林道トゴエ久多利線  林道海川野久保線・林道南川線・林道平野畔ヶ野線
 同じ四国内でも、東の端に位置する徳島市内からだと、足摺方面四国の西南までは片道300q余と随分遠いことは以前にも書きました。それほど広くはない徳島県内でも、那賀川最上流の木頭方面までも約100qと結構距離があります。その付近を走る時は、ちょっと思い立ってというわけにはいかず多少の事前計画が必要です。今回、本来予定していたのは林道海川野久保線でした。この道は1993年か1994年に西から東側に走っているはずなのですが、記録も写真も見当たらず朧げな記憶が残っているばかり。是非再訪したかったのですが、時々通過する国道193号線の分岐部から覗くと、すぐのところから草木が鬱蒼と繁っており、とても走れるような状況には見えませんでした。事実、いつも情報をいただいているとくしま林道ナビでも、ずっと通行止めの表示が出ていました。ところが、先日、通行可能に変わっていることを確認。季節は夏に向かって虫や苦手な爬虫類が増えてくることや、大雨や台風の被害があれば再度通行止めになる可能性大なので、時期を逃さずにと向かったのですが・・・。 (2020年 6月 3日 記)

林道トゴエ久多利線 (写真のような未舗装と落葉樹の区間はあまりない)
コース  長安−海川−星越−木頭−トゴエ久多利線−海川野久保線−南川線−平野畔ヶ野線−木頭−長安
走行距離   70q    積算標高 1200m
最高地点   林道海川野久保線最高地点  標高1000m
走行日   2020年 5月30日   天候:晴れ・曇り   シクロクロス
 当初は、下地図・国道193号線からCB-1〜CB-5(海川野久保線)へと抜けて、CB-13からCB-14(南川線・平野畔ヶ野線)で国道195号線に復帰する予定だったのですが、国道193号線の分岐部直前で崩落通行止めのため、CB-12 からCB-4に至る林道トゴエ久多利線を走って、後半は予定のコースを走ることになりました。

とくしま林道ナビ から借用
 早朝に仕事を済ませて、デポ地・長安口ダムへ。午前8時10分にスタートです。まずは国道195号線で出合へ。最近降雨量が多かったとは思えないのですが、長安口ダム湖は、ほぼ満水でした。平谷からは右折して国道193号線で海川方面へ向かいます。ちょうど分岐に「国道193号線落合橋付近崩落通行止め」の表示が出ていました。これから先にそんな橋ってあったっけ、何処だろうと思いながら進みます。上述のように勢い込んでやってきたものの、実はちょっと体調に不安がありました。幸い、十二弟子トンネルに向かう登り坂も意外と普通に走れたので、大丈夫らしいと判断。十二弟子トンネル内は工事中のため片方通行でした。係員の方が誘導をしてくれたのですが、走っていると後方からトラックがやってきて、コーンで境された対向車線に避ける始末。続いて今度は前方から対向車。長さ827m、自転車にはお構いなしの誘導でした。
 上海川集落の星越・木頭方面分岐部にも全面通行止めの看板が立っていましたが、通行止めが林道分岐部より霧越峠寄りであることを願いながら、新緑の海川谷川を眺めつつ、そのまま進みました。ところが、2qほど進んだところで、下ってきた中型ダンプが擦れ違い様に停車して、運転していた兄ちゃんが「通れんよ」と一言。途中から林道で木頭方面に抜けるつもりであることを話しましたが、林道は知らないようでした。で、林道分岐部の橋のことをしたら、その直前で崩落しているとのこと。「重機が頭上に入っているから何が落ちてくるかわからないので責任が持てない(よく使われる言葉)」とのこと。今後を考えて、そこまで行って状況を確認することも頭を過りましたが、今回は止めておけとのお告げだと素直に従い引き返します。まさか林道に入る橋が落合橋だったとは。時々四国地方整備局道路情報システムで通行止め状況を確認していたのですが、そちらには未掲載。帰宅後徳島県県土防災情報を確認すると、ちゃんと載っていました。次回から徳島県内の通行止め情は、こちらの確認が必須のようです。
 左上 旧出合橋と長安口ダム湖
 上  出合ゆず大橋
 左  上海川 全面通行止の看板
 右  新緑の海川谷川
 引き返しながら、行先変更を考えます。未舗装を予想してシクロでやってきたこともあって、2018年末に時間切れで途中までとなったトゴエ久多利線を海川野久保線の合流地点まで走って、後半は予定のコースを進むことに決定するのに時間はかかりませんでした。上海川で星越トンネルへ左折。トンネルまでの登りも普通に登れたので一安心。下り途中で、左手にダンプ入り口との分岐を見つけました。閉鎖中でしたが、ひょっとすると海川野久保線から分岐する星越神戸丸線の起点になるところでしょうか。下りきって木頭の町外れ。ここでも左折するのが正しいことをうろ覚えで、直進しようとして引き返し。無人となった家屋が多い中を走って、那賀川を渡り国道195号線へ。500mばかり走った木頭幼稚園小中学校の表示で左折するのは記憶通り。再び那賀川を渡って100mほど走ったところで左折した記憶でしたが、念のため地形図で確認しました。
星越トンネル 那賀川を渡って国道195号線へ 再び那賀川を渡って 右の白い棒が林道起点表示
 さあ、ここからは激坂の連続です。登り区間に入ってから何軒かある民家(人は住んでいるようでした)の最終で、道脇に前回確認出来ていなかった林道トゴエ久多利線の小さな表示を見つけました。道はコンクリート舗装で、ずっと10%を超えるくらいの勾配が続くのも記憶通りです。少しでも脚を休める箇所がありません。道両側は、下の写真のように杉林ばかりです。急斜面をトラバースしているのですが、立派に育った杉が密生しているため、あっという間に眼下に遠ざかっていく木頭の町並みを見渡せる場所はほとんどないことも記憶通り。
 いやあ、やっぱりきつい。1qで100m、2q200m、3qで300m以上と標高を稼いでいきます。しかし、思っていたより早く、記憶に残るコーナーのところに到着しました。振り返ると、星越神戸丸線と思われる道が稜線下に横走するのが確認できます(写真:下中)。一服していると、セミの声が聞こえてきました。杉林が少し切り開かれた山肌には、幼木が何本も植えられています。幼木周囲はネットで保護(多分シカ対策)されていましたが、落葉樹のようです。帰宅後たまたま確認できたのですが、ヤマザクラだったようです。
 このコーナーを回って少し進んだところが、2018年末の引き返し地点(写真:下右)。そこを過ぎても、相変わらず急勾配が続きます。コンクリート舗装には30m毎くらいでしょうか、排水のための溝が切られてC型の鋼が埋め込まれていますが、幅10pくらいで、乗り越えるのにちょっとだけ気を遣います。さらに進んで稜線の西側に入ってくると、未舗装部分が現れました。ここからは未舗装路が続くのかなと思ったのですが、すぐにまたコンクリート舗装、また未舗装と何度か繰り返し。勾配は少し緩やかになりました。林道沿線の道両側は相変わらずほとんどが杉林で、トップの写真のような落葉樹の新緑に覆われたところは極僅かでした。
 林道トゴエ久多利線
 上左 杉林が続く急勾配
 上  稜線付近に星越神戸丸線
 右  前回の引き返し地点
 左  未舗装部分現る
 漸く稜線近くまで登ってきました。道両側の杉の間からチラッと光景が見えることで稜線に出たことを確認できましたが、稜線付近まで樹高のある杉が繁っていて視界は広がりません。写真:下左は、初めて北東方面の展望がちょっとだけ広がったところ。一番奥には高城山が確認できました。サドルの斜め左上、薄く見える稜線の鞍部の後方に、さらに薄くチラッと山頂付近が見えます。随分遠くに見えましたが、直線距離では16qほど、それほどでもありません。雨雲レーダーは遠くからでもよくわかって、いい目印になります。さらに進んで、写真:下右。これは何処の山でしょう。高城山が左手の一番奥に見えるので、方向から中央は高丸山付近でしょうか。
 進んで、再び高城山遠望。サドルの真上の山の左手奥です(写真:下左)。ズームアップすると、雨雲レーダーが良くわかります(写真:下中)。この後、この見晴らしが続くのかと思いましたが、再び杉林が視界を遮ります。カモシカと出会ったのは、ちょうどこの辺りでした。前週に林道大平槙山線で見かけたものより白っぽい毛で、大きさは同じくらいでしたが、なんだかとても美しくに見えたのです。急いでカメラを取り出そうとしているうちに、前方へ駆けていってしまいました。何処かで立ち止まっていやしないかと、稜線近くの林の中にも目を光らせながら走ったのですが、再び目にすることはありませんでした。稜線に出てからも2回くらいアップダウンがあり、登り始めのような結構きつい勾配のところも少しありました。
      
 で、意外とあっけなく海川野久保線の分岐部に到着(写真:上右)。起点からの距離は7q、標高は1000m足らず。標高差は650mほどで所用1時間少々。そうそう、稜線に出た後半は、まだ新しいコンクリート舗装でした。先に走った谷山霧越線の一部と同じで、日に当たると眩しいくらいの白さでした。写真:下左、左手の白い道がトゴエ久多利線です。手前の海川野久保線はアスファルト舗装でした。20数年前に走った時は未舗装とコンクリート舗装が半々くらいだった記憶です。おまけに、この付近だったと思うのですが、まだ工事中だった道はぬかるんでドロドロでした。当時乗ってきたのは、廃車になったDIAMONDBACK
 せっかくなので、少し東へ進んでみることにしました。ちょっとだけ登りが続いて再度少し下ったところで、左手にUターンするように下っていく道・星越神戸丸線の分岐部まで(写真:下右)。この日も林道工事中らしい作業音が遠くから聞こえていました。これもあやふやな記憶ですが、この付近、20数年前はあまり木が繁っておらず見晴らしがあったように思うのですが、今回は杉林に混じって落葉樹も多数繁っていて、見晴らしが効くところはほとんどありませんでした。
      
 再びトゴエ久多利線の分岐部まで引き返し、海川野久保線を南川線に繋がる西側に向かって下っていきます。ここにも6月8日から舗装工事のため通行止めの表示がありました(写真:上中)。しかし、この道も、コンクリート舗装か未舗装だった20数年前と異なり、結果的には全線アスファルト舗装でした。ただ随所でアスファルトが割れたり窪んだりしたところがあったので、舗装工事とはその補修なのでしょう。頂部付近同様、こちらの道もずっと幼木しかない山肌を見ながら登った記憶なのですが、若葉が繁ってもう鬱蒼という表現に近くなってきた落葉樹や杉木立が続いていました。杉林ばかりだったトゴエ久多利線に比べて、こちらはまだ雑木林が多かったです。20数年で木々はこれほど大きくなるのでしょうか、それとも私の記憶違いなのでしょうか。ちょっと調べてみたら、場所などで多少異なるようですが、杉は30年で直径30pほどになるそうなので、記憶は間違いではないのかもしれません。下の写真は、下り始めて少しのところから北西方面。左端・奥のピークは、石立山でしょうか。
 下ってみると、もう記憶がないというか、初めて同然の道でした。勾配はさほどきついとも思われず落葉樹も多くて(写真:下左)、周回ならこちら側から登ってくるのがいいように思われました。途中、2度ほど立ち止まって前後の光景を眺めます。写真:下中、稜線に近いところに横走する道が見えましたが、海川野久保線から分岐する熊谷線(行き止まり)かもしれません。写真:下右上、野久保谷川は谷底を流れていて、少しばかり高度感があります。小さな写真ではわかりにくいですが、サドルの向こうに下っていく道が見えています。シカとも出会いましたが、逃げ足が速くて写真は撮れませんでした。
林道海川野久保線

右 南川線との分岐部
 野久保谷川が那賀川支流・南川へ合流する地点で海川野久保線は終了し、南川線に右折(写真:下左、自転車は反対向きです)。走ってみると、この南川線は全く記憶に残っていませんでした。蛇行する南川に沿って走るのですが、道は川面から結構高い位置を走っています(写真:下右)。相変わらず杉林が多いのですが、時折大きな落葉樹も見かけました。南川は透明度が高い川との認識だったのですが、もうひとつ川底が美しくありません。鮎喰川や穴吹川同様、今年は冬場から増水するほどの雨が降っていないためかもしれません。
 ここで、タヌキ(もしくはアナグマ)に出会いました。写真を撮ろうとしたら、のそのそと道脇に歩いていって振り返ります。シャッターを押したところで頭の向きを変えてしまい、正面からの写真が撮れませんでした。どちらだったか、私には判別不能です。
 左折するとトンネルで国道195号線(前回はこちらを通った)の分岐部で、そのまま直進して平野畔ヶ野線へ。畔ヶ野には数軒の家屋が見られましたが、人が住んでいるらしいのは1軒のみのように見えました。小さな峠を越えて下ると、国道195号線へ合流します。
タヌキ? アナグマ? 南川線・平野畔ヶ野線分岐部 平野畔ヶ野線 峠 国道195号線平野畔ヶ野線分岐部
 帰路は国道195号線。出原で数台の自転車が止まって休憩中だったので挨拶をして通り過ぎようとしたところ、「や ま さ〜ん」と呼び止められました。引き返すと、なると先生おにへーさん達でした。徳島市内から自走往復(200qほど)とのこと。滅多に出会わないのに、こんなところで遭遇するとは。久しぶりだったので、近況など立ち話が尽きません。
 まあ、ゆっくり走ってますから追い抜いて行ってくださいと、先に出発。本流としては上流にダムがない木頭の那賀川は、水が比較的きれいです。写真:下を撮りながら走っていたら、案の定、後ろから追い抜いて行かれました。なんとか一端追いついて最後尾に無賃乗車させていただいたのですが、日頃平地でもAv.20km/h程度で走っている身に巡航速度30km/h以上は無理で、10qも走らないうちに連結解除となりました。
木頭付近の那賀川
写真:右
おにへーさんなると先生御一行
 そこからは、いつものゆっくりペースで。出合大戸トンネルの完成で通らなくなってしまった旧国道195号線に回り道して(こちらにもトンネルがあったことも記憶から消えていました)、長安口ダムに帰着したのは、スタートからちょうど5時間後でした。
 予定のコースは走れませんでしたが、完走できていなかったトゴエ久多利線を利用して、20数年振りに神戸丸直下付近に行くことができました。記憶とは随分と異なる周囲の状況に、20数年の時の隔たりを改めて感じた次第です。走り残した海川野久保線の東側半分も、もう一度行ってみます。星越神戸丸線が開通したら、いい周回コースになるのですが、その時まで走り切れる力が残っているかなあ。

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