか道幅全体がぬかるんで乗車出来ず。山際の少し硬さが残ったところを押して進んだのですが、結局最後まで落石は全くなかったので、その右コーナーが落石のあったところかと思われました。

新緑は極一部のみ

苔生したところも
 途中に木々の間から燧灘と四国中央市が見えたところは1か所だけでした。写真:下左、上は股島と円上島、中は奥に伊吹島と手前は伊予寒川付近、下は四国中央市です。写真が小さいですが、右手から中央に見える稜線が香川愛媛県境・讃岐山脈の西端です。右奥には大麻山、煙突の左上には我拝師山も見えています。落葉樹の明るい新緑が見えたところも1か所程度でした。
 
 大分登って来ると、何処からともなく桜の花びらが落ちてきました(写真:下左)。見上げると、もう花も残り少なくなった桜。下右、ここから右手にジグザグの登り道で、まもなく森林基幹道法皇線に合流します。林道入り口の標示には全線9qと書かれていましたが、8qほどで舗装路(この後道脇の標示で森林基幹道法皇線と認識)に出ました。そこにも下にあったのと同じ「落石のため通り抜けできません」の標示がありました(写真:下中下)。下中上の写真は現地で合流地点到着時に現在位置表示したところです。下右の写真は右上からの1車線道(林道高野線)が途切れる辺りから撮影。この道がない区間もちゃんと繋がっています。軽車道標示・森林基幹道法皇線のほうがアスファルト舗装のずっといい道でした。
 
 林道観音谷線を走ったのは7年前ですが、当時も稜線付近に西方向への道があるようだったので、登りながら分岐は何処かなと注意していました。ところが、ここかなと思われた分岐の先は草茫々で荒れた未舗装路、とても進んでみる気にならなかった記憶が残っています。そのため、突き当たった道が真新しく見える綺麗なアスファルト舗装であることは意外でした。道は合流部からまだ西へ伸びているようだったので進んでみました。200mも進まないうちに未舗装路になって、登りです。道脇に森林基幹道法皇線の標示を見つけました。工区の記載もあります。掘割峠までの尾根道、これまで法皇スカイラインと呼んでいたのですが、森林基幹道法皇線が正式名称のようです。その先には豊受山と豊受神社への登り口がありました。さらに進むと、林道高野線の合流部から800m程のところで通行止め。ここから先は工事中のようです。誰もおらず工事もお休みのようだったので歩いて進んでみましたが、そのすぐ先で道は終わっているようでした。最終的には何処かに繋がるのでしょうか?
左  法皇線に出たところで桜満開
上  森林基幹道法皇線の標示
右上 豊受山・豊受神社への登り口
右  森林基幹道法皇線・工事区間
 引き返して東へ向かいます。気温は低く、道は北側斜面のため雲が晴れて出てきた陽射しも山影で届きません。念のために持ってきた薄手のウインドブレーカーを2枚重ね着してもまだ寒いくらいでした。途中で一台のクルマと擦れ違ったのですが、その少し東側には鋸山登山口というところがあり2台ほどクルマが停車していたので、山登りに来た人でしょうか。登山口には未舗装ですが軽自動車は楽に通ることができる幅の道が左手に続いています。地形図では尾根を越えて銅山川側に繋がっているようです。かなり荒れているようですが、できることなら近い内に訪れてみたいものです。
 西高東低の気圧配置で北西風が強いことが予想されましたが、登っている間は杉檜林に遮られるのはもちろん、稜線近くに出てきても多少の風がある程度だったので助かりました。ほどなく林道観音谷線との合流地点に到着。やはり記憶に残っていません。確認してみた当時の写真も分岐部の撮影なしでした。
通行止めの西側 鋸山への入り口 林道観音谷線への合流地点 ミツマタ
 林道観音谷線と合流後、再び少し登りをこなすと金砂湖側から登ってきた道に出ます。この合流部にはミツマタの木が沢山植えられていました。これまでやってきた時の記憶にはない光景です。そのまま、翆波峰へと向かいました。途中には散り始めた何本かの桜。到着した翆波峰、駐車場にクルマの姿がなかったので独り占めかと思いましたが、山歩きの方がお二人、昼食休憩中でした。ちょうど正午。南側の展望台まで降りてみると菜の花の姿が見えた(写真:下右下)ので、この後で立ち寄ることにしました。下左の写真は、定番の翆波峰山頂から北東方向。翆波峰の標高は891mなので、結構高度感があります。手前が愛媛香川県境の讃岐山脈西端。その向こうは三豊平野です。
 赤石山系方面も、もうほとんど雲がなく晴れ渡ってきました(写真:下右)。左下には銅山川、いい眺めです。ほぼ真南に見える佐々連尾山の中腹辺りには、桜と思われる桃色が点々と見えています。その少し東側の奥には工石山でしょうか、冠雪です。おそらく前日の雨が標高が高いところでは雪になったのではないかと思われます。

奥の冠雪は工石山?

佐々連尾山方面
 持ってきた軽食を食べながら小休憩の後、菜の花畑のある翠波高原まで降りてみました。菜の花は満開に近い状態でしたが、写真:下左の遊歩道から左側には、「不作でによりこちら側には菜の花なし」の看板が立てられていました。西には特徴的な姿の二ツ岳、こちらも薄っすらと雪化粧していました(写真:下右)。
 さあ、目的のほとんどは達成して、後は森林基幹道法皇線を堀切峠まで走って下るだけです。この尾根沿いの道、初めて走ったのは2004年。もう18年も前なので、その頃より周辺の木々が育ったためでしょうか、見晴らしが悪くなったような気がします。一番東側にあった川之江市民の森はもう跡形もなくなっている状態でした。写真:下中・下右のような北側の木が伐採されて燧灘方面の展望が開けるところは、極一部でした。
 左3枚 森林基幹道法皇線
 右   燧灘の展望が広がった
 掘切峠への急な下りに入る手前に、北側の展望が広がるところがありました。写真:下左、高速道路・川之江JC付近が見えています。奥には荘内半島。東に寄ったので、高屋神社のある七宝山もはっきりしてきました(写真:下中)。その右手には切山集落のある讃岐山脈の奥に我拝師山がうっすらと見えています。朝より霞んできたのが、残念です。その後は杉林で薄暗い急勾配の道を下ると掘切峠です。
左  荘内半島が先端まで
上  中央が高屋神社のある七宝山
右上 讃岐山脈・切山集落付近
右  堀切峠への下り道
 いろんなところでもう何度も記してきましたが、堀切峠は私のサイクリングの原点です。初訪は1973年4月のことなので、49年前。川之江と新宮を繋ぐ峠道、堀切トンネルが開通するまでは県道5号線だった道を下ります。この道も49年前は上から下のコーナーや道が見えるほど見晴らしが良かったのですが、現在は杉が鬱蒼と繁って当時の面影は全く無くなってしまいました。最初の右コーナーにある分岐を左手・三角寺方面に向かいます。道はやや細くなりますが、同じような杉林の道が続きます。
堀切峠に降りてきたところ 杉で鬱蒼とした旧県道5号線 三角寺への分岐部 三角寺方面への道
 そんな道を下っていくと突然北側が開けて驚いたのは前年の夏のことでした。写真:下左端、佐礼地区からの眺めは変わりなし。葉桜となった桜並木も少しあって、前回同様三角寺を素通りしますが、今回は三角寺から左手の道に進んでみました。少し登りがあるとすぐに下りとなって、次第に周囲が開けてきました。鳶畑という付近で北側の展望が良かったので停車したところ、森林基幹道法皇線の途中に出る林道馬瀬線の分岐部でした。林道馬瀬線は一度走っている筈と確認したら、2010年8月のことでした。今回は三島公園に向かって下るだけだったのですが、それでもかなり複雑な道・分岐で、前回はスマホも無くて、よくここまで辿り着けたものだと今さながらに思ったものです。
佐礼地区から川之江の町 葉桜の道 林道馬瀬線分岐部 高屋神社の鳥居が見える
 住宅が散在する間の複雑な道を下ると高速道路沿いの側道に出てきて、三島公園には14時過ぎに帰着。期待が大きかっただけに、燧灘の展望はもうひとつでしたが、林道高野線は、初めてのこともありますが、走ってとても楽しい道でした。

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