室戸岬を巡る200km走  魚梁瀬森林鉄道・安田線跡 と 林道竹屋敷線
 初めて室戸岬を訪れたのは、1975年3月のことです。高校2年生の春休みでした。春先で気持よく走れたのか一日で香川から高知市回りで室戸岬の手前まで行ってしまいました。その後、室戸市で仕事をする機会があったり、未だに自転車で室戸に向かって走っているとは、当時は想像さえできなかったことです。その後徳島で暮らすことが長くなりましたが、室戸岬へ自転車で向かうことは意外と限られています。その理由は、そこそこ距離があること、比較的単調で面白さに欠けること、他に何処か回ろうとすると日帰りではとても無理なことなどです。そんな室戸岬ですが、何時の頃からか、冬場に200q走ろうと、走りやすい室戸岬に向かうようになりました。徳島市内から往復すると270qほどですが、阿南市を過ぎるくらいまでは交通量も多くストレスが多い道が続きます。そこで牟岐までクルマで移動して、その先を走ることにしました。いつの間にか冬場の年中行事になっていましたが、確認すると2012年1月が最初でした。ちょうど10年。いい機会かと、まとめてみました。 (2022年 4月 1日 記)

国道55号線・野根漁港の少し南から室戸岬を望む (2022.03.20)
 下図は2022年に走ったコースです。室戸岬までは国道55号線でまっすぐに向かいますが、徳島高知県境のトンネルだけは狭くて危ないので、毎回竹ヶ島方面への県道309号線で迂回しています。復路は、その時の気分で奈半利川に沿う国道493号線を走るか、安田川に沿って県道12号線を遡っていますが、振り返ってみるとほぼ半々でした。前者では距離が短くなるので、野根から野根川を遡り船津経由で宍喰へ。海南からは海部川に沿う国道193号線からヤレヤレ遂道を経由すると、ほぼ200qになります。例年、200qを走るということが主目的ですが、2022年は安田川左岸を走る魚梁瀬森林鉄道跡の道や17年振りに林道竹屋敷線・吹越峠を回ることができました。
コース 牟岐−室戸岬−安田−馬路−二又−竹屋敷−船津−宍喰−牟岐
走行距離   205q   積算標高 1600m
最高地点   吹越峠  標高570m
走行日   2022年 3月20日  天候:晴れ・曇り  GIANT TCR
走行日 2012年1月08日 2013年1月12日 2014年1月12日 2015年1月10日 2016年1月10日 2017年1月10日 2018年2月18日 2019年3月24日 2020年8月01日 2021年4月10日
 当初は成人の日前後の連休に決行していたのですが、年々寒さが堪えるようになり、また目に見えて走力が落ちているので、少しでも暖かく昼間の時間が長くなる春先に走ることが多くなってきました。2022年は午前7時前に牟岐をスタート。3月も下旬でしたが、スタート時の気温は5℃。ほぼ冬装備で始まりました。浅川からは国道55号線を外して海側の道へ進みます。写真:下左は大里海岸、2013年時のものです。確か遊泳禁止ですが、長く広い砂浜が魅力的です。海岸沿いには松を中心とする防砂林がありますが、近年塩害で枯れている樹が目立ちます。海部川で国道55号線に戻りますが、上述のように県境では宍喰漁港のところで竹ヶ島方面の県道309号線へ進みます。海沿いの小粋なペンションや小島が浮かぶ水床湾の眺め、道脇に化石漣痕など、ちょっとした見所もあります。

大里海岸(2013年)

海部川

宍喰漁港
 県道309号線で迂回すると、県境を越えて甲浦へ。写真:下左端は甲浦大橋から見た甲浦漁港。定点観測とも言えるポイントですが、いつも記録確認的程度にしか撮っていません。余力があった2013年は甲浦駅に立ち寄ってみました。2021年からDMVが走行しているので、こちら側に見える階段はスロープに変更されています。成人の日前後に走っていた時は、白浜海岸でこの地域独特の形をしたどんど焼きの準備された姿を見ることがありました。例年、写真のようなものが3つくらい作られていました。甲浦から小さなアップダウンを越えると、サーフィンで有名な生見海岸です。走行には穏やかな天候の日を選ぶので大きな波がたつことは少なく、いつもは多いサーファーの姿も少な目です。

甲浦漁港

甲浦駅(2013年)

白浜海岸  どんど焼き(2014年)

生見海岸(2015年)
 野根を過ぎると、これぞ室戸への道という快走路が始まります(トップの写真)。室戸岬まで35qほど。途中、信号は岬15q手前の佐喜浜と、5q手前室戸市方面への分岐に二つあるだけです。アップダウンもほとんどなく、春先はもちろん、1月初旬でも天候が落ち着いていたら暖かくて気持よく走れます。左手は太平洋。穏やかな日を選ぶので、ここでも大きな波は見られませんが、波が崩れる直前に現れる透明度のある碧色が鮮やかです。1975年に走った時から変わらない光景です。
 下の写真は、夫婦岩を振り返って。この日は条件が良くて、背後に見えているのはスタートした牟岐からさらに北の南阿波サンライン辺り、右手は牟岐大島でしょうか。
 下:左端は佐喜浜川にかかる橋上から上流。林道東又佐喜浜線は、この右手を奥に遡っていきます。林道大平舟場線は、少し左手に進んだ町中に下ってきます。南に進んで、椎名地区にある旧椎名小学校跡を利用したむろと廃校水族館。時間があれば一度立ち寄ってみたいものです。室戸市内へショートカットする県道202号線の分岐を過ぎると、台風の強風対策に作られた頑丈な壁を持つ民家が見られますが、その数は少しずつ減っているように思われます。1990年には民家と小学校、漁港以外に何もなかった三津〜高岡付近ですが、その後室戸世界ジオパークセンターや深層水の会社、その他いくつかの施設が出来ていますが、いずれもいつも素通りです。
佐喜浜川 むろと廃校水族館(椎名) 台風対策の頑丈な壁に守られる民家(高岡)
 午前9時半過ぎ、室戸岬に到着。ここまで65qほどです。地図では鋭角に見える室戸岬ですが、国道55号線を走ると地図で想像するような先端は全く感じられません。地形図を拡大するとわかりますが、岬付近の国道は鈍角で通過しているのです。灯台は遥か頭上の山の上。クルマだと岬に気付かずに通り過ぎてしまいそうです。写真:下左は岬を回って、室戸岬漁港から振り返ったところ。海岸段丘の急な斜面をつづら折れで登る室戸スカイラインの様子が良くわかります。冬場は穏やかな日を狙っても、岬を回り込むと向かい風になることが多いですが、この日はほとんど無風でした。夏場の昼間だと南東風となって追い風になることがあります。
 200q走る余力を残したいことや特に見所もないことから、これまでの10年で室戸スカイラインへ進んだのは2015年の一度だけです。下左の写真は上右の写真の逆Z字の一番上付近から見下ろしたところです。室戸岬漁港の全容が見えています。左奥に突き出しているのは行当岬。写真はありませんが、2022年は少し前に河津桜が咲いていると情報を得ていた1990年時にはなかった県立室戸広域公園に立ち寄ってみました。国道55号線から県道202号線を東に戻るように3qほど走った丘の上にあります。室戸スカイラインからも下ってこられるようです。広くて立派な野球場などがありましたが、肝心の河津桜は散った後。たくさん植えられていたソメイヨシノの蕾はまだ硬い状態でした。

西へ 土佐湾

北方向
 ほとんど交通量のなかった岬までの東海岸と比べて、室戸から高知市へ向かう国道55号線西側は、クルマの通行量が随分と増えてきます。途中にある町も東海岸より多く大きく、道も雑然としていて、走っていて面白い道ではありません。国道以外に併走する道も一部を除いてありません。吉良川の旧道はそんな中でも明治期に建てられた白壁に板塀、水切り瓦のある建物が残っていて、ちょっと立ち寄ってみる価値があると思います。吉良川を過ぎた黒耳地区は、高級ビワの産地です。初めて見た時は、遠目に何の花が咲いているのだろうと思ったものですが、良く見ると袋掛けされたビワでした。奈半利には11時15分頃に到着。奈半利駅に立ち寄ってみますが、残念ながら列車の姿は見えませんでした。2012年に走った時は海陽町から室戸、奈半利から再び海陽町に戻ってくるまで、全くコンビニがありませんでした。今では室戸市内にも奈半利にもコンビニがありますが、宍喰以南室戸岬までは未だにありません。

行当岬から室戸岬

吉良川の町並み

黒耳のビワ畑 袋掛け

ごめん・なはり線 奈半利川鉄橋
 下の2枚は2018年2月に走行時のもの。何度も走っているし、1990年には1年間室戸市に住んでいたのですが、国道55号線から土佐湾を隔てて冠雪の山が見えたのは現在まででこの時一度だけです。富山湾を隔ててみる立山連峰の眺めには敵いませんが、ちょっと四国とは思えない光景です。冠雪の山は四国カルスト辺りかなと思うのですが、はっきりした場所は確認できていません。
 2022年は、奈半利川ではなく、安田川沿いを遡ることにしました。安田付近でスタートから100q、やっと半分です。時刻は11時30分過ぎ。これまでは右岸の県道12号線を走っていましたが、以前から道があるらしいことに気付いていた左岸を遡ってみることにしました。下左の写真は、河口から2qほど遡ったところにある新東西橋から上流方向。橋にはすぐ隣にごめん・なはり線が併走しています。左岸の道は右岸の県道と比べると、道幅も少し狭めで路面にも少し難があるところがありますが、ゆっくり走るにはこちらがよりいいと思います。この日、東海岸線沿いから至る所でカエルの鳴き声が聞こえていたのですが、道脇の田圃には漉き込まれる前のレンゲがあちこちで見られました。また見られるだろうと思っているうちに、下右の写真のように山が川まで迫ってきて田圃がなくなりレンゲの写真がありません。これも少し前に何かで目にした山の中の映画館・大心劇場を見かけたのもこの付近でした。周りには民家もほとんどないところだったので驚きでした。事前情報がなければ、現在も営業しているとは思わなかったでしょう。これも写真なし。いつも後から反省するのですが、記録という意味を含めて、できるだけ多くの写真を撮ることが必要ですね。
 下中は、安田川の左岸を走った区間の拡大図です。河口から明神口橋まで、12qほど。以前に明神口橋で写真を撮っていたところ、奥から軽トラが走ってきて驚いたことがありました。前年の話だったかと思って確認したところ、猿押林道から下ってきた時のことでした。柚子畑の中、一段高い走るところ(これも写真なし)などもあって、やはり廃線跡かなあと思いながら進んでいくと、与床橋(下図、味工房じねん・大心劇場の中間くらい)の袂に、旧魚梁瀬森林鉄道跡・エヤ遂道の標示がありました(写真:下左)。やはり森林鉄道跡だったようです。とすれば、いつも写真を撮っている明神口橋まで続いているだろうと進んでいきます。しかし、道脇に「この先軽自動車以下通行可」の標示があるように、道はそこまでよりずっと細くなって路面も荒れてきました。25Cのタイヤでは、ちょっと注意が必要ですが、ゆっくり走れば問題ありません。
 山が川岸まで迫っていて、左手はすぐに安田川が流れています。電線はもちろんガードレールもほとんどないのがいいです。が、あまり左端は走れません。平均的な路面状況は、上右や下左の写真くらいですが、全面苔むした箇所や、小石や枝がもっと多く散乱していることころもあります。所々には水溜まりも多く、雨後や夏場は走りづらいだろうと思われました。
 そんな道を進んでいくと、またトンネルがあります。バンダ島遂道という名でした。写真:上右下のような金属プレートの案内板がありましたが、文字が判別しにくくなっていました。この道は事前のチェックをほとんど行っていなかったので、このトンネル(写真:下右)を抜けたら明神口橋かなと思ったのですが、違いました。スマホで確認したら、確かに明神口橋はまだ少し先でした。道は相変わらず荒れているので、パンクしないように気を付けてゆっくり進みます。写真:下左上は、2021年4月に走った時に、右岸の県道12号線からこの森林鉄道跡の道を見たところです。その時は、走るなら太めのタイヤが必要だろうなと思っていました。

県道12号線から左岸の道(2021年)
 
明神口橋袂の標示
 またひとつトンネルが近づいてきました。オオムカエ遂道です。これかなと思いながらトンネルを抜けると、当たり。お馴染みの明神口橋に出ました(写真:下3枚)。こちら側にも「軽自動車以下通行可」の標示があります。2013年には朽ちかけたサイクリングロードの標示があったと記していますが、その姿はもう無いようでした。ここからは県道12号線です。馬路方面に進み始めたところに「路線バス以外通行止め」の標示がありました。そういえば、事前にざっと見ていた Google map で、この付近に昨年まではなかったトンネルの記載があったことに思い当たりました。ありゃ、旧道となって通行止め? とりあえず進んでみたところ、完成したトンネルとの合流手前が未舗装で工事中でしたが、問題なく通ることが出来ました。
  
 県道21号線は一車線のところもありますが、かなりの部分で改良されて二車線化されています。交通量は決して多くなく、こちらものんびりと快適に走れる道です。写真:下左は、安田川。2021年の写真です。右は馬路の町のすぐ手前、地形図では朝日出と記載されている集落。地形図を見ると、安田川と奈半利川との間の山には、林道と思われる軽車道の記載がいくつもあります。どんな道か想像がつきませんが、一度走ってみたいものです。もちろん、200q走時には無理ですが。
 馬路の町に到着したのは、12時50分、いつもは安田川の左岸に移る県道12号線を走るのですが、今回は右岸の町中を走ってみることにしました。まずは入り口にある五味遂道。道路・橋よりも下を走っていて、レールも残っています。町中をゆっくり進んでいくと、馬路温泉前には森林鉄道・馬路駅があります。五味遂道で見るよりさらに狭軌、まるで遊園地かと思うような幅1mに満たないレールが敷かれていました。観光用路線のようです。写真を撮ろうとしていたら、谷奥から機関車らしい音が聞こえてきました。数分待っていると、姿を現したのはやはり遊園地で走っているかのような小型機関車でした。
左 森林鉄道跡・五味遂道
中 森林鉄道・馬路駅と機関車
右 県道12号線から馬路の町(2021年)
 馬路の街外れで再び県道12号線に戻ります。そこから新久木トンネル(写真:下左下)まで緩やかな登り。安田川の流れもずっと細くなってきます。いつももっと登りがあるように思っていたのですが、意外とトンネルには早く到着。逆に、トンネルを抜けたあと、魚梁瀬への分岐部までトラバースするような平坦な道が思ったより長く続きました。写真:下左上が魚梁瀬への分岐部。手前が魚梁瀬方面、右手奥から下ってきて左手奥へ進みます。ここから二又までは緩やかな下りの快走路ですが、午後の一番気温が上昇する時間帯なのに曇天のためか気温が上がらず肌寒く感じました。おまけに微妙な向かい風でスピードがあがりません。途中に3つほど小さな集落がありますが、下右の写真は、そのひとつを振り返ったところで2013年のものです。上流に魚梁瀬・久木とふたつのダムがあるため水量は少なく、白っぽい茶色の川石が乾いてますます白っぽく見えます。1990年にここを走った時に、カモシカに初めて出会ったのも懐かしい思い出です。その大きさと跳ね飛ぶように走り去った姿は強烈な印象として残っています。この道も魚梁瀬森林鉄道跡と重複しているようで、2、3のトンネルがあります。写真:下中上は堀ヶ生橋(ほりがをはし) 、アーチ橋です。そして、下中下は二又橋。左手奥が走ってきた魚梁瀬方面、右手が支流小川川で国道493号線が沿っています。二又という言葉通りの地形です。二又に到着したのは、14時ちょうどくらい。牟岐から145q。例年より遅く、この後どうするか少し迷いました。
 下は、その小川川を国道493号線から眺めた写真です。左の2枚は、2021年4月、右は2020年8月。ダムのある魚梁瀬方面からの本流と異なり、こちらは川石の性状こそ同じですが水量が多めで透明度もあります。写真が小さくて分かりづらいですが、右では鮎釣りをしている人の姿が見えます。
  
 走り始めた2012年頃は二又から四郎ヶ野峠まですぐだと思い込んでいたのですが、次第に意外と距離があることを認識するようになりました。確認してみると、二又から竹屋敷の分岐まで約7q、そこから四郎ヶ野峠まで5q余。前半は標高差100mとほぼ平坦に近いのですが、走っていると3%くらいで登っているように思えます。竹屋敷分岐から峠までの標高差も170mほどで3.5%程度なのですが、ここも5%を越えているような感覚になってしまいます。後半になって脚力が無くなってきているためでしょう。
 時間的にもあまり余裕がなかったのですが、竹屋敷の分岐に到着した時点(14時25分)で、事前にちらっと考えていた林道竹屋敷線・吹越峠を越えて船津へ下ることにしました。先に林道笹無池ヶ谷線を走った時も時間切れで見送った林道竹屋敷線。日曜日以外は工事規制のことも多く、この機会を逃すと次はいつになるかわかりません。四郎ヶ野峠を越えて野根川沿いに船津へ向かうより距離は少し短めになりそうですが、唯一の懸念は未舗装路があることです。25Cのタイヤで大丈夫か、まあ5q程度なら押し歩いても16時過ぎには船津に下れるだろうと楽観して向かってみました。
 写真:下左端の国道493号線の分岐部には竹屋敷9qとの標示です。ここからは2005年以来17年振り3回目ですが、2002年も船津側からの逆走だったので、ほとんど初めての道といってもいい状況でした。全くクルマの通らない道は、舗装はされているものの、所々で荒れていてました。水が出ているところも何ヶ所かあり。あやふやな記憶では、途中少し開けたところに小さな集落があったように思っていたのですが、進めど集落は見当たらず。スマホで現在地を確かめようとしたところ、何故かうまく標示されません。ちょっと不安になりながら進むと、標示通りほぼ9qで右手に小さく林道竹屋敷線の標示(写真:下右端)を確認。地形図では竹屋敷集落の外れですが、人の気配は全く感じられませんでした。
 右折するとすぐに未舗装路です。写真:下左では分かりづらいですが、杉などの枯枝や枯葉は多いですが路面自体の荒れ具合はそれほどでもなく25Cのタイヤでも十分乗車可能です。ただ、しっかりと予習をしていなかったので、トンネルまではすぐだと思っていたのですが、なかなか到着しません。前を見ると、まだまだ稜線には遠いように思われます。まさか間違ってやしないだろうなと不安になりながら進みます。後で確認すると距離で僅か2q、標高差200m弱だったのですが随分と長く感じられました。トンネルが見えた時(写真:下右)は、心底ホッとしました。これも後で確認すると、林道分岐部からの所用時間も僅か15分でした。
 さあ下りだと勢いをつけたいところですが、この下りの方がずっと問題だと思っていました。ところが進んでみると、竹屋敷側より路面状況はいいように思われました。最悪降りて押し歩きの覚悟をしていたのですが、十分に乗車して下れます。もちろん、一桁くらいの速度ですが。パンクだけはしないようにと慎重に。植林された杉林の中を下っていくと、分岐に当たりました。左手には大きな水たまりがあって、右手の方がしっかりした道のように見えたので、そちらへ進みました。最終的に林道笹無池ヶ谷線を走った時に確認した野根川右岸の合流地点に出ると思っていたのですが、進むとどうも違うような気がします。そのうち稜線らしいところを走るようになりました。前2回は久尾方向から登っているのですが、これもうろ覚えでしたが地形図では船津キャンプ場方面に下る軽車道もあって、その途中に尾根筋近くを走る部分があったように記憶していました。後で確認したら間違いありません。何処へ出るのだろうと思いながら下ると、やはり船津キャンプ場のところの橋に出てきました。時刻は16時前。その後は猪鼻遂道を抜けて宍喰に下り、海南ではまた国道を外れて浅川に出、無事牟岐に到着したのは17時も回ってでした。

野根川はかなり下方

船津キャンプ場への橋
 さて、ここからは2022年の話ではなく、これまでに走った半分を占める奈半利川沿いの国道493号線のダイジェストです。下左の写真は、2021年・奈半利川河口。奥に見えるのが、上にも載せているごめん・なはり線の奈半利川鉄橋です。安田川より規模が大きく、下流は写真:下中のような感じです(2020年)。下右は毎回写真を撮る、北川温泉横にある小島橋(2019年)。これも魚梁瀬森林鉄道跡です。魚梁瀬森林鉄道は、先の安田川沿いの安田線と奈半利川沿いの奈半利線があったそうで、小島橋は後者。
  
 国道493号線は北川温泉のすぐ上手で、数年前から崩落のため左岸の道へ迂回するようになっています。写真:下左は左岸の道から見た崩落箇所。復旧する兆しはないように見えます。当初、全く知らなかったのが、平鍋ダムの存在です。国道493号線を走っていると、ダム本体は木々に隠れて意識しないとはっきりと見えません。最初は、いきなり湖(ダム湖)が現れて驚いたものです。そのダム湖を渡る平鍋橋の左岸も、以前に崩落があって長らく工事中でした。
 右 国道493号線、崩落箇所
 中 平鍋ダム湖
 右 ダム湖に架かる平鍋橋
    (3枚とも2019年撮影)
 写真:下左は四郎ヶ野峠(2020年)。ここも定番の写真撮影場所です。奥に野根山街道への階段が見えています。四郎ヶ野峠からは野根まで一気に下りです。以前は荒れていたアスファルト舗装も数年前に綺麗に再舗装されて随分と下りやすくなりました。下って、野根では国道55号線まで出ずに県道101号線で野根川に沿って遡ります。写真:下右は名留川集落付近(2021年)。大きくカーブする左側には水田、右手には桜並木が続きます。一度満開の時期にやってきたいものと思いながら、実現できていないままです。
 名留川を過ぎると、道は1車線と細くなります。大斗、川口の小さな集落と過ぎると道は左岸に移り、写真:下右のような感じ(2019年)。年によっては、随分と荒れていたこともありますが、最近はそれなりのことが多いように思えます。野根川はさほど大きな川ではありませんが、上流の人口も少ないこともあり、なかなかの清流です(写真:下中上)。ただ、道から上手く見えるポイントはさほどありません。川底の石は、奈半利川と同じような白っぽい茶色です(写真:下左下・2021年)。遡っていくと、上記の船津キャンプ場への橋のところが高知徳島県境です(写真:下左上・2019年)。そこからまもなくの船津集落から少しばかり登って猪鼻遂道(写真:下中下)を越えると、後は宍喰まで下りです。
 200q同様、随分と長くなってしまいましたが、もう少しです。唯一迂回路のない宍喰−海南間を国道55号線で走った後は、海部川に沿って国道193号線を遡ります。樫ノ瀬というところで右折して玉笠川に沿って遡り、ヤレヤレ遂道を越えて牟岐へと向かいます。この道は、200q時に限らず、よく走行するコースです。終盤で疲れているのですが、大好きな海部川や玉笠川の流れを見ながら走る楽しみがあって、交通量の多い国道55号線を走るよりは精神的にずっと楽なのです。海部川に沿って走る時は、追い風になることも多いのが幸い。本来のヤレヤレ峠の下を抜ける奥谷トンネルを抜けると、後は牟岐まで下りです。
海部川(2019年) 樫ノ瀬で右折( 2019年) 玉笠川の渕(2019年) ヤレヤレ遂道( 2017年)
 最後まで目を通していただき、ありがとうございました。まだまだ元気だった2012年に比較すると、随分と脚力がなくなって、後何回も走ることができないかと思われる室戸岬を巡る200qコース。特に後半の5年間は毎年のように衰えていることを実感。とりあえずの目標は後5年。なかなか厳しいかもしれませんが、続けることができたら、再度アップしたいと思っています。

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